Picks
357フォロー
38444フォロワー
米規制当局は預金保護の宣言を、向こう1年の銀行破綻で-サマーズ氏
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
「銀行破綻を防ぐには、過剰な保証をして誤る方が過小で誤るよりも良い」 70年代から80年代初めにかけてのインフレ退治でS&Lが連鎖的に破綻した折も、リーマンショック後の銀行救済の遅れで世界に危機が飛び火した折も学んだことですから、銀行破綻が連鎖して金融仲介機能が損なわれる虞があると見れば、驚くには当たらない指摘だろうと思います。実際、バブル崩壊後の不良債権問題を前に銀行救済と預金の保護を躊躇い、長銀、日債銀、北拓といった銀行が破綻し、経営に行き詰った銀行が融資を絞り、日本経済を長期的な停滞に陥らせた我が国も通じる教訓です。 とはいえ過剰な保護で預金者が健全な銀行を選ぶ圧力が弱まると、銀行経営者が過剰なリスクをとったり銀行預金が投機マネーの逃避先に使われたりして中長期的に金融システムを危うくするという警戒感も無視できません。“過剰な保証”が恒久化すれば資本事情のダイナミズムが失われてしまいます。「今後1年間は」とサマーズ元財務長官の言にあるのは、おそらくそのあたりを意識してのことでしょう。 今回の物価上昇の初期にインフレが過熱するとの警報を自ら出しながらFRBと財務省に反論され、FRBの打ち手が遅れて今回の急激な引き締めを余儀なくされた経緯を目にするサマーズ元財務長官の心の内を去来する思いは複雑であるような気がします。 (・・;
全国消費者物価は3.1%上昇に伸び縮小、政府支援策が押し下げ-2月
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
エネルギーを主体とする物価対策が本年1~9月の消費者物価上昇率を1.2%程度押し下げると政府は見ていたはずで、ガソリンに加え電気・ガスの補助も始まりました。現に、その影響を受けない生鮮食品とエネルギーを除く物価の前年比は上がり続けています。 2022年 3月 -0.7 2022年 4月  0.8 2022年 5月  0.8 2022年 6月  1.0 2022年 7月  1.2 2022年 8月  1.6 2022年 9月  1.8 2022年10月  2.5 2022年11月  2.8 2022年12月  3.0 2023年 1月  3.2 2023年 2月  3.5 「前月の4.2%上昇から大幅に伸びが縮小」というのはまやかしで、物価は上がり続けているのです。資源価格はウクライナ侵攻以前の水準に戻っていますので、今の物価高は大幅な円安と経済構造の世界的な変化によるもので、政府が累計15兆円もの税金を配って痛みを和らげるべき性格のものでなく、市場の価格調整機能を使って需要構造と供給構造を変えて対応すべきものであるはずです。 この物価上昇を賃上げと成長の好循環を生む好機と喧伝する向きが多いようですが、円安と経済構造の変化による物価高の背景には、交易条件の悪化で日本が生み出す価値の一部が海外に流出している現実があるのです。輸入に頼る資源が高くなったので企業の生産コストが上がる、企業がそれを価格に転嫁すれば消費者物価が上がるという構図です。物価の上昇に対応して賃金を上げれば“サービス価格の上昇”を中心に企業が更に苦しくなって、物価と賃金の悪循環が始まります。基本的なところで日本の富の流出が起きているのですから物価を超える賃金上昇が長続きするはずはなく、実質賃金が中長期的に下がるのは必定です。 物価への過度な介入を早期に止めて現実を直視し、日本の需要構造と供給構造を変え、生産性を上げることにこそ力をいれるべきと改めて考えさせられる結果です。政府の保護になれた世間に、そうした議論が受け入れられるだろうとは思いませんけどね f(^^;
118Picks
イエレン財務長官、正当化される場合は預金保護で追加措置の用意
Bloomberg
辛坊 正記経済評論家
SVB破綻の直後、迅速に動いて2行の預金を全額保護し、3月21の米国銀行協会のイベントでほかの金融機関にも適用する可能性があると表明したイエレン議長ですが、22日の議会上院の公聴会では、銀行預金の全面的な保険や保証に関することは見当も議論もしていないと述べて銀行株を押し下げる結果になりました。23日の下院公聴会では「正当化される場合」、預金保護で追加措置を講じる用意があると述べたわけですね。 イエレン長官は当初から、預金保護はSVBに限ったものでなく、より小さな銀行が預金流出に見舞われ連鎖する危険がある時は、預金の全額保護が正当化されると仰っていますから、基本的なところでぶれはないように思います。 とはいえ2行の預金の全額保護を特殊な事例と強調し過ぎると中小銀行からの預金流出が止まらなくなりますし、踏み込み過ぎると預金者が健全な銀行を選別する力が弱まってモラルハザードが起き、銀行経営者が安易にリスクを取る風潮が強まりかねません。有り余るカネを未上場株式や商業用不動産等々に投じて来た投資家が、リスクの逃避先として銀行預金に走るといったことだってあり得ます。「正当化される場合」をどう判断するか、イエレン長官も悩ましいところじゃないのかな・・・ (・・;
31Picks
FRB、物価と金融不安抑制に苦慮 米銀債券含み損80兆円
日本経済新聞
辛坊 正記経済評論家
「低金利に慣れきって金利上昇リスクへの備えが甘かった銀行が直撃を受けた」 満期が長い債券や貸出は、短期の債券や預金より利回りが低いのが原則です。そして満期(≒残存期間)の長い債券ほど金利上昇時の値下がり幅が大きくなります。金利1%の時に残存機関10年の債権を買って金利が3%に上がれば含み損は約2割出る勘定です。満期まで持ち切るなら含み損を計上する必要はないですが、世の中の金利が3%の時に1%の債権を持ち続ければ、毎年2%の損が出続けます。 他方、期間10年金利0.8%の定期預金(原則途中解約不可)を預かって期間10年利回り1.0%の国債を買う、あるいは期間10年利率1.2貸し出しをするなら話は別で、どちらも10年間持ち続けるのですから、金利が変動しても銀行は影響を受けません。 不特定多数の預金者から預金を預かって、それを纏めて運用する商業銀行は、資金の調達期間と運用期間を合せて利鞘を稼ぐのが原則で、期間の短い預金を長期固定金利の貸出や債権等に回して利鞘を稼ぐのは邪道です。金利が上がれば、運用している国債の金利も貸し出しの金利も上がらないのに、預金の金利だけが上がって逆ザヤが長く続く事になり、資金が不足して手持ちの債権を売れば、含み損が一気に表面化しますから。 ところが量的緩和が長く続いて資金が世の中に溢れ、低金利環境で普通の貸出では儲からなくなった銀行は、預金で預かった短期の資金で長期の債権を買って、短期と長期の金利差で利鞘を稼ぐのが当たり前になりました。金利が急速に上昇するのみならず、短期金利が長期金利を上回るほどの状況になったら、堪ったものではありまえん。「低金利に慣れきって金利上昇リスクへの備えが甘かった」と言われる所以です。 リーマンショックの時は、サブプライムローンと呼ばれる倒産リスクの高い貸し出しがいろんな商品に組み込まれて世界の金融機関と投資家にばら撒かれ、だれがどんなリスクを抱えているか分からず疑心暗鬼が拡がりました。それが極端な“リスクオフ”の姿勢を生んで資金が回らなくなって、極端な金融危機が起きました。少なくとも今回はリスクの所在が比較的はっきりしていて、リーマンショック時の教訓からFEDもFDICも財務省も比較的迅速に動いています。危うい状況ではありますが、その対応力に期待するほかないですね (・・;
27Picks
韓国、GSOMIA正常化を通知=日本の輸出優遇国復帰に着手
時事通信社
辛坊 正記経済評論家
「1965年の日韓請求権協定で、韓国政府が国民の個人請求権を一括して代理し日本の支援金を受け取ったと述べ」 (@@。 「韓国政府が国民の個人請求権を一括して代理し日本の支援金を受け取った」、だから解決の責任は韓国側にある、ということを明示しない限り解決する筈がないのが徴用工問題の本質です。しかし、韓国側に全責任があることをはっきり言うと政権が飛ぶ恐れがあるので歴代政権はその点を明示せず、日本側に責任があるかの如く言い続けて来たのだろうと思います。 そしてまた、徴用工問題と慰安婦問題が解決して日韓の間で政治的争点が無くなることを嫌うがゆえに、絶対解決させたくない勢力がこの問題を主導していることも確かでしょう。その点も、歴代政権が触れようとしなかったところです。ところが日経新聞が報じるところによれば、尹錫悦大統領は冒頭の発言と同時に「『韓国社会には排他的民族主義と反日を叫びながら政治的利益を取ろうとする勢力が厳然と存在する』と言及した」ようです。 そういう意味で日韓関係改善にかける尹錫悦大統領の思いは本物であるように感じます。果たして韓国の“世論”はそれについて来るのかどうなのか・・・ (・・;
36Picks
GDPで経済把握できず、リーマン前にリスク見落とし=神田財務官
Reuters
辛坊 正記経済評論家
「GDPに依拠した政策運営は短期的で中長期を犠牲にする可能性がある」  (@@。 パネルディスカッションを聴いておらず記事から察するほか無いので真意は分かりませんが、GDPを成長させる手段は財政支出の拡大と金融緩和と構造改革の3つです。 政府が自らお金を使って需要を作る財政政策と、日銀に大量にお金を出させて需要を作る金融政策は、即時に需要を生み出して経済を一時的に活性化させますが、日本の生産手段(労働力、設備、技術)を増やすものでなく、やり過ぎれば将来の需要を先食いして日本の中長期的な成長力を落とします。膨らみ過ぎた政府の借金や日銀が抱える巨額の低利資産、その結果利上げに耐えられなくなった日本の経済構造は、需要を先食いする形で一時的に高めたGDPと引き換えに積み上がった負の遺産。 日本のビジネス環境を改善して外国企業を呼び込み日本企業を国内で育て、産業基盤を強める構造改革は、時間とエネルギーを要するけれど、世界と日本の需要を日本に取り込んで、日本で生産される価値を不可逆的に高める政策です。 生産手段を現状に止め置いたまま短期的にGDPを増やす財政政策・金融政策と、生産手段を高度化してGDPを中長期的に高める構造改革とは、明確に分けて考える必要があるように思います。 ベルリンの壁が崩れてグローバル化が本格的に動き出し、ITCが急速な進化を遂げた1990年以降の世界の中で、日本は財政支出と金融緩和で需要を作って短期的なGDPを増やすことにのみ熱心で、生産手段を高度化して中長期的にGDPを増やす構造改革をあまりにおざなりにして来たように感じます。その傾向は今なお変わりません。これが続く限り、我が国が本格的な成長軌道に戻る日は来ないような気がします。 (*_*;
41Picks
SVBの経営「ひどく失敗」、銀行監督の見直し必要=FRB議長
Reuters
辛坊 正記経済評論家
SVBが集めた預金が短期のものである以上、貸し出しも短期にして、運用と調達の期間を合せるのが商業銀行の原則です。しかし貸出機会の乏しいSVBはその多くを長期債の購入に回し、金利が高騰するのみならず、長短金利が逆転する状況下で苦境に見舞われました。 長期金利が1%あがれば平均残存機関10年の債権は1割値下がりします。満期まで持つなら評価損は直ぐには表面化しませんが、持っている長期債の利回りは購入した時のまま低く留まり、短期調達の預金金利は直ぐ上がりますから、長期に亘る経営の悪化は避けられません。金利が急上昇して短期金利が長期金利を上回る状況下だと尚更です。金利上昇リスクを頭に置いていればこんな無茶はしない筈ですが、長きに亘るFRBの量的緩和で経営者の感覚が麻痺していた側面はたぶんあるでしょう。そいう意味でSVBの経営者の失敗ですし、SVB規模の銀行の規制がトランプ政権下で緩められていなければ、経営者もここまで無茶なことは出来なかったかも知れません。 「経営が『ひどく失敗』していた」との指摘も「銀行規制・監督を見直す必要性が示された」との指摘も否定はしませんが、「銀行システム全般にこのような脆弱性があるわけではない」というのは微妙なところかも知れません。それどころか、市場に溢れる低利の資金をふんだんに調達したファンドその他が未上場株とか商業用不動産とか長期の資産を大量に抱えているのが米国の現状です。インフレの撲滅過程で万が一にもそうした運用・調達のミスマッチリスクが暴れ出したら大変です。 米国のみならず我が国でも、銀行は、金利の低い短期の預金を長期の運用に回して利鞘を稼ぐのが当たり前のように言われています。しかし、これは商業銀行の本来の姿ではなく、大量の資金が世に溢れ、貸出機会が減った中で生まれた一種のあだ花で、その裏には大きなリスクが潜んでいるのです。 「何が問題だったのかを特定し、再発防止に向けて導入すべき正しい政策を検証し、その政策を実行すること」の重要性は待ったなし。1980年代当初のインフレ退治時のような混乱が起きぬよう、FRBの舵取りに期待します (^.^)/~~~フレ!
136Picks
「空飛ぶクルマ」実用化へ 運用の基本的な考え方の案まとめる
NHKニュース
辛坊 正記経済評論家
「使用事例としては、都市内や都市間の移動、離島や山間部を結ぶ路線のほか、災害発生時の搬送などを挙げています」 (@@。 国交省の「『空飛ぶクルマ』の試験飛行等に係る航空法の適用関係のガイドライン」の冒頭に「将来の”空飛ぶクルマ事業者”として、開発スケジュールを優先することなく、試験飛行等であっても何よりもまず安全を優先させた計画を立てること」とありますね。自由で柔軟で迅速な開発と運用は難しそう。 https://www.mlit.go.jp/koku/content/001472777.pdf 安全重視は当然と言えば当然で異論を唱える人は無いのでしょうが、冒頭の使用事例とガイドラインから察するところ、空飛ぶクルマは自家用車たりうる今の普通のクルマと違い、飽くまで飛行機の範疇で規制されることになりそうな予感がします。 一昨日、たまたま電動キックボードに乗ってみましたが、バックミラーと方向指示器とナンバープレートが付き、自動車の運転免許が無ければ乗れません。外国由来の新しい乗り物を、国交省が自動車扱いしたがための規制です。新しい法律が出来て7月1日から他の国々に近い扱いになるようですが、諸国と比べ導入が大きく遅れた感は否めません。もしこれが日本で最初に考案されたものであったなら、相談を受けた国交省が自動車扱いして現時点で見られる通りの規制が適用されて、日本のメーカーは開発を諦めて、外国で広がってから逆輸入されることになっていたことでしょう。自動ブレーキとか様々な医療機器とか、そうした事例は枚挙に暇がなさそうです。 「『空飛ぶクルマ』実用化へ 運用の基本的な考え方の案まとめる」と見出しにありますが、道路もトンネルも無用の空飛ぶ「普通のクルマ」が諸国を自由自在に走るなか、我が国だけは「クルマ」は地上を走るものに限定されて、「空飛ぶクルマ」は飛行機並みの操縦免許や航路の設置等々が要求されて、電動キックボードと同様の後れを取ることになるんじゃないのかな・・・ 間違ってもそんなことにはしないで欲しい。クルマは日本経済に残された最後の大きな砦ですからね (^^;
82Picks
NORMAL