Picks
9フォロー
21153フォロワー


FRB当局者、長期金利上昇の懸念打ち消し 静観の構え
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
長期金利の上昇の背景の一つが、商品価格の広範な上昇を背景に金融市場でインフレ期待が上昇していることにあるだけに、名目金利に比べて実質金利はさほど上がっておらず、従って問題ないと正当化できる面はあります。
しかも、春にかけては昨年の原油価格下落の影響が剥落するので、インフレ率の高まりとともに、インフレ期待が一層上昇する可能性もあります。
しかし個人的には、インフレ率がこのまま上昇して、FRBの平均インフレ目標が想定より早期に達成されることは考えにくいと思います。物価が持続的に上昇するかどうかは、賃金による面が大きいからです。
足元の賃金上昇は、低賃金の雇用機会が相対的に多く喪失したことによる影響が大きいように思いますし、何よりも一旦低下した労働参加率が回復する過程で、労働者が雇用市場に再参入すれば、賃金には下押し圧力が生ずるように思います。
景気回復に長期間も、インフレ上昇局面に備え=FOMC議事要旨
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
既に配信したレポートでも書きましたが、FOMCメンバーが強調したかったのは、今年の春に2%を超えるインフレ率が実現する可能性があるが、一時的な要因ないし相対価格の調整に過ぎないので、持続性は乏しいとの理解です。
言うまでもなく、米国市場で既に盛り上がりつつある、早期のテーパリングの思惑を抑制したいという意図が感じられます。
その一方で、FOMCメンバーは中期的な経済見通しの改善について同意したほか、あくまでも1月FOMC時点の評価ですが、長期金利の上昇の背景が財政支出の拡大とそれによる早期の景気回復の期待と言ったファンダメンタルな要因にあるとの理解を示唆してしまっただけに、市場の反応が先行してしまうのも止め難くなっています。

ドージコイン急騰、きっかけはマスク氏
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
流動性の比較的小さい市場に集中的に資金を投入することで価格インパクトを強める手法だとすれば、昨今話題になっている某資産の売買手法と似た面があります。
フォロワーも含めて自己資金を投入している限りは、仮に価格が逆方向に動いても、金融システムに対するストレスは抑制されますし、こうした事象は新興国通貨や商品相場などにも屡々生じることも事実です。
それでも、こうした暗号資産のように需給ないしマイニングによって価格が決まり、valuationの評価が困難な資産クラスの場合には、価格変動プロセスに歯止めがかからず、結果的にレバレッジを伴う投資家の参入を促すリスクも否定できません。
超緩和的な金融環境でこうした事象が過度に進まないようにすることは難しい課題です。
日銀点検の議論、いかに効果的な緩和を機動的に行うかが焦点=若田部副総裁
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
若田部副総裁が取り上げたコミュニケーションの重要性は、米欧の中銀による対応でも改めて確認された通りであり、日銀による今回の「点検」でも是非取り上げてほしい論点の一つです。
日銀による政策関連の発信は、見通しに関するリスクバランスチャートの開示や速報性のある「主な意見」の公表など、相対的に優れた枠組みになっています。一方で、重要な政策決定に関して、直前まで異なるニュアンスを示唆し続けたケースもあったように思います。
その意味では、若田部副総裁が示唆したように、新たな分析手法も活用しつつ、過去の政策変更におけるコミュニケーションが意図した効果を強化したかどうかも検証しつつ、改善の可能性を考えることも重要だと思います。
米FRB、ゼロ金利と量的緩和維持 完全に景気回復するまで継続
井上 哲也野村総合研究所 金融イノベーション研究部 主席研究員
既に配信したレポートでも触れたように、会見では財政支出の一層の拡大に伴うインフレ圧力の上昇の可能性や、強力な金融緩和による住宅や社債でのバブルの可能性が数多く指摘されるなど、とにかくtaperingに前向きなコメントを引き出そうとする記者の意図が感じられました。
これに対するパウエル議長の反応は、他の専門家の方々が指摘された通りですが、中でも雇用の回復に時間がかかることに加えて、雇用や所得に関する打撃が弱者に集中していることを再三強調したことが印象的でした。
FOMCが、資産買入れのフォワードガイダンスを物価と雇用だけに紐づけてしまっただけに、雇用問題の解決が難しいことを強調しすぎると、危機モードの資産買入れからの転換を図る上での市場との対話に難しさが生ずるリスクがあります。

NORMAL