武貞 秀士

中国の失われた３０年の始まりではないか？

政治資金のカラクリほどわかりにくいものはない。もっと時間とエネルギーを投入することがたくさんあるのに。ずるいことをしてもごまかす知恵を身につけた人が政治家だというイメージが拡散しつつある。それを払拭して、山積している大事な案件の解決に取り組んでいただきたい。長い間の慣習だったかもしれないが、いまが正念場

中東問題とは勝つか負けるかの二つのシナリオしかないことが鮮明になった二ヶ月だった。

自立、自主、主体をスローガンにしているのだから、打ち上げた衛星が送信してくるデータを自分で処理しているということ自体が重要になる。その精度、活用方法などは二の次三の次。

目立ってきたのは、イスラエルの断固とした決意、ハマスを駆逐するという意思、この機会にパレスチナ問題を全面解決するという目標ではないか。それがうまくいっても中東が火薬庫として存在し続けることに変わりがない。ハマスは信条を同じくする人々の集団なのだから。市民の悲惨な姿を世界にさらすことで相手の戦闘意思を喪失させようという作戦を双方が繰り返している。戦争というものの本質を世界に示している中東情勢の推移。もう戦闘をやめるときではないか。

偉大な学者が亡くなった。理論を構築して、外交の舞台で実践した学者。難解な文章には苦労したけれど、ベトナム戦争終結のために隠密外交をやってのけニクソン政権を支えた。国際政治学者のお手本のような人だった。われわれの世代の学生たちは皆んな憧れたものだ。しかし晩年、中国に言及するたびに日本警戒論を語り、中国よりの日本叩きの論陣を張ったときには、あの大学者がこのように偏った発言ができるのかと驚いた。単なる日本嫌いだったのだろう。ウクライナ戦争が続き、ハマスとイスラエルの戦闘が終わらないいま、和平協議のプランナーのようなキッシンジャー博士が亡くなったしまった。キッシンジャー氏ならどうするだろうと皆んなは考える。百歳の今年、中国国家主政に会っていたという。タフな人だった。合掌。

文在寅政権下で合意したものを尹錫悦政権は見直す姿勢だから、軍事合意が復活する可能性は低い。この軍事合意は具体的な措置履行に言及しており、信頼醸成措置としてはよくできた内容だった。それが一部停止状態になった。南北朝鮮関係が日増しに悪化していることがわかる。ただこれまでの北朝鮮なら全面無効化を表明していただろう。一部停止するという表現に注目すべき。

うーん。自分の国内法に照らして他国を断罪することが可能なら、世界は大混乱になる。韓国の法廷は謎の世界だ。そんな国が隣にあることを念頭においてスマートな外交で対応することを期待したい。

イスラエルはハマスを抹殺するまで戦うつもりだろう。この機会にパレスチナ問題を一挙に解決、いや消滅させてしまう機会が到来したと判断した。それも早い時期に決断していた。

北朝鮮の衛星発射。予定よりも一ヶ月遅くなった。ロシアの助言を得て慎重に慎重を重ねて打ち上げた。ロケットの切り離し技術、固体燃料製造技術、誘導技術など、多くの分野で先行するロシアのロケット技術の支援をロシアから得ていることだろう。今回の打ち上げではロシアの全面的なサポートがあったとみる。

１９１８年の南北軍事合意は南北首脳会談のあとに締結された軍事合意。信頼醸成を進めるために具体的な措置を明記したもの。画期的といえる内容だった。文在寅政権と金正恩体制だからできた軍事合意だった。これが守れるなら南北は戦うことはないといえる内容だった。その合意遵守を一部停止するというのだから、南北関係が１９１７以前の状態に戻りつつあるといえよう。尹錫悦政権と金正恩体制の関係は険悪なムードになってきた。