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猛烈な台風2号、5年ぶりの900hPa未満 進路はどうなる?
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
すでに台風2号は、その勢力の中核をなしている中心付近の活発な積乱雲(いわゆる台風の眼の雲)について世代交代の時期に差し掛かっており、一時的にですが勢力を落としています。また台風が強く発達できるような高い海水温になっている場所もおおむねフィリピンのルソン島沖までで、そこから北では台風としての勢力の維持ができないような、比較的冷たい海です。
また、ちょうど沖縄から北には、いわゆる偏西風が卓越する場となっており、台風が北上してきても太平洋を東に流されてしまい、本州はもちろん沖縄へも接近や上陸の心配はかなり低くなっています。予報円の北側を進む可能性はかなり低くなっていますので、その点は大丈夫です。ただし、台風の北側にある前線の雨雲がかかったり、台風からの波で海が荒れたりすることは十分考えられますのでご注意ください。
まだ春先なのにこんな台風が発達して、心配だという話もよく聞かれますが、むしろ太陽の角度からするとフィリピン付近はすでに十分真夏レベルで、太平洋も真夏並みのエネルギーを蓄えています。条件が整えば真冬でも「猛烈な」勢力の台風は発生しますので、今回の台風がそこまで珍しいわけではありません。
トリチウムってどんな物質? 海洋放出後に必要なこと
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
その昔は「重水」という言葉でも呼ばれましたが、雑な言い方をしてしまえば水の放射性同位体ということができます。水爆の主なエネルギー源ともなっています。なにぶん水でありセシウムなどの重金属ではないために濾過などで取り除くことができません。これが大きな問題となっています。
しかしながら、放射能があるといっても水のため、仮に人間が摂取しても長期間体内に残留することなく数日で排泄されるとされており、放射されるベータ線も非常に弱く(カリウム40という放射性同位体の100分の1のレベル)、よほど高濃度で摂取しない限りまず問題ないとされている物質です。しかし、大量の海洋放出を行っているイギリスでは海底の底生生物に生物濃縮が見られたという報告もあり、影響がないと断定するのも難しい物質です。
原子力発電所として通常運転を行っていても、冷却に使う水にどうしても放射線が当たり、トリチウムはある程度発生しています。前述の状況から、各国は一定の濃度の基準を設けたうえで海洋放出をふつうに行っています。日本が律儀に陸地に積み上げているのは、原子力発電を行っている国からすれば奇異に映っているに違いありません。日本の基準自体はWHOの基準よりは高めに設定されていますが、現時点での報道ではさらに薄めて流すとのことなので、少なくとも科学的には十分安全な状態で流す、といってよいかと思います。
現地の漁業関係者の懸念も、要するに風評被害が心配なだけなので、私たち消費者が正しい知識を持ち、福島の水産物を理解して消費すればよいということになるのでしょう。
鹿児島十島村 地震200回以上観測 住民に不安「眠れない」
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
トカラ列島では数年おきに群発地震活動が発生することがありますが、今回は2000年ごろに悪石島で震度5弱を観測した一連の群発地震の震源域と、宝島に近い場所を中心とするここ20年ほどの地震の震源域に挟まれた、いわゆる地震の空白域で発生している模様です。
また地震の発震機構も横ずれ型が多く、いわゆる陸地側のプレートにかかる力と同じ向きになっていることもポイントとなっており、プレート内部での断層による地震活動であるのか、あるいは付近に存在すると考えられるマグマの移動に伴う地震であるのかの見極めが難しくなっています。
伊豆半島東部でも群発地震が発生することがありますが、こちらは調査が進んでいて、主に深部からのマグマの上昇により発生し、それがどのくらい浅いところまで上昇してくるかをモニターしつつ、噴火につながりかねないと判断される場合は避難をするという体制が作られています(もっともここ10年近くは群発地震は発生していません)。
トカラ列島の悪石島から宝島にかけては単純な火山島ではないので、島の成因に関連する地震なのかもしれません。
いずれにしても現段階では、大規模な地震や火山の活動につながるものとは言えませんので、落ち着いて状況を見守ることになると考えられます。
鹿児島 トカラ列島近海 9日以降地震相次ぐ 震度1以上が120回超
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
トカラ列島の悪石島から小宝島、宝島にかけての領域で発生している地震ですが、直近ではやや大きめな地震として2016年12月にM3.5とM3.6の地震により小宝島で震度4を観測したことがありました。このほかにも数年おきにM3〜4の群発地震が1週間ほど続くことがあり、記事中にもあるように2000年10月にはM5.9の地震があり悪石島で最大震度5強を観測したこともありました。
この辺りは海側のフィリピン海プレートが陸地側のユーラシアプレートに沈み込んでいる場所で、これによる火山が南北に連なっており、おそらく今回も火山活動に関連する群発地震と考えられます。現時点ではよくある活動のように見受けられますので、直ちに大地震が発生したり、火山が大爆発したりということはなさそうですが、念のため今後もやや大きい地震が発生しないか、火山活動に大きな変化がないかどうかということを見守っていく必要があるかと考えられます。
737MAX運航一時停止 ボーイング、電気系に問題
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
本件については、まだボーイングから直接影響する顧客に情報提供がされたというだけで、FAAからAD(耐空性改善命令)は出ていません。報道されているのは、電源系統に十分な接地(アース)があるかどうかを確認しなければならなくなっている、ということです。これで影響を受けるのはこれまで納入されたおよそ400機の737MAXのうちおよそ90機ということで、全ての機体が影響を受けるわけではないものとみられます。
737MAXは別の派生型で燃料システムの表示についても一部不具合があり、これについてもADが予定されていると報道されたところです。別にADが発行されることそのものはボーイングに限らず既存の機種では全く珍しいことではありませんが、こと737MAXについてはやはり注目されて報道される傾向があるように感じられます。
737MAXについては、先日サウスウエスト航空がこの先10年ほどかけて既存の737をすべてMAXシリーズに置き換えていくと発表したばかりで、ようやく今後の受注に弾みがつくように思われていただけに、タイミングが悪いニュースになってしまった印象は拭えません。
異形の巨大機「スーパーグッピー」、宇宙船の運搬用に開発
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
胴体をぱかっと開けるのは、飛行機にとっては大変なことです。
まず、胴体はそれぞれ輪切り状態のフレームと横に通すストリンガーで構成されますが、ストリンガーをぶった切ってしまうことになるのでその周辺は特別に強化しておく必要があります(もちろん飛行中のロック機構についても特注での開発が必要です)。
また、操縦室からの操縦ケーブル(今はフライバイワイヤなので電気系だけ繋がっていれば良いですが、昔は翼の舵面までそのままつながるケーブルで操縦していました)や電気系はもちろん、切る場所によっては油圧や圧縮空気の配管も通さなければなりません(特に胴体の後ろを切る場合にはそうしたものも影響します)。
グッピーのような特殊な用途の機体はともかく、いわゆる商業用の輸送機ではそこまで複雑な開け方はしないようになっています(側面ドアのみが開くか、操縦室が高い位置にあり、その下の機首部分のみぱかっと開くタイプ)。おそらくですがグッピーのような機体は耐空性審査も機体ごとに特別に行われていて、型式証明は得ていないのではないかと考えられます(エアバスのベルーガおよびベルーガXLは、操縦室の位置を下に置くことで飛行機のおでこが開けば良いようになっており、これで型式証明を取得しています)。いわゆる貨物機としてはグッピーのようなものは運航事業者としてはちょっと面倒に感じます。
A380の貨物型がうまくいかないのもその辺りに理由があり、操縦席が1階の低い位置にあるため操縦席ごとパカっと開けるしかないのがネックとなっています。技術的には可能でも、もろもろの開発費用をかけて耐空性審査を取り直してまでやることか?と言われているわけです。側面ドアを採用すればもしかしたら、ということもありましたが、これも2階席部分の床を全て取り払って特別に補強する必要があり、結局同じ壁にぶつかる、という状況です。マスクが足りない時期にそれ専用で運ぶ用途には使えましたが、せいぜいその程度の活躍しかできないのであれば、貨物機としては他の機体を使った方が早いというのが実態です。
貨物大手UPSが「電動垂直離着陸機」を購入、2024年以降に運航
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
この取り組みは、完全自律型でのドローンとしての飛行を目指しつつ、とりあえずはパイロットが操縦する形で運用をスタートするとしており、実現可能性が高くなっているのがポイントかなと思います。航続距離やスピードと搭載容量のバランスもまずまずで、電気のコストにもよりますが、本当にスペック通りの機能を果たせるのであれば二酸化炭素の問題はもちろん、コスト面でも悪くない話と感じました。日本人にとってはパイロットが敷居が高いように思われますが、米国では自家用車感覚で小型機やヘリを飛ばしており、いわゆるトラック運転手のような感覚で人材募集をかけることが可能な職種です。
このほかにも米国を中心に小型機やヘリの電動化を目指すプロジェクトは複数進行しており、そこでの知見はそのまま大型機の開発にも生かされるはずです。旅客機が完全に電動で飛行できるようになったら、二酸化炭素の問題から航空業界が開放されることになり、「飛び恥」などと言われずに済みます。進捗に期待したい案件と言えるでしょう。
気温は平年並みの「平年」って何?10年ぶり「天気の基準改定」知られざる秘密
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
平年値の裏側が分かる内容で、丁寧に取材されたことがわかりとても良い記事と感じました。
データの検定作業の説明がありますが、言ってしまえば平年値云々とは関係なく必要な作業ではあるのですが、特に平年値を変更するときにはスピードが要求されて大変だ、という話かと思います。昨今はアメダスでの観測要素も増えてきており、データの検定作業は今後も大変なのだろうと思料します。
気象観測は気象庁だけではなく、自治体やその他研究機関や私企業などでも行われているのですが、気象庁での統計データとしては現状用いられていません。これは、データの測定環境や測定方法、用いている機器の検定が必要で、気象庁が観測したデータと同じように扱えなければ意味がないからです(たとえば気象庁では現在は超音波式の風速計を使っていますが、小さなお椀がクルクル回るタイプの風速計は回転の影響を受けて風速が大きくなりやすいという欠点があり、気象庁では用いられていません)。
天気予報の際に「平年並み」と聞くとなんだか無難そうな印象を受けるかもしれませんが、最近の気温の上昇や降水量の増加を取り込んだうえでの平年値ですので、平年並みの割に猛暑だ、などといったことになってくるでしょう。特に気温については数字のほうで確認するようにしておいたほうが良いかと思います。
「火星に虹が出現?」探査車の写真に世界が騒然 ⇒ NASA幹部「絶対に虹ではない」
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
確かに、サムネイルに使われている画像だけを見れば、虹かそれに類する光学現象であるように見えます。火星には地球で虹を見せてくれる水の粒はありませんし、その他光学現象を招く氷の粒についてもそこまで濃密には存在しないと考えられるため、虹のような現象が発生することはまずないと考えられます。
また、もっと基本的な視点で考えると、虹とはそもそも太陽を背にしたときに見える現象です。ところが、写真の正面に映るヘリコプターの影は手前側に延びていて、この写真は太陽のほうを向いていることが分かります。太陽の方向に対してこのような光学現象が現れることはないので、この時点で虹などの光学現象ではないと断言することができます。
太平洋上空の雲で史上最低気温、マイナス111度が観測される
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
そもそも成層圏と対流圏において気温が最も低くなっているのは、熱帯の雲の頂点付近です。地球全体の気温分布を緯度ごとに平均してみると、ちょうど赤道付近の高度20km付近が-80℃くらいでもっとも冷たい場所となっています。これは、北極や南極では対流圏の高さが低いために上空には成層圏がやってきていて、意外と気温が下がりにくいことと、逆に赤道付近では活発な対流活動により気温が一定の割合で下がり続けるため、その雲の頂点付近では—100℃近い低温を出すこともままあります(台風の発達過程では—90℃くらいはざらにあります)。それでも今回の-111℃はものすごい発達といえ、なかなか記録されるものではなさそうです。
ただし、これを今までにない巨大な積乱雲が発生したととらえるのは早とちりかもしれません。というのは、人工衛星のセンサーの精度や解像度、観測頻度がここまで高くなってきたのはこの10年ほどのことで、それ以前にも似たような雲があったのにそれを見ていなかっただけかもしれないからです。地球温暖化により本当に雲の発達(オーバーシュート)が以前よりも高い水準になっているのかどうかということは、一部の突出したデータを見るよりも、全体としての平均値や分散などに注目したほうが良いかもしれません。
エア・カナダがトランザット買収計画撤回、EU当局の懸念拭えず
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
カナダの航空会社は、エアカナダがほぼ一強、これにLCCのウエストジェットが追撃をかけていて、エアトランザットは中長距離のリゾート路線を運航しています。コロナによる影響が大きいのは国内線がないエアトランザットでした。
エアカナダは、2000年に当時のカナディアン航空を吸収合併しましたが、この裏では所属していた航空連合同士の代理戦争がありました。最終的にカナダ政府の判断にゆだねられ、エアカナダ陣営の勝利となった経緯がありましたが、今回はEU委員会がエアカナダの拡大に待ったをかけた形となっています。
エアトランザットの経営逼迫による救済提案であれば、もしかしたら承認されたかもしれませんが、この買収計画自体はコロナ前から計画されていたこともあり、救済というよりはエアカナダによる戦略的買収と受け取られた面が大きかったものと考えられます。
ANAがJALを「貨物特需」で圧倒できた2つの勝因
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
航空貨物事業は、特にここ15年ほどを振り返ると、リーマンショック前の資源価格の上昇、そしてリーマンショックそのものによる貨物需要の大幅減により辛い目にあってきたという歴史があります。韓国や台湾は電子部品の一大生産地で、これを北米のメーカーに輸出する流れがあったために、現在も大韓航空や中華航空は貨物事業を大きな柱としていますが、日本では特にJALの経営破綻と再建の過程で旧式の747を使った貨物機の整理もあり、航空貨物は儲からないというイメージが定着していました。
ANAやNCAなどでも、リーマンショックを乗り切ったあともアジアと北米間の貨物便は北米やアジアの会社も入り乱れて競争が激しかったこともあり、成長はあったものの利益はあまり上がらず、特にNCAは整備に関するトラブルもあり決算は赤字ベースで親会社の日本郵船の決算にまで影響を与えていました。
コロナになって一変したのは、とにかく旅客便がほとんどゼロとなり、その床下を使った貨物輸送もほぼできなくなったこと、そして貨物便についても乗組員の検疫の問題があり旅客便の穴を埋めるほどには供給が追い付いていないこと、そしてマスクや消毒液などの医療用品やワクチンなどの輸送に迫られてさらに輸送単価が高くなっていることが挙げられます。
特に2020年コロナが拡大した当初は各国とも検疫のルールややり方が手探りで、国際的な物流が止まってしまう状況が連想されるほど供給が絞られてしまいました。今は各方面でやり方がそろってきたこともあり、需要に応じた貨物便の運航ということもできるようになりつつあります。
いよいよ航空会社はアフターコロナを見通し始めていますが、旅客需要は急激に回復しないのではないかという見方が広がっており、すると必然的に貨物優位の状態がもうしばらく続くことになります。本格的な回復のあと、果たして航空貨物が以前のように過当競争になるのかどうかがポイントとなるでしょう。ANAが顧客ニーズに応じて臨機に貨物便を運航する、というのはそうした過当競争に陥っても勝ち残れるやり方を模索しているようにも思われます。

【解説】香港はこのまま「忘れ去られて」しまうのか?
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
香港のオフショア金融センターとしての機能は、今後間違いなく低下するでしょう。それに伴い金融都市、貿易都市としても中国沿岸部の他の都市の興隆に伴い、相対的な地位は低下するでしょう。
では、香港という都市の価値がゼロになってしまうか、というとそれはまた違う話と思います。欧州において中世には貿易都市として栄えた町が、その地位を低下させつつも、現代にも有名な観光都市として残っている例は枚挙に暇がありません。たとえばベネツィアあたりが似ている点が多そうです。
そう考えると珠江デルタは、中国のシリコンバレーである深圳、中国のラスベガスであるマカオ、そして中国のベネツィアといえる香港を抱えており、これからもビジネスや観光における役割は大変大きいように思います。
失うものもありますが、前を向けば明るい要素も大いにあると思います。共産党支配の強化で懸念材料はあるものの、上手に中国化して、むしろ成長する中国本土を利用するくらいでいてほしい、と元住民としては思います。
生物季節観測、廃止・縮小から一転存続へ 気象庁と環境省、国立環境研究所がタッグを組む(森田正光)
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
考えてみれば当然の話で、今までは省庁それぞれで似たようなことを別々にやっていたわけですが(目的が違ったり、そもそもお互いの情報がないなどの事情もあったので一概に無駄と断じるのも酷な話です)、気象庁としての観測データに穴を開けるくらいなら、と縦割りを超えて各省庁が連携できたことは素晴らしいと思います。おそらく環境省がもともと市民参加型でイメージしていた観測について、気象庁も相乗りしてはどうかと提案したものと考えられます。
気象観測については大部分が民間委託が可能なようにも思われます。観測機器の検定や、観測手法の統一などに気をつければ、気象庁が自ら予算を使って観測せずとも、クオリティの高いデータを民間から得ることができるようになるほか、蓄積したデータを他の場面でも使うなどして、気象庁だけよりももっと濃密な気象データを得るチャンスにも繋がります。特に冬場の関東地方における雨と雪の判定には、こうした市民参加型の観測手法の導入がより高い精度の予報手法の開発につながるとして、すでに一部の研究者がこうした手法でデータを得るようになっています。
今後発展が期待される分野と言えるでしょう。
【佐山展生】なぜビジネスジェットは、コロナで需要が増えたのか
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ビジネスジェットは、新幹線のような高速鉄道が比較的未整備で、かつ小さな飛行場が多く自家用車感覚で飛行機を使うことができる米国では当たり前のように普及しています。ホンダジェットが空前のヒットとなっているのもそうした下地があるからです。一方で日本は、ようやく旅客機が大衆の乗り物になってきたところで、富裕層向けにはファーストクラスのラグジャリーなサービスを売りにしてきました。飛行場が少なかったこともあり、時間を提供するというサービスはいままで存在し得ませんでした。
しかしコロナになり、密を避けて移動したい、また乗り継ぎではなく直行で目的地へ向かいたいという需要が際立つようになりました。定期便と違い、チャーター便はどんな空港へ行くのか、顧客からのオーダーが入るまでわかりませんし、オーダーが入ってから実際に運航するまでのリードタイムも短く、あらかじめ全世界の空港の運用方法について熟知している必要があり簡単な話ではありません。現地の空港で活躍してくれるコーディネーターとのコネも築いておく必要があります。
ただし、一つのフライトでの利鞘は格段に大きく、ビジネスジェットを専門に運航するエージェントは世界中にあります。日本でも、ホンダジェットを生かして国内、そして国際線を運航できるビジネスジェットがあっても良いのではと感じているところです。
スエズ運河ふさいだ巨大船、離礁成功は満月のおかげ?
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
英語ではいわゆる満ち潮のことを「high tide」といいます。訳し方によっては高潮としてしまうかもしれないので要注意です。ちなみに、大潮は「spring tide」、小潮は「neap tide」といいます。また日本語で言う高潮のニュアンスでは、「storm surge」といいます。
月の満ち欠けが新月や満月のときは、月による潮汐力と、太陽による潮汐力が同じ方向にかかるようになるため、潮の満ち引きも大きくなります。スエズでは満潮の水位が2m20cmほどになり、干潮の30cmほどと比べると、その分の浮力が得られることになります。ちなみに小潮の時には満潮時でも1m70cmほどで、干潮時では70cmほどとなっています。
日本でも、潮の満ち引きによる水位の差はその海の広さや観測場所の形にもよりますが、概ね1m〜2mとなっています。

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