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発展途上国へワクチン第1便 米でコロナと向き合う医師「先進国優先はパンデミック遷延の恐れ」
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
COVAXの取り組みについての番組でのコメントを記事にしていただきました。
各国の取り組みもそれぞれの国にとって重要だと思いますが、パンデミックの終息を考える上で何より重要な取り組みは、このCOVAXだと思います。日本でもそのような視点でワクチン事業の大枠を捉えておく必要があると思います。
米FDA諮問委、J&Jワクチンの緊急使用許可を勧告
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
部分的に再掲になりますが、J&Jのワクチンは、ファイザーやモデルナの開発したmRNAワクチンとは異なり、ウイルスベクターワクチンと呼ばれるものです。
この技術は必ずしも新しいものではなく、すでにエボラウイルスなどで臨床試験が行われ、妊婦さんでの安全性なども確認されています。
このウイルスベクターワクチンでは人に無害なように加工されたアデノウイルスにコロナのタンパク質の情報を載せて運ばせます。風邪にかかったときと同様に、ウイルスが体の中に入りますが、体で複製しないようにできているので、ウイルスが増えて風邪を起こすことはありません。
このウイルスを感染させることで、コロナの模型を体の中で作らせ、その模型で模擬訓練を行うことができます。
1回接種のみで中等症以上のCOVIDに対して米国で72%、変異株が広がっている南アフリカで64%の有効率を誇っています。
また、DNAを用いているので、mRNAのように壊れやすくはなく、冷凍保存が不要なのも強みです。
1回でいいならJ&Jが最善ではないかという意見も見られますが、「1回でいい」のは接種後71日目までの抗体のデータを根拠にしていますので、長期的にも優劣をつけがたいのかはまだ明らかでなく、「最善の選択肢」と呼ぶには根拠に欠くと考えます。
2回接種で91%に抗体確認 英、ファイザー製ワクチン
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
抗体のデータからリアルワールドでのものを語るというのは難しいので、ここではイスラエルからの報告で有効性について補足をしたいと思います。
イスラエルからの報告によれば、60万人近い人の追跡結果をもとに、ワクチンがCOVID発症のみならず、感染、入院、重症化、死亡全てに有効性が示唆されています。
1回接種でも有効性が見られているものの、2回目で有効性が高まることも示唆されています。
短期間の観察ではありますが、2回目1週間後から、感染、COVID発症、入院、重症化に対する有効性は、それぞれ92%、94%、87%、92%と報告されました。
観察研究という限界も理解しておく必要があるものの、COVID発症だけでなく、感染や重症化も高い確率で防ぐことがリアルワールドで初めて示唆された貴重なデータだと思います。
引用文献:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2101765?query=featured_home
J&Jワクチン「有効で安全」、FDAスタッフ報告 承認へ前進
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
J&Jのワクチンは、ファイザーやモデルナの開発したmRNAワクチンとは異なり、ウイルスベクターワクチンと呼ばれるものです。
この技術は必ずしも新しいものではなく、すでにエボラウイルスなどで臨床試験が行われ、妊婦さんでの安全性なども確認されています。
このウイルスベクターワクチンでは人に無害なように加工されたアデノウイルスにコロナのタンパク質の情報を載せて運ばせます。風邪にかかったときと同様に、ウイルスが体の中に入りますが、体で複製しないようにできているので、ウイルスが増えて風邪を起こすことはありません。
このウイルスを感染させることで、コロナの模型を体の中で作らせ、その模型で模擬訓練を行うことができます。
1回接種のみで米国で72%、変異株が広がっている南アフリカで64%の有効率を誇っています。
また、DNAを用いているので、mRNAのように壊れやすくはなく、冷凍保存が不要なのも強みです。風邪にかかった時と同様のメカニズムで、mRNAワクチンよりも実績があり、1回接種で済むなどの理由から、「遺伝子が操作される」「新しい技術で怖い」「2回も注射を受けるのは嫌だ」という方にとっては、より抵抗の少ない選択肢となりうるかもしれません。
米ノババックス製、国内治験開始 コロナワクチン、今年後半供給へ
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ノババックスのワクチンに期待する最大のポイントは、既存のワクチンの技術と同じような技術を用いており、mRNAワクチンなどの新技術を用いていない点です。
mRNAワクチンにも、遺伝子に影響が出る、危険であるなどの事実は全くもってないものの、そういったご不安を抱える方が数多く存在するのも事実です。
このノババックスのワクチンでは、従来のワクチンと同様(場合によっては従来のワクチンよりさらに安全性に配慮して)ウイルスの破片(ウイルス全体ではなく一部のみ)の模型を作って、それを注射し、模型で体に模擬訓練をさせるというものです。
新しい技術への不安があり接種を受けないという方にとっては、最適な選択肢となりうると思います。
ファイザー 11歳以下対象のコロナワクチン臨床試験 開始の考え
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
これは他のワクチンや薬と同様の考え方で、既定路線といえば既定路線です。
多くの薬もこのように、初めは成人で臨床試験が行なわれ、その後対象年齢を小さなお子さんにも広げるという形で開発が進められてきています。
今回のワクチンでも、順番飛ばしを行わず、これまでの多くの薬と同様のステップを踏んできていることが、ここからも見てとれます。
子供は体格的に成人よりも必要な量が少ないはずであり、より少ない量で有効性、安全性が確認できるかを臨床試験で評価することになります。
なお、再試験を行う場合には、成人で行われたような40000人規模の試験を繰り返す必要はなく、より小規模な試験を行い確認すれば十分です。その評価にあたって、これまでの親データを参考にできるからです。
ワクチン接種“2回をやめ1回に” 自民党内で検討
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
残念ながら、ファイザーのワクチンが1回の接種で十分とするデータには欠けている状況です。
1回目を優先して広げている英国では、そもそも使用しているワクチンが異なりますが、ワクチンの接種間隔を最大12週間まで広げる議論はあるものの、2回目を「やめ」る議論はないものと把握しています。
一方、こちら米国では、あくまで科学的な根拠に忠実に、接種間隔は6週間までを許容し、2回接種することを推奨しています。
「政治」「公平さ」「オリンピック」などではなく、科学的根拠をその指標にするならば、2回目の接種との間隔をどこまで広げるかの議論はできたとしても、2回目の接種を「やめ」る議論は現時点ではできないのではないかと思います。
米コロナ死者、50万人超える 大学集計
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
米国にとって1月は過去最悪の月だったと思いますが、2月に入り、新規陽性者数は急速に減少しています。
1月に感染された多くの方が長い闘病期間を経て、命を落とされるケースが今も出てしまっていますが、この先急速に命を落とす方も減ってくると予想できます。
私たちの治療の選択肢という意味では限界がありますが、ワクチンの命を守る効果も非常に高いと期待されており、今後、より多くの命が守られることにつながるのではと期待しています。
私の医療機関でも今なお現在進行形で多くの方が闘病中ですが、ワクチンの広がりとともに、今後より多くの命が守られることを願っています。
英都市封鎖緩和、3月8日から=成人3人に1人ワクチン接種
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
イギリスでは、米国とは異なり、1回目のワクチン接種を優先して広げています。米国では最大で6週までに2回目の接種を受けるよう推奨していますが、英国では12週まで空ける戦略がとられています。
ここには、早急に1回目の接種を広げ、できるだけ多くの国民を必要最低限でも守ろうという意図がありましたが、当初それを十分に支持するエビデンスが存在しませんでした。
しかし、つい先日Lancetにワクチン接種間隔に関する研究が報告され、12週の間隔で2回目の接種を行っても12週目までワクチンの効果が減弱することなく、2回目のワクチン接種でさらに効果が高まったことが示唆されています。
このような研究結果は英国の政策を後押しするものになりそうです。過去の研究データをもとにした解析であり、必ずしも根拠が明確になったとは言い切れませんが、英国の戦略は有効性の観点でも理に適うものになりつつあるかもしれません。
引用文献:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00432-3/fulltext
ワクチンで95%発症予防 イスラエル調査
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
これは170万人というとても大規模なデータに基づいたものであり、臨床試験の結果をさらに後押しするものだと思います。ただし、その数値の計算にあたっては、一般人口を比較対象に使っているので、この数値には多くの限界があることも知っておく必要があります。
また、ワクチンの「95%の有効性」の意味は勘違いされがちですが、接種者の95%が守られ、5%が感染したり発症したりするということではありません。この場合、10万人に接種した場合、5000人が発症するということになってしまいますが、そうではありません。
例えば、10万人の地域で3ヶ月間に1000人がCOVIDを発症してしまうリスクがあるとして、そこで全人口にワクチン接種を完了するとCOVIDを発症する人を50人に減らし、950人をCOVIDから守れるということです。
ワクチンをできるだけ多くの人に広げることによって、これだけ多くの人を後遺症や重症化のリスクから守れるポテンシャルがあるということになります。
ワクチンで副反応の疑い 富山県の病院、首相官邸ツイッターで発信
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
情報の透明性が確保されることは素晴らしいことです。同時に、情報を集めたり拡散するにあたっては少し偏りに注意を払う必要もあります。
ワクチンの有効性は、試験の中では数字として示されますが、個人レベルでは何も感じることができません。抗体ができたかどうかも、感染症にかからなかったという結果も、体の変化として感じ取れるものではありません。
むしろ本来重症になるはずであった人がワクチン接種後に軽症COVIDを発症した場合、実際にはそれもワクチンの有効性と考えられるものの、「ワクチンを接種したのに感染した」と感じられるかもしれません。
一方、副反応が出れば容易に身体の変化として感じられます。ワクチンの副反応には、発熱や疼痛など、自覚しやすい症状が並びます。
このように、病気を治す「治療」とは異なり、「予防」では有効性が見えにくく、副反応ばかりが見えてしまうことに注意が必要です。副反応の報道は今後も盛んに行われると思いますが、そればかり報告が目立ちやすく膨張されやすいという情報の偏りのリスクがあります。
副反応の報告を慎重に観察する大切さに変わりはありませんが、我々は大きな偏りのリスクに晒されていることにも注意を払う必要があります。
ワクチン接種1回で発症85%減 イスラエル研究者が発表
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
各国のワクチンの承認の根拠となった第3相試験とは異なり、少し注意書きが必要な研究結果です。
まず、この発症率の低下が示された期間はワクチン接種後15日から28日目に限定されます。その後にこの数値が高くなる可能性も低くなる可能性もありますが、それ以上のことはこの研究からは分かりません。
また、この研究のなかで比較対象とされたのは、研究の外側の医療従事者です。研究に参加した人はより熱心に観察されたことにより、感染者や発症者をより多く捉えられた可能性があり、その場合ワクチンの効果を低く見積もってしまっている可能性があります。また、その逆もありえます。
このような研究の限界を十分理解した上で数値を考察する必要があり、85%を一人歩きさせてしまっては間違います。
ただ、1回でもある程度の効果を一定期間出しそうだと考えるには十分な情報でもあり、今後のワクチン接種の戦略に影響を与える可能性があります。
引用文献:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00448-7/fulltext
米平均寿命、1年縮む コロナ流行の20年上半期
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
原因に言及するのは難しいものの、平均寿命の大幅な短縮は、これまでにもパンデミックインフルエンザや戦争などの惨事に際して見られてきたことから、コロナウイルスのパンデミックとの関連性を考えることは不自然ではないと思います。
ただし、これは必ずしもCOVIDが直接的にもたらしたものというわけではなく、COVIDの広がりによって生まれた薬物使用の増加、慢性疾患の治療の中断など、その下流への影響も見逃せません。
また、記事にも言及されている通り、人種差の広がりからも目を背けることはできません。これもまたCOVIDの直接的な影響も考察できるものの、その下流にある医療システムとの分断の可能性を考えると、米国の一医療者としてとても心苦しいものです。
過去の歴史からも、この平均寿命の短縮は一時的な現象を見ている可能性が高いとの見方が強いですが、人種差の広がりはさらに拡大する懸念もあります。ワクチン事業もまた、その普及に人種間での差が出る見込みだからです。
ヘルスケアシステムの分断が浮き彫りになりつつある今回のパンデミックから、どう学びどう活かすかが我々に与えられた次の課題と考えています。

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