松田 馨

表現の自由や選挙運動の自由については、できる限り認められるべきものと思いますが、だからといって他候補の選挙運動を妨害する自由まで認めるべきではありません。演説を聴きに集まった有権者の「候補者の演説を聴いて投票先を判断する権利」を侵害していることも大問題です。 街頭演説の映像を見ましたが、彼らは乙武候補や小池知事への誹謗中傷をするばかりで、自分たちの選挙運動はしていません。クラクションを鳴らし続ける、わざとハウリングさせる、などの明確な妨害行為をしています。 ■公職選挙法に規定はあるが 公職選挙法225条に「選挙の自由妨害罪」という規定があります。「演説を妨害し」という文言もあるため、つばさの党の根本氏や黒川氏の行動はこれに該当するように思われます。 （選挙の自由妨害罪） 第二百二十五条　選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は百万円以下の罰金に処する。 一　選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。 二　交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀(き)棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。 ■候補者による選挙妨害については前例がない ではなぜ、警察がその場で取り締まれなかったのかというと、根本氏が立候補しているからです。警察側が根本氏から選挙妨害で訴えられる可能性もあり、過去に判例もないことからその場での対応は難しかったのではないでしょうか。 ただ乙武陣営が刑事告訴・被害届提出の手続きを進めているようですので、仮に今回の件で根本氏や黒川氏が逮捕・起訴されれば一定の抑止にはなると思います。 彼らの行動は民意を代表しているものではなく、再生数稼ぎ＝金儲けのためにやっているだけではないでしょうか。こうした行為に共感する人が増えることは、民主主義の崩壊につながります。政治家に不満を持つのは自由ですが、投票所へ足を運び、その政治家の名前を書いた有権者が多数いるからこそ、その政治家は当選し権力を得ているのです。 民主主義は不断の努力によってしか成り立ちません。不満があるならまずは投票へ行く、応援したい候補がいなければ出てほしい人を口説くか、自分が立候補するなど、できることはいくらでもあります。

やはり小池知事が出馬することはなく、応援に回られましたね。ファーストの会と都民ファーストの会が別組織というのが、ちょっとわかりにくいかもしれません。地域政党と国政政党の違いなのですが、維新を例にすると 【地域政党】大阪維新の会＝都民ファーストの会 【国政政党】日本維新の会＝ファーストの会 乙武さんは、ファーストの会の副代表に就任ということですね。

自民党内の熾烈な権力闘争を経験してきた小沢一郎氏の視点で見ると、岸田総理は非常に「したたか」であるとのこと。 岸田総理から政局をしかけたことはなく、政治とカネの問題で安部派も二階氏も自滅した感が強いが、派閥の解体や政倫審への出席を決めるなど、その時々での岸田総理の決断が今の流れをつくってきたのは間違いないと思います。

政治団体の収支報告書に記載をしていれば課税はされません。していなかった分について、政治活動で使用したものとして公開できないのであれば、その分は所得と認定されてしかるべきでしょう。公開が前提の政治資金規正法に違反をしたわけですから、それくらいのケジメはつけてほしいものです。

先月、バイデン大統領がTikTokアカウントを開設したことが話題になりましたが、ここに来て禁止法案が下院を可決。別記事ですが、TikTokの運営会社が3月7日に、法案に反対の声をあげるよう米国内の利用者にTikTokアプリでプッシュ通知を送ったことで、むしろ議員からの猛反発を受けたようです。

SNSがこれだけ発達し、誰でも専門外のことについて断片的な情報や思い込みをもとに、ほぼゼロコストで適当な発言ができる時代。週刊誌だけでなく、全国紙やテレビ局などもPV欲しさに刺激的な見出しをつけて羊頭狗肉の記事を平気でアップする時代。 本当に政治家にとって「まれにみる嫌な時代」だと思います。 政治家や官僚のなり手不足の問題も含め、代議制民主主義において、政治家を適切に評価できないと損をするのは結局、有権者です。行政や政府への評価については、受益と負担についてもう少し冷静な議論をして欲しいと思います。