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「インバウンド復活」が良いニュースだけではない理由
唐鎌 大輔株式会社みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
インバウンドが日本にとって唯一、能動的に稼げる外貨の経路であることは間違いなく、これを追い風とすべきという論調も正しいと私は思います。一方、インバウンドを支える宿泊・飲食サービスにまつわる供給制約は今後、インバウンド需要の拡大と同じかそれ以上にクローズアップされてくるはずです(既にニセコが満室営業を放棄したニュースなどが出ています)。
REERが半世紀ぶりの安値をつけたことで、日本人の旅行需要も国内に限定されつつあるため、余計に需給は逼迫しやすくなっています。功罪を分析したところで進めるしかないという結論にはなりますが、どこかで政策的に手を入れてインバウンドを制限するなどという事態も決して絵空事ではないように思います。サービスを提供する側に立てば「無い物は無い」わけですから。
「円高はやってこない」FRBが利上げをやめても
唐鎌 大輔株式会社みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
少なくとも年末年始時点の各種調査(※)では「3月、遅くも5月に米利上げ停止で円高が始まる」という見方が大勢でした。まだ1年の3分の1しか終わっていませんが、実際に起きたことはFRBの利上げ軌道はコンセンサス通りで円安が進みました。
この1年、拙著「強い円はどこへ行ったのか」や東洋経済を含むコラムを通じて「米金利も重要だがもっと需給を見た方が良いのでは無いのか」という問題提起をさせて頂いてまいりました。今もその問題意識は大きく変わっていません。
※例えばダイヤモンドの以下調査はわかりやすいかと思います。
https://diamond.jp/articles/-/314493
円安相場は植田日銀の真意を反映したものなのか
唐鎌 大輔株式会社みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
タイトルに対するアンサーとしてはNoということになります。この1年頻繁にコメントはさせて頂いておりますが、円安相場の背景は需給であり、従前のような金利に主導されたロジックだけでは割り切れないものがあります。それでも昨年末・年初と円高予想が支配的でしたが、率直に、ベテランの方ほど日米金利差を主軸として、貿易黒字を自明の前提とする相場に慣れ過ぎているため、そうしたロジック展開になるのだと感じています。時代は変わったと思います。
植田体制下の長期レビューをハト派的と受け止め円売りを進めるのは危うく、これによる動きは巻き戻しを迫られる可能性があります。総裁自身、長期レビューと目先の政策運営はリンクしないことを明言していらっしゃいます。しかし、現実問題として3か月で5兆円の貿易赤字を背負うマイナス金利通貨が騰勢を強めるのは難しいと思います。日銀云々ではなく円安を強いられるというのが実情ではないかと察します。

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