Picks
34フォロー
21897フォロワー
【疑問】ハマスよりヤバい「過激派」に支持があつまる理由
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ガザ地区は、だいたい、関西空港のある人工島に200万人が閉じ込められているようなものです。  そこには産業も雇用もありません。農業ができる土地でもありません。せいぜい海で魚を取るくらいです。  生活の主な手段は外国からの援助。そして、イスラエルとの関係がよい時は、一本の橋を通して人工島に電気や水、生活物資が運び込まれてくる、それから人工島を出てイスラエルに働きに出て給与をもらうことができる、といった場所だと考えれば想像しやすいでしょう。 この人工島の中の人口の65%が24歳以下、合計特殊出生率は4.0を超えています。  このことは、合計特殊出生率が増えるために必要なのは本当は何なのか、を示しているでしょう。 ガザ地区の住民が望んでいることは、少なくとも野心のある20代以下であれば、外に出ていくことに決まっています。  ガザ地区という人工島の中にいる限り、経済的成功の可能性などありません。できれば欧米に行きたいでしょう。 ガザ地区のハマースによる統治は、だいたい北朝鮮に近く、ハマースは軍事力に予算を集中する独裁政党です。  軍事独裁政党だから、その党員が優遇されることになります。  北朝鮮と違うのは、この人工島には産業がないこと、ただし国連や大手国際NGOは来ているので、そこに雇ってもらうと比較的ましな暮らしができる、ということです。 ハマースは、国連や国際NGOからの支援を中抜きするのと、イランからの支援で独自の財源を確保しています。  イランからの支援という財源にアクセスできるもう1つの組織がイスラーム聖戦です。  ハマースとイスラーム聖戦を指揮下に置き、資金供給によって競わせるのが、イランの操縦法です。 「ハマスがイランから支援を受けている、あるいはイランの代理組織だとしたら、なぜ世界は罪のないガザの子どもたちに責任を負わせるのですか。」  ↑ 「ガザの子どもたち」が悪いと言っている人は世界でもあまりいないと思いますが、ハマースへの攻撃を支持・容認する政府はいくつもあります。  これは、もちろん、イラン本体に戦争を仕掛けるのはリスクが大きいからです。  巨大タコの怪物と戦ううえで、タコの本体を真っ二つにできればいいですが、難しいので、1本の足の先(ハマースやイスラーム聖戦)を切り落としているのがイスラエルです。
36Picks
世界各地でハマス暗殺作戦計画=イスラエル、ガザ戦闘後に―米紙
時事通信社
キッシンジャー元国務長官が死去 冷戦期の米外交立役者
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
功罪ある人です。  最大の事績は、中国との関係改善への道筋をつけたことです。  これは、日本にも非常に大きな影響があったことですが、 ・ニクソン訪中(1972年) ・中国のベトナムへの支援を止めさせ、米国のベトナムからの撤退(1973年)を用意 ・中国とソ連の対立を決定的なものとする ・ただし、台湾は孤立 といった多方面にわたる複合的な効果がありました。  これにより、キッシンジャー氏はノーベル平和賞を受賞しました。 インドがバングラデシュの独立戦争を支援した第3次印パ戦争(1971年)では、インドを支援したソ連に対抗して、中国と共にパキスタンを支援しました。  結果は、インドの勝利、バングラデシュの独立であり、インドは米国への不信を強くしました。 中東戦争においてはイスラエルの安全保障のために大いに貢献しました。  エジプトやサウディアラビアのイスラエルとの関係改善に努め、後のキャンプ・デービッド合意(1978年)や近年のサウディアラビアやUAEのイスラエルとの関係強化につながる基礎をつくりました。 もともとが、ナチス政権下のドイツから米国へ亡命してきたユダヤ系ドイツ人で、よくも悪くも、それまでの米国外交とは水準の違う、多方面を見据えた巧妙な外交をした人です。
195Picks
シーク教徒殺害計画で起訴 インド政府関与、米報道
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
外国に居る自国民の裏切者(と政府が見なした人間)に刺客を送って暗殺する、というのは、ロシアやイラン、北朝鮮あたりがよくやりますが、インドも、そちら側の国になりつつあります。 しかし、ヒットマンとして米国の麻薬取締局の捜査官のオトリを雇ってしまうあたり、いかにも不慣れです。  なぜ麻薬取締局に引っかかったかというと、インド政府の意を受けてヒットマンを雇った人物(グプタ容疑者)の本業が麻薬の密輸であり、麻薬取締局はその容疑でオトリ捜査をしていたところ、ヒットマンとして雇われてしまった、という話です。 インド政府としては、外国での暗殺に不慣れなのと、そもそも政治家と犯罪組織の付き合いはよくあることなので、グプタ容疑者に依頼しました。  しかし、グプタ容疑者は依頼金を大幅に中抜きし、ヒットマン料として15万ドルを用意しました。米国で隠密の殺しを依頼するには少なすぎるでしょう。  ヒットマン料が少なすぎて引き受け手が見つからないうちに、引き受けてくれたのが麻薬取締局のオトリ捜査官だった、という経緯です。 https://www.nytimes.com/2023/11/29/nyregion/sikh-assassination-plot-charges-india.html
18Picks
アデン湾 タンカー乗っ取り 海自護衛艦の周辺に弾道ミサイル
NHKニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
そもそも誰がミサイルを撃ったか、ですが、群雄割拠の戦国時代が続くイエメンで、イランの支援を受けながら最大領地と首都を確保しているフーシー派です。  フーシー派が狙ったのは、イスラエル企業(Zodiacグループ)が保有するタンカーの拿捕で、これはイスラエルに打撃を与えてガザ地区のハマースを側面支援するためです。 フーシー派はタンカーの拿捕には成功しましたが、米海軍の駆逐艦「メイソン」と海上自衛隊の護衛艦「あかつき」が解放作戦を行い、タンカーは解放されました。  ただし、あかつきは、警戒監視を行ったのみで、発砲はしていません。  フーシー派がミサイルを発射したのは、この解放作戦を妨害するためです。 なぜ海上自衛隊がイエメン沖にいたのか、ですが、2018年から継続して、米海軍などと共同で「海賊対処行動」を行うため、海上自衛隊はこの海域にいます。 https://www.mod.go.jp/js/activity/overseas/anti-piracy.html ただ、問題は、「海賊対処行動」は、ソマリアの民間人や軍閥崩れがやっている海賊を取り締まることで、イエメンのフーシー派は想定していないことです。  フーシー派は、日本政府は承認してはいませんが、イエメン政府を名乗っており、首都を握り、イエメンの半分ほどを領土にしています。  軍事力も、総力を挙げれば、護衛艦くらいは撃破されかねません。 日本政府はもちろん、米国政府もフーシー派と戦闘を始める方針は示しておらず、今回のミサイル攻撃も、明らかにフーシー派によるものですが(ソマリアの海賊は弾道ミサイルなど撃ちません)、そのあたりもぼかしています。
13Picks
NORMAL