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タウリン欠乏、老化の要因 摂取の動物、健康長寿に
共同通信
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
老化を専門にする医師ですが、ここで紹介されているタウリンのように、このレベルまで証明されている老化と関連した物質は五万とあります。しかし、その後の人の臨床試験のステージに進んだ際には効果が証明されない、あるいは害が多く出てしまうということも多く、この中から人レベルで有効性が証明できるものはごくわずかです。 このため、動物実験の段階で大々的に取り上げること自体に反対です。なぜなら、こうした記事は、根拠として不十分にも関わらず、紹介されるような食品などに傾倒する人を増やす可能性があるからです。往々にして、そのような人は何かに傾倒することで、何かを欠き、バランスを失うことになります。 それがひいてはかえって老化を進めるような実害につながる可能性もあります。「人で臨床試験をする価値はある」というのは間違いないので、まずはそこからではないでしょうか。 そこで有効性と安全性が証明されれば、実用化できるかもしれません。しかし、その結果として例えば心臓の不整脈を増やしたなどということになれば常用は勧められないということになります。この確認のステップが大切です。
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都内診断、98%ビタミンD不足 食生活の変化影響か
共同通信
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
サンプルが東京都民のみのようなので、見出しとして「日本人の」として良いかは分かりません。東京都と別の都道府県在住者では、生活様式の傾向が大きく異なるかもしれません。 ただし、ビタミンD欠乏は、比較的先進国に共通してみられるものであり、日本でその頻度が高くても驚きはありません。また、ビタミンD欠乏はがんや糖尿病、感染症など多種多様な疾病リスクとの関連が報告されています。このため、こちら米国ではプライマリケア医が積極的にサプリメントを処方する時期も見られました。 しかし、いざビタミンDサプリを投与するランダム化比較試験を行ってみると、その多種多様な疾病予防への効果はことごとく確認できず、そもそもビタミンDの血液検査を行うこと自体が間違いではないかという議論も生じ、ビタミンDサプリの過剰なまでの処方には警鐘も鳴らされるようになってきています。 このため、記事で指摘されるように、「サプリメントで取り入れてほしい」と言っていいのかはよく分かりません。欠乏を食生活の偏りや外出機会の減少などへのアラートと捉えるぐらいがちょうど良いのかもしれません。
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【驚愕】「若返り」のため、孫の血を注入してみた
NewsPicks編集部
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。 根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。 カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。 また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。
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マスク氏医療機器会社、脳インプラントのヒト試験へFDA承認取得
Reuters
ソフトコンタクトに有害な化学物質が含まれている可能性
NewsPicks編集部
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
PFASは、食品の容器や包装、焦げ付き防止機能のついた調理器具、汚れ防止加工されたカーペットや衣類、防水の衣類、さまざまな化粧品など、身近な幅広い製品に使用されています。 このため、PFASへの曝露は飲料水、空気、食品の容器、調理器具などのさまざまな経路を介して起こっている可能性があります。先進国のほとんどの人はこのPFAS に曝露されていると考えられています。 記事で紹介されているような健康リスクの可能性から、血液中の PFAS を測定する血液検査が必要かという疑問も起こります。しかし、どのぐらいのレベルで有害なのかのエビデンスは限られており、 結果に基づいた対応も難しいため、今のところ血液検査は推奨されていません。 ただし、よりエビデンスが蓄積されてくれば、そのようなことが今後推奨されるようになる可能性もあります。今回のコンタクトレンズの件も、現状の内容では三段論法や四段論法になっており、だからどうすれば良いかの具体的なアクションには結びつかない内容となっています。 コンタクトレンズの使用中止を推奨するアクションに繋がりうるとすれば、該当の製品の使用者の血液中の濃度を調査し、高濃度に検出されるケースが多いのであれば、そうなるのかもしれません。この場合、現時点では PFASを体から除去したり、排泄を促進したりする方法がないことに留意する必要があり、該当者は甲状腺機能検査や一部のがんの兆候がないかを評価する必要があるのかもしれません。逆に、全く無視できるものなのかもしれません。
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壮大なアンチエイジング実験-IT起業家、親子3世代の血漿交換実践
Bloomberg.com
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。 根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。 カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。 また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。
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