モラス 雅輝

オーストリア・ブンデスリーガでは外国人枠が存在しません。日本人選手の競争力アップのためにも「Jリーグでの外国人枠を撤廃するべきでは」との考えも業界内であると耳にしたことがありますが、オーストリア・サッカーの歴史が証明したように、外国人枠を撤廃するのみでは自国選手が育つ環境に悪影響を与える可能性もゼロではありません。 この問題に直面したオーストリア・ブンデスリーガが生み出した、世界的に見ても珍しいオーストリア独自のテレビ放映権収入の分配システム。 「テレビ放映権についての話」となると通常ならば「サッカービジネスの話」のみになりますが、オーストリアでは「外国人枠を撤廃したリーグ規定と自国選手の育成促進を共存させる重要なツール」になっています。 そして、この取り組みが現在では代表チームのみならず、国のサッカー力強化に繋がっています。 オーストリア・ブンデスリーガのように「Jリーグと経営規模がほぼ同じリーグ」に注目すれば、日本サッカーの将来のために参考になる部分が多々もあるかもしれません。

オーストリア・ブンデスリーガの各クラブの年間予算はJリーグの各クラブとほぼ同じ。クラブ名に企業名を入れることに関しては1970年代から経験があり、様々な形で参考になる部分もあるかもしれません。 イングランドやドイツ、スペイン等のブランドネーションにどうしても注目が集まりかちですが、このような欧州に存在する「Jリーグと同じような経営規模のリーグ」に注目すれば、日本サッカーの将来に生かせる発見が多いのではと感じています。

八百長問題とその対策についてブンデスリーガ・アカデミーで学んだことを欧州での最新のトピックス等と合わせて色々書かせて頂きました。いかがでしたでしょうか？ 連載でも取り上げたスポーツの潔白性を守るNPO法人『Play Fair Code』のモーリッツァー事務局長とは来週連絡を取り合うことになりました。 八百長問題・対策に関する質問がありましたら、コメント欄に書き込んで頂けると幸いです！

同じリーグに所属するライバルクラブがターゲットにされた事件。 オーストリアのクラブ側には罪は無かったものの、やはりダメージは大きかったと思います。 犯罪組織によるこのような巧妙なやり口が増えてきている欧州のサッカー業界。他人事とは思えません。 私達も常にアンテナを張って気を付けていきたいと思います。

資金調達のために「アジアンネットワーク」を構築したりとグローバルな現代を象徴するかのような国際犯罪組織。一企業のように統制されていることは印象的でした。 次回以降は大金が動く「ライブベッティング」のシステムやサッカーくじを利用してのマネーロンダリングの手法、欧州での八百長に対する取り組み、そして先週発覚したばかりの八百長関連事件についても触れていきたいと思います。 ちなみにドイツ語圏では話題になっていませんが、日本では八百長疑惑でスペイン検察当局から告発されている日本代表アギーレ監督の件が多く取り上げられていますね。まだどのような結果になるかは分かりませんが、これをきっかけに日本のスポーツ界全体が八百長というテーマに対して今まで以上に関心を持つようになればと思います。

とても生々しいドキュメンタリーで実際にプロのサッカー業界で仕事をする僕たちにとっても驚くことが多かったです！ 次回はどのような事件捜索によって『八百長は他国の問題で自分たちには関係ない』と断言できない状況にある現実が判ったか、 アジアの犯罪組織を含む国際的なネットワークの仕組み、 国境を超える金銭の流れ等について ドキュメンタリーの主人公ファイエを追いながらアップします！