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エーザイのアルツハイマー薬、米FDA諮問委が完全承認を勧告
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
新規アルツハイマー病治療薬、レカネマブの続報です。当該薬は現状でもこちら米国では使用許可がおりていますが、現場ではほとんど全く使われていません。というのも保険でカバーされず、非常に高額な請求となるからです。
このまま完全承認となれば、米国の65歳以上の患者がカバーされるメディケアがこの薬剤をカバーする公算で、そうなれば本格的にこの薬剤の使用が進むことになります。
ただし、話題先行な感は否めず、現実問題としての臨床的な効果は限られるため、そこへの理解を欠きながら、費用対効果の見合わない消費が進む懸念があります。
この薬の期待される効果や安全性については、こちらの記事を併せてご覧ください。
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/54
カナダ山火事の煙、緩和は11日ごろか 米東部など 航空便の乱れ継続
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
記事から受ける印象とは異なり、NYの状況はこの1日でかなり改善しました。マスクが全員必要というレベルはすでに脱し、肺の持病がある方は気をつけた方がいいというレベルまでには回復しています。また、視界もだいぶクリアになりました。
昨日は街中で見かける人もまばらで外を歩く人にはN95マスクをしている人も多く見受けられたので、パンデミックが始まった当初を思い出させました。本当に色んなことが起こりますね。不謹慎かもしれませんが、でもだからこそ人生は面白いとも思います。
なお、PM2.5への暴露は、肺がんのリスク増加など、さまざまな健康リスクとの関連が知られています。温暖化が健康リスクに直結するということを肌で感じさせられるような経験でした。
タウリン欠乏、老化の要因 摂取の動物、健康長寿に
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
老化を専門にする医師ですが、ここで紹介されているタウリンのように、このレベルまで証明されている老化と関連した物質は五万とあります。しかし、その後の人の臨床試験のステージに進んだ際には効果が証明されない、あるいは害が多く出てしまうということも多く、この中から人レベルで有効性が証明できるものはごくわずかです。
このため、動物実験の段階で大々的に取り上げること自体に反対です。なぜなら、こうした記事は、根拠として不十分にも関わらず、紹介されるような食品などに傾倒する人を増やす可能性があるからです。往々にして、そのような人は何かに傾倒することで、何かを欠き、バランスを失うことになります。
それがひいてはかえって老化を進めるような実害につながる可能性もあります。「人で臨床試験をする価値はある」というのは間違いないので、まずはそこからではないでしょうか。
そこで有効性と安全性が証明されれば、実用化できるかもしれません。しかし、その結果として例えば心臓の不整脈を増やしたなどということになれば常用は勧められないということになります。この確認のステップが大切です。
米北東部にカナダ山火事の煙、航空機の一部運航停止など影響広がる
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
ランチタイムに外に出たら、晴れの日にも関わらず、全体に霧がかかったような状態で、オレンジ色の薄暗い(少し薄気味悪い)光景が広がっていました。薄暗いオレンジ色のサングラスをかけて外を歩いているような状態です。実際に喉がいがいがしたりといった症状も出ました。
その後、PM2.5濃度の上昇、汚染が深刻とのことで、外出を避けるよう通達も届いています。
肺の持病がある方などには持病の悪化も心配されます。今のところ喘息やCOPDの悪化をきたした患者さんが病院に続々と来るというような状況は見られませんが、そのような影響は心配です。窓をしっかりと閉めた室内で過ごすのが安全な状態と考えられます。
(ただし、午後6時時点では、外見上はだいぶ改善してきているようです。)
Twitterに当時の写真もあげました。
https://twitter.com/yujiy0402/status/1666507248095338513?s=46&t=rDmSYjX4hxJvFs-10E3HyA
都内診断、98%ビタミンD不足 食生活の変化影響か
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
サンプルが東京都民のみのようなので、見出しとして「日本人の」として良いかは分かりません。東京都と別の都道府県在住者では、生活様式の傾向が大きく異なるかもしれません。
ただし、ビタミンD欠乏は、比較的先進国に共通してみられるものであり、日本でその頻度が高くても驚きはありません。また、ビタミンD欠乏はがんや糖尿病、感染症など多種多様な疾病リスクとの関連が報告されています。このため、こちら米国ではプライマリケア医が積極的にサプリメントを処方する時期も見られました。
しかし、いざビタミンDサプリを投与するランダム化比較試験を行ってみると、その多種多様な疾病予防への効果はことごとく確認できず、そもそもビタミンDの血液検査を行うこと自体が間違いではないかという議論も生じ、ビタミンDサプリの過剰なまでの処方には警鐘も鳴らされるようになってきています。
このため、記事で指摘されるように、「サプリメントで取り入れてほしい」と言っていいのかはよく分かりません。欠乏を食生活の偏りや外出機会の減少などへのアラートと捉えるぐらいがちょうど良いのかもしれません。
13%の子どもに抑うつ傾向 コロナ禍の影響「回復に時間」
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
抑うつ傾向の子どもが少なくない割合でいるということ、またこれらの中でコロナ禍の影響を受けたお子さんも一定数いるというのも間違いないと思いますので、こうした問題への認識拡大、対策の重要性には疑いの余地はありません。
ただし、データ自体には批判的な視点も大切です。まず、2020年からの追跡調査であり、コロナ禍以前との比較はできません。また、2020年以降も分母となる対象者に変更が加えられており、比較が難しいデータであることに注意が必要です。
分母を見てみると、3年間継続調査されている対象者もいるものの、毎年半数近くが脱落しており、よりリスクの高い層が残留している可能性もあります。このため、日本全体の変動を反映していない可能性があります。
成育医療センタープレスリリース
https://www.ncchd.go.jp/press/2023/0425.pdf

【驚愕】「若返り」のため、孫の血を注入してみた
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。
根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。
カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。
また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。
エーザイのレカネマブ、FDA完全承認ならメディケア適用対象に

【保存版】20業界のプロが語る「GPTで変わる働き方」大予測
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
医療業界でのChat GPT活用について、コメントさせていただきました。
すでにスタートアップも数多く立ち上がり、研究論文も多数報告されるようになり、医療業界でも明らかにこの領域への参入は加熱しています。日本でも2024年に医師の働き方改革の開始を控える中、そのソリューションの一つとしてChat GPTの活用は積極的に検討されるべきでしょう。
なお、記事中でご紹介した論文については、トピックスの有料記事でもご紹介していますので、ご関心のある方はどうぞ。
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/64
生成AI「チャットGPT」が日本の医師国家試験を受けたら 研究グループが試行錯誤して262問に挑戦 その結果は
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
日本の医師国家試験に対するチャットGPTの回答結果というのは、先に日米の共同チームからの報告がありました。
【読売新聞の報道】
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230509-OYT1T50319/
5年分の国家試験でいずれも合格ラインを超えていたことが報告されています。知見としての新規性は乏しいかもしれません。
またこちら米国でも医師国家試験で合格したことが報告されています。
【共同通信の報道】
https://nordot.app/996514296582684672?c=113147194022725109
オンライン健康相談の世界では、回答の質や共感性で勝る可能性も示唆され始めています。
【トピックスでの紹介記事】
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/64
一医師として、医師の業務負担を減らすソリューションになる、ひいては患者さんのメリットにつながる日が1日も早く来ることを待ち望んでいます。
マスク氏医療機器会社、脳インプラントのヒト試験へFDA承認取得
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
つい2ヶ月ほど前に「FDA却下」のニュースが流れたばかりでしたので、大きな前進です。FDAから指摘されていたバッテリーなどのデバイス側の問題が克服されたということでしょう。
先日のニュースにあたっては、マスク氏をよく思わない人から陰謀論的な意見も出ていましたが、そのような理由で却下されていたわけではないことも明確に見てとれます。
全ては、将来の私たちにとってメリットをもたらす可能性があるものか、そしてリスクは十分倫理的に許容される範囲内にあるものかどうかという最善の判断に基づくものだと思います。
なお、「脳インプラント」というと、とても新しい技術のように感じられるかもしれませんが、脳への電極の植え込み自体は、実は新しい技術ではありません。臨床現場では比較的古くからパーキンソン病という病気に用いられている治療法です。病気の原因の一端を担う脳の特定の場所に電極を植え込み、一定の電気刺激を与えることで、病気の症状を改善することができます。
ここからさらに発展して、より多様な疾患の人の症状が克服されることにつながることを願うばかりです。

ソフトコンタクトに有害な化学物質が含まれている可能性
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
PFASは、食品の容器や包装、焦げ付き防止機能のついた調理器具、汚れ防止加工されたカーペットや衣類、防水の衣類、さまざまな化粧品など、身近な幅広い製品に使用されています。 このため、PFASへの曝露は飲料水、空気、食品の容器、調理器具などのさまざまな経路を介して起こっている可能性があります。先進国のほとんどの人はこのPFAS に曝露されていると考えられています。
記事で紹介されているような健康リスクの可能性から、血液中の PFAS を測定する血液検査が必要かという疑問も起こります。しかし、どのぐらいのレベルで有害なのかのエビデンスは限られており、 結果に基づいた対応も難しいため、今のところ血液検査は推奨されていません。
ただし、よりエビデンスが蓄積されてくれば、そのようなことが今後推奨されるようになる可能性もあります。今回のコンタクトレンズの件も、現状の内容では三段論法や四段論法になっており、だからどうすれば良いかの具体的なアクションには結びつかない内容となっています。
コンタクトレンズの使用中止を推奨するアクションに繋がりうるとすれば、該当の製品の使用者の血液中の濃度を調査し、高濃度に検出されるケースが多いのであれば、そうなるのかもしれません。この場合、現時点では PFASを体から除去したり、排泄を促進したりする方法がないことに留意する必要があり、該当者は甲状腺機能検査や一部のがんの兆候がないかを評価する必要があるのかもしれません。逆に、全く無視できるものなのかもしれません。
壮大なアンチエイジング実験-IT起業家、親子3世代の血漿交換実践
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。
根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。
カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。
また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。

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