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米FTC “子どもから集めた情報 広告活用禁止” メタに制裁案
NHKニュース
結城 東輝弁護士(スマートニュース株式会社/法律事務所ZeLo/NPO法人Mielka)
この記事だと経緯が分かりづらいので少し整理してみます。 FTCは2020年、Metaに対して、個人情報の違法な取り扱いに関する50億ドルの制裁金の支払いを含む命令を下していました。今回の制裁案は、その後Metaによる同命令への不遵守が明らかになり、その他にも違法行為(具体的にはオンラインの児童のプライバシー保護法であるCOPPA)が確認されたため、さらに踏み込んだ命令を行おうとするものです。 米国は、EUや日本のような包括的な個人データ保護規制を連邦レベルでは持っていませんが、児童の個人データ保護についてはCOPPAという連邦法があり、13歳未満のデータ処理については保護者の明示的な同意なく行ってはなりません。 また、FTCは、事業者がプライバシーポリシーなどで利用者に対し約束している個人データの取扱事項に違反した場合、欺瞞的な行為として取り締まります。 今回はこれらの違法行為に対してFTCが追加的な制裁を検討しているという内容になります。 一方のMetaは、TikTokなどを野放しにしながら自社だけを狙い撃ちにするのはおかしいという反発をしていますが、個人的にも同様に厳しいスタンスで対峙すべきサービスがあるように感じます。 なお、日本は児童の個人データの処理について、特別に保護する規制(EUやUSのように処理そのものについて親や本人の同意を求める規制等)を持っていません。これが引き続き維持されるべきなのかは個人情報保護法の見直し(3年毎見直し)の都度検討されるべきです。
「なぜそこまでAI開発を優遇するのか」…著作物利用、先進国で最も規制が緩い日本
読売新聞
結城 東輝弁護士(スマートニュース株式会社/法律事務所ZeLo/NPO法人Mielka)
フェーズはしっかり分けて議論すべきです。 (1) AI開発における学習時点で著作物をデータとして利用するフェーズ (2) 開発されたAIを用いて新たに出力を生成するフェーズ 著作権法30条の4は(1)に関して、著作権者の許諾なく著作物の利用を認めるもの。ただし、記事にもある通り「著作権者の利益を不当に害する場合」はこの限りではありません。 一方、(2)については、著作物に依拠して類似する著作物を出力した場合、これは著作権侵害が問われますし、この点を法律が許容しているわけではありません。 確かに諸外国に比べて日本は、商用目的を含めた(1)を、権利者に何らの手続きも認めずに許容しているため、AI開発に極めて親和的な法整備支援を行っていると言えます。それ自体は法改正時にも議論されていたものであり、国家戦略であると考えます。 しかし、生成AIが、自然言語によって大規模に利用できるようになった現在、本当にこのような状況で良いのかは改めて議論すべきと考えます。(1)と(2)は密接に結びついており、(1)を行う事業者(OpenAIやGoogle)は同時に商用目的で(2)を可能にするサービスを提供するわけです。それによって莫大なマネタイズが可能になるわけですが、現在のところ(1)を可能にした膨大な先人の叡智(データセットを構成する良質な情報)にはほとんど価値が還元されていません。 全てを権利者の許諾(オプトイン)を必要とするのは、技術革新とのバランスにおいて慎重になるべきと思いつつ、オプトアウトの機会付与(実質的なオプトインに近いですが、クロールされる際にオプトアウトを意思表示できるタグやフラグの導入等のほうがスピードや規模に鑑みて現実的)やデータセットに組み込まれた場合の補償金制度(これもtokenなどによるトレーサビリティの高い方法を考える必要あり)などを真剣に考える必要があると思います。 余談ですが、自分のNPOのWebサービスの「JAPAN CHOICE」が教育現場で利用されているとのことで、「授業目的公衆送信補償金制度」に基づく補償金を受領したことがあります。もちろん大きな金額ではないですが、それでも著作物に対する敬意を感じますし、ぜひ教育現場が我々のオプトインの承諾を待つことなく、どんどん使用していただきたいと思えます。
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