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【解剖】「疑惑のユニコーン」を肥大化させたエコシステム
NewsPicks編集部
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
論文データの操作は頻繁に世界中で生じており、科学論文の半数近くが多かれ少なかれこのようなデータ改ざんの問題を抱えていると主張する有識者も存在します。これまでの記事内の発言や主張が全て正しかったとしても、何の違和感もないということです。 この背景には、企業利益、結果を出したいという科学者としてのプライドや心理、有名論文に掲載される名誉、地位の昇格、研究者と企業の癒着といった様々な要因があります。それに該当するようなキーワードが、これまでの記事にも複数見られてきたのではないでしょうか。 こうした問題は、時に患者さんの命にまで直結しうる重大な問題です。お金や名誉によって、命が奪われることもあるのです。「たかが検査」、「検査の侵襲が小さい」と言う人がいるかもしれませんが、この検査によって、間違って陰性という判定を受け、本当に必要だったがん検診や早期治療の機会を逸することにつながれば、たった一回の検査が命とりになることも十分に考えられます。その事実を科学者、企業は決して忘れてはいけません。 企業は当然のことながら懸命に正しさを主張するでしょうが、個人の自助努力に任せるには限界があります。様々な証言が出てくる中、記事が明らかにしているように外部からのチェック機構が全く働いていないことは大きな問題です。
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米、改良ワクチンを全員に推奨 週内に接種開始、秋冬コロナ対策
共同通信
【実録】社員が止められなかった「疑惑のがん検査」
NewsPicks編集部
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
このような問題のある(益以上に実害をもたらす可能性の高い)医療行為が実際に行われ続けるまでには、記事で取り上げられている「社員が止められなかった」企業構造のみならず、何重にも間違いを防ぐことのできなかった問題点が指摘できるはずです。 今回取り上げられている線虫がん検査も米国のセラノスの件もそうですが、これは間違いなく盛んなヘルステック業界において氷山の一角であり、同様の問題は複数の企業に散在しているはずです。このような衝撃的なスクープを目にすると、個人や一企業の体制の責任に話が帰結しがちですが、それでは同じことがまた別の場所で繰り返されるだけです。 社会としてどのように再発を防ぐのかを明らかにする上で、問題の上流で何が起こっているのかを一つずつ明らかにしていく作業は、社会の未来を守る上で重要です(本記事もその一端を担うものになると思います)。そうした際に、ついつい個人への批判目線になりがちですが、このような記事を読むにあたっては、「ひと」ではなく「こと」を対象に批判的に解釈する視点が大切です。そのような視点を忘れないように記事を読んでいただくことで、より生産的な議論につながるのではないでしょうか。
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