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エールフランス機「緊急事態を宣言」し引き返し 機体の先端部分が損傷 航空機の気象レーダーなどトラブル示す表示 乗客乗員約320人にけが人なし
TBS NEWS DIG
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回潰れてしまったノーズ付近には、エアバス機でもボーイング機でも機上の気象レーダーが搭載されており、CFRP製のカバーがつけられています。このカバーがつぶれている様子がはっきりわかることと、速度計に異常があったということで、ノーズの横にあるピトー管というセンサーにも破損が及んだことが想像されます。要するに何かとぶつかった可能性が最も高いです。 フライトレーダーの履歴を見ると、関西離陸後は北東方向へ上昇しそのまま関東地方上空で巡航に入り太平洋に入ったばかりという状況であったことがわかります。時刻はちょうど正午ごろでした。 飛行機の離着陸の前後に鳥が衝突するならよくある事象なのですが、巡航高度帯で鳥と衝突するというのはほとんど耳にしません。ただし一部の渡り鳥は高い高度まで上昇してくるという話もありますので、まったくあり得ない話ではありません(一方でその割には血痕がないので、鳥ではないようにも思われます)。 もう一つの可能性としては、気象観測用の気球(ゾンデ)との衝突も挙げられます。気象庁の観測気球は午前9時と午後9時ですので違いますが、ちょうど正午のタイミングで観測していた研究機関等のゾンデがあれば、これと衝突するというのは全くあり得ない話ではありません。 いずれにしても何かと衝突したのであれば、一つ間違えばエンジンに何かを吸い込んでいたり、それによりエンジン出力が低下するなどの二次的な不具合が十分あり得る状況であったと言えます。無事に引き返せて良かったと思います。
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台風2号 31日頃から沖縄接近か 東~西日本 あす以降大雨も
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
台風は大気の中上層の風によって流されます。今回は日本の南の太平洋に上空の高気圧があり、この南の縁の東風に流され、現在台風は西に進んでいます。 ところが台風が沖縄の南に来たあたりで、太平洋上空の高気圧と、中国南部の上空にある高気圧との間に入る形になり、流される風がほとんどなくなります(流れがよどんだような場所に流れ着いた形になります)。 上空のジェット気流が近くにあれば、その流れに乗れるのですが、ジェット気流は上空の高気圧の北側にあるため、上空の高気圧の南にある台風がゆっくり北上して、ジェット気流に乗るまでは台風の動きが遅くなることになります。 台風が北緯25度くらいまで北上してくれば、北緯30度よりも北にあるジェット気流に次第に流されるようになりますが、それまでは進路予報の精度がまだ低いことを理解しておく必要があるでしょう。 また、日本付近にはジェット気流とともに前線が停滞する見込みで、前線に向かって台風が南から湿った空気を供給する役割に回ることが予想され、前線沿いの本州付近でも大雨となる可能性があります。この先の関東から西日本にかけての週間予報が曇りないし雨の日が多くなっているのも、前線の停滞が理由です。 この時期に停滞前線が出てくると、気象関係者は「梅雨入り」というキーワードにやきもきすることになります。しかしながら今回の台風が通過したあとは前線が一時的に南下することが予想されており、いわゆる「梅雨の走り」であって梅雨本番ではないという判断になる可能性が高いとみています(ただし、梅雨入りを発表している目的は大雨への対応を促すためですので、前線沿いに予想される大雨の程度によっては早めに梅雨入りを発表することもあり得ない話ではありません)。
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上空200mで!飛行中のアシアナ航空機の扉、開く “扉触っていた男性”に事情聞く 複数の乗客が呼吸困難も 韓国・大邱
TBS NEWS DIG
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
飛行機の扉は、突然の事故に備えてロックはかかっていません(そもそもジェット旅客機のドアに鍵やロックという概念がありません)。ですから、搭乗後の安全ビデオで「ドアのレバーに触るな」とあれだけ言っているわけです(ただしプラグドアになっているため、上空を巡航中は機体内部の与圧により大変重くなっており人間の力では開けられません。もし空いたら気圧差と風圧により機体がバラバラになってもおかしくありません)。 今回は客室乗務員の座席がない側の非常口であったということと、着陸前の高度650ft(約200m)を飛行しており全員着席しベルトを着けていたために、乗客が故意にドアを操作するのを止められなかった模様です(着陸前なので与圧を切っており、プラグドアでも開けられたようです)。 着陸前で高度が下がっているので、中の空気が吸い出されて気圧が下がり、呼吸ができなくなるなどということはありませんが、それでも強い風圧がかかり客室内は暴風が吹いているような状態となりますから、まともに風圧を受けたら息ができないという感覚に陥っても不思議はありません。とりあえず怪我人が出なくて良かったというところです。 すでに現地警察によりドアを開けた乗客は逮捕されているということですが、日本でも航空法に定める安全阻害行為に該当します(事と次第によってはドアのレバーに触れただけでも罰せられます)。皆様、どうか「安全のしおり」を良くご覧いただき、安全阻害行為に及ぶことがないよう、ご協力お願い申し上げます。
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千葉県北東部と茨城県南部で震度5弱 津波なし
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
発震機構が逆断層型と解析されており、震源の深さが50kmと解析されていることから、気象庁の解説にもあるように沈み込む太平洋プレートと、陸地側にあるフィリピン海プレートの境界部分で発生した地震であると考えられます。今回の震源と近い場所で同じような規模やメカニズムで発生した地震は1989年、2000年、2005年、2011年などと挙げられ、10年程度の間隔でM6クラスの地震が発生しています。今回も東日本大震災後にすでにプレート間のひずみが蓄積されていたことを示しており、つまり今回の震源域にとっては「平常運転」であるということを示す地震となりました。 今回の地震では1987年の千葉県東方沖地震(M6.7)との類似をお感じになる方もいらっしゃるかと思いますが、1987年の地震はそのメカニズムから陸地側のフィリピン海プレート内部で発生した地震と考えられており、直接プレート境界部分のひずみにより発生した地震ではないとされています。 しかしながら千葉県はそもそも東から太平洋プレートが、そして南からはフィリピン海プレートが沈み込んでおりプレート間のひずみがたまりやすい場所です。関東地方南部ではプレート境界部で発生するM7程度の地震も数十年間隔で発生していることから、そうした地震が発生しやすい場所であるという意識をもって生活することが大切となります。東京都における地震の被害想定においても、相模トラフにおける関東地震や南海トラフ地震に加え、首都直下地震としてプレート境界部分やプレート内部で発生するM7クラスの地震が対象となっています。 今回も震源地周辺を中心に交通への影響が出ており、建造物などに顕著な被害がなくとも交通機関やエレベーターなどインフラに影響が出るという状況が首都圏における地震被害のポイントになってくるようにも思われます。地震で具体的にどのような状況になるかを事前に考えるにあたっての良い訓練材料としていただければ幸いです。
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フランス、短距離フライトを禁止 CO2削減のため
BBC NEWS JAPAN
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
鉄道や道路などの交通インフラが整う前は、滑走路があればいい航空は手軽でトータルのコストも抑えられる交通手段であるといえますが、特に高速鉄道が整備されると航空の方はそもそも厳しく、徐々に鉄道にシェアを奪われ撤退していく流れにあります。日本の場合でもその昔は羽田ー仙台や羽田ー名古屋などという航空路線がありましたが、新幹線の整備とともに短距離路線は縮小し、唯一残ったのが羽田ー伊丹というような状況です。理由は、高単価のビジネス需要が残ったからです。私は欧州での個別の状況には明るくありませんが、総じて鉄道の正規運賃が高いので、逆にLCCが普及して日本でいう高速バスの感覚で、引き続き航空のシェアが残っているようです。 また記事中には乗り継ぎ便には影響ないとしていますが、これも難しい問題で、例えば羽田ー伊丹の路線を使う人は羽田から乗り継いでその先国内や国際の路線に乗り換えるかもしれません。同じ航空会社であれば乗り継ぎ客としてフォローされますが、羽田で普通に降りたあとそのまま他社のカウンターに行った場合、伊丹からの客としては統計にも現れなくなってしまいます。こうした場合に利用できる便の選択肢が減ることになるので、その不便さが受け入れられるものであるかを慎重に考える必要があります。 鉄道と航空が共に競争し合うのがビジネスとしては本来の姿なので、まずこの点を押さえるべきです。しかし環境その他輸送の役割分担を意識して、政府主導で航空に対して制限をつけるということであれば、結局利用客が支払う平均的な運賃が上昇していないか、利便性が本質的に損なわれていないかなどをモニターしつつ、必要な情報を示しつつ政策を進める必要があるでしょう。
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5月としては異例の発達 スーパー台風2号 来週日本に影響か
Yahoo!ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
台風の中には一日で中心気圧を50hPa以上下げ、米軍でいうところのスーパータイフーンまで発達するような、専門的には急速強化と呼ばれる現象を見せるものがしばしばありますが、今回もそのような急速強化の一例となりました。そうした台風は、衛星写真で見た時にピンホールのような、小さいけれどもはっきりとした台風の眼を持っているのが特徴です。この時期の台風は南の海がオンシーズンになる最初の台風となることが多く、太平洋の海面温度はすでに高く、台風を成長させるエネルギーを十分に蓄えた状態となっています。過去には2月にグアム付近で猛烈な勢力まで発達した台風もあり、5月でも南の海の暖かさは十分ということになります。 今後の進路ですが、沖縄の南までやって来ることはどの数値予報モデルも一致しているのですが、その後が不安定となっています。ふつう台風は北上するとジェット気流と合流して温帯低気圧になりながら東へ進むのですが、このジェット気流との合流がいつになるかが今回のポイントで、いつまでもジェット気流と合流できずに沖縄の南で弱まるか、それともジェット気流に乗る形で沖縄の南から北東に進むか、という形になっています。後者の場合には温帯低気圧になりながら日本列島に接近することもありえますので、よく進路を確認しておく必要があります。数値予報モデルによる予報が安定してくるにはもう数日かかる見込みですが、その後の進路予報は確認しておくことをお勧め致します。
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台風2号は急速な発達を続ける 猛烈な勢力でグアム島接近か
ウェザーニュース
伊豆諸島 利島で震度5弱の地震 津波の心配なし
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
先日は八丈島北西海域で地震がありましたが、割と落ち着いていたところでした。今回は新島付近での地震で、M4~5クラスの地震が頻発している状況です。 伊豆半島は実はプレートの動きが複雑な場所で、伊豆半島がどういうわけか軽く、ここだけ日本列島が載る大陸のプレート(北米プレートとユーラシアプレート)に衝突している部分です。そのほか東側は相模トラフとなって北米プレートに沈み込み、西側は南海トラフとなってユーラシアプレートに沈み込んでいます。すると、東西は順調に沈み込むのに、伊豆半島から伊豆諸島周辺はなかなか沈み込めず、東西に引っ張られることになります。今回も発震機構は横ずれ成分を含むものの北東ー南西方向に引っ張られたことによる正断層型と出ています。つまり、伊豆半島から三宅島くらいまではこのような仕組みによる地震が数年おきに発生しています。 最近では2000年の三宅島の噴火に関連して、新島付近でも震度6となるような揺れを伴う群発地震になったことがあります。この時はマグマの動きもあったために大きな規模の地震が頻発しました。現時点ではマグマの動きがあるという情報はなく、発震機構からもマグマが関連しているとは考えにくいため、とりあえず火山活動の可能性は低そうです(が、今後の情報には注意です)。
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22日(月)にかけて北~西日本で黄砂が飛来する予想 交通障害など注意
ウェザーマップ
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
19日にモンゴル付近で低気圧が発達し、この低気圧が世代交代をしながらゴビ砂漠で黄砂を巻き上げています。22日には低気圧が北海道の北を通過して、日本においても黄砂が舞うことになりそうです。ただし4月12日ごろに全国的に黄砂が観測されたときよりは程度は軽い見込みで、実際に20日に黄砂を観測した中国東北部のハルビンでも視程は落ち込んでも1400mで、4月に観測した砂塵嵐(視程1㎞未満)とはなりませんでした。その後21日にも北朝鮮などで黄砂が通報されていますがせいぜい視程は4㎞程度までしか落ちておらず、日本に来る頃にはもっと薄まっていることが期待できます。交通への影響についてはほとんどないと考えて差し支えないでしょう(視程5㎞を下回ると交通に影響が出る、というのは飛行機やヘリコプターで有視界飛行を行う場合に影響が出るという意味で、いわゆる飛行機の定期便であれば計器飛行を行っていますので視程5㎞を下回っただけではほとんど影響ありません)。 ただし、黄砂が面倒なのは黄砂と一緒に大気汚染物質も海を越えてやってくることで、いわゆるPM2.5の濃度も黄砂がやってくる22日から23日にかけて全国的に高くなる見込みです。PM2.5には例えば硫酸塩エアロゾルが挙げられ、人間の粘膜などに付着すると酸性となり炎症を引き起こす恐れがあります。喉や鼻など呼吸器関連の症状や、皮膚のかゆみなどの症状が出る可能性がありますので敏感な方はマスクをする等の対策を取ることをお勧めします。洗濯物も部屋干しにするのが無難でしょう。
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米ニューヨーク市 高層ビルの重さで毎年1〜2ミリ地盤沈む 水害リスク懸念も
テレ朝news
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
マンハッタンは見た目こそ川の下流にある中洲のように見えますが、その実はイメージとはずいぶん違います。表面に薄い土砂はあるもののほとんどが雲母片岩と呼ばれる硬い変成岩で、4億年ほど前にプレート衝突によって作られた岩です。4億年も前の岩が露出することになったのは氷河による浸食が原因で、今でもセントラルパークにある片岩には擦痕といい氷河により岩の表面に模様がついたようになっています。この氷河の落し物の岩(迷子石)もセントラルパーク内にはたくさん見ることができます。マンハッタン島は、雑に言えば氷河により削られて露出した、古い岩の島ということができます。脱線ですがこの氷河の先端がロングアイランド島を作り出しました。 マンハッタンの中でも中央部分のミッドタウンと、最南端部のロウアー・マンハッタンは特に岩石が露出していて硬かったということで高層ビルが立ち並ぶ摩天楼となりました。地盤沈下といっても日本のように河川の下流に土砂が堆積してできた土地とは異なりますが、割りに沈みにくいと考えられる岩盤そのものをわずかずつでも沈めるほど摩天楼の建物の重さが効いているということになります。例えば氷河が発達し氷床となるとその重さで大陸が沈むことが知られており、カナダのハドソン湾周辺については逆に氷河がおよそ1万年ほど前からなくなって、100m以上隆起しています。人間が建物を氷床のようにたくさん立てれば、少しは沈んでしまうかもしれません。
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5月に入り地震が多発 震度4以上は12回 けさも愛媛県で震度4 日頃から備えを
tenki.jp
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
昨今群発地震の様相となっているのが能登半島をはじめトカラ列島、そして八丈島北西沖と3か所あります。この3か所を覗けば震度4以上の地震のリストも12回から4回へ減ることになります。 千葉で震度5強を観測した地震についても、1990年ごろの地震観測網で置き換えると、勝浦と東京で震度4、千葉と館山、横浜で震度3、などであった程度の地震でした。地震の観測網が日本中にくまなく整備されたことで、局地的な揺れをきちんと観測できるようになっているという背景があることも理解しておく必要があります。 また群発地震が3か所で発生していることについても、それぞれの事例に直接の関係はほぼないと考えるのが現状では妥当で、ようするにタイミングの問題で偶然であるということになります。 日本列島はそもそも東と南からプレートで押されているところに日本海が拡大して後ろからも押さえつけられ、普通であれば小さな島々の並ぶ列島になるところが隆起して大きな島(北海道から九州)を作り出しています。そんな大規模な隆起をするくらいだから、活断層もできるし地震もたくさん発生します。 震度6程度でも地球にとっては少々の揺れ、でしかありません。各家庭・地域での防災への取り組みが重要です。
新たな熱帯低気圧が発生へ、来週にかけ発達しつつ北上か(杉江勇次) - 個人
Yahoo!ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
台風を発生させる熱帯の2つのパターンが重なり、来週にかけてフィリピン沖に熱帯低気圧が発生すると各国の数値予報モデルで予想されています。 1つ目がマッデン・ジュリアン振動(MJO)と呼ばれるもので、熱帯で雲を作る活動が活発になりやすい波が西から東へ、およそ2か月弱で地球を一周する動きがあります(地球の赤道付近がもともと持っている固有の波です)。5月頭にインド洋西部にて活発な雲の活動が見られ、これが徐々に東へ移動してきて、5月下旬になって西太平洋で雲の活動が活発となっています。 2つ目はMJOに伴って発生することがある西風バーストと呼ばれる現象で、やはり5月頭のインド洋西部から徐々に東へ移動してきており、赤道付近で西風が強くなるため、赤道を挟んで南北に低気圧を発生させやすくなる特徴があります。これが5月下旬にインドネシアからミクロネシアにかけての西太平洋にやってきて顕著になる見込みです。 例えばベンガル湾でサイクロンを発生させミャンマーに大きな被害を与えたのも、この2つの要素が重なったタイミングだったからといえ、5月下旬にこのパターンが重なる西太平洋でも同様に台風が発生すると見込まれています。 日本付近はというと、この時期にはまだジェット気流が本州南岸にあることが多く、少々台風が接近してもジェット気流にぶつかって東へ流れていってしまうのですが、ジェット気流も徐々に夏モードに切り替わってきており、台風の発達状況によっては台風がジェット気流を押し上げる作用があることから、ジェット気流が上空にあるから大丈夫とも言い切れません。 まずは熱帯低気圧が実際に発生してからの予報をこまめにチェックするしかなさそうです。
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温暖化で増加する乱気流、AIが解決策に?
Forbes JAPAN
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
乱気流には商売柄よく悩まされます。温暖化が進むと特に北極や南極での寒気が弱まり、そのため赤道付近との温度差によって発生しているジェット気流の風速が弱まり、地球の自転によるジェット気流の蛇行が現在よりもより数が増えるということが考えられます。ジェット気流の分流や合流といったものの数も増えることになるでしょう。 現在はこうしたジェット気流に関して揺れそうな場所には雲が発生していることが多く、揺れやすい特徴的な雲を見つけて揺れを回避することもあるのですが、温暖化が進むと全般に大気は安定となり雲自体は減ると見込まれていることから、パイロットが乱気流を見つけて回避するのは確かに難しくなるかもしれません。 乱気流については数値予報モデルを発展させて研究が進んでおり、鉛直方向や水平方向の風の変化、大気の安定度など様々な指標をつかって揺れそうな場所をあらかじめ見つけようとしているのですが、まだまだ完全ではなく、揺れそうで揺れなかったり、その逆があるので困ることもしばしばです。 記事中でAIを使うというのは、おそらく多変量解析的なやり方で、どういった場所で揺れが多く報告されているのかをデータとして与え、そこに共通する要素を機械学習で見つけ、揺れが発生しやすいと考えられる場所を見つけていこうという手法と考えられます。すでにいろいろな研究機関が挑戦している内容ではあるので、確かに下手に人間の解釈を入れようとするよりは機械学習に任せたほうが良い結果が得られることもあるかとは思います。 日本上空については航空局が主導して揺れの情報を航空各社で交換する仕組みが出来上がっており、JALやANAといった会社間の垣根を越えて膨大な情報がやり取りされています。これを機械学習に放り込めば、一定の学習成果は得られそうです。
関東で35度以上猛暑日予想も ことし1番の暑さに 熱中症対策を
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回の高温は、源流にはチベット高原があります。15日から16日にかけてシベリアとモンゴルでそれぞれ低気圧が発達し、ここに向かう南風としてチベット高原で暖められた空気が中国の華北地方からロシア沿海州あたりに移動しました。これが17日になって日本付近に達し、高気圧による下降気流と相まって全体として平年よりも高い気温を観測したという背景です。 特に高温となったのは関東から東海にかけての山沿いとなりましたが、これは東北から東海にかけて高気圧の周りの北西の風が入り、山を吹き降りるフェーン現象が発生したためです。17日午前9時のつくばでの高層気象観測の結果では高度2000m付近で15℃近い気温となっており、これが地上まで下降してくると気温は35℃ということになります。雑な計算ですが、だいたい観測と似たような値となり、フェーン現象が発生していることを示しています。 18日はというと、高気圧の中心が関東の南東海上へ移動するため、風向きは北西から南西へ変わります。西から低気圧が接近することもあり、東海地方では17日のような暑さはないでしょう。いっぽうで関東や福島ではフェーン現象が引き続き発生する見込みで、17日同様の高い気温を観測することになりそうです。 日本ではまだ5月といえば春の延長くらいの気持ちにもなりますが、すでに夏至は6月に迫っており、太陽は真夏並みに高く紫外線も強い時期に入ってきています。チベット高原など大陸では一年で最も暑い時期に差し掛かっており、今回のように気圧配置のバランスでそうした暑い空気が入ってくると、日本でも真夏のような暑さになることがあります。記事中に暑さへの慣れを促す「暑熱順化」について書かれていますが、冬の間かいていなかった汗をかく練習をするというイメージで取り組むと良いかと思います。
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サイクロン上陸、400人死亡か ミャンマー、難民キャンプなどで
共同通信
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
インド洋において発生する台風はサイクロンといいますが、平均的な勢力ではサイクロンのほうがやや弱い傾向があります(海面水温の高い領域の広さなど、様々な理由があります)。しかしながら今回のサイクロンはベンガル湾で急速に発達し、北西太平洋で米軍が名付けることがある「スーパー台風」一歩手前というところまで発達しました(報道によってはスーパー台風=カテゴリー5相当だとするものもあります)。 最近続いた東南アジアにおける猛暑の影響で、ベンガル湾も海面水温が高くなっていたこともあり、サイクロンが発達しやすい環境が整っていましたが、エルニーニョ現象も始まったばかりであることや、またインド洋ダイポールモードもまだ弱いことから、そうした大きな流れの中の現象ではなく、あくまで個別の事例として扱われる事象であると考えられます。 しかし今回のサイクロンがミャンマーに上陸したサイクロンの中にあって最も強いレベルであったのは間違いなく、特に北西部の沿岸にあたりロヒンギャ難民が問題となっている地域を直撃したため、特にこれら難民への影響が懸念されている状態です。 過去のミャンマーのサイクロンに関連する被害で最も大きなものは、2008年に今回よりも一回り小さい勢力のサイクロンが直撃した例です。一回り小さいとはいっても発達中に上陸したこともあり、ミャンマー中部のデルタ地帯に高潮の被害を与え、死者数は10万人以上と言われています。今回はサイクロン自体の勢力が強く、難民キャンプは往々にして低湿地に作られているため、高潮や洪水による被害が懸念されています。
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八丈島近海で地震相次ぐ 14日16時~15日0時に震度1以上9回 注意呼びかけ
日テレNEWS
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回は八丈島の北西海域での群発地震となっていますが、最近では2021年7月や、それ以前にも2002年や、伊豆諸島での火山活動が活発であった1980年代に複数発生していたことがあります(八丈島の地震として有名な八丈島東方沖地震はプレート境界型地震で、今回関係ありません)。 正断層型と解析される地震が数多く発生していることから、八丈島の西では地殻が引き延ばされるような力が働いていることが想像されます。ここで八丈島付近の海底地形図を見ていると、西側に八丈海盆という平らな部分があることがわかりますが、いわゆる背弧海盆という、プレートの沈み込み帯によく見られる特徴的な地形であると考えられます(プレートの沈み込みに対する反発力でマントルが上昇してくるためで、日本列島に対する日本海もそうした経緯で拡大し、日本列島が大陸から切り離されることになりました)。 八丈海盆が今なお拡大の傾向を示しているとすれば今回の地震のメカニズムはおおむね整合的で、火山活動によるマグマの動きで発生した地震という可能性もありますが、あくまで太平洋プレートの沈み込みという大きな視点で説明できる地震であるということになります。 過去の事例でもM5クラスがせいぜいで、M6クラスの地震にまでエスカレートする可能性は小さいと考えられますが、念のため一週間から10日ほど様子を見ておいたほうが良いということになろうかと思われます。
鹿児島県で震度5弱の地震 津波の心配なし
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
トカラ列島では2021年にも群発地震がありましたが、場所が若干違い、トカラ列島の中でも北部にある中之島付近での地震です。今月に入り地震活動が活発になっており2日前には震度4を中之島で観測していたところでした。今回の地震後も複数回M4クラスの地震が発生しており、引き続き地震活動は活発となっています。 トカラ列島北部は諏訪之瀬島に代表されるように火山活動が活発で、地震は時折発生するという感覚の地域です。トカラ列島南部は群発地震の常連ですが、今回の震源を含むエリアは特に群発地震で知られているような場所ではありません。 では火山かという話も早計と考えられ、特に中之島で火山活動として大きな異常があるという話は気象庁含め出てきておりませんので、これもちょっと違いそうです。 したがってトカラ列島南部の地震と同様に、トカラ列島全体にかかるプレート間の力のバランスにより、断続的にひび割れしているというのが最も理解しやすい仮説として考えられます。今回の地震については発震機構が横ずれ成分を含む正断層型と出ており、南北から引っ張られるような力がかかって発生した地震ということになり、前述の理解と整合的です。 もしかしたら、トカラ列島の火山自体、そのような地盤のひび割れに沿ってマグマが上昇してきて出来上がったものなのかもしれません。 ところで最近(ここ10~20年程度)震度5や6を観測する地震が多いのではという意見が定期的に出ますが、その通りです。1990年代前半までは、気象庁の各測候所毎の震度しか速報されず、その他大学や研究機関などによる地震計のデータは速報されたり気象庁の解析に使われたりすることがなかったからです。 阪神大震災における震度の速報では、神戸が震度6(震度7は被害を見て決定する制度であったため)、大阪が震度4、京都と彦根で震度5といった具合でした。その後各市町村内でも複数の地震計での計測震度が速報されるようになり、局地的な大きな揺れを逃さず捉えられるようになってきています。そのため昔に比べて震度5や6が多い印象になりますし、実際に多いです。しかし地震の規模自体はマグニチュードで見るべきで、その視点では特にマグニチュードの大きな地震が増えているわけではありません。
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