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「片頭痛治療」で実は画期的な変化が起きている
東洋経済オンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
片頭痛治療薬の最新の動向が良くまとめられている記事です。製薬企業に在籍していた一時期、製品戦略の仕事をしていました。その企業が有する資源を片頭痛に投下できないかと考えていた時期もあります。 長らく(1990年代終わり頃まで)、片頭痛は原因がよくわからない病気とされており、医薬品の開発は遅れていました。ただ、降圧薬を服用すると症状がおさまる方がいることから、降圧薬が有する「血管拡張作用」が作用をしている、つまり、「頭痛は神経の過敏によって起こること。関係する神経が血管の弛緩により解放されるのでは」という仮説が立てられていました。しかし降圧薬により逆に片頭痛が起こることもあり、デリケートなメカニズムによって引きこされていることもわかっていました。 頭痛自体はロキソプロフェンなどの鎮痛薬で症状が改善することがあることも知られていた一方、それも効果がない方が多数おり、患者さんによってはただ耐えるしかなく、当時は仕事を休む自由度が少なかった時代だったこともあり、苦労されたと思います(この患者さんは女性に偏っています)。 医薬品の研究開発は、通常のペースでスタートから12~15年位かかることが普通ですが、そのころのニーズの1つが抗体医薬技術の発展により実現された形です。 問題点は、有効率の低さ、高額な価格、安全性の確認症例数が少ないことです。このように書くと使いにくい医薬品のように思われがちですが、もともと医薬品の効果が患者ごとに違うのが片頭痛の病態であり、この薬剤での有効率が低くても選択肢が増える点で朗報です。抗体医薬品は製造にコストがかかり一般に高額ですがその中では安価です。安全性についてはもとより医薬品を使う限り副作用が起きることは承知しておく必要があるのですが、慎重なモニタリング下、いつでも医師にコンタクトが取れる状態で使い、リスクを減らす工夫が必要でしょう(他の医薬品にも同じことが言えます)。 記事にあるマーケティングの話は、日本では販売者による「医療用医薬品の一般人への広告」が薬事法により禁止されていることから、一般の方に情報が流れていかないことにより、製薬企業が情報を広められないことによる苦肉の策とみられます。この雑誌記事にも製薬企業が協力しているかもしれません。それにコメントしている私も、間接的に協力したことになります。
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デルタ株ふたたび中国で拡大 シルクロードの観光客ら相次ぐ感染
朝日新聞デジタル
米ファイザー製ワクチン、5─11歳での有効性90.7% 治験結果
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
この試験による新型コロナ感染者は、「実薬で3名に対しプラセボで16名の有効率が90.7%」ですので、両群の参加者の人数が揃っていた場合は「実薬93名発症、プラセボ1000名が発症」という感覚です。参加人数はプラセボ投与群750名程度の参加者に対して16名ですので、期間中の実感染者数と推定される割合が2%、これを0.2%強まで抑えたという感覚です。両群とも死亡者はいません。 過去の報道を読む限り、当該年齢に対する臨床試験のデザインは、(他の年齢層での効果が明らかなことから)二重盲検比較試験では実施できないと思われていましたが、発表された試験結果は二重盲検比較試験によって臨床試験が実施されたことが伺えます。まずは、このような実績がないと「選択すらできない」ことから朗報です。日本でこのデザインの臨床試験を2268名の児童に保護者(親権者)の判断で参加してもらって実施することは早々簡単ではないと思います。 5-11歳の接種判断は保護者が行いますので、保護者の判断に左右されます。上記の成績をもって、「ワクチンを接種しなくても社会生活に気を付けさせれば問題ない」との感覚を持つ方は日本に多く、米国に少ないかもしれません。 米国では、定型的な仕事や会議はオンラインが許容されますが、米国の授業はディスカッション中心ですので、教育でのオンライン利用は好まれません。接種が自由ならば、要件を満たさない方に対して教育側にも参加させない自由が認められているため、高等教育ではそのような機会に非接種者の参加が制限されはじめています。今後このような考え方が児童にも進むでしょう。このような文化がありますので、「充実した教育を受けさせる権利を得たいと考える保護者(教育熱心な保護者)」に賛同され、接種が進むと思います。 日本では、現状、当該年齢は分散登校・下校、できるだけ児童同士の接触を減らし、結果学ぶ時間が削減されていますが、教育に求められている役割や重視されている部分が異なってもいるようですし、日本では今後も教育を行う側が対象者に接種を求めること自体できません。非接種者に対する公平性も訴えられていますので、「非接種者がわからないまま」学習活動への制限が続けられると思います。
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スタートアップの取締役会の運営方法 (Y Combinator, Anu Hariharan)
FoundX Review - 起業家とスタートアップのためのノウハウ情報
高橋 義仁専修大学 商学部教授
株式会社の取締役は、株主により株主総会で選任され、第一義的には自らの選任権を有する株主に対する受託責任を持たなければなりません。株主の利益最大化に対し報酬を得て奉公し、同時に公益に対する責任(企業の社会的責任)とのバランスを取らなければならないという立場になります。 これらを普通に理解すると、米国の大企業で通常取締役の大半(CEOを除く全取締役のケースが多い)が社外から選任されていることとの整合性が理解できます。米国では、株主のものたる企業の資本関係の再構築など重要意思決定を「企業内部者に任せっきりにすると企業のトップマネジャーの采配により株主が損をすることは必然」で、企業のトップマネジャーは株主との間に「利益相反」が発生することになるとみられてしまいます。 米国では、ほとんどの方が上記のことは深く理解しています。その上で、記事では「大企業とベンチャー企業の取締役の選任基準の違い」のうち「大企業の取締役」については共通理解がある中で、「ベンチャー企業の取締役のあるべき姿との違い」が記事で紹介されています。日本の感覚では「人的なつながりの薄い人が取締役になれるの?」と思われるかもしれませんが、米国では逆に過度の人的つながりは株主に弊害があるとみられます。 記事中、ベンチャー企業の取締役は大企業と異なり「人的なつながりが大切」と書かれています。日本では逆にこちらに違和感はないかもしれませんが、米国でもスタートアップでは取締役に「適確なアドバイス」が重視されるという趣旨ですので、記事の納得性は高いと思います。 日本の取締役会では原案に対しシャンシャンと決まっていくことが多いと思われるのに対し、しっかりと議論されている様子が「標準として」描かれていることも気になりました。日本に「取締役会の議題検討期間に1か月かけ、会議には3時間かける」という企業がどれほどあるでしょうか? 日米間で株式会社の制度的趣旨に大きな違いはありませんが、日本では取締役は「出世した社員の厚遇ポスト」と思っている方が多くいることからか、誤解が頻繁に見られます。例えば、自らへの買収提案には株主に対する利益があるかで是非の判断が下されるものですし、取締役会が株主の発言に制限を加える行為もあり得ません。日本でこれらに抵抗が少ないのは、会社という社会システムに対する理解不足が原因だと思います。
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国産ワクチン、最終治験へ 塩野義と第一三共
時事ドットコム
高橋 義仁専修大学 商学部教授
薬事承認されればともに国産初の新型コロナワクチンになります。塩野義製薬製の臨床試験実施済症例数は60例、第一三共製はそれ以下とみられます。塩野義製薬製は組換えタンパク型、第一三共製はmRNA型とタイプが異なります。米ファイザー製、米モデルナ製はともにmRNA型です。 組換えタンパク型は、米ノババックス製が最も先行していますが、商業規模の製造工程の基準がクリアできず米国で承認されず足踏みしています。組換えタンパク型は、ウイルス病原体を構成するタンパク質からできており、ワクチン技術としては古くからある技法で製造されているものです。四種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)、二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンなどでの応用実績があります。 mRNA型の臨床試験で、日本で数カ月間でリクルートできた臨床試験への参加者数はファイザー製400例程度(対照群としてのプラセボを含む)、モデルナ製300例程度(プラセボ含む)と極端に少数です。ファイザー、モデルナ共、最初に緊急使用時に集めた症例数が4万例弱(プラセボを含む)で、当時の試験環境下において、米国の基準では、臨床効果の検証および高い安全性レベルの検証のためにこの規模の症例数が必要でした。 塩野義製薬が実施する予定の臨床試験は3000例規模ですが、この規模でも日本で実施することは困難なため、ベトナムでの実施が計画されています。 「塩野義、東南アジアで治験 コロナワクチン現地供給に貢献へ」(産経新聞 2021月8月18日) https://newspicks.com/news/6111831?ref=user_1310166 ベトナムでの臨床試験の実施の許可得る条件に同国での供給と技術供与が付けられているとされています。同国はワクチンが不足しており、新型コロナワクチンの安定的な確保を急いでいるとみられていますが、医薬品承認審査の技術が蓄積されているかは不明です。その場合、日本が承認審査をサポートすることになると思われますが、その日本も米国に依存しています。米国がこの臨床試験の規模と内容では緊急使用許可を出すことはないとみられます。日本が多数症例での検証を発売後に回し、承認を先行させるかが注目されます。
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米5〜11歳への接種、11月開始へ 政府がワクチンと会場確保
www.afpbb.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国における小児への投与検討については、2021年10月8日に報道されていました。その計画の前倒しにあたります。 「ファイザー、米で5─11歳向けワクチン緊急使用申請 11月末までの展開も」(Reuters2021年10月8日) https://newspicks.com/news/6250169?ref=user_1310166 ファイザー社製ワクチンでは、約2万例での臨床試験成績をそろえ、米国では2020年12月に緊急使用許可されました。その後、投与後の長期成績が蓄積され、2021年8月に米国で正式承認を受けています。これまでは11歳以下の使用は認められていませんでした。一方で、5歳から11歳の小児を対象に臨床試験を実施して成績が集められ、有効性と安全性の審査が進められていました。 臨床試験に際し段階を踏む理由は、医薬品に付随するリスクが完全には避けられず、副作用が発生した場合、その被害を最低限に抑える必要があることによります。小児などは問題が発生した場合、大きな被害が想定できる対象であることから一般に後回しにされます。 小児への効能拡大試験は二重盲検比較試験では実施されておらず、臨床試験に参加した全員がワクチンを接種されています。このようなデザインで試験を実施された背景には、「すでに12歳以上ではワクチンの利益が十分に認識できる状態にあり、臨床試験においてプラセボ(偽薬)群を作った場合、あたった投与群が明らかな不利益を受けると判断される」と実施開始段階で判断がなされたことによると思われます。ただし、対照群(偽薬投与群)を作っていないため、臨床的有効率が算出できないという妥協があります。 米国での緊急使用許可後は小児への接種が可能になりますが、当該年齢は親権者の判断が必要です。親権者が「接種・非接種のメリット・デメリットを合わせて理解」する必要があります。少なくとも米国では、接種者に権利が与えられるとの考え方が主流ですので、学童の成長に好影響を与える「対面での教育機会」を奪わない為に、小児接種に賛同する親権者は多いと思われます。 日本は承認の判断を事実上米国に委ねていますので、米国での承認後は日本でもすぐに小児への使用ができるようになると思います。
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米、混合接種を容認=モデルナ、J&J製も追加対象―新型コロナ
時事通信社
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本で関心の高いモデルナ社製については、以下の経緯で判断がされています。 FDAの諮問委員会は19人の委員全員が、2回目の接種から半年以上が経過した人に対する3回目接種についての緊急使用許可を支持しています。接種量は、1,2回目の半量です。対象となるのは65歳以上の高齢者と、18~64歳で新型コロナの重症化リスクが高い人、および18~64歳で職場などで新型コロナの合併症や重症化リスクにさらされる環境にいる人などです。 日本では、独自の臨床試験による判断基準をもたず緊急使用という扱いがないことから、米国での3回目接種の決定通りに正式な薬事承認がなされると思います。 米国は2020年12月中旬にファイザー社製について、直後にモデルナ社製について最初の緊急使用許可を認めています。それから約10カ月経過していることから、現在早い方で、両ワクチンの2回目の接種後8~9カ月経過している方が現れ始めているということになります。 ワクチン接種後の中和抗体の減少は、各ワクチンとも6カ月以降で見られており、新型コロナウイルスの免疫獲得の性質は、はしかなどのような終生免疫ではなく、インフルエンザのように毎年追加していかないといけないタイプであることも明らかになりつつあります。 変異株は、高いレベルの抗体を維持することで対応できる可能性が高いことから、2回接種後に低下する免疫の獲得が課題になっていました。そこで、最初に臨床試験に参加していただいた方(2020年8月頃~)の一部の方をリクルートして3回目接種の臨床試験を実施し、良好な結果を得ていました。しかしながら、3回目接種後のデータは長くても2~3カ月集積した段階で、長期にわたりどうなるかはわかりません。通常この段階では、医薬品が承認されることはないのですが、新型コロナウイルス感染症は、蔓延時のダメージが極めて大きいため、米国はこれまで緊急使用許可を出して、ワクチンの接種をサポートしてきました。 現在、ウイルス蔓延に対して一定の抑制がみられているのは、ワクチンの効果であることは間違いないでしょう。そのような背景から、長期データは不十分ながら、米国ですでに正式な薬事承認を得ているファイザー社製・モデルナ社製に加え、J&J製のワクチンに対しても3回接種の緊急使用許可を出し、公衆衛生上の対策を優先したいという考え方がよみとれます。
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厚労省専門家組織「一部地域ではリバウンド兆候も」疫学調査徹底求める
TBS
「チック症」の10代少女が増加 TikTokが一因か
The Wall Street Journal
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事のタイトルからは、TikTokで「チック症」が起きやすくなる可能性があると読めますが、慎重に読み、正確な内容を理解する必要があると感じました。 記事は、「複数の複雑な運動性・言語性が特徴のチック症」の発症増加について、以下の仮説をたてて紹介しています。 (1) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、チック症を患う10代の少女の来院が増えた。チック症は、不安症やうつ病が関係している。 (2) 心理的なストレスによる肉体的な症状は、患者が以前目にした他の人の症状と同じように現れることが多い。 (3) 女性が大半を占めるインフルエンサーが動画の中で見せるダンスは「複数の複雑な運動性・言語性が特徴のチック症」と似ている。 この根拠だけで、「チック症」はTikTokが原因の可能性があると推論していますが、常識的に考えても、同じようなシーンが並ぶYouTubeやInstagramでは起こらずTikTokで起こると説明することは難しいのではないでしょうか。記事中の病態の推論については真面目に書かれていると思うのですが、その点の信頼性も損ないかねません(高級紙The Wall Street Journalなのにどうしたのでしょうか?)。 仮にこのような症状の「チック症」の増加が、10代女子に流行している動画中のダンスの流行が関係しているにしても、見出しも含めてミスリードを望んでいるかのような論調のため、その点については感心できないと感じました。チック症の病態と原因については、健康な生活を送るために正しく理解する必要があると思いました。
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米アテアのコロナ経口薬、有効性確認できず 株価65%安
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事のコロナ経口薬は、米アテア社がスイス・ロシュ社と共同開発している開発コード名AT-527と呼ばれる抗ウイルス薬(RNAポリメラーゼ阻害薬)を指しています。同領域では、米メルク社の「モルヌピラビル」が先行しており、米国で「軽症および中等症」を対象として緊急使用許可の申請中です。 モルヌピラビルにおいても、投与対象を広くとった場合、有効性を確認できない事例が確認されています。インド国内で承認を得るためにインドで臨床試験を実施している提携先オーロビンド・ファーマとMSNラボラトリーズによる「軽症・中等症」対象の臨床試験で中間成績の層別解析を行ったところ、「中等度」の患者に対して効果が思わしくないとの結果が出ているようです。インドでは、抗ウイルス薬「モルヌピラビル」の臨床試験の対象を、今後は「軽症」のみに絞り再試験が実施されます。 米アテア社の「AT-527」については、「重症化リスクが低い」軽・中等症のコロナ患者では、体内のウイルスを減少させる明確な効果は見られていない一方、基礎疾患があるなど重症化リスクの高い患者らのみを解析対象にすると一定の効果が見られたことから、今後規模を拡大して実施される臨床第2/3相試験においては、「試験対象を絞る」ことで結果を出そうとしています。この「試験デザイン」の検討と、臨床試験の対象者のリクルートに時間がかかるものとみられます。 「モルヌピラビル」などの抗ウイルス薬は、体内に侵入したウイルスのDNA複製を阻害する作用機序を有しますが、ウイルスが体内で大量に増殖した状態ではDNA複製を阻害しても追いつかず、症状が重いほど効果が出ないとされています。また、重症化リスクが低い場合は、プラセボ(偽薬)投与群でも回復するため、実薬との二重盲検比較試験で有意な差が出ないことも想定できます。 今回は、そのような背景を踏まえてもなお対象患者層が適切に絞れなかった典型的な失敗例だと思います。その場合は対象患者を設定し直すことで、統計的差異が出やすくなり、有効な試験成績が出ることがあります。一方、承認される投与対象患者が限定されることから、医薬品としての経済的な価値はその分低下します。 医薬品の承認審査では、事後解析で有効な対象を見つけても、普通は認められません。想定する投与対象だけを事前に設定して臨床試験をやり直す必要があります。
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米FDA、追加接種で異なるメーカーのワクチン容認へ=米紙
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医薬品の許認可のルールでは、正しい手順に則った臨床試験を実施したものでないと「推奨投与法」としては認められません。「混合接種」は、副作用が発生した場合の原因の特定も複雑になりますので、製薬企業としては、これに関する臨床試験は「リスクが増え、メリットが少ない」と考えるでしょう。従って、製薬企業の研究開発行為としての「スイッチ投与」の臨床試験は、特殊な場合を除いて実施されにくいと思われます。 一方、臨床研究としては興味深いテーマであるため、多くの臨床研究家(医師)が自身の研究機関等に申請して正規の手続きを経たうえ、実施されているものと思われます。その結果が学術論文として公表され、ここで経験的な実績が積まれます。 ある程度それが蓄積すれば、実社会での追加接種が認知され、広がっていくことになります。現在、米国はこの段階であり、FDAはこれまでの追加接種での異なるメーカーのワクチンは「(使用実績がなく)禁止に近い非推奨」の立場から、「明確な非推奨は表明しない」との立場に変わったものと思われます。 これにより、ワクチンの選択・流通の自由度が上がるなどのメリットが得られますが「現時点では混合接種を推奨する根拠ない」ことが読み取れます。通常は、正規の臨床試験での安全性確認の症例数が多い投与法(混合でない投与法)が推奨されると考えてよいでしょう。
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少量接種で効果?新コロナワクチンの治験開始 来年の実用化めざす
朝日新聞デジタル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
VLPセラピューティクス社が開発中のワクチンは、2021年10月中旬にはじめてヒトに投与され臨床研究のスタートラインに立ったことを意味します。まずはこの臨床第1相試験でごく少数例の健康な成人男女に対する安全性と医薬品としての基本的な役割(中和抗体の増加)が確認される必要があります。 開発中の自己増殖型(レプリコン)と呼ばれるmRNAワクチンの作用機序に「自己増殖」があるなら、この部分の安全性確認は相当慎重に行われるはずです。クリアできればワクチン開発のバリエーションを世界に提供できるという意味で貢献になるでしょう。国内のワクチン開発に新たに1候補が加わったことについては期待しています。 投与量の削減効果が「生産量が少量ですむ」ことのメリットしか思いつかないなら医薬品製造の点では貢献するとまでは言えず、この部分での差別化が受け入れられるのかは疑問です。 新型コロナワクチンの臨床試験は、既存のワクチンが出ていることにより、ハードルが上がっています。ワクチンの効果が確立していなかった時点であればワクチンとプラセボ(偽薬)が半数ずつ割り付けられた「二重盲検比較試験」の実施ですみました。ファイザー製やモデルナ製の場合はこの方法で実施され、最終的にはワクチンとプラセボ合わせて4万例弱の接種者で臨床効果(実際の感染抑制)と、この約2万例弱での安全性の傾向が確認されています。このレベルを満たしてFDAの「緊急使用許可」が取得できました。 現在のワクチン開発については、人道上の理由からプラセボとの比較はできないと思われるため、新ワクチンと従来ワクチン(ファイザー製やモデルナ製)の二重盲検比較試験で「非劣勢(劣らない)」が示されることが、世界での承認の条件になると思われますので、ハードルは低くないと思われます。 一方、過去に臨床効果(実際の感染抑制効果)を示さずとも(臨床検査値の変化のみでも)、また欧米のように多数例の臨床試験を実施せずとも、日本では薬事承認を認めるとの方向性が報道されていました。その場合早期の薬事承認はできますが、高いレベルでの安全性確認もできず、おそらく世界からは日本でしか使えないローカルのワクチンに位置づけられますので、実施可能性に疑問があります。 その様な状況で、特別なプランを示さず、「来年の実用化」と発表している点についは具体性に欠けています。
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LINE問題で最終報告書 “経済安全保障への配慮できていない”
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「外国の業者に業務委託していることについて、官庁に対し、当初『国内に閉じている』と(確認不十分で? 結果的に?)虚偽の説明があった。個人に対してプライバシーポリシーなどで明確に個人データの越境移転について説明していなかった」点については、明らかに問題があったと感じます。 しかし、「海外のサーバーを一部利用していること」自体が問題なのかがはっきりしません。政府はこの点を明らかにすべきでしょう。もし中国、韓国が問題なだけで、米国は無問題であるならばその点を理由を含めて明言する必要があるでしょう。 現状、「国内(日本)に閉じている」と明言できる大規模SNSは皆無だろうと思います。欧米系や日本のコンサルティング企業で外国にデータセンターを置いているところは多くあり、それら企業は日本政府の業務も受託しています。「間接的」を含めると、中国などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を利用している企業はおそらく多数あります。 20年くらい前から中国のBPO企業に業務委託して利益を上げてきた経団連の役員を輩出する有力企業を存じています。この企業の中国での協力企業は、日本の下請けとして成長してきたことが知られています。(10年位前、中国東北部の企業を訪問し教えてもらっています。いままで法規制なく放置されています) 企業内のイントラネットに海外のサーバーを使っているところも、少なからずあると思います。今後、これらは一切禁止されるのでしょうか。他のクラウドサービスが何らお咎めを受けることなく「今も海外のサーバーを使い続けていることについては何の問題もない」のでしょうか。 もしLINEが「国内に閉じたサーバーであることは保証できない」と説明していた場合はどういう展開になったのでしょう。その場合、行政はLINEのようなSNSは使わなかったのでしょうか?今後企業がSNSサービスを使うことは禁止になるのでしょうか。 疑問点は数々出てきます。 結局のところ報告書は、「国内に閉じたサーバー」とのLINEの説明について使用者側で検証することなく、若者受けするLINEを行政サービスで使ってしまった行政の責任逃れの意味合いが強いのではないかと思ってしまいます。 本件は、経済安保の体制を整えるのとは違う次元の指摘だと思います。
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イベルメクチン個人輸入に警鐘「科学的根拠ない」
産経ニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
イベルメクチンに関して、現時点でわかる範囲でのコメントです。 1 医薬品の効果はあるか? 「飲んでおけばウイルスの力を弱める」なら、その仮説をもとに背景をそろえた2つの群を作り二重盲検試験で効果を示すほか、国際基準を満たす臨床試験を満たした研究結果がなければ医薬品としての使用は認められませんが、世界のどこにもありません。 2 特許切れなので製薬企業は売りたくない? 「安価な医薬品を流通させると困る人たちがいるため、それを流通させないような力が働いている」との論調については、医薬品業界を知るものからみれば、そのような力はどこにもなく、逆に流通させる力が働くのであればわかります。安価なのは、研究開発費をほとんどかけていない後発医薬品企業が売り出したため価格競争が起きていることによります。むしろ販売を希望する多くの企業が作り出した結果です。 また、新型コロナ関係の医薬品の購入は各国政府が行っており、高額な医薬品を購入したい動機が見当たりません。ジェネリック企業にも、イベルメクチンを製造し、売るという経済的な動機は働いています。 すでにライバルが多く安価な医薬品に対し、先発企業だけが資金提供して臨床試験を行いたくないと考える可能性はあります。しかし、極めて有望な根拠があるなら「独占的な特許をとる方法を用い」どこかの製薬企業が研究開発を進めると思われますし、それ以前に「経済的動機のある」政府が動くはずです。臨床家(医師)が主導する小規模な臨床試験も実施可能です(これは日本でも実施されています)が、結果が出ていません。 3 作用機序は? イベルメクチンは「抗寄生虫薬」で、線虫の神経・筋細胞に結合し細胞膜の透過性を上昇させ、駆虫活性を発現するという作用機序をもちます。ウイルスに対しては、核内への運搬蛋白とウイルス蛋白との結合を阻害することにより、ウイルスの自然免疫抑制作用を解除し、ウイルスの増殖を抑制するとの仮説が立てられているようです(この場合、コロナウイルスに特異ではありません)。まずは、臨床試験での有用性の証明が望まれます。 4 個人輸入について 個人が条件を満たして輸入することは可能ですが、当然ながら日本の製薬企業が拠出して運営されている副作用救済制度は適用されず、輸入に関与した医師も責任を取りません。輸入ビジネスのウエブサイトは営利色が強い印象を受けます。
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日12時間未満の「時間制限食」で、糖尿病や心臓病のリスクが低下する - ヘルスデーニュース
Diamond Online
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「断食後調子よくなった」はたまに聞くし、間食のし過ぎは健康によくないから記事の通りかもしれないな、くらいの感覚で受け止めました。確立した(多くの専門家に支持されている)セオリーとの齟齬もなさそうですし、今後参考にして健康的な生活を目指したいと思います。今は飲食を伴う多人数での会合がほとんど予定されていないと思いますので、「時間制限食」を試してみるには絶好のタイミングではないでしょうか。自分に合っていると感じたら、少し本格的に取り入れてもよさそうと思いました。 記事に書かれていることは、巷にあふれている「とんでも健康理論」の類ではありません。この記事のソースは、米HealthDayという健康志向の方向けの一般紙に書かれている内容で、さらにソースは、米ハーバード大学のメディカルスクールのレビュー(紀要)に掲載されている研究情報のまとめ記事です。 「Intermittent fasting: Surprising update」(2020年3月10日 Monique Tello他) https://www.health.harvard.edu/blog/intermittent-fasting-surprising-update-2018062914156 同レビューは以下の通り高い信頼を得た学術論文を引用した信頼できる内容のものです。 New England Journal of Medicine, December 2019. JAMA Internal Medicine, May 2017. American Journal of Clinical Nutrition, January 2005. The Obesity Code, by Jason Fung, MD (Greystone Books, 2016). JBI Database of Systematic Reviews and Implementation Reports, February 2018. Annual Review of Nutrition, August 2017. Cell Metabolism, May 2018.
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