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ワクチン売上高3.7兆円 ファイザー、年間予想修正
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
これまでの報道を総合すると、ファイザー社製ワクチンの1回あたりの単価は約3000円くらいではないかと考えていましたが、今回の企業発表の数字から割り戻すと単価は約1762円であり、予想していたよりもやや安いという印象です。今年5月の企業発表では、2.8兆円の売り上げ見通しのところ、短期間での大幅な上方修正になります。 ファイザー社のワクチン影響なしの2019年12月期では、ファイザー社の売り上げは約5.5兆円でしたので、大幅な売り上げの積み増しですが、世界の何百社もの企業がワクチン開発のために、各社とも数十億円~1000億円を超える開発費を投じたなか、ファイザー社をはじめ、ごく一部の企業だけが(少なくとも短期的な)成果を得られているのが実情であり、世界を救うほどの貢献をしたファイザー社のワクチン売り上げが「当年度3.7兆円」であることに特別な違和感はありません。 もともと、製薬企業のビジネスは投機的な色彩が濃いところ、また日本のような支払い側の圧力の強い国では長期的に厳しい経営環境にあると予想されています。コロナ禍で得られたケース・スタディーからみても、自由市場においては「研究開発の自由度が高く、医薬品の価格がある程度自由に付けられる国への研究開発機能の移転」を考える企業が増えることが予想されます。
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ファイザー有効率8割に低下か 2回目接種の4カ月後以降
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
同僚研究者によるチェック(査読=ピア・レビュー)を受けていない段階での報告ではありますが、ファイザー社製ワクチン接種者について、米独など6カ国で4万人以上を対象に実施した追跡調査に基づくものですので、現段階の発表でも信頼性の高いものだろうと思います。 これまでも使用実績に基づいた専門家の見解として、2回接種での抗体は少なくとも6カ月間は持続するものの、その後徐々に減少し、1年以上だと厳しいのではないかと言われはじめていました。結果を踏まえて、新型コロナウイルスワクチンの3回目(以降)の接種の必要性を検討されていますが、インフルエンザワクチンの抗体の持続期間が5カ月程度であることにより毎年接種する必要があることは知られていますので、今後、コロナウイルス・ワクチンも同様の接種方法が推奨されていくことになるかもしれません。 有効率が8割に低下することについては、従来株への抗体価の低下によるものか、その間の変異株への抗体価の低下によるものか、複合要因かは記事からは明らかではありません。今後示唆されるものと思います。 同ワクチンは、米国での緊急使用許可は数万人の臨床試験に基づくものですが、長期成績が不足していることにより正式認可を受けられていません。状況が明らかになると正式認可につながりますので、今回のファイザー社からの発表は、そのためのデータ整備のなかで得られたものだと推測します。
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アストラ製、40歳以上で検討 厚労省、「臨時接種」対象
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
アストラゼネカ社製ワクチンについて、認可されながら、接種に使用されていなかったのは、現在使用されている他のワクチンが使えるのであればそちらを優先したほうが良いという判断でした。予備ワクチンとしての備蓄目的通り、市中での緊急接種の必要性が増してくれば、使用を急ぐ判断がなされるのは当然のことだろうと思います。 接種年齢が40歳以上との指定は英国での使用基準に倣っています。英国での根拠は、極めて稀に起こる血栓症の副反応に対するリスクと感染防止のベネフィットを計算に入れたもので、他のワクチンの供給も十分なためです。 2021年5月上旬現在で、英国において、同社製ワクチン接種後に血栓が発生した確率は、40代では約10万人に1人とごくわずかですが、30代では6万人に1人にやや上昇。また、血栓による死亡率は40代では100万人に2人ですが、30代では100万人に4人に増えています。また、若年層では新型コロナウイルスに感染して重症化するリスクが低く、英国の事情として、すでに若年層でもワクチン接種者が増え、感染率自体が低下していることによります。 英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)によると、アストラゼネカ社製のワクチンについて、「(接種の回数が増えて得られたデータを踏まえると)年配の人々では有益性がリスクを大きく上回るが、若い人々の間ではバランスが微妙」であり、「ワクチンの使用を検討する際には、データを考慮する必要がある」としています。 日本でも、このようなデータは、希望接種を検討してもらう際には判断材料として提供されなければならないでしょう。総じると、アストラゼネカ社製を含め、ワクチンの接種は強く推奨されていることであり、感染抑止に有効であることは証明されています。 参考記事 英、40歳未満に別ワクチン アストラゼネカ製の副反応考慮(アジア経済ニュース 2021年5月10日) https://news.yahoo.co.jp/articles/cf6861c147d138ee4e870ba439411bfe25d2709f
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SOMPO傘下、介護職ら1000人の年収100万円引き上げ…深刻化する人手不足に対応
読売新聞
首相、感染者増で「新たな治療薬を徹底使用」…「抗体カクテル療法」活用の考え
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ワクチンの接種により自分の体がつくる抗体に比べ、他で作られた抗体は、ショック症状等の重篤・重症の副作用が多く見られることと、コストが非常にかかります。「抗体カクテル薬」は、全額公費で行われるため公定価格(保険薬価)がついておらず、発売元の中外製薬から政府に納める価格は明らかにされていませんが、ワクチンの価格の比ではありません。 免疫を補充したいときに使われる既存薬「免疫グロブリン製剤」はヒトの血液から作られますが、今回承認された「抗体カクテル薬」はねらった抗体を産生するよう遺伝子組換えされた「マウス」に産生させて製造しています。 「免疫グロブリン製剤」は、ヒトの血液から(病原微生物/ウイルス)に感染した際に作られる抗体が存在する血漿の分画を取り出したもので、よく知られる抗体補充療法です。ただ、新型コロナウイルス感染症でも世界各国で臨床試験が行われましたが、成績が示せず、新型コロナウイルス感染症には認可はされていません。 今のところは「抗体(製剤)があるからコロナは恐れるに足らず」、「ワクチン接種をせずとも治療薬があるので大丈夫」ではないと思われるため、予防対策は引き続き重要だと思います。不幸にしてかかった際、重症化のリスクが抑え込めず止むを得ず使うのが「抗体カクテル薬」だと思います。当医薬品は、認可プロセスが異例に省略されており日本での臨床的有効性も確認されていません。 また、「抗体カクテル薬」は今のところ日本以外の国では承認されておらず、世界での試用実績も十分とは言えません。(低頻度での副作用の検出がいまだ不十分な状況にあることを意味します。)軽症用といわれながらも、この医薬品は、点滴静注により使用しなければなりません。 現段階では試験成績の不足からも厳重な医療体制のもと、臨床試験を兼ねて使われる位置づけですので、自宅療養では使用できません(内服薬ではありません)。 ワクチン非接種者が重症化して人工呼吸器やECMOを装着する必要を避け、医療資源を圧迫しないようにさせたいための首相の発言だろうと思われますが、以上のことから、ワクチンと比べると、有効性、安全性、コストのバランスは悪いものであろうと思います。現時点では、コロナ感染症に罹患したからといって安易に使われる医薬品ではないと思われます。
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モデルナの新型コロナワクチン、米国外での提携先で生産に遅れ
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
モデルナ社製ワクチンの生産遅延に関する内容は、以下のReuterでより詳しく報告されています。 https://www.reuters.com/world/asia-pacific/supply-issues-delay-moderna-covid-19-vaccine-shipments-skorean-official-2021-07-27/ Bioombergに書かれていない内容としては、 ・研究所の品質確認プロセスで問題が生じた ・この問題はすでに解決されたが、生産の遅れは今後2〜4週間引き続き生じる ・韓国政府が接種キャンペーンを行っている50代、電子セクターの労働者に拡大する分に影響がある(記事の発信は韓国です) ・混乱により、(韓国では)一部の予防接種をファイザー社製に切り替えた ・韓国に影響を与えるだけでなく、製造現場からの供給を受ける国々に共通の問題である ・韓国はModernaワクチンの4000万回分を契約しており、そのうち約110万回がすでに到着している などがあります。 また、記事からは、意図的に米国外への輸出分を調整するのではなく、海外向けの製造になっている工場での生産遅延のため、海外分に遅れが発生することが読み取れます。日本への影響は、スイスのロンザ・グループとスペインのラボラトリオス・ファルマセウティコス・ロビの分が供給されているならあり得ると思います。
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感染急拡大で都がコロナ病床確保を要請 通常診療制限も
TBS NEWS
高橋 義仁専修大学 商学部教授
感染者の継続的な増加の要素と、検査再開のタイミングと重なり一気に数字が跳ね上がっているように見えますが、明日以降も減少の要素がほとんどないように思われるため、しばらくの間増加し続けるのではないでしょうか。 多くの小規模な民間医療機関(有床民間病院でさえ)は、実際コロナ診療に対応できるような設備や技量が備わっていませんので、いくら受け入れるように要請をだしても、(病院での蔓延のリスクを下げるために)以前にも増して「受け入れ拒否」を続けるだけだと思います。ただただ、中等症以上の方を入院で受け入れている病院がてんてこ舞いするだけです。 一般の民間病院に要請を入れるためには、医療関係の資格を持つ方にのみ(就業内容の自由を制限する)徴兵制のような制度(=就ける診療科への制限、免許を有する人が他業種に就くことへの制限)を設けないといけないので、日本では無理な話のように思えます。この制限下では、タレント業や医療ベンチャーの起業、無業などはよろしくないことになり、職業・職種の強制(=憲法違反)との折り合いをつけないと実現しません。医師会からの働きかけは、活動の内容からみて医業労働組合的性格が強く、指導力には期待できないように思えます。(医師会は会員の様々な要望を政府に伝えることが仕事です。そうでないと、任意に会員が会費を支払う動機は生まれないでしょう) 感染の爆発的拡大は、これまで入院できていた方が入院できないことを意味しますので、残念ながら、自宅で悪化する方や死亡者が増加することになると思います。若い方は、もともと入院の適応が非常に厳しいので、これからは高熱程度では入院させてもらえないようになるかもしれません。「若いから大丈夫」ではなく、「若いから危険」と考える必要があると思います。 大学で仕事をしている立場からすると、今年はほとんどの大学で定期試験は予定通り実施されています。コロナ感染が疑われると受験拒否がなされ、追試があってもこれも受験できないと単位認定されないことを意味します(気の毒ですが、本人に帰する責任として処理されます)。 これまで、気を付けていればほぼかからないような環境が作れましたが、状況が変わってきました。見ていてもわかるように、国や都道府県では根本的な対策はできませんので、「かからないように個人が気を付ける」しか対処する方法はないと思います。
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ワクチン廃棄の企業名公表 職場接種で厚労省
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
職域接種は、接種予定者名簿、接種する医療従事者、会場の都合を企業(実施者)がつけることができると、ワクチンの希望数が入手できる仕組みでした。早く接種してもらう機会を従業員に与えるために早急に手配し、余れば返せばよいとも考え、多めに手配する傾向があったようです。 自社分確保優先の行動が、「隠れ余剰」を大幅に出していると思われます。制度設計で防ぐ手段があったはずですが、なぜ二重、三重予約が可能なシステムにしてしまったのか、いまさらながら悔やまれます。 ワクチンは、いったん企業に持ち出された分は、温度などの品質管理の保証ができないことから、信頼できる記録が備わっているもの以外は、他会場では使われず、残念ながら廃棄されると思います。 厚生労働省が、「ワクチンを廃棄した場合の企業名を公表する」と事後に決めたことに対してはまったく寝耳に水で不満をもつでしょう。当初は、ほぼノーリスクで実施できる「福利厚生」と考え、企業イメージの向上にもつながることから飛びついていたわけで、企業にはよいことづくめの福利厚生施策でした。 これがいまになって「廃棄した企業」などと実名を出されることにより、逆効果になるわけですから「当初からそういうことがわかっていれば、参加しなかった」と思う企業は少なからずあるかもしれません。 ワクチン自体の費用だけで考えると、1回あたりの価格は約3000円ほどといわれており、廃棄分については企業に費用負担させてもよいのではないでしょうか。大半は、「廃棄企業」のレッテルを張られるより、払った上で、公表されないほうを選ぶでしょう。 もちろん、有効活用を考える上では、金銭保証をしてもらったところで、意味はありません。当初より考えることができたこのようなリスクの回避方法は十分にあったはずですから、繰り返しになりますが悔やまれます。しかし、一時的な接種スピードアップには貢献してはいますし、使えなくなったワクチンはもう戻ってこないので、割り切って次の方法を考えるしかないでしょう。
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塩野義、コロナ治療薬の国内第I相臨床試験を開始
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
企業発表は、臨床第1相試験といわれる、臨床試験としては最初に行う試験に関することです。このステージでは通常、健常成人男性に対して投与され、厳重なモニタリング下で主として体内動態(血中濃度など)と安全性の確認が行われます。この試験の成績において安全性上の懸念が許容範囲であれば、規模を拡大して、臨床第2相試験で有効性を確認します。 臨床試験の最初期のステージであり、ここまではヒトでの有効性の確認はまったくなされていない段階です。しかし、ウイルスの増殖に必要な酵素(プロテアーゼ)を選択的に阻害する薬効を有し、類似の作用機序を有する医薬品は、抗HIV薬としては汎用されています。 通常ですと、製薬企業はこの段階の「医薬品候補」はいくつも抱えており、一般的にはここからの道のりは遠く成功確率も高くないため、積極的にプレスリリースを行うことはありません。しかし、新型コロナウイルス薬に関しては日本の政策ポリシーに著しい変化がみられ、日本で臨床効果が確認できていない場合でさえ簡易に認可を出している事例が相次いでおり、この医薬品についても、安全性がある程度確認できれば、ごく少数例の臨床成績で特例承認される可能性があるでしょう。 抗ウイルス薬関連としては、日本では、当初エボラ出血熱に使われていた「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ)が新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬として認可が取れています。より系統が近い既存抗ウイルス薬「ロピナビル/リトナビル」(アッヴィ)は、HIV感染症の治療薬として国内でも承認を取得していますが、海外の臨床試験において投与群とプラセボ群の死亡率に有意差が見られず、抗コロナウイルス薬としては承認に至っていません。 いまのところ、新型コロナウイルスに特化した抗ウイルス薬が存在しないため、臨床試験の成功が期待されます。
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バイオジェンが反論、アデュヘルム承認への批判は「著しい偽情報」
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「バイオジェンと承認審査に携わったFDAスタッフとの間について、審査結果が出る前の情報のやりとり」を疑う報道がでており、想像の域内ですが、バイオジェンが主張している「著しい偽情報」とは、これに対する否定だと思われます。 「エーザイ・バイオジェンの認知症薬、FDAトップが承認過程の調査要請」(Bloomberg 2021年7月10日) https://newspicks.com/news/6004155?ref=user_1310166 一方、臨床試験の結果が偽である可能性はほとんどないため、「偽情報」が仮に試験成績を指すものだったとしても、解析結果の「解釈」に限れられるはずです。 当医薬品の臨床効果の「解釈」については微妙でした。承認を得るためには、薬効薬理的特性から効果が認められると予想される効果をプライマリー・エンドポイント(主要評価項目)に設定した上で、臨床試験後に開封し、クリアする必要がありますが、当医薬品で認められた「これを満たさずに承認」という話はほとんど耳にしたことがありません。 「アルツハイマー薬、米で承認=世界初、エーザイが共同開発」(時事通信社2021年6月8日) https://newspicks.com/news/5915122?ref=user_1310166 実際、アルツハイマー型認知症の「進行を抑制する」として発売されている医薬品は「アデュヘルム」以前になく、介護に負担を強いられている患者団体は当医薬品を熱望していました。製薬企業も影響力を有する患者団体に対し、「社会貢献」として資金援助をするのは、最近の製薬業界の流れでもありました。 これまでは同種薬がない場合、たいていの民間健康保険(生活困窮者には政府の社会保障)は保険でカバーされていました。このケースでは、主に保険会社が費用の負担をするため、患者負担は大きくありません。患者家族にとっては、「医薬品」はあったほうがよいと考えるでしょう。ところが、当医薬品に対しては、「保険適応の基準変更(保険対象にしない)」をする保険会社が見られはじめてています。異例のことです。当医薬品には、年間約610万円の価格が付けられています。
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菅首相 ファイザーCEOと直接交渉へ 未納入ワクチン前倒しを
FNNプライムオンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
交渉のテーブルにつく方が決定権か、それに近い権限を有しているというのが世界標準だと認識していますが、日本企業の場合は、ニコニコして頷きながらも(長い会議のあと)結論を出さず「社に持ち帰る」とだけ回答し、相手を待たせたうえ、(上役の回答をふまえて)あらためて会議の設定をお願いするような交渉手順をとるため、これが世界のビジネスには受け入れられず、他国に交渉で負けることが結構多いように思います。 このようなエピソードが、日本政府のワクチン購入交渉でも当初は見られており、本年3月上旬には、これにしびれを切らせたファイザー社側から、日本政府に対し「首相と交渉を」という要望が出ていました。 この時、日本への供給条件として、新型コロナワクチン接種に際し重篤な副反応が発生した場合には、供給企業に責任があった場合でも、企業側の免責を受け入れるように要望されていたようです。(すでにファイザー社のワクチンを購入していた国はこの条件を受け入れていたとみられます。)この点の折り合いがつかないため暗礁に乗り上げていましたが、首相とファイザー社の交渉により、日本がこれを受け入れた結果、優先供給が即座に決まった経緯があります。 「ファイザー『首相と交渉を』返答に関係者絶句、政府主導権取れず難航」 (SankeiBiz 2021年3月8日) https://newspicks.com/news/5669706?ref=user_1310166 決定権限を有する方同士の直接交渉は、日本政府としてもファイザー社としても、共に条件を伝え、合意点を見出すための合理的な方法です。世界中がワクチンの優先供給を求めていますので、権限を有する方が早期に交渉しないと、どんどん後回しになってくるものと思われます。日本の現状(ワクチンの供給不足による接種遅延)を踏まえると、当然に必要なアクションで、ここには3月の経験が生かされているのだろうと思います。
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コロナ治療薬「ロナプリーブ」、厚労省が承認 世界初
www.afpbb.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
中外製薬から、詳細がプレスリリースされていました。 「カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法、COVID-19に対する治療薬として製造販売承認申請」(中外製薬 2021年6月29日) https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210629170000_1122.html この医薬品が7月19日夜、日本で承認されたとのことです。 「コロナ治療薬 中外製薬申請の薬 厚労省が承認 軽症患者用で初」(NHK 2021年7月19日) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210719/k10013148501000.html 承認された医薬品は、抗体医薬品の「カシリビマブ」および「イムデビマブ」を組み合わせたものです。米国リジェネロン社およびスイスのロシュ社(中外製薬の親会社)により開発されましたが、日本ではごく少数例に対する臨床第1相の試験で安全性と忍容性、薬物動態の確認を行ったのみで、有効性に関する成績は海外の臨床第3相までの試験を用いています。申請後1か月での承認取得については驚愕のスピードです。新型コロナ感染症に関係する医薬品については、評価すべき臨床試験成績が海外にあれば「日本でも承認」の流れにはありましたが、今回はそれに加え、「海外で承認されていなくても日本で承認」ということで、驚きです。 中外製薬の抗体医薬品は、外部から抗体を補充することにより「短期間で」効果を発揮させる目的で使われます。ワクチンを接種した場合、体内での抗体産生までに時間がかかりますが、外部から抗体を投与する場合、短時間で効果が発揮できるため、緊急に外部から抗体の導入が必要な場合に効果が期待できます。 外部から人為的に抗体を入れるもの(抗体医薬品)、ウイルスの遺伝子を攻撃して減少させるもの(抗ウイルス薬)が初期~中等症向け治療薬として使われますが、ともに「ウイルス量が増加した状態」では効果が見込めないといわれます。また、添付文書(使用法に関する公式書類)には、選択基準として「50歳以上または基礎疾患を有する方」と書かれています。非常に高価ですし、重い副作用の懸念もあります。ウイルスの侵入時に発症を抑える「ワクチン」とは用途が異なりますのでワクチンの代替にならないことに注意する必要があると思います。
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「勇気ある経営大賞」グランプリに書店 なぜ?
ITmedia ビジネスオンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
出版事業から訪問介護事業に多角化を行っても、「既存事業との関連が少ない(非関連多角化)ため、成功が難しい」と単純に発想してしまいそうです。介護事業の成長が見込まれるからといって、安易に参入しても甘くはないぞ・・・と。 出版業界の方は、出版物として扱う領域に関して、専門家レベルの高い知識と情報をもっていると感じるところですが、医学出版老舗の三輪書店が扱う出版物は、医学書の中でも、整形外科、理学療法の領域が多く、このような領域について、仕事を通じて広い知識と優良な人脈が構築されていたであろうと想像します。 つまりは、三輪書店の介護事業への展開には、強い多角化の源泉となりうる「シナジー効果」が有効に活用されていたのではないかと思われます。特に、ここでのシナジーの源泉は「人材や管理」の共通利用効果にあり、スキル、ノウハウを持った人材が複数事業で活躍することにより、強力なシナジー効果が得られているのだろうと思います。 また、出版を通じて知識の所在(所有者)を知り、実践の事業を通じて得られたノウハウを、次に「研修事業」に展開していくなど、多角化の発想に優れた企業であることが理解できます。 過去の事例を挙げるなら、三輪書店の多角化は、計量器大手タニタが外食事業、出版事業に展開したケースと似ています。
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クオールや日本調剤、処方薬宅配 オンライン服薬指導も
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
テレビ電話でつないで患者とやりとりを行うオンライン薬局(オンライン服薬指導)は期待されていますが、いくつかの問題から普及が難しい状況にあります。 薬局の薬剤師は、患者と対面して患者が医師から受け取った「処方箋」をみて、理にかなった医薬品が処方されているかをチェックする責務を負います(医薬分業の主目的です)。疑問点がある場合(用法、用量、飲み合わせ、理にかなっていない処方内容など)は、処方箋を記載した医師に電話連絡し内容を確認、誤りであれば訂正の承諾を得ます。医薬品を患者に渡す時点では、服用する上での注意事項などを伝えます。 このような業務は、薬剤師の基本業務であり「服薬指導」と呼ばれますが、現在、これがオンラインで認められるのは、「付随する診療がオンラインである場合」に限られていますので、対面での診察を受けていれば、薬局はオンライン服薬指導を拒否せざるを得ません。 診療の場合、聴診、触診などのバイタルサインと検査データの取得ができなければ、診療の質は高くできませんが、オンライン服薬指導はそれほどまでには対面でないと困難な理由は見いだせず、なぜ認められないのか、首をかしげざるを得ない状況にあります。 薬局側がオンライン参入しないことについても、インセンティブ上の理由があります。最も大きいのは、オンラインであろうがなかろうが、薬剤師1名あたりの応需処方箋の枚数は40枚/日となっていることで、さらには、調剤設備などもオンラインであっても対面型の薬局と同基準の設備を作る必要があるため、オンラインでも無店舗にするなどの合理化は不可能です。(むしろオンラインへのシステム対応の費用が薬局からの持ち出しになります。) また、配送料を患者負担とするなら患者からクレームが発生する原因になり、薬局負担とするなら経費がかさみます。現状のオンライン薬局はコスト的にデメリットになるため、「医療用医薬品の入手はオンラインが普通」の世の中になるまでは、普及は難しい状況にあります。 それでも大手調剤薬局がオンライン服薬指導、宅配、ロッカー受け取りに設備投資をするのは、「法規制が変わった場合に業界地図が激変する」ことを期待してのことですので、動向から目が離せません。
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