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「年収の壁」解消へ 賃上げ企業に政府が助成案 手取り減対策
毎日新聞
辛坊 正記経済評論家
今の我が国の年金制度は現役世代が払う保険料を高齢者に右から左に流すことが基本です。企業負担分が無く税負担が重い国民年金が将来の保険料と給付の関係でも支給金額の面でも行き詰ることは明らかで、現役世代が減って高齢者が増える厚生年金も、政府が約束する所得代替率5割を維持するのは難しい。とはいえ所得代替率の見通しが5割を切ると、今の年金制度を抜本的に見直す必要が法律的に出て来ます。厚労省はあの手この手で所得代替率が5割(年金受給額は現役世代の所得の半分)を上回るよう数字を弄り続けていますが、それとても“亭主”と専業主婦と子供二人の標準世帯がベースで、厚生年金に加入して働いている個人を取れば、所得代替率5割の維持が不可能なことは明らかです。 そこで出て来るのが、厚生年金の加入者をパートに広げて国民年金の対象者を減らして厚生年金に移して企業に社会保険料を負担させ、厚生年金の負担者数を増やして高齢者に送る当面の年金保険料を嵩上げし、当座の辻褄を合せる施策です。とはいえ亭主と専業主婦の標準世帯の概念を崩したら、所得代替率5割の前提が壊れて大変です。こちらの方に、何としてでも守る必要があるのです。 5年に1度の年金財政再計算が来年度に迫るなか、政府が外国人労働者の受け入れを喧伝し、パートの年金加入を促進し、年金保険料の当面の支え手を増やそうと必死になる背景に、そうした構図が見え隠れしています。本来なら、今や絶滅危惧種になった標準世帯の在り方を見直し、制度そのものを抜本的に見直して然るべし。それをしないで主婦をパートに駆り出して社会保険加入範囲を広げるようなことをするから106万円の壁がますます高くなる。 政権の看板政策である賃上げをすると社会保険料が急増して働く人が減る、だから社会保険料の増加分を税金で賄って、場合によれば企業負担の社会保険料も税金で補おうということでしょう。表面を糊塗するには良いですが、本質的な問題に手を付けることを避け、カネをバラ撒いていて当面の痛みを除いて賃上げを演出する、といった目先の支持率稼ぎに血道を上げ続けると、結局は日本の産業基盤を弱めて日本の来を損なうことになるような気がしますけど・・・ (・・;
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子ども予算「スウェーデン水準」 少子化策3兆円半ば、素案明記へ
共同通信
辛坊 正記経済評論家
スウェーデンは、80歳以上の高齢者には積極的な医療行為を施さず、失業者は働くのに支障が無い条件を整えて仕事を積極的に探す義務を負い、公共職業紹介所から適切な仕事を紹介されて拒否すれば失業給付を打ち切られるなど厳しい側面を持つ国です。児童を家庭で養育している失業者は家庭以外での児童の保育環境を整えられていないとみなされ、失業給付の対象にならないとも聞き及びます。文科省は日本の大学進学率はスウェーデンに圧倒的に劣るとしているようですが、これひょっとして、社会人になった後の大学や職業訓練機関等への入学も含む数字ではないのかな (・・? https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2013/04/17/1333454_11.pdf OECDが公表する25歳未満年齢層における4年制大学への進学率は日本の50.85%に対し、スウェーデンは31.24%に過ぎません。ちなみに、短大その他あらゆる高等教育機関を含んだ進学率を全年齢層について調べたUNESCOの推計値は、スウェーデンの84.52%に対し我が国は65.29%ですから、文科省が喧伝する姿に近い形です。働き始めた後の高等教育を含む数字ももちろん重要ですが、子育て支援とは別の話です。教育費無償のスウェーデンですが、子供に野放図に教育を受けさせているわけでは無さそうです。 「『自国は子どもを生み育てやすい国だと思うか』との問いに対し、スウェーデンやフランス、ドイツでは、いずれも約8割以上が『そう思う』と答えた一方、日本では約6割が「そう思わない」と回答した」とのことですが、ドイツは進学に厳しいふるい落としのある国で、フランスはN分N乗方式の課税で富裕層が子を持つことが奨励され、スウェーデンは上記の通り。 スウェーデンの出生率が高いのは厳しさも含めた社会全体の枠組みの問題で、カネを出せば日本の少子化が止る保証はありません。子育て中の、あるいはこれから子育てに臨む層からカネを召し上げ、あるいは子供世代に借金を負わせて補助金をばら撒けば、若年層が未来に不安を感じて却って少子化が進むことさえありそうな気がします。
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岸田首相と面会、自公連立政権の継続を確認=山口公明代表
Reuters
辛坊 正記経済評論家
「自公連立政権の継続を両者で確認した」 (@@。 米国債をデフォルトさせないことを民主党のバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が先ずは合意した最近の米国債務上限問題と似ていますね (^^; 公明党の衆院議席数32のち小選挙区で得たのは9で、そのうち4が維新と協調関係にあった大阪で、2は維新が最近伸びている兵庫です。大阪で絶対的な力を持つが市議会と府議会の運営で公明党の協力が必要な維新が大阪の4つの小選挙区を公明党に譲って候補者を立てなかったので、そして連立与党を組む自民は当然候補者を立てないので、この4選挙区は公明党と共産党の争いになって、公明党が勝っていたのです。 統一地方選と国政の補欠選挙で勢いを得て、大阪都構想が潰れて公明党と袂を分かった維新が今度は大阪の4選挙区で候補者を立てれば、公明党は兵庫を含め最大6つの小選挙区を失いかねません。小選挙区重視の衆議院でこれは公明党にとって耐え難く、10増10減で新たに出来る東京の選挙区を自身に譲れと迫ったのが今回の東京28区の候補者擁立を巡る公明党と自民党のゴタゴタです。そこまで言うなら28区に候補は立てぬ、そのかわり東京で公明党は自民党候補を推薦しないと啖呵を切ったわけですが、公明党の組織票は各小選挙区で1万~2万票あると言われますから、その応援が無いと当選できない自民党議員が沢山出て来ます。これは選挙に弱い自民党議員にも自民党にも耐え難い話です。 その一方、憲法改正に反対で防衛費増額も何となく批判的、求める政策は低所得層へのばら撒きばかりという公明党を疎ましく思う選挙に強い自民党議員もいるはずで、そうした勢力は、これを機会に公明党と袂を分かちたいと思っているかも知れません。長いあいだ連立与党の立場に身を置いて、自ら小選挙区を取る力はないが組織票を使って当選させた自民党員を操って政策に影響力を発揮してきた公明党は、公明党に好意的でないそうしたグループの影響で与党から弾き出されたら大変です。 自民と公明の関係断絶、つまり公明が野に下って自民が公明の組織票を当てにできなくなる状況を米国債のデフォルトと置き換えると、最後は避けなければいけないけれど、選挙区調整でチキンレースを続ける両党の位置関係がなんとなくわかるでしょ? 先ずはトップ同士がデフォルトを避けるべく宣言し、しばらくチキンレースが続くわけ f(^^;
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日本株強気派が勢いづくもう一つの理由、早期の解散選挙観測くすぶる
Bloomberg.com
辛坊 正記経済評論家
選挙相場を期待する向きのみならず、総理も支持率の高いうち、そして他党の体制が整わないうちに選挙に打って出たいだろうことは想像に難くありませんが、東京都の選挙区調整を巡る公明党との諍いは、いわば債務上限を巡る米国の与野党間の争いと同じで、双方とも連立を潰す(≒デフォルトを起こす)わけにいかないことは分かっているが、ギリギリまで主張を譲らず頑張るチキンゲームの様相を呈しています。 衆院で32議席を持つ公明党ですが小選挙区での議席は9つに過ぎず、そのうち4つが維新の強い大阪、2つが神戸です。維新が地方議会で躍進して公明との協力関係が切れたいま、維新が公明に配慮して候補を立てず自民も候補を立てぬがゆえ共産党との事実上の一騎打ちになって議席を確保している形の大阪の4議席を含む6議席全てに維新が候補を立てたら、最大6議席、小選挙区での議席が減りかねません。なんだかんだいっても小選挙区で勝つことの意味は重く、大幅減に耐えられないので10増10減で5つも選挙区が増える東京で議席を確保したいと自民に要求しているわけですが、優位な地盤で選挙区が減る自民党も簡単に譲るわけに行きません。そこで公明党は自民党議員を推薦しないと言い出しました。 憲法改正への抵抗やら、防衛費増額を巡る注文やら、ばら撒き策の要求やら何かと公明党に手を焼く自民党の選挙に強い面々は、それなら勝手にやれと言いたいところでしょうが、各選挙区で1万~2万あるとされる公明党の組織票が無ければ当選が危うい自民党の面々は、必死になって泣きつくに違いない。公明党だって、如何に冷たくされても与党に残るうま味を簡単に捨てる訳には行きません。 このチキンゲームに終わりが見えない限り、現実問題、解散は難しいんじゃないのかな・・・ 細かい動きは様々あるでしょうけれど、どちらかが妥協してチキンゲームに終わりが見えたその時が、選挙近しのサインかも。(^^;
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失業率4月2.6%に改善、正社員最多 有効求人倍率は横ばい
Reuters
辛坊 正記経済評論家
労働移動が盛んな米国と日本は失業率のベースが異なりますが、米国で4%、日本で3%を下回ればほぼ完全雇用状態と見て良いでしょう。新型コロナウイルスが襲った直後、米国の失業率は4%弱から一気に10%ほど駆け上がり、仕事が増えた企業や産業に人が移って今では3.5%まで下がっています。仕事が増えた企業と産業に人が移っていますから、コロナ禍の最中で米国の賃金は上がり続けました。 片や我が国はコロナが襲っても失業率は2%台で殆ど上がらず、一気に増えたのは厚労省が6百万人に達したと見る社内失業状態の人達です。6百万人といえば失業率に換算して約10%に相当しますから、日本でも米国並みに仕事が消えたわけですが、雇用調整助成金その他で企業と従業員が守られて、企業は残業を減らしボーナスを減らし出向先を捜し、仕事を分け合いながら労働力を吸収して行きました。その結果、日本ではコロナ禍中、賃金が下がり続けています。 失業率が下がり有効求人倍率も決して低くないのは朗報ですが、コロナ禍中で労働移動が進んでコロナ禍前を下回るところまで失業率を下げた米国と、労働移動を伴わぬまま低失業率を維持し続けた我が国と、将来を見据えてどちらが生産性を高め成長基盤を強くする変化を遂げたかは感覚的に明らかであるように感じます。コロナ禍を経て労働参加率が低下したのは日米とも同じですから、日本の制度がそこで有利に働いたとも思えません。 我が国が恒常的な人手不足状態にあるのは明らかで、労働移動を促進するには最適の環境です。賃上げに力を入れる岸田政権ですが、日本の賃金を永続的に上げるには、生産性の向上が欠かせません。コロナ禍前後の彼我の動きを見るにつけ、企業を保護して解雇させないことを基盤に据えた解雇規制と雇用保障の仕組みの限界を感じます。 企業は事業環境の変化に柔軟に対応できる、従業員も自らスキルを磨いて高い賃金が払える生産性の高い職場に安心して移れる、そうした仕組みの構築が不可欠ですが、ジョブ型雇用だの生涯学習だの綺麗な言葉が並ぶばかりで、労働基準法の基本原則を外れた労働契約法の解雇規制、裁判所の整理解雇の四条件、職業斡旋と職業訓練における官の権益、雇用調整助成金など企業を保護して解雇を防ぐことに主眼を置く補助金、職場を離れた従業員に厳しい雇用保障の仕組み等々、肝心要のところで動きが遅いことが気掛かりです。(・・;
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日本は32年連続「世界最大の対外純資産国」を維持。海外から「戻ってこない円」の増加が気になるが
Business Insider Japan
辛坊 正記経済評論家
日本政府が赤字国債の発行を始めたのは高度経済成長が19773年に終わって中成長時代に移った1975年度で、急激に増え始めたのは経済の停滞が本格化した1990年代後半以降です。かつて欧米並みだったGDP対比の政府のグロスの借金が、今では先進国はおろか比較可能な世界187か国中最大に達しています。 https://ecodb.net/ranking/imf_ggxwdg_ngdp.html ところが不思議なことに、政府は国債が幾らでも出せて円が安全資産と見做され、日本経済が混乱する様子は微塵もありません。その一方、政府が放漫財政をやって経済を破綻に追い込んだかつての中南米諸国はもとより、近時でもギリシャが財政破綻を経験しましたし、イタリア、スペインといった国々も一時は誰も国債を買わなくなって、ECB等が助け舟を出しました。トラス首相が就任早々減税と財政支出を宣言した英国で、国債とポンドが急落してわずか49日で政権が吹っ飛んで、スナク首相が極めて不人気な増税と財政削減を迫られたのはつい去年の出来事です。なぜ日本とこうした違いが出て来るか。 政府と民間が分けて使える所得は各国が国内で生み出す価値のGDPです。政府の取り分は税収分で、税金を納めた残りは民間の取り分です。英国もそうですが、過去に破綻した国々はほぼ例外なく、政府が赤字というだけでなく、政府と民間を合わせた国全体の外国との取引、つまり経常収支が赤字で外国に大きな借金をしていました。ところが我が国では、政府は国民から借金して大きな赤字を垂れ流していますが、民間は自らの取り分を節約して政府の赤字以上に価値を貯め込んでいるので、全体として生み出した価値が余って経常収支が黒字になって、外国に大きなカネが貸せるのです。徴税権のある政府は民間の貯蓄をいつでも増税して吸収できますから、この構図がある限り、日本の国債も通貨も安全と見ることができるわけ。 問題は対外黒字の活用法で、証券投資であればいつでも日本にカネが戻るけど、企業が日本に見切りをつけて外国で設備投資し人を雇って生産を始めると、日本のGDPが増えずカネは日本に戻らず、日本で働くほかない人々は貧しくなり続けるばかり。それはその通りですが、政府がこれほど大きな借金をして民間の資金を吸い上げて費消する一方、民間が国内で投資しようとしないのは何故なのか。興味深い記事でした。
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米下院規則委、30日午後に債務上限法案巡り討議へ
Reuters
米債務上限合意、経済の新たな逆風か-支出抑制で下降リスク増大
Bloomberg.com
当期剰余金2.1兆円の黒字、国債含み損は1571億円-日銀の22年度決算
Bloomberg.com
全国地方銀行99行の債券や投資信託の含み損 計1兆9000億円に
NHKニュース
辛坊 正記経済評論家
日本の長期金利が0.25ほど上がっただけで1兆5千億円の損が出たわけですね(1兆9千億円の五分の4)。手持ち国債のデュレーション(真の平均残存期間)が10年なら、金利が1%上昇するとほぼ1割の損が出ます。地銀が持つ債権や投資信託の中身が分からないので正確なことは言えませんが、米国並みに3%ほど長期金利上がったら20兆円ほどの損が出る勘定です。一昨年末の時点で日銀は、金利が1%上昇したら銀行が持つ国債の損は9兆円膨らむと見ていたようなので、たぶん、当たらずと雖も遠からずでしょう。ひよっとすると、損は20兆円より多いかもしれません。 メガバンクはデュレーションを1年数か月程度に落としていると伝えられており、地銀の中にも用心して保有債券の期間を短くしたり減らしたりしているところはあるでしょう。しかし、異次元緩和で溢れる預金の貸出先もなく、日銀に預けたらマイナス金利を取られるので長めの債券を持って利ザヤを稼ごう、なんて考えていた地銀は大変です。米国で破綻したシリコンバレーバンクの予備軍みたいなところが相当数あるだろうことは想像に難くありません。ところでそれはそれとして・・・ 地銀もさることながら、日本銀行は580兆円の長期国債を持っていて、その平均残存期間は9年です。正確なデュレーションは分かりませんが、仮に9年とすると、長期金利が1%上昇するだけで、日銀は50兆円ほど損する勘定です。3%上がれば実に150兆円に上ります。デュレーションがもう少し短いとしても、昨年9月末に9千億円弱だった含み損が12月末に9兆円に膨れ、この間の金利上昇が0.25%ほどだったことを考えると、少なくとも100兆円ほどの損が出るとみてよさそうです。資本金1億円、内部留保5兆円の日銀が独力で処理できる額でなく、いずれ国民の負担に跳ね返ることは必定です。 異次元という名の異常な金融緩和で日本の随所にこうした歪が溜まっていますから、日銀は簡単に金利を上げる訳に行きません。インフレ予測を低めに予測して、金融緩和継続の姿勢を強調し続けざるを得ない所以です、たぶん。 (・・;
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