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中国、脱炭素「3060目標」で政策着々 原発や資金(写真=ロイター)
日本経済新聞
「欧米VS中国」の最前線となる台湾海峡
NewSphere
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国メディアは8月に、中国対西側の衝突を薄め、米中対立についてもっと語るべきである、と主張しています。中国が対立しているのは米国であって、欧州とは対立していないと言うのです。ですから、中国は人権問題に関する非難を緩和させるよう、文明の多様性の観点から欧州との交流を増やすべきとしています。 中国は、米国くと欧州を引き離そうと考えているのです。その中で、米英豪の軍事協力枠組みであるAUKUSができたことに対して、中国は危機感を強めています。AUKUSは、米国による対中牽制の第一段階の軍事的牽制です。次の段階で使われるのは、同じファイブ・アイズのカナダとニュージーランドでしょう。 欧州と言っても、英国とその他の欧州各国ではインド太平洋への関与の仕方は異なります。欧州各国もそれぞれに思惑があるのです。中国は、米国と英国以外の欧州各国との思惑のギャップを利用しようとしているのだと言えます。 欧州が全体として米国と軍事オペレーションを一体化させることはありません。ドイツやフランスは、それぞれの権益を確保するためにインド太平洋地域で軍事プレゼンスを示そうとしていますが、台湾有事に米国と共同作戦を取るかどうかは疑問です。やはり、軍事的には、高いレベルで情報や技術の共有ができるファイブ・アイズのメンバーが強力な枠組みを構築するでしょう。 問題は、日本が日米同盟を基盤として、これら枠組みにどう関わるかです。日本は現段階で、ファイブ・アイズに参加できるほど情報の管理やセキュリティー・クリアランス等の制度ができていません。そうした制度の構築や実質的な運用を進めることは、現在の日本では難しいかもしれません。
戦闘機の飛来、台湾「統一」緊張高まる中台関係をBBC司会者が解説
BBC NEWS JAPAN
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
9日の習近平氏の講話は、辛亥革命110周年記念大会で行われたものです。確かに台湾統一を念頭に置いて、「祖国の完全統一という歴史的任務を必ず実現しなければならない。必ず実現できる」と述べていますが、「平和統一」と「一国二制度」の基本方針を堅持するとも言っています。何より、この講話全体のトーンは中国にしてみれば非常にソフトなものでした。 共産党、習近平総書記のこれまでの成果をアピールし、これから習近平氏がどのように中国の世界強国にしていくのかを宣言しなければならなかった、7月1日の共産党結党100年記念大会における講話と、共産党こそが辛亥革命の正当な後継者であると示す必要があった今回の講話では目的が違っていたということもあります。 また、米国が米中首脳会談に前向きで、中国はこれを焦らせてより良い条件で会談に臨もうとしていますから、米国を過度に刺激するのは得策ではないと考えたのかもしれません。 しかし、講話の内容がソフトであったからと言って、中国が台湾に対する軍事的圧力を緩和した訳ではありません。さらに、中国の軍事的圧力は台湾だけでなく、それよりも、米国とその同盟国に向けた牽制になっています。 中国の軍用機が大量に(1日:38機、2日:39機、4日:56機)台湾の防空識別圏に侵入した、ちょうどその時、フィリピン東海上で、日本、米国、英国、カナダ、ニュージーランド、オランダの6カ国による海軍演習が実施されていました。 中国軍機が侵入したのは台湾の南西空域の防空識別圏で、台湾とフィリピンの間のバシー海峡に向かって飛んだのです。その先には、6カ国合同海軍演習があったということです。 中国は、AUKUSという、高度な情報共有が可能な、純粋に軍事的な協力枠組みができたことに警戒感を募らせています。今回飛行した中国軍機56機のうち、38機がJ-16という戦闘爆撃機でしたが、現在、この機体は、中国の制海権・制空権奪取のための主力であると言われています。さらに、潜水艦に対応するための対潜哨戒機も2機飛ばしています。中国軍機は海の目標をターゲットにしていたと言えるのです。 Financial Times紙が中国の極超音速ミサイル発射実験の様子を報じたばかりで、英国メディアによる中国の軍事的脅威に関する記事が目立ちます。英国政府の思惑を反映しているのかもしれません。
5Picks
台湾防空圏に中国軍56機 米の軍事連携「断固反対」
共同通信
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
56機の台湾防空識別圏侵入は異常な多さです。台湾国防部の発表では、侵入した56機のうち38機がJ-16戦闘爆撃機です。最初に4機が侵入し、その後、34機が侵入しています。 J-16戦闘機の機体は、ロシアのSu-30MKKのコピーですが、改造して、より多くの爆弾やミサイルを搭載できるようにし、対地攻撃および対艦攻撃能力を上げています。中国空軍は150機以上のJ-16を保有しており、現在、J-16が制空権/制海権を取るための作戦の主役になると見られています。 防空識別圏に無断で侵入する航空機に対するスクランブルは、1機の侵入機に対して2機で対応するのが普通です。どの程度の間隔を空けて中国軍機が侵入したのかは不明ですが、台湾空軍は大量のスクランブル機を発進させたはずです。最近は、中国軍機の台湾防空識別圏侵入が大量に繰り返し行われていますから、台湾空軍も疲弊するでしょう。 また、台湾国防部の発表を見ると、今回、中国軍機は全て台湾南西空域を飛行していますが、以前、実施されたように多方向から台湾に接近すれば、対処はより大変になります。 中国は、AUKUSが中国の対米核抑止を無力化し、中国の軍事行動を封じ込めるための純粋に軍事的な同盟と見て危機感を強めています。中国の軍事行動が封じ込められるということは、台湾武力侵攻というオプションを失うことになります。中国としては、これを許容することはできず、台湾に対してより一層の軍事的圧力を加え、中国は台湾武力侵攻を実施することができると誇示したいのでしょう。
53Picks
中国、岸田次期政権の経済安保路線強化に懸念か
産経ニュース
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国は、米国単独では中国に十分な圧力をかけられないと考え、米国と同盟国の間を切り離すことが米国の対中圧力を緩和する最も効果的な方法だと考えています。中国メディアは、「中国はもっと米中対立を強調しなければならない」としましたが、同時に「中国は欧州と対立していない」とも述べています。中国対欧米諸国という構図を避け、米中二国間の問題にすべきという意味です。 日米関係についても同様です。4月に、菅総理がバイデン大統領の協力要請に無条件で応じたと中国が捉えており、日米が一体化するのではないかとの警戒感を持っています。4月の日米首脳会談以降、日本が米国に対する宿題を抱えている状況だとも言えます。 その途中で日本の総理が交代したのですから、中国が日本の新しい総理と政権の政策に関心を持つのは当然です。日本はようやく経済安全保障に対する意識を持ち始めたところですが、中国にしてみれば、日本が、他国とは異なり、安全保障と経済を分離して考えてくれていた方が都合が良かったのです。 中国自身は、経済も資源も科学技術も総体的安全保障観という統合された安全保障体系の一部として捉得られます。米国は伝統的に「国家目標達成のために、戦争に至らないあらゆる政治的手段を用いる」政治戦を戦います。日本も、こうした視点を持たなければ、米国や中国の外交、軍事行動や経済活動を理解することはできません。 中国は他国の政治状況を詳細に分析していますが、メディアに取り上げられること自体、中国が日本の政治状況に関心を有していることを示しています。また、中国国民が読むものであることから、強気の姿勢を示しがちであることも考慮して内容を分析する必要があります。
13Picks
極超音速ミサイル発射と報道 北朝鮮、日米韓に新たな脅威か
共同通信
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
極超音速とは5マッハ以上の速度を言います。戦闘機は、最速のものでも3マッハを超える程度です。(最近では最高速度には意味がないと考えられていますが) 弾道ミサイルの弾頭は、非常に高い高度から落下するので、極超音速に達します。大陸間弾道ミサイルであれば、より高い高度を飛行するので、落下速度は20マッハに達します。 弾道ミサイルに搭載すれば、弾頭部が極超音速に達するのは自然ですが、問題は、極超音速で機動することです。極超音速で滑空し飛行経路を変えられるように機動するためには、圧力による高熱に耐える素材の技術だけでなく、空気力学的な課題を克服するための機体形状も重要な要素になります。 その形状の一つが、ウェーブライダーと呼ばれる形状です。名前のとおり、波に乗るような先端の形状をしており、中国が2019年の軍事パレードで公開したDF-17の弾頭部は、このウェーブライダーと呼ばれる形状をしています。 もう一つの形状は全翼型です。機体全体が平たいクサビのような形状をしており、米国は、この両方の形状の試験を繰り返していました。 米国でさえ、極超音速滑空体の試験には苦労しています。極超音速で安定して滑空させることが難しいのは、大気が一定ではないからです。少しの気流の変化で極超音速滑空体はバランスを崩して墜落してしまいます。 米国は、米国本土から世界中を狙える極超音速滑空体を開発しようとしており、そのために大陸間弾道ミサイルを使用するので、その弾頭部の速度は20マッハに達します。一方で、中国の極超音速滑空体は、短距離から中距離弾道ミサイルを用いた攻撃を想定しているので、速度はマッハ5から7程度です。 速度が高ければ空力的課題の克服は難しくなりますが、5マッハであっても容易だという訳ではありません。空力的課題を克服するためには、大規模な風洞実験室や高度の各種技術が必要とされます。北朝鮮が単独で極超音速滑空体を開発するのは困難でしょう。 この写真は、シルエットにしていますから、極超音速滑空体に似せた形状をした弾頭部を作成し、搭載したものと考えられます。もし、これが本物であれば、中国かロシアから技術を導入したということでしょう。
87Picks
中国、産業ハイテク化で狙う「世界の工場」の支配的地位
Reuters
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国が利用してきたハイテク技術は、サイバー攻撃による技術情報の窃取を含め、海外から取得してきたものを基礎にしてきました。米国が、違法な手段を含む中国への技術流出に危機感を強め、技術と製品の中国への移転を止める措置を取ると、中国企業は困難に直面し、中国は国内で技術を開発し製品を製造する必要性に迫られたのです。 中国では、国内でイノベーションが起こるよう種々の政策をとってきましたが、イノベーション自体は思うように起こっていません。2017年11月23日には中国科技部(科学技術省)が、2020年までに20箇所の国家イノベーション・センターを設立するとしていましたが、計画どおりには建設できなかったようです。 中国共産党19期五中全会で承認された14次五カ年計画では、改めて企業のイノベーション能力を向上させる対策を盛り込んでいます。中国政府は製造業の効率を飛躍的に上げるなどの技術を開発する企業に対して資金援助しています。 欧米諸国は自国内の重要な技術や製品、資源を守り、さらに、不足しているものを内製化しようとしています。こうした動きは、2010年代前半には中国の台頭と時期を同じくして始まっていました。コロナ・パンデミックによって各国の危機意識が高まり、改めて国境が意識されるようになっています。各国とも自国第一になっているということでもあります。 他国から技術が得られなくなった中国は、自国内でイノベーションを起こし、自ら先進技術を獲得しようとしているのです。「中国製造2025」で述べているように、中国は、強大な製造業を有することが世界強国への道だと考えており、世界強国になるために製造業を強化する新たな技術を開発しているのだと言えます。
27Picks
日米豪印、5G・半導体の技術利用に共同原則 対中国念頭(写真=共同)
日本経済新聞
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
5Gや5Gを用いたサービスを実現するためのハイレベルの半導体等を含む技術が、中国では新疆ウイグル自治区におけるイスラム少数民族を始め国民を監視する能力を向上させることにも使用されています。こうした技術が人権侵害にも利用されているということです。 また、こうした技術が、無秩序に武器装備品に使用されたり、サイバー攻撃やディスインフォメーション・キャンペーンに利用されたりすれば、世界各国の安全保障上の脅威となりかねません。 新興・破壊的技術やサイバー空間・宇宙の利用は、秩序やルールに基づいて行われなければなりません。その秩序やルールは、人権を重んじ、自由で安全な情報の利用を保障して、人々の安全で自由な活動を支えるためのものでなければならないはずです。 日米豪印は、そうしたルールを定めようとしているのです。しかし、中国にとっては、自分たちが行いたいことを妨害するものになると認識されるでしょう。中国が、日本や米国、オーストラリア、インド、さらには欧州各国とは異なる目的を持っているのだとすれば、自らの目的を達成するために有利な標準、ルール、規範を実装する競争は、簡単には終わらないでしょう。
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中国、包囲網の隙狙う=周辺国外交も強化
時事通信社
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国が「冷戦時代には戻らない」、「米中関係は冷戦構造ではない」と主張し、米国の他国との安全保障協力などを「冷戦思考」と批判するのは、米国が他国と協力して本気で中国の台頭を抑え込もうとすれば、中国が実現したいと考える中国版標準・ルールに則って動く国際社会が実現できなくなるからです。 以前、中国の研究者は、「中華民族の復興とは、中国の経済規模が世界のそれの4分の1を占めることだ」と述べたことがあります。中国の経済規模は、2020年、世界の経済規模の約17%と言われます。現在の2倍の経済規模になるというのです。また、今後10年間、中国が5から6%の経済成長率を維持できれば、2030年には米国を抜いて世界最大の経済大国となると予想されています。中国国内では、「中華民族の偉大な復興が実現する」と歓喜する人もいると聞きます。 しかし、急激な経済規模の拡大は、他国の経済権益を脅かすことにもなります。特に米国は、自国の権益が奪われることを簡単に許容しないでしょう。中国は、現在のルールは中国に不利だと考え、不満を表明しています。中国がこれ以上に経済規模を拡大するためには、中国版の標準、ルール、規範を国際社会に実装する必要があると考えているのです。 知的財産権などの領域において、中国が主導するルールが適用されれば、これまでの秩序が崩れるのではないかとも懸念されています。中国が軍事的にも優位に立てば、国際社会における影響力を増すことになります。 AUKUSは軍事的な協力を中心としたものですが、QUADは軍事同盟ではなく、より広い範囲で中国の過度の台頭とその悪影響に対処しようとするものです。一方で、中国からすれば、QUADなどは中国が目指すものを妨害するものと認識されます。 各国の国益は異なりますが、中国はこうした各国間のギャップを突くのが上手です。インドにとって最大の脅威はパキスタンで、中国ではありません。中国がパキスタンとの協力を控えるのであれば、インドは中国との緊張緩和に応じるかもしれません。 ただ、こうした緊張緩和は、その時々の情勢に応じて一時的になされるものなので、根本的な解決にはなっていません。一時的な緊張の高まりや緩和は、それぞれ注意する必要がありますが、大きな流れも見失ってはいけないと思います。
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立場分かれる「靖国参拝」外交・安保で見る総裁選
テレ朝news
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
よく、グレーゾーンと言われますが、全くの平時は存在しません。現在でさえ、各国は相互に影響力を高めるための活動をしており、中国やロシアはディスインフォメーション・キャンペーンを含めた影響力工作を実施し、政府が関与したサイバー攻撃も行われています。 また、以前に想定されていたようにグレーゾーンは直線的にエスカレートする訳ではなく、まだら模様になり、その中のどこから実際の軍事力行使に至るかが分からないのです。ただ、緊張は急に高まる訳ではないので、安全保障は国際情勢を詳細に分析するところから始まります。 さらに、AIが使用される現在、ディスインフォメーション・キャンペーンもサイバー攻撃も飛躍的に能力が向上しています。一国で対応することが難しくなっているのです。しかし、日本は欧米に比較して秘密保全などの基準が緩く、また情報の管理も遅れています。グレーゾーン事態対応が重要だというだけでは何も変えられません。 総裁選での安全保障に関する議論は一般論で、具体的な対応策などは語られていません。ミサイル防衛に関しても、敵基地攻撃能力を専守防衛の特例としてしまったのでは根本的な問題解決にはなりません。そもそも敵基地攻撃能力という言葉自体が適切であるとは思いません。コンフリクト時における敵ミサイル・システムに対する攻撃はミサイル防衛の一部です。 もちろん、日本が専守防衛を捨てるのではありません。しかし、専守防衛を戦術レベルでまで実施することにすれば、技術が向上して迎撃することが困難なミサイル等が出現している現在、日本を護ることはできません。核弾頭が一発でも都市に落下すれば、許容できないほどのダメージを受けることは、日本は一番よく理解しているはずです。 ミサイル防衛だけではありません。いつどのように事態がエスカレートするか分からないハイブリッド戦争において、攻撃的なサイバー・ディフェンスやディスインフォメーション・キャンペーン対処も必要になります。敵基地攻撃能力を特例としたのでは、他にも多くの特例を作らねばならず、その議論に膨大な時間を要することになり、日本は危機に晒されたままになります。 総裁選で安全保障に関する議論だけを深めることは現実的ではありませんが、新しい総裁、すなわち総理大臣には、いかに日本の安全を守るか、根本的な安全保障の議論を期待します。
【クアッド首脳会合】半導体供給連携で経済安保強化へ
産経ニュース
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
半導体は、これからのビジネスの重要な部分になるであろう自動運転や遠隔治療など、バーチャルの世界からリアルの世界のものを動かす技術や軍事技術を実現するものです。ハイレベルの半導体製造技術とその能力を有する国や地域は、経済的な優位を得るだけでなく、軍事的優位を得ることになり、したがって国際社会における影響力を増すことになります。 各国は、これまでコストや効率を重視して半導体等を入手してきましたが、米中対立が厳しさを増す中で、中国に過度に依存することの危険性を意識し始めているのです。それでも、米国でさえ、全ての戦略的な資源や製品を自国で生産することは難しいのが現状です。これまで何十年もかけて効率を重視した国際的なサプライ・チェーンを構築してきたのですから、それを1年や2年で変えようというのは無理な話です。 一方で、安全保障環境は急速に変化しています。本当は、その兆候はもっと以前から見えていました。あるいは、予測できたはずです。しかし、主として米国は、中国が市場経済を導入して経済的に豊かになれば政治的にも民主化が進み、国際社会において責任ある行動を取るようになると誤解し、積極的に中国の発展を支援してきたのです。現在の強大な中国を作った張本人は米国であると言って良いかもしれません。 あるいは、米国は、そのように無理矢理思い込もうとし、見たくない状況を見なかったのかもしれません。中国という市場が成長すれば、米国や国際社会に莫大な経済的利益をもたらすことが予想されたからです。しかし、中国は変わらないということは、当時から中国を安全保障の視点で見る分析者たちが指摘していたことです。 今度は、米国は、その中国が経済的にも強くなり過ぎ、米国の権益や国際社会における優位を脅かそうとする状況に危機感を高めているということでしょう。単独でサプライ・チェーンを変えることが難しければ、同様に危機感を高める日本やオーストラリア、インドと協力して自分たちの権益と優位を保とうとしていると言えます。実際、中国が国際社会に中国版の標準やルールを実装すれば、これまでのように個人や民間の組織が自由かつ安全に情報共有を始めとする活動を行えなくなるかもしれないのです。
米、ネオジム磁石の輸入制限検討 中国依存のEV素材
日本経済新聞
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
レアアースは、戦闘機やミサイル等の武器装備品にも用いられるため、過度に特定の国に供給を依存することは危険です。ましてや、米国にとって中国は戦略的競争相手なのですから、中国への依存を下げようとするのは当然とも言えます。 米国にはレアアースの鉱山があり、採掘を本格化させしています。 レアメタル、レアアースの高度の精製にはコストがかかり、市場経済の先進国ではビジネスとしては敬遠される傾向にあると言われます。そのため、米国もコストの低い中国に供給を依存してきたのだと考えられます。 米国は、米国単独で安定供給を目指すのではなく、オーストラリアとの連携を強化しています。オーストラリア企業が米国内(テキサス)で精製を行うのです。複数あるオーストラリア企業とのレアアース精製に関するプロジェクトは、米国防総省が資金を出しています。正に、中国が総体的国家安全保障観で示しているとおり、資源の安定供給も安全保障の一部なのです。 とは言え、米国がレアアースを安定して入手するには課題もあると言われます。それにも関わらず、レアアース等の中国依存を下げる制限等を先行させるのは、米国ならではです。中国に対するレアアースの依存度を下げて安全保障上のリスクを低下させるという国家目標を設定し、その目標を達成するためにどのように障害を排除するかという思考過程が米国の政策決定です。日本は逆で、どのような障害、制約、課題があるかを先に並べてから、その中で動ける範囲で政策を決めようとしますから、米国に比べて政策決定の速度が遥かに遅くなります。 資源に乏しい日本は、まず、少々のコストをかけても安全保障上のリスクを下げるという決定が必要で、米国やオーストラリアと協力して安定供給に努めるとともに、都市鉱山を活用するために、高度の精製を含むリサイクルがビジネスになるよう政府が支援する必要があります。
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