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中国主席、米に協調訴え オンラインのダボス会合で講演
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
まもなく上院で承認されて国務長官となるブリンケン氏は指名承認公聴会において中国に対して強い姿勢をとると発言しましたが、以前は「中国とのデカップリングは非現実的である」と述べています。
あるいはサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)とキャンベル国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官(新設)は、執筆した論文で「米中冷戦は米国の実力を損ねる」と述べ、米中新冷戦の回避を示唆しています。
中国は、バイデン政権のこうした発言をよく分析し、その上で、米中間の、非衝突非対抗、相互尊重、協力ウィンウィンという3つの柱を掲げています。これは、オバマ政権時に中国が米国に働きかけた「米中新型大国関係」の内容と全く同様です。「米中新型大国関係」という言葉自体は中国でも使用されなくなっていますが、中国が米国に対して求めるものは変わっていないということです。
ただ、求め方は変わるでしょう。中国は、自信をつけ、また、国内情勢からも、より積極的に、時に強硬に、米国に対応するでしょう。
米大統領報道官「対中政策変わらず」強調 「戦略的忍耐」に言及も
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
対中政策が固まらない内に、バイデン政権が「対中政策は変わらない」という強い姿勢を示すことが、米国内の支持を得るためのリップサービスに終わらないかという懸念を残します。
中国側は、バイデン政権の対中政策が固まるのは2021年秋以降になると認識しているようです。バイデン政権の喫緊の課題が、コロナウイルス抑え込みと経済政策であり、関心が気候変動問題にあるからです。
中国は、それまでの間に「能動的に動く」ことができれば、米国が対中政策を固め、中国に対応しようとした際に、すでに米国に対して優位なポジションをとれるとも言います。
戦略的忍耐という言葉を聞いて、中国は、米国がすぐに中国に対して新たな圧力や政策をとることはないと認識したでしょう。一方で、バイデン政権がトランプ政権がかけた経済制裁等をすぐに覆すこともないでしょう。議会を含む米国内への配慮もありますし、そもそも対中強硬政策がバイデン政権の優先事項ではないからです。
バイデン政権は、中国に対して表面上は強い態度を示しながら、実質的な政策では、新型コロナウイルス対策、気候変動問題、イランの核問題等の領域で中国に協力を求めるかもしれません。それは、中国の思惑どおりのストーリーでもあります。中国の有識者は、現段階では、米中関係が「競争+協力」、「競争主導」、「競争紛争」という三つの型のどれかになるだろうとし、米中両国は「競争+協力」型を追求すべきであると言います。
中国は、すでに、米中関係の「競争」はなくならないと認識しているのです。これまでのように「米中関係に対立はない」と対立・競争を否定してきた中国は、もはや存在しません。経済力や軍事力を高めた中国は、米国が軍事力さえ行使しなければ、米国の圧力に耐えて競争できると考えているのです。
米中関係は、トランプ政権の時代より複雑さが増すでしょう。現段階でのバイデン政権の発言に踊らされることなく、米国がどのような対中政策をとっていくのか、中国がどのように対応するのか、慎重に見極める必要があります。
米政権、中国に圧力停止を要求 台湾との関係強化も表明
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
バイデン政権の中国に対する台湾への圧力停止要求は既定路線でしょう。議会に対する配慮もあるかもしれませんが、バイデン政権は、自由、人権、民主主義といった価値観を重視しますから、民主主義の台湾に圧力をかける中国を批判するでしょう。
しかし、米国は、これまで一つの中国の原則を破ったことはありません。トランプ政権も、一つの中国を否定していません。トランプ政権が蔡英文総統を支持したのは、蔡英文総統が独立を求めていないからです。米国は、台湾民進党が独立を宣言するのを牽制します。
米国は、中国に対して軍事的にも配慮を見せています。米海軍の艦艇が台湾海峡に入るたびに中国が反応したと報じられますが、米国は空母を台湾海峡に入れたことはありません。1996年の台湾海峡危機においても、空母は台湾に接近しただけで台湾海峡には入っていないのです。
米国は、中国と衝突したい訳ではないでしょう。バイデン政権であれば、なおのこと、中国との全面対決を避けたいと考えるかもしれません。単なる要求だけではなく、バイデン政権がどのような行動をとるかを、中国はよく観察しているでしょう。
尖閣諸島に安保条約適用を確認 日米防衛相が初めて電話会談
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
バイデン政権には、米国でもオバマ2.0と揶揄されるほど、オバマ政権時のスタッフが多く入っていますから、日本が何に関心を持っているのか、オースティン国防長官もよく理解しているということでしょう。
ただ、尖閣諸島に日米安保条約が適用されるというだけでは、中国が尖閣諸島を奪取しようとする際に、米国が軍事的に介入することを保証することにはなりません。日本に対する計画的、組織的、大規模な軍事侵攻でなければ、米国は日米安保第5条に基づいて介入する理由がないと判断するかもしれません。
中国は、米国の介入を避けることを最優先に行動します。米国社会に対して世論工作をかけるとともに、米国に介入の口実を与えないような手段で尖閣諸島奪取を狙います。正面から軍事侵攻する可能性は低いでしょう。
米国大統領や国防長官の「尖閣諸島に対する安保条約適用」がリップサービスに終わらなようにするためには、日本も尖閣諸島の防衛に関して米国に要求するだけでなく、地域および国際社会における米国の安全保障の取り組みに積極的に参加する必要があります。
米英、空母打撃群で協力=極東派遣で中国けん制か
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
欧州のシンクタンクが主催する国際会議に出席しても、欧州がインド太平洋の安全保障にどのように関わるかというテーマが設定されたりして、欧州の関心が高まっていることを感じます。
一方で、英国を除く欧州の中国に対する見方は日米ほど厳しくありません。中国の行動に対する懸念を示すと欧州の有識者から、懐疑主義と言われることもあります。こちらから見れば、欧州が呑気過ぎるのですが。
英国がインド太平洋地域の安全保障に関わってくれるのは大変ありがたいことです。中国にしろロシアにしろ、西と東それぞれの方向から協力してアプローチする必要があります。
欧州がインド太平洋地域の事象に関与してくれるということは、米国だけでなく、日本も欧州の事象に関与すべきということになります。
グローバルな協力をもって対応しなければならないからこそ、日欧協力の機運が高まっているのだと言えます。
軍事パレードに新型SLBM、多弾頭を想定か 北「核保有国の地位を保証」
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
金正恩氏は、12日に閉幕した第8回朝鮮労働党大会において、核弾頭の小型化、多弾頭化、戦術核の開発、原子力潜水艦の開発などに言及しました。
「北極星5号」は潜水艦に搭載しなければ意味のない兵器ですから、これだけ大型の弾道ミサイルを発射できる潜水艦の開発は必須です。原子力推進の艦艇の開発は容易ではありませんが、一度配備されれば、大きな脅威になります。潜水艦の行動は秘匿されており、どこにいるのか分からないということは、攻撃できないということです。また、ミサイルは基本的に地表面・水上にあるターゲットを破壊するための兵器ですから、水中にある潜水艦を攻撃できません。
北朝鮮は、対話が可能と考えていたトランプ大統領が退任し、バイデン政権が生まれることから、どのような北朝鮮政策を取るか分からないバイデン政権の対外政策が固まるまでに、核兵器、特に米高に対する核報復攻撃の最終的な保証となるSLBMの開発を進め、米国を牽制しています。バイデン政権に、北朝鮮が核兵器保有国であることを認めさせようとしているのです。
党大会では、金正恩氏が党総書記に就任しました。北朝鮮は、金正恩氏の統制を強めて、米国との交渉において、より優位な地位を占めることができるよう、軍備増強を加速する可能性があります。
中国にしても北朝鮮にしても、バイデン政権が迅速に政策を固めて行動することができなければ、自らに有利な状況を次々と作り出してしまうでしょう。しかし、バイデン政権の優先課題はアジアではないように見えます。そもそも、国内問題や気候変動問題が優先の政権になりそうですから、日本は、アジア太平洋地域の安全保障環境の変化について、積極的に米国に働きかけ、関心を持たせる努力が必要になります。
【ミャンマー】中国外相が来訪、ワクチン30万回分提供表明[政治]
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国は、米国のバイデン新政権ができ、アジアに対する政策が固まり、実際に動き出すまでの間に、東南アジア各国に対する影響力を強めようとしているのでしょう。
一方、アウン・サン・スーチー氏がミャンマーを牛耳るようになってから経済も社会も最悪になったという声を、ミャンマーの金融界から聞きました。スーチー氏は、国民の支持を得るために、コロナウイルスを抑え込み、経済発展させる必要があるので、中国を支持して経済的利益を得ようとするのだと考えられます。
中国が計画している鉄道のミャンマー側のチャウピューには、中国が投資して建設したチャウピュー港があります。チャウピュー沖にはガス田もあり、そのガス田で採掘されたガスや、中東からの石油、その他の物資が、チャウピュー港から中国に輸送されるようになれば、中国は南シナ海を通らずにそれらエネルギー資源や物資を中国に輸送できます。現在、中国に輸送される石油の80%が南シナ海を通っており、中国は米国がマラッカ海峡等を封鎖して中国へのエネルギー資源の輸送を止めるのではないかと恐れています。中国とミャンマー間の輸送路は、中国のエネルギー安全保障にとっても重要な意味を持つのです。
ところで、中国とミャンマーの間にはすでにパイプラインが建設されていますが、パイプラインが通っているミャンマーの地域では暴動なども起こっています。地域が期待していたような経済的利益が得られなかったからです。

中国ゲノム大手のコロナ検査、安保上の懸念よそに米機関が推奨
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国の企業や研究所は全て中国共産党の管理を受けていますから、米国の情報機関や法執行機関、安全保障関連部署が懸念する事態は、いつでも起こる可能性があります。たとえ、中国企業や研究所にそのつもりがなくても、共産党の要求を拒めば現経営陣は処罰されて交代させられ、新しい経営者等が共産党の指示に従うのですから、結局は共産党の要求どおりに動くことになります。そもそも、中国では一定の規模以上の企業内にも共産党委員会の設置が義務付けられているのですから、共産党の指示を拒否すること自体が難しいのです。
米国内の影響力のある組織や個人が利用されたり、BGIを支持しているのも、中国が他国内で自国に有利な状況を作り出す手段を想起させます。影響力のある個人や組織に利益供与して、中国に有利な言動を取らせるのです。
そうでなくとも、民主主義国家内には、様々な意見がありますし、異なる利害関係もあります。また、安全保障やリスクに対する意識の高低にも差があります。中国等の権威主義国家が、民主主義国の脆弱性と認識するものです。国内の意見や政策のギャップが利用されてしまうのです。
中国:香港民主派一斉逮捕 国安法による弾圧 : アムネスティ日本 AMNESTY
米、第1列島線の中国側も死守 尖閣・台湾巡り内部文書
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
この時期に、バイデン新政権の対中政策に縛りをかけるような文書が出てくるのは、トランプ政権が故意にリークしたことを疑わせます。日本や台湾が、それぞ米国の軍事介入を期待すれば、バイデン新政権が中国に配慮しようとしても、期待を裏切ることになり、ハードルが上がります。
一方の中国は、表面上は反発するかもしれませんが、すでにトランプ政権を相手にはせず、バイデン新政権の対中政策形成に働きかけようとするでしょう。
ただ、中国はまた、バイデン新政権が、トランプ大統領がかけた縛りから抜けるのが難しいと予想していますし、バイデン新政権の政策の優先順位が国内問題にあることを承知していますから、米中間の緊張は当面は継続すると考えられます。
中国の「空母キラー」ミサイル、航行中の船へ発射実験…2発が命中か
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
米国は、すでに中国の対艦弾道ミサイル等の陸上発射型中距離ミサイルの脅威をよく認識しています。2020年の中国軍事力に関する米国防総省議会報告書は、中国はすでに3つの分野で米国を凌駕しているとしています。第一は、海軍艦艇の建造速度(すなわち艦艇の数)であり、第二が、中距離ミサイルの能力です。第三は、統合された防空システムです。
2020年4月に米国インド太平洋軍が出した「リゲイン・ザ・アドバンテージ」というコンセプトにも示されている通り、米国は、中国の中距離ミサイル等による第一撃を生き残るよう、空母や戦略爆撃機のような戦略兵器を広範囲に分散配備することを考えています。その上で、中国に対する打撃力を損なわないよう、機動力を高めるというのです。
エスパー国防長官が進めようとした米海軍のトランスフォーメーションも、中国の対艦弾道ミサイルを意識して、その影響を受けにくい潜水艦の増強を謳っていました。
一方で、インド太平洋軍のコンセプトなども、中国の中距離ミサイルの射程内にある同盟国のアセット等を活用するとしていることから、日本にとっても他人事ではありません。米国が念頭に置いているのは、日本の自衛隊であり、日本に配備することも考えている米国の陸上発射型中距離ミサイルだということです。
日本は、国土を中国の中距離ミサイルの射程外に移すことができないのですから、その内側にある優位性を米国は利用しようとしますし、その脆弱性を中国は衝こうとするでしょう。
金委員長「米国は最大の敵」、核兵器増強も 党大会で表明
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
米国バイデン新政権に対する牽制です。北朝鮮は、核兵器保有国であることを認めろと米国に要求しています。核兵器増強自体は既定路線であるとも言えます。バイデン政権が何と言おうと核兵器を放棄することはありません。
一方で、米朝関係を改善したければ敵視政策を止めろ、と言っていますから、核兵器を盾にとって米国に議論を求めているのだとも言えます。
バイデン政権のアジア政策が固まるまでには時間がかかると、北朝鮮も理解しています。バイデン政権が北朝鮮問題に向き合うまでに、北朝鮮は、自らに有利な状況を作り出そうとしています。米国の国内政治がアジアの安全保障環境にも大きな影響を及ぼすということです。
トランプ氏、「アリペイ」など中国アプリ禁止 大統領令に署名
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国製のアプリを使用すれば、使用履歴や使用者の情報などは中国共産党が利用できるということは間違いではないでしょう。ジャック・マー氏に対する中国共産党の扱いを見れば、中国国内では何人たりとも共産党の要求を拒否できないことが理解できます。
一方で、中国製アプリは、中国の強制力によって普及している訳ではありません。中国製アプリが便利であり、魅力的であると認識されるからこそ、普及しているのでしょう。安全保障上の理由が正当であるからといって強制的に排除すれば、国民の反発は免れません。トランプ大統領のように他者を顧みない人間でなければ、徹底した対中政策は取れないのかもしれません。
トランプ大統領が大統領選で敗れたことは中国にとって歓迎すべきことでしょうが、中国はバイデン政権がすぐに強硬な対中政策を調整できると期待していません。それは、トランプ政権が退陣前に駆け込みで対中制裁等をかけていること、議会が超党派で対中強硬であることなどによります。それよりも中国は、国内問題を優先するバイデン政権の対中政策が、今年の終わり頃にならないと固まらまいと考えているのです。
少なくともそれまでの間、米中関係が劇的に良くなることはなさそうです。
アリババ創業のジャック・マー氏が行方不明?「金融規制は老人クラブ」批判が契機か。欧州メディア報道
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国共産党は、自らの権威に楯突く者は何人たりとも許しません。権威主義国家において、統治者の権威が揺らぐということは、その統治が危険に晒されると考えられるからです。
選挙という国民の意思を政治に反映させるシステムがない権威主義国家において政権を交代させる方法は暴力的にならざるを得ません。そもそも、政権を変えようとする動きが全て違法とされるのです。共産党は、自らがどのようにして政権を奪ったのか、そして自らが政権を奪われるのはどのような状況なのか、よく理解しているでしょう。
ジャック・マー氏が中国共産党との和解を図ろうとしても、一度、共産党の権威に楯突いた以上、そのまま放置されることはないと考えられます。今後、氏が公の場に姿を見せ、活動できるようになったとしても、当局の厳しい監視が付くことは避けられないでしょう。
中国では、どれほど成功した企業であっても、例えば影響力を持ち過ぎたといった危機感を共産党に与えれば、抑え込まれるということです。中国では、民間企業と言えど、中国共産党の指示や要求に逆らうことは危険なのです。
中国「千人計画」に日本人、政府が規制強化へ…研究者44人を確認
小原 凡司笹川平和財団 上席研究員
中国の軍民融合は今に始まったことではありません。習近平氏が共産党総書記になって以降、特に軍民融合という言葉が取り沙汰されますが、以前は、軍民結合と言っていました。中国では、そもそも、軍と民の区分はないのです。中国国内にあるものは全て共産党が動員できるという政治体制なのですから、当然であるとも言えます。
日本は、研究者だけでなく、中国を日本や米国等と同様の国であるように考えているのではないかと感じることがあります。中国と交流するのであれば、中国の政治体制やその影響等について理解しておく必要があるでしょう。
日本政府としても、研究者や技術者の流出について規制することは重要です。しかし、それだけで、日本が中国に対して科学技術分野で優位を保てることにはなりません。
研究者として潤沢な資金と研究に没頭できる環境は魅力的です。しかし、日本は知識や技術に対してお金を使わなさ過ぎのように思います。記事には、科研費のことが書かれていますが、期限付きのお金だけでは研究を続けるのに不安があるでしょう。また、将来が約束されないのでは、研究を志す若者を増やすこともできません。
現在の大学では、予算が削られ、教授自らが研究以外の仕事をしなければならなくなっていると聞きます。それは、研究者にとって理想的な環境とは言えません。日本は科学技術立国などと言っていますが、このような状況ではとてもそんなことを言っていられないでしょう。
さらに言えば、理系ですらそのような状態なのに、文系はさらにひどい状況です。待遇が悪いというだけでなく、若い研究者は職を得ることすら難しいのです。日本でも、理系文系を問わず、日本において素晴らしい研究が継続できるように環境を整えてもらいたいものです。政府が期限のついていないお金を大学や研究機関にしっかりと注ぎ込むことです。そうでなければ、日本は頭脳や技術で世界各国と勝負できない国になってしまうでしょう。

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