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クレディ・スイス債2兆円強が無価値に、36兆円規模の市場に打撃
赤井 厚雄株式会社ナウキャスト 取締役会長
AT1債はもともと一定条件で元本削減される設計になっているのだから、「2兆円が無価値に」などと騒ぎ立てるのは滑稽です。PIMCOもインベスコも、それをわかって高利回りで買っているはずで、(もし金融機関で買っているところがあるとすれば)リスクウェイトは100%なのでルール通り運用していれば引当てを積みながら買っているようなもの。慌てる必要はありません。
なお、AT1債については東大の服部孝洋さん(元財務省財総研)が、詳しく解説しておられるので、以下に紹介します。
https://note.com/hattori0819/n/n450670ce89b7
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202212/202212e.pdf
UBS、クレディ・スイスを約4300億円で買収へ-歴史的銀行統合
赤井 厚雄株式会社ナウキャスト 取締役会長
①当初提示の10億スイス・フランの3倍(30億スイス・フラン)で買収する代わりに、②その買収価格の3倍(90億スイス・フラン)の補償をUBSが買収する資産から生じ得る損失に対して与え、③33倍に相当する流動性支援をスイス国立銀行(中央銀行)が提供するというパッケージ。UBSにとって悪い話では無さそうです。同時に、④スイス当局にとっても、国有化という重荷を背負わずに事態を打開できる。スイスの金融界には知恵と、それを形にする老練さがまだまだ備わっていたということです。日本の金融庁も、来るべき地銀の再編や、デジタル化に乗り遅れて埋没し破綻する可能性のある金融機関への対応に向けて、この事例やSVBの破綻処理プロセスから必死に学んでいるはずです。その成果が生かされることを期待します。
FDIC、シリコンバレー銀行の解体計画に動き出す-関係者
赤井 厚雄株式会社ナウキャスト 取締役会長
破綻した金融機関の処理は、買い手のニーズとマッチングさせなければ前に進みません。だから、1980年代から90年代にかけてのS&L危機(ピーク時で一年に200社が破綻)の時はRTC(整理信託公社)という時限付きの受け皿を作って、そこに多数の破綻金融機関の資産をプールして、そこから買い手のニーズにあったリスク・リターンの資産を切り出して売り捌いて行った(当時最新の証券化の技術で)のです。
丸ごと売ることで回収金額が上がるのは、その破綻した金融機関に資産価値以上のブランド価値やフランチャイズバリューがある場合で、SVBにはそこまでの価値はなかったということがこれで判明した、と私は受け止めています。
(SVBはすでにChapter11を申請していて、債務が整理されていることを考慮してもこの結果となれば、なおさらです)
スイス政府、クレディ・スイス全体もしくは一部の国有化検討-関係者
赤井 厚雄株式会社ナウキャスト 取締役会長
UBSとしては、自ら望んでクレディ・スイスを買収する訳ではないので、17日時点ではあらゆるリスクヘッジを織り込んだ価格を提示したと言うことでしょう。それが時価の8分の1というプライシングにつながっています。それほど(単純な資産評価だけでなく、コンプライアンス体制の立て直しなど大ナタを振るわなければならない分野のコストや、UBSと統合してしまうことによる悪影響などを含めて)クレディ・スイスに対する評価はひどいということなのでしょう。そうなれば、「最後の買い手」として政府が出ていくしかない訳で、国有化という選択肢を検討する段階に入ったということなのでしょう。もちろん、スイス政府はクレディ・スイスを国営銀行して存続させるつもりはないはず。UBSが買わない以上、資産をバラして国内地銀に売るか、外資に転売するまでの繋ぎとしてスイス政府が一旦預かるということのなる可能性が高いです。投資銀行部門はすでに「ファーストボストン」としてスピンオフが決まっているので、残りの「普通の銀行」を売ろうとすれば、結局今回のUBSがつけたディストレス価格に近いプライシングに戻るという気がします。いくら「株主と劣後株式を持つ社員の利益を損なう」といっても、そういう会社にしてしまったのは株主と社員なので、文句を言える立場ではないと私は思います。

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