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正社員への転換、助成増額で後押し 厚労省が24年度から
日本経済新聞
辛坊 正記経済評論家
日本の正社員は世界の中で極めて特殊な存在です。 日本以外の普通の国は、フルタイム、無期契約、直接雇用の3つが揃えば正社員。正社員は自ら磨いたスキルを会社に提供し、そのスキルを会社が求める間のみ働きます。仕事を挟んで会社と対等の契約を結んでいますから、当該スキルが無用になれば、会社は一定の解雇補償金を払って解雇することが可能です。働く側も、スキルが使えぬ会社に留まれば、スキルが劣化して自分の価値が落ちますから、解雇補償金を受け取ってスキルが活かせる職場に移ります。 ところが日本では、この3つを揃えて人を雇うと、労働契約法と裁判所の整理解雇の4条件で終身雇用(永続雇用)が義務付けられて、スキルの如何に拘わらず解雇することが出来ません。仕事がある間だけ人を雇いたい、特定の技能が必要な間だけ人を雇いたい、となると、3つの条件のどれか一つを外し、パートにするか有期雇用にするか派遣を使うほかないのです。変化の激しい時代、終身雇用の正社員だけで会社を回せるはずがありません。身分保障のある正社員の雇用を守るため簡単な仕事を切り出して、非正規社員に任せる動きが出る所以です。 商品サイクルの長い大量生産品を不特定多数に販売する変化の緩やかな時代に出来た日本独特の制度、しかも若手が多く高齢者が少なく組織が大きくなり続けることを前提にしてのみ成り立つ制度を守り続けることは不可能で、僅かばかりの補助金がどれほど役に立つものか。補助金と規制で企業を縛って解雇させない雇用保障の仕組みから、企業を離れた従業員を直接保護する仕組みへの抜本的な転換が必要です。様々な利権が絡んで変え難い根幹部分に手を付けず、カネをバラ撒いて弥縫策を取るだけでは、日本の未来は暗そうな・・・ (・・;ウーン
166Picks
日本企業の従業員はなぜ仕事への熱意が低いのか 世界最低エンゲージメントの背景
弁護士ドットコムニュース|話題の出来事を弁護士が法的観点からわかりやすく解説するニュースコンテンツ
辛坊 正記経済評論家
会社が命じる仕事を命じられた時間と場所でやる義務を負うのと引き換えに、会社が定年まで仕事を与え続けるのが日本の雇用の仕組みです。解雇規制は厳しいですが、従業員が業務命令に反したら、裁判所だって解雇を認めます。従業員のキャリア(≒仕事と働き方)を決めるのは上司と会社で、従業員に選択の余地はありません。賃金も、その時々の仕事でなく、会社の中での個人の立場で決まります。頑張ってスキルを磨いても、賃金が増える訳ではありません。『やらされ仕事』を相手にエンゲージメントが高まる方が不思議です。 日本以外の普通の国は、働く側が自分でキャリアを選び、必要なスキルを身に付けて、仕事を間に挟んで会社と対等の立場で雇用契約を結びます。雇用を保障するのは自ら磨いたスキルと流動的な雇用市場で、頑張れば頑張った分だけ報酬として戻って来ます。高い賃金を得るには高い目標を描いて突破して認められることが肝要で、日々の仕事が自分の価値を高めます。『自ら選んだ仕事』を自分の未来を見据えて熟すのですから、自ずとエンゲージメントが上がります。 日本の企業が高速度で成長して処遇が年々向上し、定年まで会社が面倒見てくれることが確実だった時代には、従業員は会社に忠誠を尽くすことが出来ました。仕事はともかく、会社へのエンゲージメントが高く保たれていたのです。高度経済成長が終わって会社の先行きが不安定になり、会社へのエンゲージメントは落ちました。仕事と職場へのエンゲージメントを高める必要が出て来るわけですが、会社を補助して解雇を防ぐ雇用保障の仕組みの中で、そうした変化を起こすことは困難です。かくして起きたのが「世界最低エンゲージメント」という現象です。そんなこと、故関本昌秀慶大教授等々は、1970年代半ばに既に見抜いていたように思います。高度経済成長が終わりを迎えたあの当時、高度経済成長が前提の日本的雇用慣行を変えないと、日本の未来は暗いとおっしゃっていましたからね・・・ 「日本人がダメなわけではない、仕組みと風土を変えればいい」 その通りだと思います。徐々に変えれば軟着陸出来ただろうに、追い込まれてしまったことが残念です (*_*)
434Picks
収益改善、期待できず=ファンド傘下で、再ストも示唆―そごう・西武労組委員長
時事通信社
辛坊 正記経済評論家
「新たな親会社の下で4期連続赤字の収益構造が転換する見込みについて、『(期待は)全くない』と述べた」 (@@。 4期連続赤字で有利子負債も3000憶円に達するがゆえセブン&アイホールディングスが手放したそごう・西武。労働組合は最初のストで売却を止めたかったのでしょうが、闘争の甲斐なく手放されてしまったわけですね・・・  百貨店従業員さんの意識が家電量販店と違うのは当然で、池袋沿線に住んだがゆえ思い入れも深い西武百貨店だけに、私もいまのまま百貨店として残って欲しい。しかし、百貨店という業態そのものが衰退する中で、これだけの赤字と借金を背負ってしまった以上、何がしかの変化は避け難いように感じます。 フォートレス・インベストメント・グループ傘下に入ったとありますが、実態的にはヨドバシカメラが裏にいて、大阪梅田の旗艦店に匹敵する橋頭保を池袋の地に築くのがそもそもの狙いと聞き及びます。そういう意味でヨドバシカメラの進出を阻止するのは至難の業で、売却の背景に雇用の維持すら難しい大赤字があるだけに、ストで流れを止めるのは難しそう。雇用の流動性が高い米国あたりならとっくの昔にセバランスペイが払われて、従業員は新天地を求めて去っていたでしょう。ストを打つ以上成果を上げて欲しいと念じつつ、切ないものを感じないでもありません。
67Picks
ライドシェアの導入、本格検討へ 河野デジタル大臣「積極的に議論」
TBS NEWS DIG
辛坊 正記経済評論家
やることは同じでも、タクシーとライドシェアは全く異なる社会インフラです。情報通信もGPSもキャッシュレス決済もクラウドもビッグデータもそれを分析するAIもデータを遣り取りするスマホも不十分だった時代、知らない運転手が運転する知らないクルマに乗る何てことは怖くてできません。だから専用の設備と運転手を揃えた事業者に『タクシー』というお墨付を与えて安心安全を保証したのです。 ところが今は、素人でもGPSに従って目的地に行けますし、走行ルート、決済履歴、運転手と乗客の相互評価といったものが記録に残せます。料金も乗る前に決まって明瞭です。カナダと米国でUBERを利用しましたが、安心安全で何の不満もありません。政府に代わってSNSが安心安全を担保しているゆえです。専用の設備も専門の運転手も無用ですからタクシーより遥かに効率の良い社会インフラになるのは当然です。 ところが、こうした変化が起きると、困る人たちが出て来ます。政府のお墨付が無用になるということは、国交省の許認可権限が無用になることと同じです。二種免許に絡む自動車教習や免許関連の利権も消えるでしょう。タクシー事業者が反対するのは当然で、タクシー議連も抵抗するに違いない。UBERが登場してライドシェアが世界に急速に普及した2010年代初頭に日本で起きた現象です。その結果、我が国ではタクシー業者がかつての通り生き延びて、今に至っているのです。政・官・業が強固な利権構造を構築し、変化を許さぬ日本のビジネス環境の象徴で、日本の停滞の根にあるものを見せつけられたような気がします。 議論を引っ張る河野大臣や菅前総理はどちらかと言えば改革好き。当初から変化の必要性を感じていらっしゃったんじゃないのかな・・・ しかし、こんなことを推進しても、政治的に何の得にもなりません。ここに来て問題が深刻化し、変化を受け入れる兆しが漸く見え始め、動き始められたといったところでしょう。かくして日本の変化は世界と比べ10年以上遅れた次第です。 この先、国交省、タクシー事業者、タクシー議連といった面々はどのような巻き返しを図るのか。社会の基盤が変わって無用になった専用の設備や免許を何としてでも残すべく、あの手この手が尽くされそうに思います。それを打破してどこまで進めることが出来るのか。日本の未来を占う一つの試金石と私は感じています f(^^;
117Picks
賃上げ率「ぜひ4%超えたい」 経団連十倉会長、24年春闘へ
共同通信
辛坊 正記経済評論家
「23年春闘で大手企業の賃上げ率が平均3.99%」と聞くとインフレに打ち勝っているように見えますが、このうち2.27%は定期昇給によるもので、物価上昇と生活改善に資するベース・アップは1.72%に過ぎません。足元の物価情勢を考えれば、4%超えは労働者として当然要求すべきところです。とはいえ数字ありきの賃上げは、実質賃金を更に下げかねない危うさを伴いそう (・・. 資源価格の上昇に端を発したインフレですが、既に原因は極端な円安に転じています。政府と日銀が組んで行う円のばら撒きの当然の帰結です。これに数字ありきの賃上げ圧力が加わると、昨今の英国に見られるような、賃金上昇と物価上昇の悪循環に落ちりかねません。タイミングの綾で一時的に賃上げ率がインフレ率を超えることはあるにせよ、ベアがインフレ率を下回って実質賃金が中長期的に下がり続けるのは必定であるように感じます。 インフレ率を超える賃上げの原資は企業の生産性向上にしかなく、本当に政府が賃上げを望むなら、雇用規制を含む諸規制や実質的に高い税・社会保険料負担等々を含む日本のビジネス環境そのものを改善して行く必要があるでしょう。政府に直言して時の政権に遠ざけられた米倉会長時代の苦い思い出があるからか、最近の経団連は政府の方針に協力的。それでもなお「数字ありきではない。数字を先に議論すると本質を見失う」と添えざるをえないところに事の本質が潜んでいそうな気がします。
77Picks
マイナス金利解除への距離感、すごく動いたわけでない-日銀総裁
Bloomberg
辛坊 正記経済評論家
物価も賃金も共に2%程度上がり続ける状況が物価の安定であるとして、足元のインフレ状況がそれを超えていることを否定する国民がどれほどいるものか。「物価安定の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない」と言われても、多くの国民の肌感覚には合わないんじゃないのかな (・・? インフレはお金の価値がモノやサービスに対して相対的に下がる現象で、日米欧の中銀が長きに亘ってカネをバラ撒き続けましたから、世界中でお金の価値が落ちてインフレが起きているのです。お金の価値を上げるにはお金が生む価値、つまり金利を上げれば良いわけですが、政府が巨額の借金を背負ってカネをバラ撒き、日銀がそれを支援した我が国には、金利上昇に耐えられない構図が出来上がっています。誰の肌感覚でも厳しいだろうインフレを前にしてなお言葉を弄してインフレで無いと主張して、異次元緩和を続けざるを得ない所以でしょう、たぶん。 実質賃金を上げる原動力は企業の生産性の向上です。それなしに政府と日銀がお金をばら撒けば、物価に追いつく賃金上昇が中長期的に起きる筈はなく、インフレ税という名の実質的な増税、つまり国民から政府への所得移転が進むばかりです。「実質賃金マイナス、非常に心配している」とのことですが、実態上、実質賃金の引き下げ策を続けるとの宣言に等しいように感じます。 かといって、政策を引き締め方向変えれば、これまでのばら撒きの矛盾が一気に噴き出して景気が冷えるのは必定です。現状維持を維持する以外方法がないということで無ければ良いけれど・・・ (・・;
144Picks
投資拡大へ「資産運用特区」創設 岸田首相、NYで講演
産経ニュース
辛坊 正記経済評論家
「ビジネスや生活の利便性を向上し、外国人の資産運用の専門家らを呼び込む」ことに否やは無いですが、家計が持つ株式、債券、投信、不動産等の金融資産800兆円の運用利回りがそれでどれだけ向上するかは疑問です。こうしたもの以外に日本の家計は約1,100兆円の現金・預金を持っており、その投資効率こそが日本の未来を左右する問題じゃないのかな・・・  家計は預金を溜め込むばかりで投資しない、だから投資促進策が必要だ、というのが近時の流行ですが、この1,100兆円は現預金として銀行に眠っている訳ではありません。その大部分は銀行の手で日本国債や企業への融資に回り、企業への融資は更に設備や海外直接投資等に活用されています。 ところが、金融機関が持つ巨額の国債は異常な低金利環境でリスクに見合うリターンを生みません。政府が国民の預金を吸い上げて非効率な“投資”をした結果です。グローバル化とデジタル化が急速に進む中、変化を嫌って立ち遅れたビジネス環境が災いして日本企業の力も落ちました。如何に資産運用立国を唱えても、これでは運用利回りが上がりません。 真に為すべきは日本という国の生産性を上げること。「リスキリング(学び直し)、日本型職務給の導入、成長分野への円滑な労働移動の3つを三位一体の改革として進める」のはその手段足り得ますが、労働市場の流動性を阻害する真の要因である解雇規制や雇用調整助成金主体の雇用保障の仕組みに切り込む意欲を感じません。立ち遅れた日本のビジネス環境そのものを諸方の反発を恐れずどこまで改善することが出来るのか。如何に特区を作っても、それが無ければ看板倒れに終わりそうな気がします。 ( 一一)
258Picks
長期金利 0.745%まで上昇 2013年9月以来10年ぶりの水準
NHKニュース
辛坊 正記経済評論家
国債金利(名目金利)は日本の潜在成長率(≒実質金利相当)と期待インフレ率と日本が抱えるリスクを考慮した上乗せ率(≒リスクプレミアム)で決まります。潜在成長率こそゼロ―パーセント台が精々ですが、資源価格の上昇と円安を受け急速に高まったインフレ圧力や政府が抱える巨額の赤字と借金、日銀が抱える巨額の低利国債といったリスクを考えれば10年物国債の利回りが0.7%台というのは低すぎで、放っておけば1%を大きく超えて上がっても不思議ではありません。国債金利が低いのは日銀がYCCで無制限に国債を買うと宣言するなどして抑えつけ続けているからで、「長期金利がさらに上昇しても日銀がこれを抑える対応を取りにくくなる」と市場が読めば話が違って来ます。 たとえ利回りが低くとも一定水準の国債を持って運用せざるを得ない投資家が国債を買い、日銀が金利を抑え続けることが出来ることが前提で成り立っているのがゼロパーセントを挟んで上下0.5%とか許容限度1%といった低金利。万が一にもこの構図が崩れたら大変です。潜在成長率2.5%の米国債金利が4%を大きく超え同1%台のドイツ国債金利が2%台後半という状況下、日本国債の金利に上昇圧力が掛かるのは当然で、軟着陸に向けた日銀の努力を信じるほかなさそうな・・・ 「一時0.745%まで上昇」という現象も、そうした努力の一つの通過点に過ぎないような気がします。
70Picks
米財務長官、日本の為替介入に理解-海外当局と認識共有と神田財務官
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
米国は本年6月の外国為替報告書で日本を為替監視国から外しています。①財・サービス貿易黒字額、②為替介入の継続性、③為替介入の規模が判断の基準ですが、昨年末の急激な円安時の介入を除けば為替介入を行わず、残る財・サービス貿易黒字額も資源高と円安で急速に縮小したが故でしょう。 独り勝ち状態の中でドル高が進む米国ですが、インフレを抑えつつ経済を軟着陸させる上でドル高は必ずしも悪いことでなく、「為替レートの水準に影響を及ぼすことでなく、ボラティリティーを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できる」というのは上記の3基準に照らして妥当な反応だろうと感じます。 我が国が一人当たりGDPで米国を凌駕し規模で米国の半分に迫った時代と違い、今や一人当たりGDPは米国の半分以下で、規模も米国の2割にすら達しません。急激な円安で貧しくなる同盟国に圧力を掛ける必要性は乏しく、お好きにどうぞといったところじゃないのかな (・・? 緻密な摺合せで介入余地を広げる当局の努力は大事なことで、揶揄するつもりはありません。それはそれとして、円安の根本的な原因が貿易収支の悪化を含む我が国の経済力の低下にある中で、限りある外貨準備を使ってどこまで円安を抑制できるものなのか。通貨の強さは国の強さの反映です。伝家の宝刀を再び抜いて一時的に円高方向に押し戻しても、再び円安に流れるようなら、世界の中で円と日本経済への信頼は落ちて行く。そちらの方が気掛かりです (・・;
36Picks
電動キックボード、免許不要で利用も事故も急増。最大手Luupに聞く現状
Business Insider Japan
辛坊 正記経済評論家
電動キックボードは危ない、規制が必要、という声が多いだろうことを承知で敢えて嫌われそうな見方をすると f(^^; 電動キックボードは、乗るのが覚束ない高齢者等は別にして、タクシー、バス、地下鉄といった設備と比べ、都市内の簡易な移動手段として極めて便利で合理的。私も試しにLuupを使って見ましたが、実に快適に動けます。地域それぞれで議論はあるにせよ、世界のかなりの都市に広がったのは当然です。 ところが日本でこの手の新しい移動手段が登場すると、既存の規制に拒まれて、公道を走ることが出来ません。危ない、邪魔、といった声が先に立って移動手段としての経済合理性が顧みられることはなく、葬り去られるのが通例です。高齢化によるタクシー運転手の不足に対応してライドシェアを導入する方向性を前総理が打ち出したら過半の国民が早速に反対の声をあげ、世界が凌ぎを削る空飛ぶ車を早々に航空機に分類して飛行機並みの型式証明と検査と操縦免許を求める方向に役所が動いたことにも同じ風潮を感じます。 でもねぇ・・・ 移動手段に限らず、新しいものの導入には変化とリスクが伴います。それを嫌って既往の枠組み内の安心に拘ると、イノベーションは起きません。規制の少ない戦後の焼け野原から世界のトップレベルに上り詰めた我が国が、経済的な豊かさの中で合理性を超える安心を優先するようになり、官民挙げて変化を避けて衰退の道を歩んだとの感覚が、最早化石と言われる世代の私にはあるんです。 そういう意味で「2023年7月の法改正では~~の要件を満たした電動キックボードを『特定小型原動機付き自転車(特定原付)』に区分。この区分の電動キックボードは~~運転免許は不要、ヘルメットの着用も努力義務となった」というのは画期的な出来事です。これを導入したい“イノベーター”が既存の規制の枠組み内で許可を求めることをせず、新しい区分と規制を作って電動キックボードという新たな監督権限の対象を生み出すことを当局に求めたがゆえの出来事でしょう。 早くも事故を強調して反対するキャンペーンが始まったわけですが、本当にそれだけでいいものか。停滞する我が国の現況を打破する上で、考えるべきところがあるんじゃないのかな (・・?
438Picks
なぜ円安はユーロに対しても続くのか。その賞味期限はいつまでか
Business Insider Japan
辛坊 正記経済評論家
「そうした通貨であるユーロに対しても円高が限定的なら、残念ながら、日本円の信認そのものが着実に揺らいでいるとしか、考えようがない」 (@@。 円が一気に安くなった原因が金利差にあることは指摘の通りで、これが変われば円も多少は値を戻すでしょう。しかし、こうした動きは投機による仇花で、金利が高い(≒インフレ率が高い)国の通貨は中長期的に安くのが本来の姿です。金利差で儲かった分が通貨安で失われ、それで均衡が取れるから。金利が高く通貨も上がれば投機家は難なく稼げますが、そんな美味い話が長続きする筈がありません。投機筋が全て手仕舞いすれば、円の実力がはっきりします。それがどの程度なのかが日本の未来にとって重要です。 1990年代半ばまで、円の実力(≒実質実効為替レート)は上昇し続けました。日本経済が圧倒的に強く、強烈な輸出競争力を誇っていた時代です。バブル崩壊で実力が一気に落ちましたが、その後、リーマンショックが欧州に飛び火して世界中がリスクオフになって円が買われた2000年代後半の一時期を除けば、円の実力は極めて安定的に推移していました。それが崩れて一気に実力が落ちたのが異次元緩和の始まる2013年で、コロナ禍中の政府の大盤振る舞いと日銀による円の毀損策(⇒実質的な円安誘導)の継続、それに資源高が加わって貿易赤字が膨らんで、円の実力がつるべ落としになりました。これは、女性や高齢者の投入で労働力を増やす一方、生産性を落とし続けた10年余りと重なります。 通貨の強さは国の強さの反映で、貿易収支の強さもその一つ。「金利の動きは、為替レートの『波』を作るものといえる。その『波』以上に重要なの、通貨の需給の『土台』を成す貿易収支の動き」と記事にある所以かでしょう。 筆者が発する最も重要な警鐘は「日本円の信認そのものが着実に揺らいでいる」というところにありそうな気がします。
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「時給にしたら500円」「骨折してもそのまま運転」 低賃金、過労死ワーストのトラックドライバー、現場からの悲痛な叫び「僕たちの存在を感じてほしい」
デイリー新潮
辛坊 正記経済評論家
日本の生産活動を止めるほど人手不足が深刻化しているとされる産業で「なぜ1社が『うちは今のままでやります』と言えば、仕事は全部そっちに流れますから」という事態を心配せねばならぬかかが不思議です。当該事業者が効率的で本当にやれるなら他社の仕事を吸収して大きくなって行くべきですし、無理して取って出来無ければ大損して潰れて行くでしょう。ところが我が国では、何故かそうした動きが起きません。 1990年の規制緩和で4万5千社ほどだった運送業者が一気に6万3千社にまで急増したとありますが、30年以上を経た今なお、運送業者は5万7千社も残っているのです。如何に日本が広いと雖も、この数は余りに異常です。創意工夫凝らす企業が資金と人員を集約して大手に育てば荷主との間の交渉力が高まりますし、圧倒的な人手不足の中、労働環境も改善が図られて当然です。 運送事業は許認可権を土台に据えた規制産業の典型でした。そうした動きを阻害する何かが残っているように思えてなりません。運送業界を取り仕切る国交相のポストは民主党政権時代を除いて特定の政党の議員が独占していますが、今回の内閣改造でも、同党はその地位に固執したようです。国交省が持つ許認可権限その他諸々の影響力に、何がしかのうま味があるからでしょう、たぶん。 「規制緩和により事業者は増加し、同業同士で『荷物の奪い合い』が起きた」、「運送業界の労働環境を改善するには、国が率先して荷主に規制や法的措置をかけていく必要がある」とありますが、こうした事態が規制で解決できるとは思えません。こうした歪みが出来るのは、競争制限的で優勝劣敗を許さぬ我が国の規制環境にありそうな気がします。 「現場を知らない人たちに何ができるのか」、「もう何もしないでほしい。国が何かすればするほど状況が悪くなる」というのは中長期的に見ておそらくその通りじゃないのかな・・・ (・・;
185Picks
ECBホルツマン氏、14日の利上げは最後ではない可能性
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
「オーストリア中銀総裁は16日、ユーロ圏の執拗(しつよう)なインフレのために再び利上げが必要になる可能性があるとの見方を示した」 (@@。 ECBの政策金利はユーロ誕生以来最高水準に達したわけですが、それでもインフレ率は目標とする2%に下がりません。食品とエネルギーを除くコアの部分でも5.3%に達します。中でもオーストリアは7.0%で高い方。 供給制約による需要超過で起きた10%越えのインフレが、長く続いた超緩和的な金融政策と相俟ってインフレ心理に火をつけると、それを3~5%の水準に落とすより、そこから2%に落とす方が遥かに難しい側面があるのです。かといって、潜在成長率が1.1%程度の欧州で、3~5%ものインフレが続く事態を容認するわけには行きません。インフレ退治の手を緩められないのは当然です。 とはいえユーロ圏諸国のインフレ率は、2.1%に留まって経済も比較的好調なスペインあたりから10%を超えるスロバキアまで様々で、ついこの間まで欧州の機関車だったドイツはインフレ率6.5%で成長率はマイナスに沈み込もうかという状況です。しかも、金融政策の効果は半年から1年遅れて出るのが常識で、今回の引き上げを含め、これまでの累積効果がいつどの程度表れるか見方が難しい。インフレと景気後退が同時に起きるスタグフレーションのリスクが迫る中、諸国出身の理事の間で意見が割れるのは不思議なことではありません。 どのように意見を統一して行くか、ラガルド総裁の難路は続きそう (・・;
NORMAL