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ブロックチェーンが、量子コンピューターに破られる日がやってくる
楊 天任QunaSys CEO
量子コンピュータとブロックチェーンを語る上で
1. 暗号の解読による署名の改ざん 2. 総当り探索によるマイニング
が論点になります。
1. 暗号の解読による署名の改ざん
量子コンピュータは離散対数問題(楕円曲線暗号の基礎となる問題)を多項式時間(現実的な時間)で解きます。
これは素因数分解をする有名なアルゴリズムShorのアルゴリズムと同時に提案されました。
https://arxiv.org/pdf/quant-ph/9508027.pdf
これによって取引ブロックを改ざんして、他人のbitcoin等を盗みとる攻撃が可能になります。これをを成功させるような量子コンピュータが完成するのは、最短でも2027年であろうと推計されています。
2. 総当り探索によるマイニング
ブロックチェーンのNonceの計算は今は総当りの計算ですが、量子コンピュータで効率よく計算するアルゴリズムが知られています。
ただ、こちらも2047年までは今のコンピュータの方が探索能力が高いままであろうと予測されています。
詳しくはこちらの「Qmedia - 量子コンピュータの金融応用の展望」の後半をご覧ください。
https://www.qmedia.jp/overview-for-financial-market/
量子コンピューターでIBM・Googleを追走できる日本企業はどこだ?
楊 天任QunaSys CEO
この数年の量子コンピュータ開発には量子スプレマシーと量子スピードアップという2つの重要なマイルストーンがあります。
量子スプレマシーとは、量子コンピュータの振る舞いをスパコンでシミュレーションできなくなることを指します。実用上に役立たないですがスプレマシーの証明はスパコンを特定の問題で超えることになり重要です。これは早ければGoogleが今年中に証明するでしょう。
一方で、量子スピードアップは、実用的な問題を解く上で量子コンピュータが優位になるラインです。量子スピードアップの達成のためには良いハードウェアのみならず、キラーアプリケーションの探索などが必要になります。これには100~200量子ビッドの量子コンピュータが必要だと見込まれていて、あと2,3年は必要でしょう。
日本の量子技術投資に関してですが、量子コンピュータ開発を行っている研究者に聞くと、急に予算が増えたのは良いが人材が足りないことが新しい悩みの種のようです。
慶應義塾大学のあるIBM Q Hubで、量子コンピュータを学生が遊び倒していることを聞くと、このように環境・人材が揃った量子技術の拠点は海外と戦っていくための研究や人材育成の面で重要だと感じます。
Google・IBMなどが見据えているのは誤り訂正のある量子コンピュータです。これを実現するためには100万量子ビッドを集積化する必要があり、20年はかかるでしょう。
このくらい長い目で量子コンピュータに投資した時に必要なのは単純にお金だけではないという認識が重要だと思います。
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