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今年の「世界の100人」に選ばれた大阪大教授 どんな業績?
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「iPS細胞から卵子をつくる」とのことですが、現在は、世界で2頭しか生き残っていないキタシロサイで研究を進めておられるのですね。
キタシロサイの「卵子のもと」阪大が作製 iPS細胞使い世界初、絶滅回避へ一歩
https://www.sankei.com/article/20221210-C7P6G5OP6FPPRJ3XAGOX7C2JHM/
同じような研究は、京都大学の斎藤通紀教授らによるカニクイザルを使った研究とか、
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/msaitou_summary.html
米国のいくつかの大学や中国のいくつかの研究機関でも行われているので、世界の何か所かで、先を争う熾烈な競争が行われている分野ですね。
NATOの核兵器配備受け入れ「用意ある」 ポーランド大統領
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
日本は、非核三原則ということで、「持たず、作らず、持ち込ませず」という方針です。
安全保障のために核兵器を作るか作らないか、持ち込んでもらうか持ち込ませないか、これは各国の重要な選択です。
核兵器を共有する、「ニュークリア・シェアリング」という安全保障政策を採っている国もあります。
「共有」といっても、使用するかどうかの決定権は、持ち込んでくる国(米国)にあります。
現在、米国と核兵器を共有しているのは、
ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコです。
ポーランドも、核兵器を共有する場合は、ポーランド国内にある米軍基地に核兵器が配備される、ということになります。
現在は、核兵器を戦争で使用する、という選択肢がとられることはないので、核兵器の共有も、安全保障上の決定的に有効な政策というわけではありません。
今後、核兵器の使用が繰り返されるようになれば、できるだけ確実に撃墜されない位置から発射することが重要になるので、ロシアに隣接する国々のみならず、中国周辺の国や、サウディアラビアなどでも核兵器の共有がより重要な選択肢となります。
世界の軍事費、最高額を更新 中東情勢、ウクライナ侵攻が影響
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
このストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の各国の軍事費のデータベースを使って、2020年比で2023年の軍事費がどれだけだったか出してみました。
https://milex.sipri.org/sipri
軍事費額が2023年に上位だった19の国についていえば、
最も増えているのはポーランドの75%増、
次いでウクライナの51%増、
3番目がロシアとイスラエルの24%増で同率でした。
2023年軍事費の2022年軍事費との比(軍事額上位19ヵ国)
United States of America 102%
China 106%
Russia 124%
India 104%
Saudi Arabia 104%
United Kingdom 108%
Ukraine 151%
Germany 109%
France 106%
Japan 111%
Korea, South 101%
Italy 94%
Australia 99%
Israel 124%
Canada 107%
Poland 175%
Spain 110%
Brazil 103%
Taiwan 111%
軍事費で世界20位には入っていませんが、伸び率の大きい国としては、
コンゴ民主共和国 108%
南スーダン 78%
アルジェリア 76%
モルドバ 66%
フィンランド 54%
などがあります。
軍事費の急速な伸びは、紛争が迫っていることを示すかなり有力な指数です。
ロシア・ウクライナ戦争以外でも紛争の迫っている国は特にいくつかあり、数からいえば、やはりアフリカが多いです。
中東情勢悪化、世界経済に大きなリスク=独財務相
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「中東情勢の悪化で世界経済にリスク」といっても、まず「中東情勢の悪化」というのがいろいろありえます。
たとえば、スーダン内戦では過去1年間で数十万人が殺害されていますが、「世界経済へのリスク」は特に心配されていません。
ガザ地区で4万人が殺害されているのも、それ自体は「世界経済へのリスク」とは考えられていないでしょう。
結局、この話は、サウディアラビア、UAE、イラク、イランなどの主要な産油国での原油の生産とその供給が止まること、その結果、世界中で経済活動の規模が縮小することが「リスク」と呼ばれています。
そういう事態を起こすことができるのはイランだけですから(ハマースはサウディアラビアの油田や港湾を破壊しに行ったりできません)、イランがどう動くか、にかかっています。
イランの現体制維持のためだけであれば、そういう行動は考えにくく、イランが今よりも追いつめられる(傘下の勢力への体面といった要素も含めて)のなら、大なり小なり、原油の流通にも関わってくるでしょう。
次期衆院選で「政権交代してほしい」62% 毎日新聞世論調査
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
一方で、この毎日新聞による世論調査の政党支持率は、以下のようになっています。
無党派 28%
自民 20%
立憲 15%
維新 9%
れいわ 6%
共産 6%
国民 4%
公明 3%
(自民+公明=23%)
もっとも、毎日新聞の1週間前に実施されたANNの世論調査だと、
自民 36.0%
ない 29.4%
立憲 9.3%
維新 6.4%
公明 3.3%
共産 4.5%
国民 2.3%
れ新 2.3%
(自民+公明=39%)
と、自民党と立憲の支持率の数字がかなり違っています。
いずれにしても、立憲単独で第1党ということはまずなく、
自民+公明を上回るには、
・共産、国民、れいわと組むか
・維新と組むか
のどちらにしても足りません。
立憲が、共産+国民+れいわ+維新と組んで選挙協力すれば、あるいは自民+公明を上回るかもしれません。
しかし、これはまずありえないでしょう。
維新が自民と組む方がまだよほどありえます。
衆議院選挙で本気で勝つには、機能する選挙協力が必要になります。
特に、キャスティング・ボートを握るかもしれない維新がどこと組むか、組まないか、が大きく結果を左右するでしょう。
【核心】イスラエルの戦争が終わらない「本当の理由」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
近代国家では、1人の政治家の意思で戦争を起こすという陰謀論のようなことはできません。
日本は、1937年の盧溝橋事件からだと8年間、1931年の満州事変からだと14年間、1945年に降伏するまで戦争を続けました。
あれは、東条英機とか近衛文麿とか昭和天皇という1人の人間の意思で続けられたものではありません。
日本という国の機構と力関係、そして国際関係の問題です。陸軍・海軍という巨大組織の力関係も、財閥、メディアも関係していました。日本経済のあり方やその中での植民地の位置、米国や中国をはじめとする諸外国との貿易も大いに関係していました。
1人の政治家が始めたいから、続けたいから戦争が起きて続くというのは、極端に単純な議論で、陰謀論の類です。
イスラエルという国の議会をどのような政党が構成しているか、そのうち連立政権にいるのはどの政党か、これらは基本的要因で、1000万人のイスラエル国民の世論の反映です。
イスラエル経済を存立させている産業、貿易、資源の確保なども、大いに関係しています。
そして、イスラエルという国が置かれている国際関係、これは中東全域を理解する必要があり、もちろん、米国やEUも関係しています。
それらを全て総合して理解するべきことです。
政治の複雑さや経済や安全保障を学ぼうとしないで、単純に理解しようとすると、「ディープ・ステイトが」とか「安倍首相が」といった単純な説明に飛びつくようになってしまいます。
中東は20世紀初めの植民地の時代を経て、脆弱な国家がいくつも成立し、やがて20世紀後半にはエジプト、イスラエル、トルコと、イランあたりが頭1つ抜けた強国になっていきました。
その後、1980年代にはイランの現在まで続く西進が始まり、サウディアラビアとUAEの台頭が起きました。
21世紀に入り、イラク戦争とシリア内戦、イエメン内戦で、結果的にイランの西進が進みました。
この間、そもそも中東で戦争はほとんど絶えたことがありません。
「戦国時代はなぜ100年も続いたのか?」とか「日本はなぜ中国で14年間も戦争したのか?」とか「イスラエルは1948年の建国以来なぜ戦争をしているのか?」という問いへの答えはどうしても複雑になります。
しいて短く答えるなら、「安定した秩序が確立されるまでそれだけかかったから」ということになります。
高賃金求め海外へ出稼ぎ、「ワーホリ」人気が示す若手人材の日本離れ
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
大学を出たのに、外国へ行って肉体労働をやっている。これは世界中の途上国ではめずらしくないことです。
インドで学校教員をやるよりはドバイで清掃員をやっている方がずっと給料が高い、そういった理由で、2000万人ものインド人が中東などの諸外国で働いています。
パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、インドネシア、その他100以上の国からの、そういう出稼ぎ労働者は、世界中を合わせると3億人ほどいます。
日本も出稼ぎ労働者を送り出す国になりつつあります。
日本は移民労働者を受け入れている国なのではないか、というとそれもその通りで、タイなどもそうですが、大卒の自国民はヨーロッパやイスラエル、韓国などの外国に出稼ぎに行き、ミャンマーなどから単純労働者を数百万人受け入れている、というのも中進国ではよくあることです。
日本は、このタイプの中進国に近づきつつあります。
大卒でも先進国の単純労働の方が給料が高い、自国で高給の仕事につけるのは一握り、という社会であれば、そうなります。
1人あたりGDPが1万ドル~2万ドルあたりの国でよく見られるタイプです。
過去5年で「ヒンズー国家」化進展=モディ政権2期目、少数派は危機感―インド
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
インドはヒンドゥーが72%で最大多数派の国ではありますが、
イスラーム 14%
キリスト教 5%
シーク教 2%
他にジャイナ教、仏教など、あまりにも多様な人々がいます。
その最大多数派のヒンドゥー教徒が、ムスリムのムガル帝国によって400年の支配を受けたことこそ、モディ政権の母体であるヒンドゥー主義運動にとっての最大の屈辱の歴史です。
英国植民地時代は、英国人が広めたキリスト教に改宗したインド人が優遇されました。
この屈辱から失地回復するためにヒンドゥー主義運動は150年かけてここまできました。
英国に対する武装蜂起を繰り返しては敗れ、牛を食べるムスリムを殺害し、ガンディーを暗殺し、世俗主義のインド国民会議からついに政権を奪取しました。
ヒンドゥー主義運動は、今後も、政権を手放す気はありません。
歴史教科書を書きかえ、ムガル帝国時代の建築を破壊し、一貫して「ヒンドゥー教のインド」であった歴史を創作して教育しています。
少数派が抵抗しても勝てる余地は少ないですが、今後も衝突、紛争は起きていくでしょう。
ハマス幹部の拠点、カタールから移転を検討 米メディア報じる
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
カタールはハマースを受け入れて便宜を図ることで、世界各地のムスリムの一部から好感を得ていますが、サウディアラビアやUAEといった周辺諸国からは非難もされています。
場合によっては、これらの周辺諸国から、軍事侵攻ではないにしても、揚げ足をとられかねません。
この記事でいうハマースは、海外指導部のことですが、彼らはPR担当のようなもので、ガザ地区で地下に潜って戦い続けている3万人ほどのハマース党員たちの方が本体ともいえます。
海外指導部は、カタールに追い出されたとしても、選択肢は限られます。
最近、トルコのエルドアン大統領に会いに行ったりしていますが、トルコはそこまでの便宜を図る気はないです。
オマーンは、交渉の仲介ならしても、ハマースを支援しているように見られるのは迷惑なはずです。
イランは受け入れ可能でしょうが、ハマースが完全にイランに依存していくことになります。
あとは、マレーシアは受け入れるかもしれませんが、中東からは離れて、都落ちのような印象になります。
米下院、ウクライナ支援案を可決 軍事支援が本格再開の見通し
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
手続きとしては、この後上院でも可決し、大統領が署名することで、施行されます。
上院は、民主党が多数派なので、可決される可能性が高いです。
4月20日の下院では、
ウクライナへの610億ドル支援に加えて、
イスラエルへの260億ドル支援、
アジア太平洋諸国(主に台湾とフィリピン)への80億ドル支援
も可決されました。
ウクライナへの610億ドルの内訳は、
340億ドルがウクライナ軍への支援、
96億ドルがウクライナ以外の周辺国での軍事支出、
残りがウクライナ政府への財政・経済政策支援
です。
今やウクライナ政府の財政は米国が支えているので、この支援が届かなければ、公務員の給料も払えるか怪しいところでした。
なお、この日の下院では、他に、米国にあるロシアの凍結資産60億ドルをウクライナ支援に使用する法案も可決されました。
この60億ドルも何らかのかたちでウクライナ支援にあてられることになります。
データで考える。2050年に向けた世界と日本の「食料問題」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
世界で、コメの生産量が多い国は、
1位 中国
2位 インド
3位 バングラデシュ
世界で、小麦の生産量が多い国は、
1位 中国
2位 インド
3位 ロシア
世界の2大食料生産国(消費国でもある)中国とインドが、穀物を自給できるか、というのが世界の穀物供給を大きく左右しますが、2国とも国内需要の伸びに比べると、生産量は伸び悩んでいます。
中国は、今や世界最大のコメおよび小麦の輸入国となっています。
小麦の最大の輸入元であるウクライナからの輸入が滞れば、中国は他の国からの輸入を確保せざるをえません。
中国が金を積めば市場価格が上がり、買い負けて自国の必要分を輸入できない国が出てきます。
インドは、穀物の輸出国でしたが、2022年に続き、2023年も穀物の輸出を制限しており、もはや他国に輸出する余裕がありません。
インドの食料生産の伸び悩みは水不足によるところが大きいです。
食料価格の高騰と品不足は、まずアフリカと、水不足で食料生産が減少した中東の国々(たとえばイラク)を直撃します。
それは、いくつかの国のデフォルト、クー・デタ、内戦を引き起こしますが、アフリカと中東の問題にとどまるものではなく、難民の流出というかたちも含めて、ヨーロッパや東アジアに波及していきます。
食料インフレどうなる インドに注目
https://jp.wsj.com/articles/for-food-price-inflation-clues-watch-india-1348bc07
イラク軍事施設で爆発か シーア派民兵組織の弾薬庫 米報道
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「人民動員隊」(PMF)は、「民兵組織」というより、イラクの法律では、イラク軍の一部です。
ただし、親イランのシーア派勢力の実質的な手兵であり、独自行動をとることが多いです。シリアにも展開していて、イスラーム国と戦ったり、米軍を襲撃したりしています。最近は、イスラエル領への攻撃も行っています。
政党も持っていて、国会に30議席ほど持っています。連立政権に加わっていて、大臣も4人出しています。
PMFのバグダートとバビール県にある基地が爆撃され、死傷者の出る損害を受けています。
米軍は、公式にこの爆撃には関与していないという声明を出しています。
イスラエル軍は、声明は出していませんが、イスラエル軍によるイラン陣営への攻撃の継続でしょう。
【緊急解説】イスラエル、イランに報復。これから何が起こるのか
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
中東戦争とは、第1次の1948年から第4次1973年まで、エジプトをはじめとするアラブ諸国とイスラエルが戦うものでした。
現在のイスラエルがいう「長い戦争」は、パレスティナが争点になっている点では、4次に渡る中東戦争と同じです。
しかし、今回は、アラブ諸国は1つもイスラエルに対して宣戦していません。
イランが一方の主役であることが、過去の4次に渡る中東戦争と違う点です。
4月13日にイランがイスラエルに対して300以上のミサイルとドローンを放った際、イスラエル軍や米英仏軍とともに、サウディアラビア軍とヨルダン軍も撃墜に参加し、イスラエル防衛に参加しました。
今回は、アラブ諸国は、口頭ではイスラエルを非難しているとはいえ、行動においてはむしろイスラエルの味方です。戦況がどうなろうと、アラブ諸国がイスラエルに宣戦することはほぼ考えられません。
イランは、民族的にはペルシア人、宗派としてはシーア派が多数派で、イラン・イラク戦争で1980年代にアラブ諸国と戦ったように、アラブ諸国との関係は良好ではありません。イラクとシリア、イエメンの政府は、同じシーア派が多いこともあり、イランの影響下に置かれていますが。
この「長い戦争」は、ガザ地区での戦闘と同時並行で、中東各地で戦闘が起きていきます。
イランに対して釘を刺したイスラエルは、次はガザ地区の最南端、ラファ市での掃討作戦を開始します。4月19日のイラン本土への攻撃は、米国との調整の結果であり、交換条件として、ラファ市での掃討作戦開始を米国が(非公然に)承認し支援することになっています。
その後は、最大の戦線はレバノンのヒズブッラーとの戦闘に移っていくでしょう。
イランは、正面からイスラエルとやりあう覚悟も準備もなく、傘下の勢力を使った非正規の攻撃をイスラエルに対して続けていくでしょう。
レバノンのヒズブッラーやイエメンのフーシー派は従来通り活用されますが、イランが狙っているのは、ヨルダン川西岸地区とヨルダン国内のアラブ人の間に傘下の勢力を増やし、イスラエルへの非正規な攻撃を増やしていくことです。
イスラエル軍は、イラン陣営からの攻撃を根絶するため、そちらにも兵力を割くことを強いられるかもしれません。
イランへの攻撃は十分だったのか-沈黙守るイスラエル、国内では議論
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエルの攻撃は、米国との調整の上で、(非公然の)了解を得て、行われました。
その結果、限定的な攻撃となり、政権内部でもユダヤ民族主義者のような閣僚たちからは、もっと徹底した攻撃を行うべきだった、という批判も出ています。
しかし、イスラエルとしてはこれからも「長い戦争」を続けていくうえで、米国からの承認と補給は何よりも重要です。
それから、サウディアラビアなどの、いくつかの友好的なアラブ諸国への配慮もありました。
イランは、体制の面子と自国民の手前、「小型のドローン」が飛んできたが撃ち落とした、と事態を矮小化しようとしています。
ドローンではなく、巡航ミサイルです。
4月19日未明、イスラエル空軍機が、シリア経由で(その際、シリア南部のレーダーを破壊)イラク上空に入り、イランのイスファハンに向けてミサイルを発射しました。
目標はイスファハンにある核施設ではなく、空軍基地内のレーダーでした。
レーダーに当たったかどうかは不明ですが、空軍基地内には着弾しています。
どのみち、イスラエルは単独でイランの現体制を転覆させることはできません。
イランの現体制を倒せば根本的な安全保障になるかもしれませんが、それは、米国とアラブ諸国も含めた連合国で行うべき今後の課題です。
当面は、ガザ地区でのハマース殲滅、次いでレバノンのヒズブッラーとの対決を進めつつ、米国とアラブ諸国との同盟関係を構築していく、ということが必要になるでしょう。
744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
民間組織「人口戦略会議」の報告書、というとどこがやっているのかかわりにくいですが、日本商工会議所がやっている事業ですね。
日本商工会議所は、経団連や経済同友会に比べると、各地の商工会の代表の集まり、という性格が強いといえるでしょう。
2014年に提言「ストップ少子化・地方元気戦略」を発表して話題になった日本創成会議は、経済産業省のシンクタンク、生産性本部の事業です。
多少立場が違う別組織からの提言ですが、2014年の「ストップ少子化・地方元気戦略」のようにはいわなくなっていて、「2100年に8000万人で人口が定常化することを目標とすべき」という主張です。
これはかなり楽観的な数字で、「そのためには、2040年ごろまでに(合計特殊出生率を)1.6、2050年ごろまでに1.8に到達することが望まれる」ともあります。
合計特殊を上げる手段として、「子育て支援」以外は特に示されていません。
また、人口が減り、自治体も減る、という予測ですが(これは数字の上では確実にそうなりますが)、それへの対処も、「生産性の低い企業、産業、地域の構造改革」しか主張されていません。
高齢化が進んで人口が減っている社会ほど、自主的な「構造改革」は難しくなるのですよね。
なお、日本の自治体の数は、「平成の大合併」で、
1999年 3232
→2010年 1727
と減っています。
ここからさらに744減るとして、どう畳んでいくのか、インフラなどをどう放棄、集約していくのかも、「提言」されていません。
提言書「人口ビジョン2100」を取りまとめ、公表(人口戦略会議)
https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2024/0110133237.html
パキスタンで日本人5人が乗る車に自爆テロ 全員無事 ロイター
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
最近、パキスタンでインフラ建設などの事業を展開する中国企業の中国人が殺害される事件が増えています。
中国企業が建設しているダムなどのインフラも破壊が試みられています。
最近だと、3月下旬に中国企業関係の襲撃が3件あり、中国人5名が殺害されています。
https://www.aljazeera.com/news/2024/3/29/march-of-terror-pakistan-grapples-with-deadly-attacks-on-china-interests
中国企業を襲撃しているのは、バローチスタン独立派勢力のバローチ人、パキスタン・ターリバーン運動に連なるパシュトゥーン人、イスラーム国現地支部、などです。
これらの勢力には、中国人と日本人の区別などつかないでしょうから、中国人を襲撃するつもりで日本人が乗った車に自爆を仕掛けたのではないでしょうか。背後関係者が捕まらないと実際のところはわかりませんが。
中国はパキスタン政府、ひいてはパキスタン経済の後ろ盾であり、金を貸してパキスタンの財政を支え、一帯一路の重要拠点としてインフラも多数建設しています。
中国が手を引けば、パキスタン経済は確実にデフォルトします。
パキスタン政府を倒そうとする勢力、分離独立を求める勢力は、中国そのものへの恨みというより、パキスタン政府を倒す手段として、中国企業関係を襲撃しています。
イラン、イスラエルによる無人機攻撃確認-試みは失敗とも主張
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエル軍が攻撃した目標:
イランの核施設がある都市、イスファハン。数ヵ所で爆発。
イラクの首都バグダード、イラン革命防衛隊の幹部がいたビル。
シリア南部の都市スワイダ。
ただし、イスラエル政府も、イラン政府も、この攻撃について、今のところ何ら声明は出していません。
イスファハンで起きた爆発は、イラン軍の空軍基地で起きています。つまり、イランが4月13日にイスラエルの空軍基地やったように、イスラエル軍もイランの空軍基地にミサイルを撃ち込みました。
そして同様に、少なくともイラン国内においては人的損害は限られたものでありそうです。
イラン政府(革命防衛隊)としては、イスラエル軍のミサイルを1発も撃ち落とせなかったのはもちろん、空襲警報すら出す間もなく攻撃を受けたのは、屈辱的ではあります。
もとより明らかなことですが、軍事能力ではイスラエルの方がはるかに上です。
そうであるからこそ、イランとしては、この攻撃にどのように対応するのか、国内向けにどのように発表するのか、迷っているところでしょう。
極端にいえば、なかったことにするとか、「事故」として済ます、という対応も考えられます。
イスラエル軍がやったということは誰もがわかっているし、誤魔化しようはありませんが。
NORMAL
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