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雪が減り続けるこの地球で、スノーコミュニティから何ができるのだろう
flumen - フルーメン
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
温暖化により雪が減るよ、ということはずっと以前から言われていたところだと思いますが、気象分野では具体的にどのような影響があるのかということの研究はそこまで進んでいませんでした(「本当に温暖化しているのか?」といった問いに答えることを優先していたということもあります)。 例えば日本周辺で言えば、北海道の内陸を除けば温暖化が進むと顕著に積雪量が減少します。温暖化により雪が雨になる効果が出てくるためです。ただしドカ雪の頻度は特に本州の山岳部や北海道の内陸で増加する可能性があるという研究があります。 雪質も変化し、現在パウダースノーの地域では気温の上昇により湿った重たい雪に、現在は湿った雪となっている場所ではそもそも雨に変わってしまうと考えられています。 雪を利用する産業はスキー・スノーボードだけではなく観光資源として裾野が広いものですし、一方で災害をもたらす存在としての雪という意味でも、湿った雪が増えたりドカ雪の頻度が増加するというのは聞き捨てならない話であると思われます。 すでに地球温暖化は進行しており、今すぐに一切の二酸化炭素排出を停止しない限りは今後も温暖化はさらに進行します。21世紀末までに3℃程度の温度上昇が起こるのは避けられないのではないかというのが関連する研究者の中で割と多数派を占めている状態です。 ある程度の温暖化はもう起こるものとして、雪を利用する側としてどのように考えるかというところを問われるタイミングに来ているように思われます。 日本国内のスノーコミュニティとしては、北海道に残る環境をいかに残すか、また雪がなくなるであろう本州のスキー場についてどのような使い方ができるのか、どのようにスノービジネスを残すのかということを考える段階なのではないかと思われます。サマーゲレンデやグラススキーというスポーツもありますので、逆にそのような温暖化への適応策を提示するのもコミュニティに期待される役割なのではないでしょうか。
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“いわくつきの機種”なのになぜ? JAL・ANAら3社「ボーイング737MAX」相次ぎ導入決めたワケ
乗りものニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
737MAXについては結局日本の航空各社が唾を付ける形になりました。理由はいくつか挙げられますが、 ・既存の737-800を増備したくても、中古市場に頼るしかないこと(すでに737-800は新造していません)。 →中古機での増備は、機体の仕様が既存の機体と違う場合が多く、改修に結局費用がかかります。リース機である場合にはリース主との調整も割と面倒です。 ・A320シリーズは計6000機のバックログ(納車待ち)を抱えており、今からオーダーしても納車まで下手をすると5年程度かかりそうなこと。 →対して737MAXも5000機程度のバックログがありますが、これは737MAXの運航停止やその後のコロナにより納車を遅らせた航空会社がいたためで、今からオーダーしても来年には納車される見通しと報道されています。 ・737MAXは既存の737-800とパイロットや整備士の資格が共通化されており、新たに資格を取り直す必要がなく、ある日は737MAX、ある日は737-800というように自由に複数の機種を取り扱えること(A320シリーズも、中に細かい派生型がありますがそれらを区別しなくて良いのと同様です)。 つまり今からオーダーをかける737-800ユーザーである日本の航空会社としては、実際のところ737MAXしか合理的なチョイスがないというのが実態です。全ての737-800を置き換えるほどのオーダーでないというのは、エアバスのバックログの残り方をみて、どこかでエアバスに切り替える可能性を残してのものでしょう(そのほうが価格交渉などで有利に立てるため)。 事故を起こした機種で、不安であるという声もありますが、運航停止を経てから再度適切な対応により運航を始めた機種は、最近では787が挙げられます。バッテリーの不具合により発火していたのは記憶にあるかと存じます。過去にもDC-10でも貨物室ドアの不具合や、エンジンの脱落による墜落事故が発生し運航停止となるなど、今では当たり前となっている機種でもデビュー当時にはその安全性に厳しい目が向けられたものもありました。737MAXも運航再開後、特にトラブルが発生しているという話は耳にしません。新しい時代を担ってくれることを期待します。
突然の緊急脱出、あなたが乗っている旅客機で乗客は適切に誘導されるのか? ドアの数より乗務するCAが少ない日本の航空各社
JBpress(日本ビジネスプレス) JBpress 最新記事
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
緊急脱出の時に怖いのは、パニックとそれによる乗客の停滞や逆流、また脱出スライド周辺での混乱です。ですからその逆に、誘導に従い整然と脱出すれば問題ありません。客室乗務員もそのために訓練を受けているわけですから、そりゃ客室乗務員も人間なので不安ですが、それを跳ねのけてこそのプロでしょう。 また90秒ルールについては、実際に脱出するときのルールではなく、機体設計時のルールです。整然と脱出すれば老人子供が一定数いてもちゃんと90秒で脱出できるように設計されており、実際に実機を用いて一般人によるテストも行っています。 とにかく緊急脱出などとなってしまった場合に乗客の方にお願いしたいのは、 ・大声を出さない(客室乗務員の指示が全員に伝わるように) ・我先に脱出しようとせず、順番に出る ・荷物は持たない(飛行機に乗るときにはなるべく現金は少なめをお勧めします) ・スライドはまっすぐ前を向いて上体を起こして滑る(スキーなどもそうですが、しっかり前傾姿勢くらいの気持ちで滑るのが最も安全です) ・着地はドスンと落ちてしまうのではなく、そのまま走って逃げるつもりで立ち上がる これだけで緊急脱出は安全に行うことができます。やはり緊急時には様々なトラブルが発生し客室乗務員の人手がとられてしまうのが実態です。整然と並んでさっさと逃げる、という意識を持っていただければ、結果的に安全な脱出ができます。恐れ入りますがご協力をお願いします。
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【業界激震】中国大手航空会社が輸送力世界1位 急成長の理由 日本に勝機は?
ビジネス+IT
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
いったん自分の専門外の海運は外し、航空に絞ってコメントします。 論点はいくつかに分けられますが、とりあえず表面的なところでいくと、以下の3点はツッコミどころです。 ・コロナの前後でエアラインの母国別のRPKや、空港別の貨物取扱量に根本的な順位の入れ替えなどは生じていません。 ・RPKというのは有償旅客数×輸送距離で得られる数字であり、いわゆる輸送実績であり輸送力そのものではありません(輸送力だけならASKという、座席数×輸送距離の指標があります)。 ・2020年はコロナ禍であり国際線がほぼ全滅という状況でしたので、RPKが高くなりやすい国際線がなかった環境下でRPK世界一になっても激震どころか一切の驚きすらありません。 また、RPKを使うことで日本のエアラインの現状や、日本の航空政策の問題点を描こうとしているようですが、結局言いたいことが言えていないように思われます。 雑な言い方をすれば、日本のエアラインの路線網の広さ(≒RPKの大きさ)は日本企業の強さとほぼ比例します。日本企業が国内回帰の動きを強めれば、当然日本のエアラインとしてはメインの客層がいなくなるので路線網が減ってきます。例えば大阪や名古屋を発着する国際線の路線網は、1980年代と2000年代以降ではまったく景色が異なります。関西や中部空港が開港して以来、国際線は外資系航空会社に頼りっきりなのが現状です。こんなことではRPKが世界のエアラインに後塵を拝するのも当然と言えます。 コロナ禍もあり、日本企業のビジネス需要に頼らず、インバウンドをはじめとした外需をどのように取り込むかということを真剣に考えるべき、というのが日本のエアラインの課題です。 また、航空政策の問題点という意味では、やはり空港が圧倒的に不足しています。たとえば成田は東京の玄関口に徹するのではなく、国際線の乗り継ぎ需要などを広く取り込むような(典型例ですがシンガポールのような)空港を目指すべきなのでしょう。しかし現状は東京の玄関口としての需要を満たすのでやっとという状態で、夕方のラッシュアワーには飛行機がターミナルを離れてから実際に離陸するまで1時間近くかかることもありますから、とにかく滑走路整備がないことには話が進みません。
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温室効果ガス、2035年までに6割削減が必要 国連IPCC報告書
毎日新聞
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
IPCCは各国の政府担当者や研究者により、主にCO2による気候変動について、最新の科学的知見の評価を提供しています。今般、第6次評価報告書の統合報告書が採択されたというニュースです。第5次評価報告書は2014年に採択されていましたので、9年ぶりに新しい内容の評価報告が正式に出されたということです。今後はまた第7次評価サイクルに入ることとなりますが、その内容が固まるのは少なくとも5,6年後となります。 例えば今回の第6次評価報告書の中身については評価サイクル中に順次公開されており例えば「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とされる内容がすでに2年前に公開され、報道されました。これを受け、日本政府としても2050年カーボンニュートラルに向けた成長戦略としての長期戦略を閣議決定しています。 ところで今回の報道で唐突に持ち出された印象がある1.5℃目標ですが、これは第6次評価サイクルから追加されたもので、最も温暖化対策が進み、21世紀末における温度上昇を抑えられた(優秀な)シナリオとしてSSP1-1.9という名前で設定されたものです。これを達成するには、2050年ごろのカーボンニュートラルは当然として、さらに2030年代初頭までに現在のCO2排出量の半分程度か、それ以下まで減らさなければならない、ということが今回の政策決定者向け要約に盛り込まれました。 蛇足ながら現状の欧州、米国、中国など先進国同士の足並みの乱れを考慮するとすでに最優秀シナリオは達成の見込みが低く、頑張っても中等度シナリオ(SSP2-4.5)程度ではないかという見込みが研究者では支配的となってきており、21世紀末までに地球の平均気温は2.7℃前後上昇してしまうのではないかと言われています。 すでに進行している温暖化を減速させ、一定水準に抑えるには、21世紀末までの持続的な取り組みも大切なものの、やはり今温暖化に突き進んでいるその慣性力を止めるために、特に現在から10年先までの間に大きなイノベーションと抜本的なCO2排出量の削減が進む必要がある、と政策決定者の尻に火をつける内容となっています。日本や米国ができることは、欧州主導によるCO2排出削減の取り組みを訝しむよりも、CO2を削減する抜本的な仕組み作りにあるのではないでしょうか。
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サウジが新国営航空設立、皇太子が正式発表
Reuters
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
これでサウジアラビアには2つの国営航空会社(いわゆるフラッグ・キャリア)が存在することになり、UAEのエミレーツ航空とエティハド航空のような形となります。UAEの場合は、そもそもが複数の王様のいる国の連邦なので、ドバイが中心となってエミレーツ航空を、アブダビが中心となってエティハド航空を設立したという経緯があります。 サウジアラビアの場合も既存のサウジアラビア航空は西の商業都市であるジェッダ(メッカの近隣)を中心とした路線網を持っています。もちろん最大都市であるリヤドが手薄だというわけではありませんが、リヤドを中心とする航空会社を別に作ることで目的意識を新たに保ちたいというところが理由であるように思われます(イスラム教の国の航空会社において巡礼需要があるジェッダは特別儲かる路線で、儲けだけに集中するとリヤドの都合が二の次になることもあり得るからです)。 CEOに据えた人物は記事にもあるように2018年から昨年までエティハド航空のCEOを務めた人物であるほか、2013年から15年まではアブダビの空港公社のCEOも務めた人物であるということで、まさにUAEのように都市をベースとした空港・航空会社の運営・拡大を行うという意思の表れであると感じます。 なお塩崎プロがコメントされておられるように、リヤドの現空港は滑走路が2本ですが、これを滑走路を6本有する空港に拡張し、空港のデザインそのものを大きく変えて空港の名前も変えてしまうという計画をすでに今年1月に発表しています。リヤドの人口自体も2030年までに現在の3倍を目指すということですから、都市を発展させる計画を実行するにあたり、そこへ人々を呼び込む交通手段としての空港や航空会社が必要であるという判断だと考えられます。
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タワマンや巨大構造物が大揺れ 新たにわかった「遠くからやってくる長周期地震動の脅威」と「機械学習の威力で地震の予測が完成する日」
現代ビジネス[講談社] | 最新記事
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
長周期地震動があるとタワマンが折れる!というのはもちろん言いすぎですが、倒壊の恐れが全くないわけではありません。現状の多くの高層ビル側が想定している揺れよりも数倍強い長周期地震動が来た際に、地盤などが悪く建物と共振が発生してしまった場合に高層ビルの倒壊という事態がありうるということは2013年の防災科学技術研究所の実験により示されています。 ですがポイントはそこではなく、そもそも地上が大した揺れではなくとも高層階で大きな揺れになるような長周期地震動をどのように(緊急地震速報的に)把握して警報を出そうか、という話になります。 例えば東日本大震災においては、大阪の55階建ての高層ビル(咲洲庁舎)では地上が震度3であったのに対し上層階の地震計は震度5~6相当の揺れであったというデータを示していました。これにより天井の落下や床の亀裂などの多くの破損個所や防火扉の破損、エレベーターの閉じ込めの多発など長周期地震動のもたらす悪影響が浮き彫りになりました(蛇足ながらこの建物についてはその後揺れを軽減するダンパーを取り付けるなどして改修されました)。 いずれ来ると言われる南海トラフ地震の場合、今度は関東地方がこれに晒されることになります。もともとの揺れ自体も大きく、長周期成分も多いので地上も大揺れだが上層階はそれを上回る揺れということがあり得ます。これに対して適切に緊急地震速報的に警報することができれば、上層階の人も身構えて机に隠れるなどの対応が取れます。揺れが来る直前にエレベーターを安全な位置で止めることもできるでしょう。 ちなみに、今年2月1日から気象庁発表の緊急地震速報には長周期地震動階級3を対象として緊急地震速報を発表するようになっています。東日本大震災と同じ地震データを使ってシミュレーションすると、大阪府南部があらたにこの領域に入るということです。
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「世界一厳重な航空会社」成田に就航! 普通の会社と何が違うのか? イスラエルの国営航空
乗りものニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
エルアル航空は世界一厳しい保安体制で有名ですが、1960年代から70年代にかけてパレスチナ勢力による複数回のハイジャックや日本赤軍によるテルアビブ空港での銃乱射事件(これも背後にはパレスチナ勢力がありました)を経験しての措置となっています。また客室の床材は通常はアルミ製のところが鉄製であると言われており、爆発物に対する耐性を高めてあるともっぱらの噂です。 また2002年にイスラエルの別の航空会社の機体がケニアで離陸直後に携帯型防空ミサイルで狙われる(2発発射されたものの幸いにして外れた)事例があり、これによりイスラエル当局が国内の航空会社に対し、フライトガードと呼ばれるフレアをデコイとして用いるミサイル回避システムの搭載を義務付けました。また最近ではレーザーを用いたミサイルの妨害装置も開発されるということで、今後はこちらが搭載されることになるかもしれません。他国の大統領専用機やVIP機にも採用実績があります。 床材を強化したり、ミサイル回避システムを搭載したり、余計なものを載せるとその分ペイロード(お金を稼げる搭載物)の量が減るわけですが、それをしてでも安全を守らなければならないという事情がある航空会社です。世界広しと言えどここまでの保安対策を行う民間航空会社はありません。一度乗ってみてその意味を考える機会をもっても良いかと考えています。
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米司法省、ジェットブルーのスピリット買収阻止求め提訴 運賃上昇など懸念
Reuters
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ジェットブルーはここ数年規模の拡大を急いでおり、たとえば2016年にもヴァージンアメリカの身売りがあった際にもアラスカ航空とともに買収を名乗り出たものの、結局アラスカ航空に競り負けるということがありました。今回もそもそもスピリットとフロンティアという、超LCC(ULCC)同士の合併に待ったをかけ、敵対的TOBにて買収したものです。 また、ジェットブルーはアメリカン航空とのコードシェアを伴う提携についても独占禁止という視点で司法省と係争中ですが、規制当局と喧嘩してでも規模の拡大を急いでいるということになります。 (規制当局と表立って喧嘩することはない日本とは対照的ですが、米国では割と日常的で、そのあたりのとらえ方の違いはあります) ジェットブルーとしては既存大手(デルタ、ユナイテッド、アメリカン、サウスウエスト)でシェアの80%を占める状況をなんとか打開したいという考えがあり、それにはまずとにかく受け皿として便数を多く確保したいという考えがあるように思われます。そのためには、機材や乗務員を持っておりすでに運航している会社を買収するのが手っ取り早いので、やや強引でも押し通したい意思を感じます。 コロナを通してパイロットをはじめとした航空業界の人員不足も問題になっており、できるだけ短い時間で養成できる人材を求めているということも背景にあるものと思われます。 似たような例としては2013年のアメリカン航空とUSエアウェイズの合併の話があり、その際にやはり司法省と係争案件となりましたが、その後両社の持っている発着枠を返上させ競売にかけるという手段で和解したこともあります。ジェットブルーとしては話がこじれても最悪その程度でいけるという読みもあるのでしょう。
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ANA、郵船の航空貨物子会社を買収 サプライチェーン高度化に対応
Reuters
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
NCAは1978年の創立から2005年まではANAは共同出資者として名を連ねており、いったん出資関係から外れた時代もあったものの、2018年に整備関連のトラブルがあって以来再びANAとの業務提携を行う関係となっていました。またコロナにより航空貨物はリーマンショック後の過当競争状態から一転して好況となり、NCAはここ数年は「空前の利益」をあげているともっぱらの評判でした。当然そうそう安い値段で買収されるはずもなく、ANAはお金あるんだなぁ、というのが私の最初の感想でした。 ANAにしてみると、コロナにより旅客需要が大きく落ち込む中で経営の多角化がテーマとして打ち出されており、航空貨物についてもANA Cargoというブランドで展開してはいたものの、貨物型の777が2機ではどうしても市場シェアの拡大に限界があったことと、旅客型から改修した767が経年機であり今後置き換えが必要であったことなどから、この際NCAをまるごと買収してANAの事業ポートフォリオに組み込んでしまおうという考えがあったものと考えられます。 ですが航空貨物もそう簡単にバラ色の未来が開けているわけではなく、コロナ禍を経て世界の航空会社が同じように事業の多角化を図っていることから、再び過当競争に陥る危険性が大いにあります。そうした時には高コストの747を持っている航空会社は不利に働きます。 先日も北九州空港の滑走路延伸のニュースがありましたが、TSMCの熊本進出に代表されるように今後製造業の国内工場の新設が見込まれることから、こうした工場からの輸出入を担当するという見込みをもっているのかもしれません。
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航空会社のウソ次々明らかに。Apple「AirTag」が暴いた驚きの真相
AppBank
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ロストバゲージは航空会社にとって永遠のテーマかもしれません。理由が航空会社側の理由だけでなく、航空会社でない空港の職員や設備に起因する不具合であったり、別の乗客により間違えて持っていかれてしまう場合もあるからです。米国のデータでは0.5%程度の確率で手荷物の取り扱いに問題が発生しているという報告もあります。 特に手荷物がなくなりやすい状況としては、例えば複数のターミナルがあるような大きな空港で、航空会社をまたがるような乗り継ぎを行う場合、荷物をスルーで預けたままとすると、当然荷物は空港の職員の手によってターミナル間を運ばれることになります。その過程でミスが発生しやすいです。 また荷物についてどこにでもあるような特徴がない状態の場合、間違えて他の乗客に持っていかれてしまう確率も高くなります。誰が間違えたか分かれば良いのですが(たいていは本来の自分の荷物が忘れられるので分かりますが)、分からないともう事件は迷宮入り覚悟となります。 ロストバゲージとなりにくくするには、乗り継ぎの時はいったん手荷物を引き取る、過去のフライトで使ったシールやラベルは剥がしておく(誤認識を防ぐ)、カウンターで手荷物を預ける時につけるタグは、番号や行き先が間違いないかタグと半券の両方をしっかり確認する、割と派手なスーツケースベルトを付けるなどして目立たせる、などといった対策があります。 またロストバゲージした時のダメージを減らすという意味では貴重品や目的地ですぐに使うものはそもそも預けない(最近は手荷物はテロ対策もあり一定の割合で開錠していますので貴重品は厳禁です)、手荷物に名前や連絡先を書いたタグを取り付ける、手荷物の写真を撮影しておくなどの対策があります。 AirTagを付けるのは後者の分類かと思いますが、まずはロストを防ぐ前者の対策(特に乗り継ぎは鬼門です)をきちんと実施すると、確率をぐっと下げることができます。
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【新分野】太陽と宇宙線から地球の天気の謎を解く
NewsPicks編集部
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
天気、というよりもこの場合は毎日の天気の積み重ねとして、気候学と分類される研究分野となります。太陽の活動が低下すると寒冷化するということは感覚的に捉えやすい話ではありますが、ではそれがどのようなメカニズムで発生しているのかを明らかにし、また太陽の活動をどのように毎日の天気予報や将来の気候予測に反映するかということはこれから研究を積み上げていかなければならない分野です。 太陽が極小期の場合に寒冷化するメカニズムは、単に太陽からの放射熱が減少しているというだけではなく、地球側のフィードバックが効くことで、より大きな作用として現れるからではないかと考えられます。フィードバックの黒幕として真っ先に疑わしいのは、例えば雪や雲の面積が増えることで太陽の光を反射してしまうということです。 太陽活動が低下した結果として宇宙線が地球に入りやすくなり、その結果赤道熱帯域で雲が発生しやすくなっているということは突拍子もないように見えますが大いにありうると感じています。宇宙線や放射線が私たちの生活空間でも飛び交っていることを見た目に確認するために「霧箱」という実験装置を使うことがありますが、それはもともと霧が発生するのに必要な空気中のチリが一切ない環境でどうなるかを確認する実験であったことに由来しています。非常に湿った環境を用意しておくと、霧が発生するのに必要なチリがなくとも宇宙線などが通過した跡に霧が発生するということで、これは地球上のほかの場所で発生してもおかしくないと感じています。 今後の研究はこうした過程がまず当たっているのかを検証しつつ、物理式ではどのようになるのかも見極めて、実際の気候学モデルに組み込んでどのような結果が出てくるのかを研究することになると思われます。大学院生などもフルに動員して研究したいところですが、他の大学との共同研究という形を取るおつもりかもしれません。
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パイロット不足を解決する「AI旅客機」と航空機メーカーの挑戦
Forbes JAPAN
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
現行のいわゆるジェット旅客機のコクピットは、パイロットを二人必要としています。大雑把な言い方をすれば、一人が操縦を担当し、もう一人がその操縦をチェックしつつ管制官との通信を行います。 自動操縦についてはほとんどすべての場面で使用することができ、操縦を担当しているパイロットも離着陸の場面以外はMCPと呼ばれるコンソールを中心に操作しています。着陸も視界が悪い場合などに自動で行うことがありますが、離陸は自動で行う手順とはしていない航空機メーカーが大半と思われます(離陸中にエンジン故障が発生した場合などのとっさの判断を自動で行えない建前のためです)。 また、パイロットは例えば飛行しながら飛行計画との風の強さの差を読み取ったり、前方に積乱雲があって回避しなければならないかといったことを考えたり、前を飛ぶ他社機の動向を捉えて追い抜けるかを計算したりしながら飛行しています。駐機場周りでは地上の係員とのインターホンでの会話もあります。 こういった現状から考えると、まずは「操縦を担当する」パイロットをAIで自動化することになるのでしょう。もちろん離陸の時のとっさの判断くらいは安心して任せられるものでなければなりません。また、管制官との通信も人間が行うのではなくAI同士でやり取りしてもらったほうが良いでしょう(結局管制官からの指示を入力する手間と、ミスを生じさせる隙が生じてしまうため)。そして巡航中の風が思ったよりも強いから飛行計画と異なる高度を飛行したり、積乱雲があるので事前に回避したりといった作業も、パイロット任せではなくAI側から提案してほしいものです。駐機場周りの会話も、ほぼすべてAI同士というのが望ましいです。 これでようやくパイロットを一人にすることが可能になるフェーズかと思われます。パイロットは基本的にはAIによる操縦をチェックし、AI側からの質問(積乱雲を回避するか等)に答えるということが仕事になります。 さらにAIをチェックするAIが出てくると、いよいよパイロットは機内にいる必要はなく、地上側で複数の機体をまとめて統括するような場所があれば良い、という発想になってくるものと思われます。 パイロットが行っている作業そのものだけではなく、管制官などとのやり取りなども含めてAIで置き換えてもらうことが必要です。
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北九州空港、3000メートル事業化へ最終調整 国交省
毎日新聞
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
北九州空港は2006年に現在の場所に移転しましたが、これは関門海峡航路の浚渫土砂の処分場の上に作られており、空港建設のために埋め立てをしたわけではない点で費用は大きく節約できている数少ない例となっています。今回話題となっている滑走路の延伸についてもすでに土地はあるため、滑走路の舗装などの工事を行うのみで良いという感覚になります。 近隣の福岡空港の滑走路は2800mで、現在増設している滑走路も2500mの予定であることから、北九州が3000mとなると長距離路線が直接就航できるという意味ではアドバンテージとなります。同じ九州では近いのは大分、熊本、長崎あたりが3000mで、中国地方では広島や岡山が3000mの滑走路を持っていますが、24時間運用できるのは北九州のみですから深夜便や貨物便を中心にメリットが大きい空港ということができます。 滑走路が500m長いと、例えば747の場合は離陸重量で4,50トンは増やせるイメージになりますので、現在は中国や東南アジアが多い貨物便についても、今後は北米やヨーロッパ狙いでアラスカ、性能が微妙ですが北米直行もできるようになるかもしれません。 九州がシリコンアイランドと呼ばれたのはすでに歴史でしかないのかも知れませんが、当時に比べれば国際物流へ向けた環境は格段に良くなっています。日本の製造業が元気になってくれると航空業界にも利益が大きいので、期待しています。
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北海道 根室市 標津町で震度5弱 津波の心配なし
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
北海道根室あたりの嫌な場所での地震でしたが、気象庁報道発表によると震源の深さがやや深く63kmとされています。今回の震央におけるプレート境界は40-45kmくらいのところにありますから、プレート境界型の地震ではなく、沈みこむ太平洋プレート内での地震であると考えられます。発震機構も北西ー南東方向に圧力軸があるのですが、プレートの沈み込む方向とは向きが異なりますのでこの面からもプレート境界ではなさそうということになります。 思い起こされるのは今回の震源域では千島海溝沿いのプレート間巨大地震がまもなく発生する可能性が高いと考えられている点ですが、例えば東日本大震災で2日前と前日にそれぞれM6を超える前震がありましたが、本震も含めてすべていわゆるプレート境界で発生していた地震でした。プレート境界型でない地震がプレート境界型の巨大地震の直接の前震になるというのはちょっと考えにくいですから、その点は短絡的に考える必要はありません。 ただしこのあたりはプレート境界の海溝型だけでなく沈み込む太平洋プレート内部での地震(スラブ内地震)もM7やM8など規模が大きくなる傾向があり、例えば1993年の釧路沖地震(M7.5)や、1994年の北海道東方沖地震(M8.2)という例がありますので、巨大地震でないから問題ないと言えるものでもありません。地震本部の発表する長期評価においても、プレート内地震として30年以内の発生確率が、やや浅い領域でM8.4前後で30%程度、やや深い領域ではM7.8前後で50%程度と見込まれていますから、これも念頭に置いておく必要があります。用心しておくのに越したことはありません。
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空港職員不足、国交省が支援へ…各地で保安検査待ち時間1時間超
読売新聞
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
これは24日に国土交通省で有識者会議「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」が設置されることを受けた記事ですね。目的は航空機の運航に不可欠な空港業務(グランドハンドリング・保安検査)の持続的な発展に向け、人材確保やDX化・GX化などについて地域の関係者一丸となった取組を推進していく、とされており、今後数年にわたり会議の場が設けられ、最終的に何らかの提言を行ったり、一定の政策を行うに際しての助言をしたりするのではないかと考えられます。 大局的な考え方から言うと、航空業界における空港業務の位置づけの変化を受けての政策面での支援ということが言えます。 以前の日本の航空業界では空港はただの箱モノとして存在するだけで、そこに航空会社が中心となってグランドハンドリングや保安検査などの機材や人員をそろえて運用しているような形態をとっていました。例えばJALとANAとJASが就航している空港なら、それぞれがチェックインカウンターや手荷物の仕分けベルト、保安検査機材などを導入して、それぞれが空港で働く人を雇って(必要に応じて合弁企業などと言う形で子会社を設置して)おり、良くも悪くも縦割りがきっちり分かれた構造になっていました。 昨今の空港民営化の動きや、こうした縦割りを解消して航空会社によらず空港業務を効率化しようという動きがあり(保安検査についても責任を航空会社から空港に移管する途上にあります)、その中でどのように人材確保や生産性の向上を図っていくのかという課題について、解決の糸口を探るのが今回の有識者会議なのではないかと考えています。 おそらく今後も人員不足が根本的に解消するようなことはなく(流動的な雇用実態であることや、自動化が進めば人員が不要となるであろうことは見透かされているため)、各社で人材を流動的にやり取りできる仕組みづくりや、人材自体の多能工化、また業務自体の自動化を同時に進めていくことになるのでしょう。 世界的にはそもそも空港業務はいわゆる空港会社で総合して行っていて、航空会社は利用料を払ってその仕組みに乗っかるだけという風に上下分離が進んでいる国もあり、ゆくゆくは日本もこうした業態に変化していくものと思われます。
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南極の海氷面積、2年連続で過去最小を更新 科学者ら「終わりの始まりか」
CNN.co.jp
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
南極はそもそも大陸ですので、海氷は大陸の周囲の海に発達する形になっており、夏と冬での季節の差が大変大きくなっています。夏にはそもそも西南極の高緯度地方や、ウェッデル海周辺などにわずかに存在するのみですが、冬には南極の周りをすっぽりと覆い、海氷面積だけで南極大陸と並ぶほどの大きさになります。南極の周りをぐるりと取り囲む海流があることも一つの理由です。 実は南極の海氷面積については記事中にもあるように、地球全体としては温暖化が進行しているのにも関わらず増加する傾向が10年ほど前まで見られていました。ただし標準偏差の2倍の範囲内でしたので、自然変動の範囲といえばそれまでかも知れません。そして5年ほど前からは一貫して減少傾向を見せており、今回ニュースとなった夏の海氷面積だけではなく、冬の大きな海氷面積についても年々減少傾向となっています。 南極海の海氷については、グリーンランド沖での海洋深層水の沈み込みのように、南極周辺でも海洋深層水を作り出し、海洋大循環を生み出す一つのエンジンとなっています。これが止まると地球の気候にも大きな影響があると考えられていますが、海氷はそうした循環を生みだすのに必要なものですから、あまりこれがなくなってしまうのは好ましくありません。
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