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ワクチン不足で新たな案が浮上 接種の間隔を3週間より広く
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
記事中に見られるワクチン接種の間隔に対する見解は、CDCなどの推奨とややニュアンスが異なるように思います。
CDCの推奨は以下のようなものです。
「2回目の投与は、推奨された間隔にできるだけ近い間隔で行うことが望ましい。ただし、推奨された間隔を守ることができず、接種の遅れがやむを得ない場合は、ファイザーおよびモデルナのワクチンの2回目の投与は、1回目の投与から6週間(42日)後までとすることができる。」
しかし、以前に見られていた2回目をキャンセルするというような考え方と比較すれば、はるかに改善された計画であると思います。
ただし、懸念材料としては、安全性と有効性はあくまで決められた間隔の中で確認されていて、数十万人の単位で間隔を延長した場合に(二回目接種の遵守率も含めて)不確実性が増すことも考慮に入れておくべきと思います。
武田薬品、米モデルナのワクチンを週内に承認申請へ
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
モデルナのワクチンは、ファイザーのものと非常によく似たワクチンで、「mRNAワクチン」と呼ばれる種類のワクチンです。
ファイザーとの大きな違いは、接種間隔が3週間ではなく4週間とされている点です。これは、臨床試験の段階でそのように計画されたからという理由が大きく、それ以外の特別な意味があるわけではありません。
ファイザーとモデルナのワクチンで違いはありますか?というご質問をよくいただくのですが、「コーラとペプシの違いのようなものです」とお答えしています。
ラベルやよく成分を見てみると違いがわかるかもしれないが、飲んでみてもよくわからない。それぐらいの違いではないかと思われます。
ワクチン偽情報に警告ラベル 米ツイッター、永久凍結も
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ワクチンの有効性と安全性が確立されてきた今、ワクチンの偽情報は、今後のパンデミックの行く末を左右しうる、より多くの命を奪いさる可能性のある見逃してはならない要素の一つと言っていいと思います。
科学的な根拠や正しい情報は概して地味で、少しずつ積み重なっていくのに対して、偽情報は、人の想像の中でいかようにも生み出すことができ、概して魅力的にうつる情報が多いものです。
残念ながら、人はその情報の正誤を咀嚼し、判断する前にシェアをする傾向にあることも分かっています。情報は速報性が大切にされるのです。だからこそ、悪意のない偽情報の拡散が起こりえます。人の良心だけに任せるのには限界があります。
また、ワクチンに対する不安がある方の場合、その最大の逃避行動は「ワクチンを受けない」という選択になりますが、偽情報はその選択を合理的なものに見せてくれ、不安を(誤った形で)埋めてくれるという側面も持ちます。
このような背景がある中で、プラットフォーマーの偽情報への働きかけというのはとても重要になることは言うまでもありません。また、私たちは私たちで医療者側にできることを考えていきたいと思っています。
世界コロナ感染者7週ぶり増加、年内の終息「非現実的」=WHO
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
終息の障壁には、以下のように、いくつもの要因が重なっています。
まず、現在一部の先進国におけるワクチン事業に見られているような、グローバルな視野を欠いた国家主義的なアプローチは、道徳的に誤っているだけでなく、終息を遅らせることにつながっていると考えられます。
この国際社会において、すべての国が安全になるまでは、どの国も安全ではないからです。
また、SNSや各種メディアにおける誤情報の拡散も、各国のCOVID-19への対応を遅らせています。
加えて、SARS-CoV-2は多くの動物にも感染し存在し続けるため、ウイルスの消滅を望むにあたっては、その点も大きな障壁になると思われます。
仮に動物を度外視したとしても、非常に有効なワクチンが存在しているものの、皆が接種を受け入れるわけではないこと、免疫のつき方が個々人で異なることなどからも、おそらく世界的にこのウイルスを根絶するのは難しいことが予想できます。
引用文献:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00424-4/fulltext
コロナワクチン 1000回分余が使用不可に 保管用冷凍庫が故障で
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ワクチンの廃棄は、日本にとどまる事例でも、コロナワクチンに限られた事例でもありません。
インフルエンザのワクチンでは、過去に1000万回分を廃棄しなければならない事例も見られました。これは、接種を予定したのに、接種をしてもらえず期限が切れてしまったからです。ワクチンの廃棄の規模感では、ロジスティクスよりもむしろ、こちらこそ心配すべき事例と考えます。
とはいえ、限られた資源が無駄になってしまうことは避けなければならず、ミスは繰り返さぬよう修正を続けていかなければなりませんが、これだけ大きなワクチン事業、これからも問題は少しずつ起こり続けることが予想されます。
すでに起こったミスを責めても益は少なく、少し寛容に、そして改善のステップに繋げていくことこそが重要と思います。
医師ら優先接種用ワクチン配送へ 第3便到着、52万回分
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
私はこの今の時期が日本の2021年を左右しうるとても大切な時期だと思っています。
医療従事者以外の方が、この待機の時間を使ってワクチンの知識を整理でき、より納得した形で接種を受けられると考えるからです。一方、間違った情報に誤って誘導されるリスクも含んでいると思います。
その上で、「日本では、安全性を調べるための医療従事者への「先行接種」が2月17日にスタート。」という表現に、私は高いリスクを感じるのであえてコメントをします。
このワクチンの安全性はアジア人を含め、すでにほとんど確立されていると言ってよいと思います。もちろんリスクはゼロではありません。しかしながら、これから先に分かるのは、あったとしても、晩期の、とても稀な、予想のつかない副反応です。それはこの2ヶ月で確認できるものではなく、またあったとしても稀だと予想ができます。
このため、医療従事者が先行して接種を受ける最大の意義は、「安全性を調べるため」ではなく、もっともウイルスとの接点が大きい立場にあり、高リスクの人に感染を広げるリスクも高く、加えて感染者が増加した時の礎になる、そのような人をワクチンで優先して守る意義が、社会として高いからだと考えます。
J&J製コロナワクチン許可=米で3例目、1回接種は初
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
米国でJ&Jのワクチンの緊急使用許可がおりました。
これで、米国ではファイザー、モデルナに続き、3つ目のワクチンとなります。
ファイザー、モデルナのワクチンとの大きな違いとして、①ウイルスベクターワクチンという異なる技術を用いている点、②1回接種で済む点、③冷凍庫保管が必要ない点、④臨床試験で中等症以上のCOVIDを対象として有効性が確認された点、などが挙げられます。
ただ、本質的には(体の中で起こることやその先の目的という点で)ファイザー、モデルナのワクチンと大きな違いはないと思います。
また、1回接種で済むのなら全てこのワクチンにという意見も出るかもしれませんが、長期的効果の優劣をつける判断材料はなく、J&Jが1回で同等の効果を示すかは明確でないところもありますので、やはり全ての選択肢を持っておくにこしたことはないと思います。
米FDA諮問委、J&Jワクチンの緊急使用許可を勧告
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
部分的に再掲になりますが、J&Jのワクチンは、ファイザーやモデルナの開発したmRNAワクチンとは異なり、ウイルスベクターワクチンと呼ばれるものです。
この技術は必ずしも新しいものではなく、すでにエボラウイルスなどで臨床試験が行われ、妊婦さんでの安全性なども確認されています。
このウイルスベクターワクチンでは人に無害なように加工されたアデノウイルスにコロナのタンパク質の情報を載せて運ばせます。風邪にかかったときと同様に、ウイルスが体の中に入りますが、体で複製しないようにできているので、ウイルスが増えて風邪を起こすことはありません。
このウイルスを感染させることで、コロナの模型を体の中で作らせ、その模型で模擬訓練を行うことができます。
1回接種のみで中等症以上のCOVIDに対して米国で72%、変異株が広がっている南アフリカで64%の有効率を誇っています。
また、DNAを用いているので、mRNAのように壊れやすくはなく、冷凍保存が不要なのも強みです。
1回でいいならJ&Jが最善ではないかという意見も見られますが、「1回でいい」のは接種後71日目までの抗体のデータを根拠にしていますので、長期的にも優劣をつけがたいのかはまだ明らかでなく、「最善の選択肢」と呼ぶには根拠に欠くと考えます。
2回接種で91%に抗体確認 英、ファイザー製ワクチン
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
抗体のデータからリアルワールドでのものを語るというのは難しいので、ここではイスラエルからの報告で有効性について補足をしたいと思います。
イスラエルからの報告によれば、60万人近い人の追跡結果をもとに、ワクチンがCOVID発症のみならず、感染、入院、重症化、死亡全てに有効性が示唆されています。
1回接種でも有効性が見られているものの、2回目で有効性が高まることも示唆されています。
短期間の観察ではありますが、2回目1週間後から、感染、COVID発症、入院、重症化に対する有効性は、それぞれ92%、94%、87%、92%と報告されました。
観察研究という限界も理解しておく必要があるものの、COVID発症だけでなく、感染や重症化も高い確率で防ぐことがリアルワールドで初めて示唆された貴重なデータだと思います。
引用文献:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2101765?query=featured_home

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