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タンカー攻撃巡る米国の非難、「妨害外交」の一環=イラン外相
Reuters
大野 元裕参議院議員、中東調査会客員研究員 民進党埼玉選挙区選出参議院議員、(財)中東調査会客員研究員
現時点でいかなる国もしくは組織の犯行であるかは不明だが、米国はイランがかかる作戦を実施する能力があると非難し、イラン側は反イラン武装組織もしくはイランを嵌めようとする勢力によるものとの反応を示しているようだ。また、海上での攻撃の実績もある、イエメンのシーア派系ホウシー勢力の関与を取り上げるものもいるようだ。 昨日来、多くの方が、特にイランの関与説の是非をめぐり議論をしているようなので、この点は敢えてスルーし、違う観点から少し指摘したい。 第一に、革命防衛隊を含むイランにかかる作戦を実行する能力はあると考えざるを得ない。今回被害にあったうちの一隻のタンカーは磁気機雷に触雷した由であるが、イラン・イラク戦争中、イランは磁気機雷をしばしば利用していた。イランは沈底型のこの機雷に木材を巻きつけて見つからないようにし、巧妙に敷設していたと聞いている。しかも、このような機雷を、極めて潮の流れが早いホルムズ海峡付近で敷設し、運用できるのは、それなりの経験を有する国もしくは組織に限られると思う。イランが実際に手を下したか否かは分からないが、イランの関与を疑わせる状況証拠ではある。 第二に、先月12日にサウジ、UAE、ノルウェーの四隻のタンカーがフジャイラ沖合で被害に遭った際には、米側はイランの脅威に触れ、サウジ筋もイランの関与を匂わせたが、それが大きな声になり、対イラン国際圧力まで高まらなかった経緯がある。政治的に処理したい案件と、少なくともサウジとUAEは考えたのであろう。つまり、今回の一件との関連は不明確なるも、当時の反抗勢力は、単純なテロ組織ではないと考えられる。 第三に指摘しておきたいのは、イランの強硬派は必ずしもイラン政府と一枚岩ではないことである。彼らは自分たちの利益で動くことがあり、ミサイル艇等を扱う部隊は、イラクに制裁がかかっていた頃、フセイン大統領の長男と結託して石油製品の密輸をはしけ船で行なっていたと聞くが、これは中央政府のコントロール外であった。 このように考えると、可能性としては、イランの革命防衛隊、あるいはそれを匂わせて利益になる勢力の関与が疑われるところ、今少し注視していきたい。
サウジがミサイル開発か 米紙、中東の軍拡懸念
共同通信
大野 元裕参議院議員、中東調査会客員研究員 民進党埼玉選挙区選出参議院議員、(財)中東調査会客員研究員
サウディアラビアがミサイルを保有する場合、イランを含めた隣国のみならず、以下の通り、イスラエルも強い懸念を抱くはずだ。ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(MBS)とイスラエルは、クシュナー米大統領上級顧問を介して、パレスチナ問題を犠牲にしてでもいい関係を構築してきたように見えるが、近年の中東のバランスに一定の影響を与え、ひいては米国の懸念を惹起することになるかもしれない。 ① 米国はサウディに対する長い間の装備品のトップ・サプライヤーであるが、常にイスラエルとの間で差をつけた装備品を供給してきた。例えば、サウディに供給したF-15Sとイスラエルに供給したF-15Iでは、夜間の戦闘能力の可否という面で差をつけて、イスラエルの優位性を担保してきた。このような中、中国等の技術でミサイル開発がなされる場合、かつてイラクのミサイルにより多大な被害を被ったトラウマを引きずるイスラエルが理解するかは不透明である。特に、内政に常に不安定を抱えるサウディアラビアが、イスラエルを攻撃する能力を備えることへの不安を払しょくすることは難しいだろう。 ②サウディアラビアは、かつてはもっぱら防衛に徹してきたが、イエメン介入等、国際社会にとっては混迷を拡大させる役割を担い始めている。かつてイラクが担ったようなイランとのパリティをもたらす役割も期待されるのかもしれないが、近隣におけるサウディアラビアの利益は、多くの国が考える国際社会にとっての利益と異なる場合がみられている。 ③サウディ人ジャーナリスト、ハーショグジー氏殺害事件に代表されるように現サウディ政権の人権等に対する施政には疑問も付されており、中国等への接近も懸念される。 まだ全体が見えていないが、米国が懸念するだけの十分な理由が存在すると言えるのではないか。
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朝鮮半島有事で自衛隊の対応検討 米朝衝突やミサイル着弾想定
共同通信
大野 元裕参議院議員、中東調査会客員研究員 民進党埼玉選挙区選出参議院議員、(財)中東調査会客員研究員
朝鮮半島有事のみならず、自衛隊が関与する事態ごとの法的対処についてはすでに明確なように見える。日本の領土領海に対する攻撃の際には、防衛出動が下令され、あるいは国民保護法が適用される。この報道にあるそれ以外の3つのケースの場合には、重要影響事態や、あるいは場合によっては国際平和支援法が適用になるであろう。 しかしながら具体的対処の検討にあたっては、NSCが想定するものについても様々な問題が所在する。 それぞれのケースで発生するであろう難民対処一つとっても、20万人もの難民・避難民が押し寄せるという説もある。朝鮮戦争の際には、開戦から3日間でのべ2001名が日本に避難した。海路では佐世保が避難港に指定され、仁川や釜山から佐世保港や博多港に、米国籍やノルウェー籍の貨物船による輸送が実施された。また、翌年にかけて日本の船舶等も用いて佐世保に5411名が輸送された。朝鮮戦争の際に機能していた難民センターはすでに多くが閉鎖され、西日本の場合には定員200名の大村のセンターが唯一の受け入れ場所となるが、これら港湾やセンターは、受け入れおよび避難民の中に紛れ込んでいるかもしれない後方攪乱要員の選別と治安維持を行えるのであろうか。 NSCが想定する我が国に対する武力攻撃に満たない事態については、法律で明確になっているものとそれ以外がある。それらには、米艦防護、日本国から行われる戦闘作戦行動のための発進許可、調査・研究による自衛隊の活動、治安出動下令前に行う情報収集、治安出動、海上警備行動、ミサイル破壊措置命令、後方地域での協力や避難民支援等、機雷処理、日本のADIZからの出撃、日米安保条約6条に基づく施設等の提供等が考えられるが、一々について様々な条件と問題が考えられる。それぞれについて議論が進んでいないのが現状である。 さらに、NSCが想定していない「事態」の方が深刻である。たとえば、民間人を装ったテロ組織を含む特殊部隊による我が国領土領海、特に島嶼部に対する攻撃やサイバー攻撃等については、我が国にとって大きな被害をもたらし得る。自民党が公約で掲げたグレーゾーン対処のための領域警備法を審議にすらかけていない状況では、法的な根拠すらないのが現状である。あえてNSCは都合の悪い事態には目をつむっているのかもしれないが、北朝鮮による脅威を正視し、議論する必要があろう。
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国連、エルサレム首都認定問題で21日に緊急総会
Reuters
大野 元裕参議院議員、中東調査会客員研究員 民進党埼玉選挙区選出参議院議員、(財)中東調査会客員研究員
国連緊急総会は確かに法的拘束力はないが、政治的にきわめて重い行動である。過去に10回しか開催されていないこの緊急総会は、総会決議377Aによれば、「もしも安保理が常任理事国の統一した見解に至らず、国際社会の平和と安全を維持するための基礎的な責任を果たせない場合・・・総会は、国際の平和と安全を維持もしくは回復するために必要な、国連構成国の集団的行動に向けた適切な提言を行うために直ちに検討を行う・・・」とされている。 安保理決議は米国を名指ししなかったが、エルサレムの地位については和平交渉の最終段階にイスラエルとパレスチナ双方の協議によって定められるものとしてきたこれまでの国連および安保理の立場を踏まえ、「エルサレムの地位を変更するいかなる決定および行動も法的な効果を持たず無効で・・・すべての国に対し、エルサレムに外交使節(大使館)を置くことを控えるよう呼びかけると共に・・・すべての国に対し、安保理諸決議の遵守を要求する」ものであった。 米国はこの安保理決議に拒否権を行使し、成立が見送られた。そこで、アラブ・グループのイエメンとOICのトルコの両議長国が緊急総会の開催を求めることになったのである。つまり、前述の1950年決議に従えば、常任理事国たる米国の拒否権発動により国際社会の平和と安全の維持に必要であるので、総会が開催されるという形になったのである。 ヘイリー米国国連大使は、決議に賛成する国を政府に報告し、その記憶は留められる旨の脅迫ともとれるような書簡を各国の代表に送り、総会決議を阻止しようとしているようだ。しかし、今夕に決議は採択されることになるであろう。 トランプ大統領の主として国内向けの政策は、拒否権行使→総会での非難という代償を伴うものになりそうだが、米国の決定を阻む手段も、中東世界で募る憤りを抑える手段も、限定的で、国際社会は次の一手を欠くことになりそうである。
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北朝鮮名目の防空網強化、真の狙いは中国 経費は膨大に
朝日新聞デジタル
「民衆蜂起」の可能性低く=エルサレム首都承認から1週間-パレスチナ
時事通信社
大野 元裕参議院議員、中東調査会客員研究員 民進党埼玉選挙区選出参議院議員、(財)中東調査会客員研究員
民衆蜂起の可能性が高いか低いかは、複数の要素を勘案する必要がありますが、現時点で国内政治だけ見ていると、以下の通り可能性は低そうです。 ① パレスチナ人に諦観が拡大しており、マグマはたまるとしても直ちに爆発するようには見えない。 ② 組織化された反対運動がほとんど見られず、一昨日のエルサレムでのデモ計画のように、計画されても事前に察知され、イスラエル当局に封じ込まれている。 ③ ハマスは蜂起を呼び掛ける一方で、ガザからのカチューシャ弾攻撃に反対しており、小規模勢力を取り締まっている。 ④ PAとハマスの和解が進みつつあり、特にハマスがガザを掌握した際に解雇された役人がPAの要請により再雇用され、大衆レベルで和解が進んできているという印象が高まり、ハマスの動きが鈍い。 ⑤ PAは蜂起を好ましく思っていない。 ⑥ 7月のアクサー・モスク敷地へのイスラエル警察侵入およびそれに引き続く監視機器設置は、第二次インティファーダの原因となったシャロンの敷地訪問よりもはるかに深刻なはずであるが、それすら大規模な蜂起へとつながらなかった。 しかしながら、第三次インティファーダを呼び掛けるヒズボッラーとその後ろにいるイランの存在、それに対するサウジの反発等の対外要素、さらにはたまるマグマの向かう方向等、不安定要素も依然として残されており、情勢を注視する要素も数多い。
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