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シーク教徒殺害計画で起訴 インド政府関与、米報道
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
外国に居る自国民の裏切者(と政府が見なした人間)に刺客を送って暗殺する、というのは、ロシアやイラン、北朝鮮あたりがよくやりますが、インドも、そちら側の国になりつつあります。 しかし、ヒットマンとして米国の麻薬取締局の捜査官のオトリを雇ってしまうあたり、いかにも不慣れです。  なぜ麻薬取締局に引っかかったかというと、インド政府の意を受けてヒットマンを雇った人物(グプタ容疑者)の本業が麻薬の密輸であり、麻薬取締局はその容疑でオトリ捜査をしていたところ、ヒットマンとして雇われてしまった、という話です。 インド政府としては、外国での暗殺に不慣れなのと、そもそも政治家と犯罪組織の付き合いはよくあることなので、グプタ容疑者に依頼しました。  しかし、グプタ容疑者は依頼金を大幅に中抜きし、ヒットマン料として15万ドルを用意しました。米国で隠密の殺しを依頼するには少なすぎるでしょう。  ヒットマン料が少なすぎて引き受け手が見つからないうちに、引き受けてくれたのが麻薬取締局のオトリ捜査官だった、という経緯です。 https://www.nytimes.com/2023/11/29/nyregion/sikh-assassination-plot-charges-india.html
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アデン湾 タンカー乗っ取り 海自護衛艦の周辺に弾道ミサイル
NHKニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
そもそも誰がミサイルを撃ったか、ですが、群雄割拠の戦国時代が続くイエメンで、イランの支援を受けながら最大領地と首都を確保しているフーシー派です。  フーシー派が狙ったのは、イスラエル企業(Zodiacグループ)が保有するタンカーの拿捕で、これはイスラエルに打撃を与えてガザ地区のハマースを側面支援するためです。 フーシー派はタンカーの拿捕には成功しましたが、米海軍の駆逐艦「メイソン」と海上自衛隊の護衛艦「あかつき」が解放作戦を行い、タンカーは解放されました。  ただし、あかつきは、警戒監視を行ったのみで、発砲はしていません。  フーシー派がミサイルを発射したのは、この解放作戦を妨害するためです。 なぜ海上自衛隊がイエメン沖にいたのか、ですが、2018年から継続して、米海軍などと共同で「海賊対処行動」を行うため、海上自衛隊はこの海域にいます。 https://www.mod.go.jp/js/activity/overseas/anti-piracy.html ただ、問題は、「海賊対処行動」は、ソマリアの民間人や軍閥崩れがやっている海賊を取り締まることで、イエメンのフーシー派は想定していないことです。  フーシー派は、日本政府は承認してはいませんが、イエメン政府を名乗っており、首都を握り、イエメンの半分ほどを領土にしています。  軍事力も、総力を挙げれば、護衛艦くらいは撃破されかねません。 日本政府はもちろん、米国政府もフーシー派と戦闘を始める方針は示しておらず、今回のミサイル攻撃も、明らかにフーシー派によるものですが(ソマリアの海賊は弾道ミサイルなど撃ちません)、そのあたりもぼかしています。
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石油タンカー乗っ取りか イエメン沖、AP報道
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
(追記)この拿捕されたZodiacグループのタンカー、Cnetral Parkを先ほど米海軍の駆逐艦と「日本の海上自衛隊の艦船」が奪還しました。  奪還作戦中、フーシー派が地対艦ミサイル2発を発射しましたが、被害はなし、とのことです。  フーシー派5名を捕虜にした、とも。  米海軍公式の発表です。 https://news.usni.org/2023/11/26/u-s-warships-monitoring-potential-oil-tanker-seizure-in-gulf-of-aden イエメンのフーシー派が、イスラエルが関わる船舶を攻撃するのは、これが3度目です。  1回目は、英国に拠点を持つイスラエル系企業の貨物船(日本郵船がチャーター中)→拿捕  2回目は、イスラエルを代表する海運会社Zimの貨物船→ドローン攻撃を受けて炎上、大破  3回目は、モナコに拠点を置くイスラエル系海運会社Zodiacグループのオイル・タンカー→拿捕 この3回の攻撃は、11月20日から26日、先週の内に起きています。  場所は、紅海(スエズ運河とバーブル=マンデブ海峡の間)および紅海を南に出てすぐのインド洋の一帯です。  イスラエルがガザ地区での作戦を止めるまで、フーシー派はこの一帯でのイスラエル関係船舶への攻撃を続けるでしょう。  やめさせるには、イスラエルがガザ地区での作戦をやめるか、どこかの国の軍がイエメンに地上部隊を送ってフーシー派と戦争するしかありませんが、これをやりたがる国は、今のところありません。
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【議論】ガザ市民に実は信頼されていなかったハマス
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエルについての本はもちろん、パレスティナについての本も、日本語を含め、世界中で山のように書かれていますが、パレスティナ人組織の内幕について書かれた本は、驚くほど少ないです。  パレスティナ人全体の歴史や、犠牲者についての本はたくさんあります。ただ、ハマースやファタハ、イスラーム聖戦といった、いくつもの乱立した組織の最近の内幕についての本は、非常に少ないです。  これは、1つには調査が困難なこと、 もう1つには、下手なことを書くと、刺客が送られてくることで、特にパレスティナに住むパレスティナ人は書けません。  そしてあと1つは、これは欧米や日本でのことですが、パレスティナ人組織の内幕というのは、パレスティナ支援をしたい人々、あるいは多くの左派にとって、「不都合な真実」であるからです。 パレスティナで前回議会選挙が行われたのは2006年、前回大統領選挙が行われたのは2005年です。  選挙で政府が選ばれなくなって久しいです。  背景として、まず、2006年の議会選挙でハマースが議会第1党と首相の座を獲得した後、ファタハのアッバース大統領がハマース内閣とハマース自体を壊滅させようとしたことがあります。1種のクー・デタです。  それに対抗して、ハマースはガザ地区を武力によって実効支配しました。これも1種のクー・デタです。  以後、選挙もないまま、2つに分かれたパレスティナの領土の内、ヨルダン川西岸地区はファタハが、ガザ地区はハマースが支配する、という状態が続いています。 ハマースの統治は、恐怖支配で、イスラエルと命がけで戦おうという勢力でも、自分たちの支持基盤を侵食するおそれがあれば、容赦なく粛清します。  また、イスラエルへの内通者という容疑で、日常的にパレスティ人を粛清し、遺体を電柱などにぶら下げています。昨日も2名が殺害されて吊るされました。 ファタハについてもハマースについても共通していることは、アラブ諸国や先進国から寄せられる支援を独占しており、他勢力に譲る気はない、ということです。  ファタハは私腹を肥やし、ハマースは武装に使う、という点が違いますが。  公金がほとんど外国の隠し口座に送られるのと、対イスラエル攻撃(そして報復攻撃される)に使われるのとどちらがいいか、という2択になっています。
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