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クレディ・スイス、週明けの株価62%急落 AT1債は1セントに
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
情報やコメントが今日一日錯綜しているが、ファクトを確認したところAT1債のベイルイン(無価値化)は、CET1比率が下限基準値5.125%を下回った場合という条項(PONV)が発動されたからではありません。実際下回っておらず直前まで14%を超えていた。
それとは別、実質的な破綻が起きる場合にはFINMA(スイス政府市場管理当局)はその裁量により当該債権をベイルインできるという条件(statutory bail in)による。
確かに政府当局の裁量、胸先三寸で決めれる、という条件がそもそもついていた。ゆえにそれ自体に債権者は文句を言えた義理ではない。がしかし、政府の裁量だからといって不条理に何をどう決めても良いわけがない。資本主義の基本原則、まずは株主責任次に債権者責任(最後に預金者責任)という順番を逆にした、そしてその理由が政府CSいずれからも一切説明されていない。できないやましさがあるからとしか考えられない。
なお政府は実質的に買収者に対して「株主総会を開くな、開かずこの場で決めよ」とも迫っている。
金融危機回避も大事だが、だからと言ってこのように資本主義の原則に大きく悖る事をやってしまっては、当然にこの後裁判その他が待っていると思う。
故にこういう動きもさっそく起きている。
ゴールドマン、クレディ・スイスのAT1債請求権売買を近く開始-関係者
https://newspicks.com/news/8243731
ー最終的にAT1債に一定の価値があると訴訟を通じて見なされる可能性に賭けることになるー
破綻前に株売却、3億円の利益=米シリコンバレー銀トップ
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
一般論では、上場企業の役員が所有する自社株については、インサイダー情報を保有しない(ごく僅かな)期間において売却する事は然るべき手続きと取引所への報告を経て可能であるし、世間一般よくやられている。
無論その手続きを怠っていたらアウトだが、やっているとすれば「破綻前」がどの程度前で、その間の経営状況の変化や破綻リスクの蓋然性など論争余地をもって経営陣は争うだろう。
それはともかくこの規模の破綻劇において、3億円がどうのよりも、毎度の事だが結局は経営陣はたいしたお咎めを受ける事なくのうのうとその後も業界に居続ける事が問題で、実際にこの銀行の複数の幹部が元リーマンとか元エンロンというのは既に報じられた話だ。
社会のベネフィットのためにはこういう人々はその後同じ業界に留まれないという仕組み作りのほうが本質論だろう。もっとも過去の歴史を見るとウォール・ストリートという村でそんな事が起きる期待はあまり持てないが。
米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、完全保護」
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
金土日の実質2日そこそこでここまで決定する能力、反射神経というか闘争本能にも近い意思決定能力が、同じような事が日本で起きた場合に発揮し得るのだろうか。
しかし週末の混乱を潜り抜け改めて、本件を総括するに、これは不必要な破綻だった。シリコンバレー重鎮達はその点よくよく反省して然るべしだ。実際に事が起きてから彼らは態度を一変させ、SVB支持だとか、ファウンダーを守れだバレーを守れだ綺麗事というかどの口でという我儘を言い出したわけであるが、彼らVCや具体名が出ている超有名人らが取り付け騒ぎを煽動した張本人でありそれがなくば少なくともここまで極端な事は起きなかったはずである。白々しい傍若無人の誹りは免れないのではなかろうか。
一方でSVB経営陣の杜撰な経営も問題ではある。その意味で大きな痛みを伴わず膿を出せた事は幸運だったのかもしれない。が、それでも金融当局者の能力があと少しだけ足りなければ惨事もあり得た故に冒頭の反省はしかるべしではある。
SVB経営の不味さと取り付け騒ぎとは分けて論じられるべきで、いつなんどきであれ取り付けの煽動などやってはいけないのである。どんな優良な銀行だって、例えばハイパーインフレ論に慄いた日本国民が銀行に一斉に駆けつけたら破綻など簡単に起き得るのだから。そしてそれを必ず国家が保証してくれるとは限らないのだから。
給与支払い不能ならレイオフも-SVB破綻、スタートアップを直撃
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
この週末は本件調査対応に追われていたが、幸い弊社運用ファンドへの影響は極めて軽微であった。
月曜から営業は再開され少なくとも$250kの引き出しが可能とされており、それ以上の金額も数日(days, not weeks)かけて漸次可能とされている。
また一方で、身売り先の確定を待たずしてFDIC自身がバンバン資産の整理売却による資金繰りを始めているという噂も、これはまだ事実かは未明も流布している。仮に全て事実であればこれが最も楽観的なシナリオだろう。
その場合においても水曜の給料日を遅配するスタートアップがレイトステージを中心に大なり小なり生じるだろう。一回の遅配をイレギュラーとして呑み込んでその後の資金繰りがつけば良いが、それがあと一回、二回と続くなかで万事休す会社がどれくらい出るのかは、現時点では未明だろう。
いずれにせよ本質的に収益性ある事業創造に取り組んでいる良い会社は既存インベスター中心に誰かが手を差し伸べ、それと遠い会社から淘汰される、そのスピードが少し早まっただけ、という見立てもあるだろう。そうでない事故死を最小限に止める事がエコシステムの全体特に監督官庁の責務である。
アップルが国際販売事業を刷新、需要急増のインドに軸足-関係者
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
「今回の見直しによって、インドは初めてアップルの自前の販売地域に設定される。」
このBloomberg原文含めて曖昧な表現だが、要は今までのオンライン限定直販のみでフランチャイズ販売を脱し、何度も観測報道がなされている純正(直営)Appleストアをいよいよ本格オープンするという事だろう。
それがなされなかった理由は第一に規制、かの国は中小零細リテールの国内産業保護を御旗に各国比で厳しめの外資出店規制を敷いてる、仕入れや製造の30%以上を自国由来にするなどがそれであるが、それも数年前に緩和された。
ただその後米中ディカップリングやコロナ等の影響でサプライチェーンスタック問題が発生しインドの本格生産・販売体制が整わなかった。
今回いい加減にそれらを整え本格始動するという事、もちろん脱中国依存という方向性も踏まえている。
セブン&アイ 「イトーヨーカ堂」店舗数の大幅削減など協議へ
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
米国による日本に対する市場開放の最後の攻撃が約20年前の大店法改正、これにより商店街という経済圏が崩壊し日本全国シャッター商店街だらけとなった。それに替わり生まれたのが、日本全国どこに行っても画一的で幹線国道沿いにIYやイオンがあってチェーン系の飲食店や眼鏡屋や紳士服屋がある、これが日本という国の原風景となった。
そしてそれ(すら)もこれから崩れ去るという事だろう。
始まったら早いだろう。つまりスケールメリット最大化で画一化均一化されたチェーン店舗すらも無くなる、経済圏として成り立たなくなる。
当然にさらなる都市化が加速し、地方中枢都市以外の都市の過疎が進み店舗が撤退しというネガティブスパイラルが進む。
それを象徴するニュースだろう。
TikTok一般利用禁止法案、バイデン政権支持 実現度増す(写真=AP) - 日本経済新聞
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
Tiktokが使えなくなる日がまた近づいた。 成立すれば(米国ではその可能性がこれでかなり高まったが)、日本も多少の時差をもってそうなるでしょう。過去の米中ディカップリング対応を見ても概ねそう故。そうすると各国にローカルクローンが誕生します。むろんFB、Gら大手のリール/ショート動画サービスもより栄えるでしょう。
結局のところグレート・ファイアウォール、金盾などと称してまやかしの自由貿易完全拒否、これを続けた同国30年のインターネット史。これからの30年でそのしっぺ返しを世界から食らう事となるでしょう。
が、ネット空間が完全にディカップリングすると、人民レベルで得られる情報が異なるという事、情報シャットダウンとは歴史を紐とけば世界和平を鑑み非常に良くない事でもあります。
生成AI企業の勢い示す7つの図表 資金流入8倍の分野も
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
これはCBインサイツゆえスタートアップのみの集計にて、ここに乗らないGやF筆頭にビッグテックもやっているし同メディアのカバレッジが弱い中国勢も最大規模モデル(自称にて正確には不明も)の悟道を筆頭に多数いる、故にジェネレイティブAIへの流入金額はもっと遥かに大きい。
しかしアプリケーションがここにある通りまだまだ。検索やイメージ生成といってもそれ自体でマネタイズするには距離がある。そういう分野というのはやはりディープポケットなビッグテックが強い。結局一つ前の世代のAIであるDLの世界においてもその先頭ランナースタートアップであったDeepmindはGoogleによって買収され飲み込まれた。
ソフトウェアの世界においては稀なディープテックで鐘もかかるわりにはマネタイズが遠い当該分野というのは、かなりビッグテックに有利なゲームである。
独立系スタートアップにとっての勝ち筋、この分野で未来のビッグテックが産まれるか否かは、逆に言えばアプリケーション/UIの発明に掛かっているだろう。

【急拡大】インド経済成長の起爆剤は「QRコード決済」
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
皆さん中国との類似点につきコメントが多いですが、決定的に異なる点がスーパーアプリ化していないという点です。それどころか金融アプリとしてのアリペイとすら程遠く、レンディング、株その他の投資、ジーマクレジットのような与信クレジットなどもほとんど同アプリ上では普及してません。つまりリテール決済と個人間送金という非常に薄利多売なビジネスに大きく依存している。その点がsnsやゲームやコマースなどと統合されたウィーチャットや生活全てがスーパーアプリとして集約され、したがって強大化し過ぎて国家の手により解体されつつあるアリペイなど中国の状況とは全く違います。
あとUPIはあくまでバックエンドシステム、その上のアプリケーションとして三大決済プレイヤーPayTM、PhonePe、Googleペイがいます。PhonePeはウォルマート系、飛ぶ鳥を落とす勢いだった独立系スタートアップPayTMはそうとう厳しいでしょう、株価もだだ下がり。
スーパーアプリというビジネスモデルが中国の外では実はシンガポールやインドネシアでも中国ほどには普及していない、これだけ経つのだから中国だけが特殊だったのであり今後とも普及しないのでは、という仮説、これを私は当初からここでのコメントやいろんな場で論じてきました。
ではなぜか、興味ある方は色々ご教示可能ですが長くなったのでここまでで。

【裏面】高級オフィス家具売却が映す、テック企業の栄枯盛衰
蛯原 健リブライトパートナーズ 代表パートナー
今の30歳代半ばより前の世代は伝聞以外もう完全に知らない事実として、今からたかだか15年ほど前までは、スタートアップで働くとは即ち二等地のカッコ悪い雑居ビルやアパート物件の一画で中古のカッコ悪いデスクと椅子で働く事を指していた。もともとはガレージベンチャーという言葉がある通りアメリカですらもそうだったのだがその後Googleや Facebookが成功しリーマンショック後にマネタリーベースが短期で4倍に跳ね上がるほどの強烈なマネープリント競争による過剰流動性が重なってスタートアップブームが起きたあたりから、スタートアップが「贅沢」を許される時代に変わり、そしてそれを世界中が数年遅れで猿真似しだしたのが、2000年代の終盤くらいだった。
日本ではその象徴はライブドアだった。その時の最高峰物件が六本木ヒルズだったのでヒルズ族という言葉が産まれるほどに当時の贅沢スタートアップはその物件に入った。
栄枯盛衰で一昨年終盤から10年以上ぶり久々の強烈なダウンターンに世界が入ったわけであるが、とは言えスタートアップがみな雑居ビルに戻るほど時計の針が巻き戻る事は無いだろう。
がしかしコロナ直前まで戻れば許されるという事でも一方では無く、そのsomewhere betweenというなかなかに剣呑なモメンタムに今ある。

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