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黒田総裁が「悪い円安」否定、「ファンダメンタルズの範囲内」
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
政府の赤字と借金を拠り所に円売りを仕掛け、日本経済と為替取引の厚みに跳ね返されて火傷をした海外のディーラーは多く、115円を前に跳ね返された今回の円安局面でも何となくそんな印象を受けました。そういう意味で、一気に経済を混乱させるほどの「悪い円安」が直ぐに起きるとは思えません。通貨の強さは国に強さという側面がありますから、日本経済の弱さを考えれば「ファンダメンタルズの範囲内」であるのも事実でしょう。 とはいえ、これ以上の円安が日本経済にとってプラスかどうかは微妙じゃないのかな・・・ 円安になれば外貨で稼いだ利益は円建てで膨らみますし、円建ての賃金が世界の中で相対的に安くなるので「輸出や海外子会社収益の増加効果が輸入コストの上昇によるマイナスの影響をかなり上回っている」という現象も起きるでしょう。しかし、それが日本企業を世界の中で相対的に強くし、日本を豊かにするとは思えません。かつてのように円安が輸出主導の経済を活発化させて賃上げに繋がる様子がさほど見られぬなか、エネルギーを始め輸入に頼る資源の価格が上がり、価格に転嫁できない企業の体力を奪い、相対的に賃金が下がった国民を貧しくし、貿易収支を悪化させ、日本経済の体力をじわじわ奪って行きそうに感じます。 表面のドル円相場を見ると110円を挟んで上下しているだけに見えますが、日本の物価が上がらず海外でインフレ傾向が強まる昨今、表面のドル円相場が横這いということは、円の実力(実質実効為替レート)は下がり続けているのです。YCCがさらなる円安進行に繋がる可能性は低く、「日本のインフレが高進するリスクは極めて限定的」であるのは事実でしょうが、真に考えておかなければならないのは、万が一にもそうなったとき、GDPの2.6倍の借金を政府が抱える状況下で、GDPの1.4倍の資産を抱えるに至った日銀に、本当に打つ手があるかどうかじゃないのかな (・・?
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政府配布の布マスク、8200万枚・115億円分余剰 検査院
日本経済新聞
辛坊 正記経済評論家
アベノマスクが多くの人々の失笑を買ったのも極端に単価が高かったことも事実でしょうが、マスクが瞬間蒸発して先行きの見通しが各方面で立たぬほどの状況下、リスクをとって支出せざるを得なかった経費はいろんな分野で多そうです。 安倍政権だった昨年の夏ごろ、完成するかどうかも分からないワクチンについて、支払いを約束して一定数を確保したと聞き及びます。治験に拘って接種開始は遅れたものの、その後、ワクチン調達がスムーズに進んで今では欧米主要国の殆どを上回る接種率になった背景に、その決断があったのは間違い無さそうに思います。これとても、ワクチン開発と効能が違う方向で終わっていれば、壮大な無駄と非難されていたように感じます。 検討すべき事を検討せず、或いは“邪な意図”を持って行われた無駄は非難されるべきですが、大きな不確実性がある中で敢えて取ったリスクは必ずしも非難に当たらぬように思います。非難に重点が置かれると、次の緊急事態に際して誰もリスクを取らなくなりかねません。 適時適切に配れなかった事情、廃棄の決断が出来ず保管コストが追加で発生した事情、といったものを具に検討して今後に活かす事がより重要じゃないのかな… 助成金等の不正受給にしても、第一義的に責められるべきは悪意を持って不正に受給した側で、そちらは適切に検証して二度と不正受給する気が起きぬほど叩く体制を整えるべきでしょうが、事前審査を厳しくし過ぎると、支給と体制作りに過剰な負担がかかりそう。
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「新しい資本主義実現会議」が初会合、11月上旬に緊急提言案
Reuters
辛坊 正記経済評論家
生産(≒供給)→分配→支出(≒需要)→生産→分配・・・ という循環で経済は回っているわけですが、GDPは国内総生産という通り、日本国内で生まれるモノとサービスの価値の合計で、経済成長の本質は、日本をベースに生まれるモノとサービスの価値が増え続けることにあるのです。分配を変えようが需要を作ろうが、それが日本の本質的な供給力を継続的に高めない限り一時的な景気刺激に止まって、日本は永続的な成長軌道に入れません。 分配を変えて需要を増やす、あるいは政府と日銀が財政支出と金融緩和で需要を作る、といった対策を打っても、日本の先行きに自信が持てず企業が日本での投資や雇用を躊躇って、足りない分は外国で生産されたもの輸入して売ることにしたらどうなるか。政府が需要を作っている間は国内の過剰な生産力が吸収され、輸入された物品が売れ、企業が儲かって景気が良くなったように感じますけれど、本質的な生産力が高まっていないので、政府が需要を作るのを止めたら需要も生産も元の木阿弥で、あとには需要を作るために使った政府の借金と日銀の巨大なバランスシートだけが残ります。日本が40年近くに亘って繰り返した構図です。 需要が足りないなかで生産力を増やしたら物価が下がってデフレが酷くなるだけ、なんて声が聞こえて来そうですが、世界は毎年3%程度ずつ成長を続け、世界には需要があるのです。日本に行けば優秀な人材が柔軟に揃えられ、日本に行けば大学も研究機関も優秀で政府の後押しもあってイノベーションが起こしやすく、日本に行けば電気代が安く物流も効率的で・・・ となれば日本の企業も外国の企業も日本でモノやサービスの価値を生んで世界を相手に商売し、日本の潜在的な生産力が高まります。 経済が成長する中で分配が歪んで格差が広がった欧米諸国と、経済が全く成長せず中間層が等しく貧しくなって再分配後のジニ係数が逆に改善した我が国とは状況が全く異なります。日本の問題は、古い規制や仕組みに阻まれて資本主義的な意味での競争と変革が働かず、世界の成長に取り残されたことにありそうです。「新しい資本主義」が何を意味するかは知らないけれど、分配の見直しで日本が成長するとは思えません。「生産性を向上させ、賃金の形で分配する」という順序を間違えず、企業の自律性を高めて生産性を向上させることが何より重要であるように感じます。
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車を買った居酒屋経営者「一生コロナ禍でもいいと思った」…協力金で明暗
読売新聞
辛坊 正記経済評論家
コロナ禍で傷んだのは飲食店だけでなく、納入業者等も同じです。支援が主目的なら、そうした事業者への配慮もあって然るべし。「コロナで傷んだ飲食店を迅速に支援することが最優先」だったとのことですが、実際は、手っ取り早く形を整えて時短・休業・酒類の提供禁止に踏み出すことが最優先だったんじゃないのかな・・・ 「地域や各店の事情を考慮した上で協力金を支給していては時間がかかりすぎてしまい、現実的ではなかった」という担当者の言い分は重々分かりますが、そうした言い訳を是としたら、次の“パンデミック”で同じことが起きかねません。 政府が介在せざるを得ないとはいえ一種の自然災害ともいえるウイルス禍。一定期間の休業に耐えうる備えを保険等も含め整えておくのは事業者の責任ですし、税金で恣意的に個別企業を救うことに政府は慎重であるべきです。喉元過ぎれば熱さを忘れることにならぬよう、次のパンデミックに備えて体制を整えておくことが肝要でしょう、たぶん。 人口当たりで見れば死者数も陽性者数も欧米諸国の10分の1から15分の一程度に度止まる我が国で、本当に正しい選択だったのかという振り返りも必要であるように思います。
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