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鎮火メド立たず 5日目募る不安 “桐生から25km”栃木・足利の山火事
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
林野庁の調べによれば、日本で山火事が発生しやすいのは3~5月の春とのことです。確かに冬の間に樹木は水分を失い、そこへ気温が上がり花や若葉を無理やり発芽させるのですからもうカラカラ、下草も枯れており土壌水分量も少なく、火が付いたら文字通りあっという間、という状況と想像します。
また春先は低気圧が周期的にやってきて、日本海や太平洋で発達して強い南風や北風となることも多く、江戸の大火の事例を見ても、現在の3月や4月の時期に発生した事例が多くあることからも、乾いた強い風が吹く時期は火災が大きくなりやすいことが分かります。
山火事の原因について林野庁では6割以上が焚火や野焼き、放火、たばこ等の不始末とされており、日本ではカリフォルニアなど大陸でみられるような落雷を原因とする山火事は割合少ないです。日本では落雷が発生するときにはたいてい強い雨を伴っており、落雷による火災が発生しにくいという事情もあります。
次の雨はおそらく3月2日ごろに次の低気圧が日本海を進むときまで期待できません。それまでは何とか人家等への延焼を防ぐようにして耐えるしかありません。
航空業界、検査やワクチン接種を証明する「トラベルパス」を近く発行
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
この流れは旅行の再開を考えるにあたって非常に重要です。入国制限の主な理由はコロナ感染の持ち込み防止ですが、仮にある程度ワクチンが普及した世の中を想像すると、コロナ感染の持ち込み防止のほかに、旅行者が旅行先の国の医療資源を逼迫させないかという視点が重要となるからです。
したがって、コロナ持ち込み防止のための検査陰性証明+ワクチン接種をして重症化しにくくなっている、という証明の二種類が必要で、これをいかに共通した書式で実施するか、アプリなどで簡単に入力、確認する仕組みが作れないか、と考えられたのがトラベルパスという仕組みです。国家の衛生当局や入管当局間での話し合いを待っていられないとして、業界団体であるIATAがリーダーシップをとって開発しました。(背景には、例えば旅行先の国で、ビザの不備などで入国できない旅客がいた場合は、出発国への送還は航空会社が責任を持って行うとされているため、ただでさえパスポートやビザの確認は厳重に行っていますが、特にコロナに関する書類の不備で入国できない事例が多発しては困るという事情もあります)
あとは各国の規制当局がこれを承認していけば、承認された国同士の移動であればこのアプリを使って移動することができるようになります。医療機関側の陰性証明発行の手順も簡単です。ワクチン接種が進めば、いずれ陰性証明は不要となるかもしれません。このあたりでようやく本格的な観光需要の復活となりそうです。
米軍ヘリ、低空飛行常態化 新宿上空で動画撮影し確認
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
そもそも日本の航空法は、国際民間航空条約(ICAO)をもとにしており、いわゆる民間機を対象としています。従いまして「国の航空機」に分類される軍・警察・消防等の飛行機については航空法の適用対象外です。また日本の領空における米軍機の位置付けについては日米安全保障条約および日米地位協定の規定によりますが、特に低空飛行訓練については別紙を日米合同で発表しており、ここに「在日米軍はICAOおよび航空法により規定される最低高度基準を用いる」という記述があることがわかります。
最低高度基準については、国土交通省令である航空法施行規則第174条に示されており、人口密集地域の上空では航空機の周辺600m以内の最も高い障害物の上端から300m、人や家屋のない地域では地上や水上の物件から150m以上の距離を保つ、などとされています。
果たして動画で撮影したとされる低空飛行が何であったのか、日米地位協定の別紙が適用される飛行であったのか否かというところがポイントとなるでしょう。しかし青山霊園近くにある赤坂プレスセンターへの離着陸の一環と言われてしまえば、最低高度基準については関係ないと一蹴されてしまうでしょう(さすがに新宿まで離れれば、その言い訳は苦しいですが)。
言ってしまえば、日米地位協定は令和の時代にまで残った不平等条約です。仮にこれをどうにかしたいのであれば、日本はアメリカの核の傘の下から外れる覚悟を持って交渉に臨む必要があります。
米旅客機エンジン部品落下 金属疲労で破損か 国家運輸安全委
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
3年前の2018年の同社機でのトラブルや、昨年12月のJAL機でのトラブルとほぼ同じ仕組みで発生した可能性が極めて高い、ということになります。PW4000シリーズの中でも777用に開発された高出力のエンジンでしたが、土屋先生のおっしゃる通り、効率を高くするために大口径となった結果、空気取り入れのためのファンブレードも大きくなり、中空構造として枚数も減らすことで軽量化を図った新しい設計のエンジンでした。
問題は、初飛行から20年以上が経過し、ファンブレードについても経年劣化が進んでいることです。ファンブレードの中空構造の部分には冷却のため空気が流されますが、この空気が当たり続けるような場所に圧力がかかり、金属疲労によりもろくなってきます。これは日常の整備作業では見つけられないものなので、特定の稼働時間ごとにメーカーに返送されてオーバーホールをうけてから戻されるような体制になっています。2018年のトラブルの際に、オーバーホールで見つけられなかった原因に対して製造メーカーであるPW社で対策を取ったとされていたのですが、結果的にこの対策が漏れていたのか、不十分であった可能性が極めて高くなってきました。
そもそもPW社は、同じエンジンで排気側にあるタービンブレードについても製造段階でのミスにより腐食問題を経験しており、タービンとファンの違いはありますが再び似たようなトラブルに見舞われているということになります。小型機用エンジンで起死回生を図る同社にとっては、またしても頭の痛い問題になるかもしれません。
B747で部品落下、オランダ当局が調査 運航停止機と同型エンジン
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
こちらはPW4000シリーズの中でも初期型のPW4056と呼ばれるエンジンにおけるトラブルです。ただし、地上に落下した破片はPW4077の事例と異なりエンジンカウル等の外殻ではなく、またエンジンの空気取り入れ口であるファンブレードではなく、排気部分にあたるタービンブレードのトラブルを想像させるものでしたので、トラブル発生箇所は異なるものと考えられます。
PW4056は747や767、A330など多くの機種に装備されるエンジンですが、初期型であるゆえPW4077とは設計が大きく異なります。内容も異なるトラブルであったことから、報道されている通り、現段階では無関係のものとして取り扱うべきかと思われます。
米事故機と同系列エンジンの航空機、国土交通省が国内各社に運航停止を指示
旅客機部品、住宅地に落下=負傷者なし―米コロラド州
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
当該機は1995年に製造された、777の中では古株に位置する機体です。すでに指摘されていますが、これは昨年12月4日に那覇を離陸した日本航空機で発生したトラブルや、2018年2月にホノルル着陸前のユナイテッド機に発生したトラブルとよく似ており、当該便に乗っていた乗客の写真からも、エンジンのファンブレードの一部が破断している様子が見受けられました(これの救援機が、2018年にトラブルを起こした当該機であったというのがなんだか皮肉にすら感じるようなものです)。
エンジンのファンブレードがおそらく応力集中による金属疲労を受けており、これが検査で発見できずに稼働を続けた結果破断し、遠心力により脱落して飛んで行ってしまったものとみられます。破断したブレードの一枚後方にあるブレードも追突する形になりダメージを受け、たいていは途中で破断します。そしてエンジンは高速回転していますので、ブレードが破断するとバランスが崩れて大きく振動するようになります。この振動により外殻のカウルが外れるため、このようにエンジンがむき出しになり、下にパーツが落下することになります。今回はパーツの直撃による人的被害がなかったのが不幸中の幸いです。
少なくとも777で用いられている同型エンジンに短期間でトラブルが相次いでいるのは確かで、より徹底した検査が求められたり、場合によっては検査期間が大幅に短縮され、稼働できる機数に影響が出る恐れもあります。すでにコロナにより経年機から退役する動きが加速していますが、777においても新機種への置き換えが進むことになりそうです。
東京は4日ぶりに15℃超える 明日は今年初の20℃超を予想
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
日本海に低気圧があり、南の太平洋に高気圧があると南からの暖かい空気が入るため気温が高くなる傾向があります。今日暖かかったのはそのためです。
これに加え、現在モンゴル付近にある低気圧は、もともとは地中海で発生したもので、中東からの暖かい空気を引き連れて移動してきています。これがやや南下しながら東へ進み、22日には日本海を東に進むことになりそうです。北陸から西の地域を中心に、暖かい空気が入り続けるために気温的には初夏を思わせるような陽気になるとみられます。ただし乾いた空気なのでからっとしており、嫌な暑さとはならないでしょう。
乾燥していますので、花粉対策や、火の元などには十分ご注意ください。
なお、23日には低気圧の背後に南下してくる寒気にすっぽり覆われるため、再び冬を思わせるような寒さになりそうです。気温の変化が大きくなりそうですから、どうぞ体調管理にはより一層ご注意ください。
1400万人が飲料水確保できず=米テキサス州、寒波で水道管破裂
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回のテキサスを中心とした寒波はすでに峠は越えており、すぐに暖かい気候が戻ってくる見込みです。直接の原因については、北極にある冷たい空気を持った極渦と呼ばれる低気圧が不安定で、一時的に寒気がロッキー山脈に沿って大きく南下するように動いたためです。背景としては、成層圏突然昇温という現象があり、このためその下の対流圏も影響を受けて極渦が不安定になったということがあります。成層圏突然昇温はエルニーニョやラニーニャとは別に、ジェット気流が地上にある山脈にぶつかったときなどに発生する波動が成層圏側まで伝わるような状況がそろっていると発生します。北極上空の成層圏にオゾンを補給する働きもあり、このおかげで北極は南極よりもオゾンホールが小さいという側面もあります。
したがって、今回の寒波の主犯格が地球温暖化かというと、そうではありません(ただし、北極海の海氷面積が減ることで北極の寒気がシベリアやカナダ側に偏りやすいという側面は出てきます)。
今回テキサスでは120年ぶりの寒波となりましたが、それに関連して発生している問題は、社会インフラの多重性や冗長性の少なさに起因するように思います。120年に一度の寒波でも崩れないインフラを求めるなら、それ相応の対応をすればよいのではと思われます。
AWS障害、5時間でほぼ復旧 気象庁Webサイトなどに影響【各サービス復旧状況を追記】
アメリカ南部を襲った寒波は、気象衛星が誤認するほど異常な低温をもたらした
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
気象衛星から撮影する画像は、いろいろな周波数帯で撮影していますが、よく用いられるのは赤外線を利用した画像です。要はサーモグラフィーなので、夜でも撮影できるメリットがあります。いわゆる天気予報で気象衛星からの写真、として用いられるのはたいていはこの赤外線の画像です(モノクロの場合には温度が低いほど白くなり、温度が高いと黒くなる、というような仕組みで見せていることが多いです。記事中では雲と思われる概ね-30℃以下の部分に分かりやすく着色するタイプのものが使われています)。ただし、物体の温度しかわからないので、雲によって温度が低くなっているのか、それとも地表面が冷え込んでいるのかの区別はいまいちつきません。動画にして動いているかを見たり、他の周波数帯の画像と比較したりして、雲であるか否かを判断しなければなりません。
シベリアの内陸などではよく見られる状況ですが、アメリカ南部にまでそのような表示が出てしまうというのは大変珍しい印象です。北極の寒気があるカナダの北部から、ロッキー山脈を伝って陸続きになっているところが今回の寒波の大きな要因となっています。
全日空機 4人重軽傷の事故 原因はレーダーに表示されない雲
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
レーダーで見ているのはあくまで雨粒であるため、雨を降らせる前の積雲についてはパイロットは目視で回避するしかありません。特に発達中の積雲の場合は強い上昇気流を伴い、まともにあたってしまうと当該事例のように強い揺れとなる場合があります。
今回パイロットは事前に積乱雲の塊を見つけ、管制官に対して回避を要求して適切に対処していたのですが、制限空域(中国は軍事上の制限空域が大変多いです)のために不本意な進路を余儀なくされ、同時に降下の指示が来たために発達中の積雲を回避しきれず、事前に客室乗務員全員にこうした情報を伝達する時間がないまま強い揺れに遭遇してしまいました。
惜しむらくは、中国は自由な回避ができない空域であることから、回避が必要となった時点で念のためベルトサインを入れておけば、まだ怪我人を発生させずに済んだのではと思われる点ですが、あまりやりすぎると客室へのサービスが行き届かなくなるという問題もあり、安易にベルトサインを入れればよいというものではないことが悩みどころです。
日航、3月の国内線運航半減へ スカイマークは97%に大幅改善
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
例年3月は入学や就職、転職や転勤などのタイミングと重なったり、行楽シーズンであることもあり飛行機の予約率は上がり、利益も上がるシーズンです。
ところがこのコロナ禍でそうした経験則が通用しなくなってしまいました。今出されている緊急事態宣言が果たしていつまでになるのか、まだ見通しはつかない段階ですが、では緊急事態宣言が取り下げられればいきなり需要が例年並みになるかというとそんな保証はどこにもありません。コンサバに考えれば、引き続き冬の時代が続くと思って準備すべきところです。
一方で、JALやANAが大きく減便するからこそ、そこで多くの利用客に使ってもらい、少しでも常連客を増やそうという商機(勝機?)があるとして経営資源を集中させるのも選択の一つとなります。要はスカイマークはここで勝負に出ているということです。
個人的にも、ワクチン接種が広がることで、GWくらいまでにはこの閉塞した空気を取り払ってくれればと願っています。
国境の2離島が消失か、存在を確認できず…領海やEEZに影響する恐れ
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
島の定義は、国連海洋法条約によれば「満潮時にも水没しない自然に形成された陸地」とされています。この解釈で物議をかもすことがあるのは皆さまご承知の通りです(沖ノ鳥島やイギリスのロッコール島など)。今回問題となっているのも、人が定住できないような岩同然の島ですので、EEZなどでよほど重要とされない限りは護岸などは難しい場所なのではないかと考えられます。
日本政府としては沖ノ鳥島の手前、岩同然とはいえ自然に形成された陸地である以上、島であるという立場をとっていますから、少なくともその実態については把握していなければならないという建前になります。
函館のあたりは津軽海峡で潮の流れが早く、また新冠のあたりは日高本線を廃線に追いやったような荒波が直接浜に打ち付ける場所です。日高本線の護岸工事のときには、石かごや消波ブロックをいくつか流し去ってしまうほどの波が打ち寄せたこともありますから、完全な保護はなかなか難しいものがあると考えられます。これによって失うEEZの面積よりも、西之島の拡大で得られたEEZの面積のほうが大きいでしょう。
なお温暖化が進めば、おそらく沖ノ鳥島は完全に失われることになるものと思われます。
米寒波で停電拡大、エネ・製造業に影響 原油約1年ぶり高値
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
米国では先週末から北極由来の強い寒気がカナダから南下し、いわゆる中西部から、南部のテキサスに至るまで、雪が降るような強い寒気に覆われました。テキサスの緯度は、およそ九州南部に相当しますから、ここで-20℃近い気温になったということがどれほどのことか、お分かりいただけるかと思います。日本の場合にも強い寒気がやってくることはあるのですが、大陸との間に日本海を挟んでいるため、雪は降るものの極端な低温とはならないのが特徴です。北海道の札幌でさえ、100年以上の観測の歴史でも-30℃以下を観測したことはありません(内陸の旭川には-41.0℃の記録があります)。今回はロッキー山脈の東側を、冷たい空気がするすると南下して、ついにメキシコ湾とぶつかるような形となり、暖かい空気が持ち上げられて雲が発生して広い範囲に雪が降ったような形になりました。
今回の寒気はあと数日で抜けていく見込みで、2月の後半には中西部で低気圧が発達してテキサスは逆にプラスの20℃近くまで気温が上昇する場所も出てきそうです。寒さは一時的とみられます。
寒波の原因は、年初に発生した成層圏突然昇温という現象によります。これにより対流圏の北極周辺にある冷たい空気を持った渦が崩れ、北極から低緯度の地方に寒気が流れ出しやすくなったことによります。厄介な現象と思われるかもしれませんが、これが成層圏の空気を適度に混合させ、オゾンホールの発生を防いでくれている側面もあります(南極はその周りがぐるっと海に囲まれており、突然昇温も起こりにくいことからオゾンホールがより大きくなっています)。エルニーニョやラニーニャに対する単純な応答ではないので、そのあたりをご理解いただければと思います。
5G端末、航空機の高度計に干渉する恐れ 仏当局
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
5Gの周波数帯はいくつかありますが、そのうち3.7GHz帯および4.5GHz帯が、あいだの4.2~4.4GHzにいる航空機の電波高度計と近接していることは知られています。5G基地局から出る周波数を100MHz程度あけることや、アクティブアンテナにして指向性を高めること、また滑走路周辺に出力の高い基地局を置かないことなどで実用には問題にならないとされています。
ただしこれは、航空機に向けて5G基地局から電波が継続して発射されることがない、という前提ですので、機内に5G端末があり、5G通信が行われていると結果として航空機に向かって連続的に近接周波数帯の電波が発射されることになります。これが電波高度計に影響し、データが得られなくなったり、異常な値を示したりする恐れはあります。現在のいわゆる天気の良い場合の着陸では、電波高度計のデータをじっと見て飛行しているわけではありませんが、データがおかしくなると警告装置が作動して着陸をやり直す羽目になったり、霧などの際の精密進入の場合には電波高度計の値を頼りに飛行しているため、これがおかしいとなると着陸をあきらめ別の空港に向かわなければならない羽目になったりしそうです。
皆様、機内では携帯電話については電源を切るか、機内モードでのご利用をお願いいたします。
地震調査委員会「ギリギリで津波起きなかった」
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回は地震の揺れが強かった割には津波がほとんど発生しなかったことをもって”偶然に幸いして”という言い回しになったと想像されるほか、スマトラ島沖地震によるアウターライズ地震の例を引き合いに出していることからも津波が発生する地震について特に意識していることが分かります(ただし、スマトラ島沖の関連地震では特に巨大というほどの津波は観測されませんでした)。
特に明治三陸地震や昭和三陸地震では地震動そのものは小さかった割に、今回とは逆で大きな津波が発生した例として挙げることができます。今後は地震動が小さい割に大きな津波を発生させるような地震が発生する恐れがあり、今回の事例を一般化しすぎず、また関連する地震が発生しうると認識しておいたほしいというメッセージであるように聞こえました。
「10年間は東日本大震災の余震続く」 宮城・福島で震度6強
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
もう 10年経ったのに、さらに10年なんて、もうなんでもありなんだなと投げやりな気持ちになった方もおいでかもしれませんが、おそらくこの発言の念頭にあるのは、海溝型地震であった1896年の明治三陸地震に関連する地震として1933年に発生した昭和三陸地震です。前の地震から実に40年近く経ってから、海溝型地震の応答として発生するアウターライズ地震として発生し、地震動に比べ大きな津波が発生し、明治三陸地震からようやく復興を果たした三陸海岸に再び大きな被害を与えました。
海溝型の巨大地震は、およそ数百年の周期で発生しますので、余震や関連する地震も数十年にわたり影響することがあり、このことをもってまだまだ東日本大震災の影響は残りますよと言っているものとみられます。
海溝のそばに住む私たちにとって、それが余震であるか否かはあまり大きな意味を持ちません。数年おきにM7台前半の地震、そして30〜40年に一度のM8近い地震、そして数百年おきに発生するM8台後半の巨大地震、それぞれとうまく付き合っていくしかありません。その土地がもつ危険度が、自ら許容できる範囲であるのか否かをきちんと確認し、仮に超えていたらどのような対策でそれをクリアできるのか、きちんと考えることがまずはその第一歩ではないでしょうか。非常持ち出し袋や防災グッズを買っておしまいではなく、常に考え続けることがもっとも必要なことということもできます。防災対策に向き合う、よい機会としていただければ幸いです。

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