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東芝、監査法人変更で調整=決算証明、PwCでは困難
藤井 陽介藤井公認会計士事務所 代表 管理部
何たる堂堂としたオピニオンショッピング。とはいえ選択できるオプションは非常に限られている。
2017年3月期は、期中交代となり、タイミングも遅いので、交代は無理。2018年3月期からの交代すらも今からゼロベースで動いて間に合うかどうか。2017年3月期本決算を意見不表明で押し通す場合、後任監査人は期中取引どころか期首残高からチェックし直さなければならない。
EYが飛んでいる以上、後任の候補としては、KPMGかDTにしぼられる。規模や海外ネットワークを鑑みると4大監査法人以外では厳しい。とはいえKPMGもDTもそこまでリスクを取れるかどうか、、、
PwC側から次年度以降の監査継続を断ってくる可能性も有り得る。オピニオンショッピングをちらつかされて意見不表明を出すクライアントとは既に信頼関係は損なわれており、来年の監査契約を結ぶのは厳しいと言わざるを得ない。
2017年政府活動報告--人民網日本語版--人民日報
藤井 陽介藤井公認会計士事務所 代表 管理部
2017年政府活動報告の日本語版。李克強の全人代での演説を起こしたもの。誰が訳しているのか知らないが平易で大変読みやすい日本語になっている。中の人すごい。こちらの政府活動報告を読むと、共産党政府が「何を課題としていて」「どの分野に進んでいくのか」が網羅されていると共に、共産党政府の行動・思想原理が何処にあるのかを読み解くことが出来る。非常に有用だが中国語の分量が多すぎて挫折していた。
■現時点で政府が認識している課題
「~地域によって経済の情勢がばらつき、財政収支の矛盾が拡大し、経済・金融分野のリスク要因が無視できない。環境汚染が依然として厳しい情勢にあり、とくに一部の地域で深刻なスモッグが頻繁に発生しているため、対策措置をいっそう強化する必要がある。住宅、教育、医療、養老、食品・医薬品安全、所得分配などの面でも、人民大衆が不満を感じている点は依然として少なくない。採炭・建築・交通などの分野でいくつかの重大事故が発生したことは、悲痛に耐えない~」
■2017年の政策重点
①供給サイドの構造改革(三去一降一補)②重点分野(政府・財政・金融・国有企業・財産権・社会体制・生態)の改革③内需の潜在力発掘④イノベーションによる実体経済の高度化⑤農業の安定的な発展と農業収入の増加⑥対外開放の積極的・主導的な拡大⑦生態環境保護・対策の強化⑧民生の保障と改善⑨政府自体の建設強化
■所感
政策重点の内容は2016年の実施内容とほとんど変わらない。政策内容に「農業」について明示化された点が違うくらいか。2017年は中央政治局常務委員(China7)がほとんど刷新されるとされ、中央政府の人事が最大の焦点となる。不要な争い事は中国としては望まず、「安定」「穏健」といったキーワードが軸となるのではないか。
中国、GDP6・7%成長に減速
藤井 陽介藤井公認会計士事務所 代表 管理部
過去の中国の成長率からみれば6.7%という数字は「26年ぶりの低い伸び率」ということになるかもしれないが、2016年の世界及び中国の環境下において6.7%を維持したのはある意味驚嘆に値する。裏を返せば、6.7%ですらも達成するのは大変だったということになる。
6.7%を維持したのは主に不動産と自動車である。不動産については2月に住宅ローンの頭金比率を引き下げて抑制を緩和した結果、一級都市で一部で投機的な動きが広がった。10月にまた住宅ローンの頭金比率を引き上げて抑制したものの、年内までは顕著な効果は出なかった。不動産の失速は2017年に遅れて訪れるものと思われる。また自動車についても軽自動車に対する減税が行われたが、当該減税は2017年に失効するため、こちらもまた2017年の需要を先食いしたものと思われる。
2017年は6.7%をさらに下回るとされているが、習近平政権は2020年の国民一人当たりGDPを10年の2倍にすることを公約としており、この達成には平均年率6.5%以上の成長が必要とされる。経済成長率の速度によっては財政政策も辞さない構えとみられるが、結果的にその行為は13次五ヶ年計画のキモである「供給サイドの構造改革」とは逆行する形となる。
中国、成長目標引き下げ=6.5%前後に-ロイター報道
藤井 陽介藤井公認会計士事務所 代表 管理部
「6.5%」という数字も決して安定的に達成できる数字ではない。
2016年に経済成長率6.7%を実現できたのは、民間投資主体の実体経済が強かったからではなく、資金が不動産投資に流れ、不動産市場が(異常に)活性化したからである。一方不動産価格高騰については共産党政府も強い懸念を抱えており、価格抑制のために2016年10月から様々な不動産価格抑制政策を出している。その結果はおそらく2017年に遅効性で効いてくることとなるが、現状の実体経済の弱さに加えて不動産投資まで縮小した場合、6.5%を維持するのは困難だろう。
アップサイドを促す政策として、財政支出拡大を行うだろう。引き続き政府主導のインフラ投資は2017年も高い伸びが予想される。また、不動産市場については抑制一辺倒ではなく地域ごとに緩和政策を取るなどして、経済の活性化に繋げるだろう。
2017年は第二期習近平政権の顔ぶれを決める党大会が開かれる年なので、万が一にでも経済に綻びが出てはならない。6.5%という数字は決して安定的に達成できる数字ではない「ものの」、最終的には辻褄が合うようになると思われる。
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