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無印良品が新疆綿で声明、トレーサビリティを確保したオーガニックコットンで、働く生活者の生活向上に貢献
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
関心を持っていた話題です。
英語版はこちら。「英語版はこちら」と触れた理由は、そもそもが国際的な団体からの指摘があり、日本語だけで説明をしても、国際的な認識が変わらないためです。その意味ではすぐに英語でも出したことは重要な意味があります。
https://ryohin-keikaku.jp/eng/news/2021_0414_e.html
ここでは主観的価値観や政治的な視点を排除してコメントします。重要な点としては下記が考えられます。
・当該事業について国際人権団体が指摘するリスクがあるかどうかを洗い出す
・国際人権団体のアドボカシー活動は真実を指摘するケースもあれば、そうではない、誤ってはいないものの当該の指摘まで解釈できる事実があるか不明、という様々な状況がある。(これらの団体を批判しているわけではありませんので念のため。過去の事実としてです)
・指摘されるリスクを前提として考え、リスクシナリオを想定。
・そもそも指摘されてからでは、英語で拡散した後の事実説明で打ち消せるかどうかという問題あり
国際人権問題は、実態が分かりにくいものも少なくありません。また、日本語では国際人権問題に対する情報が少ない上に、英語世論との温度差が存在します。日本国内の基準で大丈夫が国際的には大丈夫ではないこともあり得ます。そうしたギャップを、人権デューデリジェンスと行うとともに埋めたうえでの判断が必須だと考えられます。これは個別の企業が単独で行うことは難しく、専門的知見のある機関の見解を求めつつ、慎重かつ網羅的に行う必要があると考えられます。
「私たちは死にかけています」 ミャンマーから国連へのメッセージ
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
ミャンマーは非常に難しい状況が続いています。日々見ていると、非常に重い気分になります。
ミッシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は"I fear the situation in Myanmar is heading for a full-blown conflict. States must not allow the deadly mistakes of the past in Syria and elsewhere to be repeated," と厳しい認識。
https://www.euronews.com/2021/04/14/myanmar-could-spiral-into-full-blown-conflict-similar-to-syria-un-rights-chief-warns
国連はそもそも限界の多い組織です。他方、定の国際社会のコンセンサスと(擬制でも)みなせる組織が他にありません。介入・関与についても、短期的に決着をつけるのであれば軍事介入しかありません。
おそらく、米国等の多国籍軍が本当に軍隊を投下すれば、ミャンマー軍が耐えられるとは思えません。軍事介入は国際法上でも議論が続く論点ですが、現時点では国連憲章7章に基づく措置が一般的です。そのためには当然、安保理決議が必要となりロシアと中国が合意する、少なくとも棄権する必要があります。拒否権を発動されればその時点で止まります。
国連の「授権(オーソライゼーション)」のない単独・複数介入はさらに非常に難しい問題を孕みます。派遣国は「他国の国民のために、自国民が命を投げうって戦闘する」となり、国内世論を説得する必要があります。仮に派遣するのなら確実に短期決戦をできる十分な兵力を派遣する必要があります。とすれば、コストも相当にかかりまります。そして、何をもって終結なのか。仮にミャンマー軍が主要都市から追いやれてゲリラ化した場合に、どこまで介入した国が責任を負うのか、まったくもって不明です。完全に抑え込むか和平をしない限りは、戦闘が継続するリスクが残ります。
そもそも、どの国が「正義」なのかという主観的な問題も残り、仮に米国と英国が介入をした場合に、中国やロシアも介入することを止めることもできません。国連による「授権」がないと起こる問題です。
第1四半期シンガポールGDP速報値、前年比+0.2% 予想外の増加
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
速報ベースですが、市場予想に反してのプラス成長はシンガポールにとって朗報。ワクチン接種状況は、4月6日時点で1回済1,131,658名、2回完了535,864名、1回以上1,667,522名となっています。人口は外国人を含み約570万人。私も1回は済んでおり、月末に2回目を打ち完了する予定です。オンラインで予約が完結し、会場でも30分の待機時間を含めて1時間も要りません。ペースが上がってきているので、年半ばにはかなりの割合に達しそうです。Q3までには希望者は全員が打てると首相が宣言していましたが、その宣言は実現しそうですしずれ込んだとしても多少というレベルと思われます。残るは対外的な開放をどのような条件で進めていくかでしょうか。コロナ抑え込みと景気回復の道筋が見えたことから、政治社会的には、ヘン副首相兼蔵相が後継首相候補から降りたことで、リー首相の後任選び、雇用政策が重要な焦点となっていきそうです。
世界経済の回復見通しなお不確実、金利上昇を懸念=IMF声明
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
金利上昇によってどの程度のリスクが上昇するか、実際に金融危機が起こるかは別として、なぜ、アメリカの金利上昇が新興国経済に影響が生じるのかについては、2016年にNewsPicksで執筆をしたこちらの記事をご覧ください。
「懸念の原因は米国金融政策から実体経済へ」
https://newspicks.com/news/1564802
当時と今では背景が違う部分がありますが、アメリカの金利上昇は新興国にとっては嫌な動きです。とりわけ、ファンダメンタルズがよくない南米への影響の可能性は中長期的な注意事項かと思います。
スー・チー氏解放要求のミャンマー駐英大使、締め出される「武官が大使館を占拠」
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
駐在武官が中心となって起こした行動と各種メディアが報じてており、一部英語メディアは「ミニクーデター」と表現しています。接受国として大使の承認は、手続き的に、相手国政府からの非公式にアグレマン要請があり、それに対して信任状を出し、その他手続きを踏んでいくということになるため、現時点のミャンマー情勢を鑑みると、前政権で行われた手続を前提として対応するという技術的な側面もあるでしょう。
ラーブ外相は政治家であるため当然政治的な発言をします。また、外務大臣という外交行政の長としても、CPRHに対する政府承認(国際法上の意味としては様々な論点があります)とは別問題として、選挙プロセスをひっくり返して政権を掌握し、一般市民に対して武力を行使している国軍の行為は認められないというスタンスだと解釈されます。
軍当局やCRPHからみれば、英国の行動について自分たちが認められた否定されたと見える可能性がありますが、英国としては、現下の情勢が継続するとすれば、人道的な原理原則に従っての行動を当面していくものとみられます。
「ウイグル族の強制労働に関与」指摘された日本企業14社への調査結果を公表。回答の全社が否定
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
国際人権団体によるこうした指摘については、いくつかの論点があり、日本企業にとって、今後、リスクマネジメントにおいて重要な課題となると考えられます。
・サプライチェーンにおける人権デューデリジェンス(DD)を実施する。まず人権問題や地域紛争などが存在する地域なのかどうか、当該地域に精通した専門家によるブリーフィングや調査を依頼する。そのうえで実際に進出する、委託するなどとなれば、パートナー先が人権問題を抱えかねないかどうかDDを実施する。
・指摘されてしまった場合。まずは自社の見解を明らかにする。第三者機関による調査も必要。この際、「うちはそんなことしていないから無視」「嘘を指摘して!」となってしまうと、仮に指摘が真実出なかった場合でも逆効果です。可能な限り情報を開示することで指摘が該当しないことを説ん冥する。
・指摘されるリスクがないかどうか、専門家によるチェックを入れる。人権問題がなかったとしても、センシティブな問題が過去に起こっている地域の場合には、専門家目線でリスク管理上、何が起こりうるかを想定する。そこから逆算しての戦略的広報を行っておく。
人権問題は英語で一度拡散してしまうと、(真実であればもちろん、真実ではなかったとしても)そのリカバリーにコストを要する可能性があります。最初に出た情報のあとに、企業がプレスリリースを出したとしてもどの程度の人の目に留まるかわかりません。そのため、そもそも問題が発生する可能性について人権DDで見極めをしておくことが重要です。また、そもそも、人権問題が指摘されがちな地域にどうしても進出しなければいけないのかどうか、代替地はないのか、という事前の検討も必要かと思います。
【潮流】グローバル配信で変化する、ヒット作品のポイントとは
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
ハンナさんの安定の論考。韓国ドラマや映画における女性の描かれ方については私も注目していました。とりわけ、この3-5年間で「白馬の王子様」ストーリーからの転換したなと感じています。良作が本当に多く絞り難いのですが、記事で触れられている以外の作品で、最近見たものや、印象が深いものについて以下を推薦しておきます。
・ドラマ「補佐官」「同シーズン2」(2019年)でシン・ミナが演じたカン・ソヨン議員、イ・エリヤが演じたユン・ヘウォン6級秘書
・映画「明日へ」(2014年)の女性陣全員
・映画「国家が破綻する日」(2018年)でキム・ヘスが演じたハン・シヒョン韓国銀行通貨政策チーム長(※ただし、過去の出来事という舞台を活用した女性の役割の再投影という文脈で)
2017年の「太陽の末裔」では、ソン・ヘギョが演じたカン・モヨン医師や、キム・ジウォンが演じたユン・ミョンジュ軍医と軍人男性との対等な渡り合いを描き出しています。この作品はアジアで広く人気を博したこともあり、女性の描かれ方が変化したことが分かりやすくでた作品と思われます。
恋愛物においても、人気を博し、比較される下記2作品における女性の描かれ方の比較も興味深いものがあります。
・「建築学概論」(2012年)でペ・スジが演じたソヨン
・「君の結婚式」(2018年)でパク・ボヨンが演じたスンヒ
この延長線上で、より現代の世相を反映したものとして、「ユ・ヨルの音楽アルバム」でキム・ゴウンが演じたミスまでみると一段と興味深い。
また、時代劇という特殊な環境のなかで描かれる女性には現代へのメッセージも含まれている点もあるのではないかと閑雅ています。時代劇は案外と昔から、現代女性の地位に関して登場人物を通じて様々な課題を投影していたと私は考えています。その代表として一作品だけ挙げておきます。
・「トンイ」(2010年)でハン・ヒョジュが演じたトンイ(※歴史考証上は淑嬪崔氏/スクビンチェ氏の描かれ方は善人過ぎ、禧嬪張氏=張禧嬪/チャンヒビンが悪人過ぎという課題がありますが名作の一つ)
なぜ、韓国コンテンツは世界でヒットする? 『愛の不時着』などを手がけた、Netflix統括責任者に聞く
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
興味深いインタビューでした。他方、ネットフリックス前からコンテンツは非常によく育っていた。韓国の大学には映画学科が多く存在し、裾野人材が育成され、投資家もおり、ビジネスとしてもきちんと回る状況が生み出されていました。「パラサイト」がアカデミー作品賞を獲得した直後に出した記事に本件は触れています。本記事は、アカデミー賞発表前の前年末にソウルで映画評論家やジャーナリスト、政治学者らへの取材が下敷きにあります。
https://newspicks.com/news/4620752
そのうえで、ネットフリックスという新しいプラットフォームになじむ形での権利等の整理があったという点は、下記の特集でも触れています。
https://newspicks.com/news/5133638
また、見逃してはならないのが、韓国は時の政権と文化人は緊張関係に何度も置かれてきたことです。全斗煥政権期はもちろんのこと、光州抗争を経た後の民主化の時期を迎えても、文化人の人々の苦闘は続きました。革新系の金大中政権期・廬武鉉政権期には、現代韓国文化ルネサンスとも言える状況を迎えましたが、保守系の朴槿恵政権や李明博政権期では文化人ブラックリストなるものが存在し、韓国を代表するポン・ジュノ監督、パク・チャヌク監督らも掲載されていました。ただし、この時期はむしろ韓国映画が海外での評価を高めた時期時期でもあります。そうした下敷きがあっての現在ではないかと思います。
ドラマについては、映画に比べれば政治性・社会性を抑えつつ(基本的には国内市場のために作られたので)、恋愛ものなどで2010年前後から多くの良作が生まれました。しかし、近年の韓国ドラマは社会問題に鋭く迫るような背景もありますし、政権批判や政治風刺とも捉えられる作品も少なくありません(シン・ミナ&イ・ジョンジェ主演「補佐官」、チ・ジニ主演「サバイバー60日間の大統領」)。韓ドラと言えば恋愛物というイメージがまだまだありますが、社会・政治物は日本も共通するような課題を抱えていることが多く、おすすめです。
ロシア、ミャンマー情勢巡り欧米の制裁けん制 EUは追加措置へ
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
2011年の民政移管については、長期制裁の効果があったという有力な見方があります。逆に言えば、それだけ長期制裁でやっとという結果でした。また、制裁は短期的な効果がすぐにでるわけではないということは、北朝鮮の事例があります。
制裁をしなければ軍当局の資金源に影響を与えることができませんが、一方で、制裁をしていない国との取引は引き続き継続することとなります。
引き続き、ミャンマー情勢は着地点が見えにくく、毎日見ているTwitter等で流れてくる凄惨な画像ー中には子供やまだ20歳に満たないような若者もいたり、遺体がなぜこのような状態になっているのかという画像などーには言葉を失います。
混とんするミャンマー情勢 国連はなぜ足並み揃わない? 日本人が抱く国連への“誤解”とは
川端 隆史Kroll Associates Singapore Senior Vice President
2014年のタイのクーデターが1日で終わったと言及がありますが、今回のミャンマーは相当に次元や背景が違います。タイのクーデターはそもそも世論が二分されていたことや、ミャンマー軍ほどの圧政の歴史はありません(といっても、それがよいという意味でもありません)。また当時のタイはプミポン国王が健在であったという点も非常に重要。仮にタイのクーデターが国王が支持しない、国民をちゅうちょなく殺害するというやり方であれば、タイでも多くの人々は抵抗して長引いたでしょう。タックシン政権以降のタイのクーデターは、他国のクーデターの事例とは異なる特殊な政治背景があることを理解することが必要です。
今のミャンマー情勢で想起されるのは韓国の光州抗争。もちろん、こちらも文脈が異なりますし、情報をめぐる環境も大きくことなります。

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