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なぜ東海テレビは「容疑者の顔写真」間違えた? 熟練プロデューサーが指摘する「ガン首探し」の問題点
小川 一毎日新聞 客員編集委員
駆け出しの頃、「雁首取り」は最も嫌な取材のひとつでした。写真のあるなしで記事の注目度はまるで違うと教えられました。活字に血が通う、と言った先輩もいました。各社との競争は激しく、やっと見つけた写真が他社に渡らないように所有者に頼み込んで持ち出す記者もいました。葬儀の遺影を無断で撮って抗議される事案も起きました。紙面編集を手作業でやっていた時代は、選挙や多くの人が亡くなる事件事故・災害の報道で顔写真の取り違えがよく起きました。某新聞が候補者の写真を取り違え、訂正をする際の締め切り直前に「あれは取り違えの写真だから」と言われて勘違いし、正しかった写真をまた動かしてに二重の間違いをしでかしたこともありました。その新聞社は編集幹部がヘリに乗って謝罪に出かけたと聞きました。銀塩フィルムの時代は写真そのものの数が限られていましたが、今は無限のごとくあります。本人のSNSアカウントでも見つかられます。ただ、その分、ミスの原因も多岐に渡り、似た人を選んでしまったり、同姓同名の人を選んだりすることもあります。ただ、報道にとって顔写真はやはりあった方が「血が通う」のも事実です。無理な取材ではなく、情理を尽くしたうえで、正確に。日々の鍛錬が求められます。
YouTuberはもう食えないのか 「子どもの憧れ」のはずが迷惑系、暴露系、私人逮捕系、そして逮捕者も
小川 一毎日新聞 客員編集委員
2010年、私は自分が撮影した30秒間の動画をスマートフォンで送信するのに30分以上かかったことを覚えています。まだ3Gが主流の時代で、独自に導入した動画送信システムを使ってのことでした。それが4Gになり、スマホの機能が劇的に向上し、プラットフォームの技術革新が飛躍的に進んだことで、いつでもどこでも誰でもが瞬時に動画を送れる夢のような時代になりました。しかし、それはマーケットのプレーヤーが無限に増えることを意味します。当然、現在のネット広告のシステムでは、プレーヤー一人当たりの売上(報酬〕は減ってきます。メディアが苦しんだ状況が個人ユーザーにも及んできたことを意味すると思います。現在のままではYouTubeも壁に突き当たります。4Gになった時のような周辺の技術革新は、5Gになった今まだ見えていません。それが出てくるまで、この状況は続くと思います。
小泉進次郎が語るライドシェアの知られざる実態
小川 一毎日新聞 客員編集委員
タクシー業界は、GOアプリの導入などで時代の変化に対応しながらうまく激変緩和を実現してきたと思います。モニター画面を広告にも活用しているのはグッドアイデアでした。ただ、高齢化と人手不足という社会の激変にはさすがに対応できません。ライドシェアの議論はいわば必然です。地方の赤字ローカル線はこれまでバスに転換してきましたが、そもそもドライバーが見つからない、いわゆる2024年問題でさらに見つからなくなる、という極めて深刻な事態です。この議論を進めるには、「もののわかったイノベーター」という小泉進次郎さんのブランドは最適です。日本のタクシーのクォリティを維持しながら、新しいシステムを導入するという日本型のライドシェアも可能かも知れません。いずれにせよ「移動の自由」を守れるかどうか、日本社会は正念場です。
「貧しい若者」から「豊かな高齢者」へおカネを仕送り…日本を滅ぼす「社会保険料」のヤバすぎる負担
小川 一毎日新聞 客員編集委員
「この11月7日に財務省が公表した一編の文書が、永田町、霞が関、そして医療界に激震をもたらした」。これは不勉強にも初耳でした。ただ、書かれていることは、これまで繰り返し指摘されてきたことです。2021年11月号の『文藝春秋』に財務省の矢野康治事務次官(当時)が「財務次官、モノ申す――このままでは国家財政は破綻する」と題した論文を寄稿したことが大きな波紋を広げましたが、これも繰り返し指摘されてきたことをまとめだけのものでした。
成田悠輔さんの言うように「高齢者は集団自決すれば良い」のでしょうが、そうは行きません。まず、働く夫と専業主婦、子ども2人の家庭を前提につくられている制度をすべで根本から組み替えるべきです。ただ、今の政治では絶対にできません。官僚も自分たちがつくってきた制度を自ら壊すことはしません。やはり、若い世代が選挙に行き、世代間論争を巻き起こし社会の議題にあげることです。韓国は若者が選挙に行くので、政治家は若者の顔色を伺っています。まずは次の衆院選からできます。若い世代の投票率が10%上がれば、政治家も官僚も震え上がります。
羽生結弦さんの離婚報告で考えるべき、過剰報道と誹謗中傷の「負のスパイラル」
小川 一毎日新聞 客員編集委員
まさにこの指摘の通りです。引用します。
「ファンはタイトルに釣られて記事を読まざるを得なくなりますし、過激な内容の記事に影響されて、一部のファンは羽生さんのお相手に対してネガティブな感情を溜め込むことになり、誹謗中傷に走ってしまうという「負のスパイラル」が回り始めるわけです。
過激な発言やネガティブなタイトルが金を生む
当然この「負のスパイラル」には、週刊誌だけでなく、一部のネットメディアやYouTuberなどの個人メディアも便乗します」
そしてPVの増加が広告の売上につながり、この負のスパイラルを止めようという強い意識はなかなか働かないが現状です。これを克服するには、現在の広告システムを根本から変える必要があります。今問題になっている「私人逮捕系ユーチューバー」も現行の広告システムが生んだものです。信頼できるコンテンツ、誹謗中傷ではなく励まし合う情報空間によりたくさんのお金が流れ込むシステムづくりが求められます。
首相、創価学会施設を弔問 池田名誉会長の死去受け
小川 一毎日新聞 客員編集委員
池田大作氏は、自民党の歴代総裁と交遊を重ねた人物であり、世界的にも名を知られ、日中国交回復やゴルバチョフ氏との交流など日本外交にとっても側面から大きな役割を果たした人物です。自民党総裁としての弔問は特段、問題にすべきものではないと考えます。ただ、強力なカリスマを亡くした創価学会、創価学会が支援する公明党はこれからが大変です。組織を守れるか、発展させられるかのまさに正念場。その動向は日本の政局に直接影響します。
毎日新聞に池田大作氏の評伝を書きました。戦後史を刻むカリスマと対面で話を聞けたことは記者として幸運でした。
https://mainichi.jp/articles/20231118/k00/00m/010/171000c
柿沢議員、現金配布を指示か 複数秘書へ地域割り振り
小川 一毎日新聞 客員編集委員
選挙違反にも「実質犯」的な犯罪と「形式犯」的な犯罪があります。河井元法務大臣の事件も最初はいわゆる「ウグイスお嬢」への報酬という「形式犯」的な事案を入り口にして、その後の捜査で買収という「実質犯」的な事案へと進みした。逆に言うと、「実質犯」的事案の立件を視野に入れていないと特捜は動きません。今回のYouTubeは入り口であり、本丸はこの買収だと思われます。そして、さらなる展開を見通しているのかどうかはまだわかりません。それはそれとして、選挙期間中、あるいはその前後に現金の陣中見舞いそのものがアウトです。一発退場、レッドカードの反則が今も平気で行われていることに驚きます。
なぜ日銀の政策変更は事前に報道されるのか
小川 一毎日新聞 客員編集委員
「前打ち」報道の多くは、記者グラブの中の徒競走です。「前打ち」に血眼になる取材は、メディアリソースの最適化とは逆行している場合も珍しくありません。しかし、それでもやめられないのは、一見無駄に見えることが、結果として当局の透明化につながり、記者を鍛え、記者の力量を高めていると信じられているからです。私も長くその信奉者であり、今も半分ぐらいはそう思っています。しかし、記者の人数がどんどん削られ、マスメディアへの社会の厳しいまなざしを考える時、「前打ち」を過剰に自己評価する現状は再考する必要があります。例えば、舛添要一都政の時、マスメディアが一社数人ずつを配置して「前打ち」を競う中、舛添氏を知事の座から引き摺り下ろしたのは、文集砲でした。検察庁法改正案と検事総長人事を葬ったのも、検事長と記者の賭け麻雀を報じた文春砲です。メディアは何を優先して、そこにどれほどのリソースを割くのか。改めて再検証しなければならないと考えます。

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