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トルコ大統領、新内閣発表 外相に情報機関トップ
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
日本では情報機関の長、というのは、まるで存在感が無いですが、ほとんどの国では大きな権力を持っている場合が多いです。  中東だと、実質的には大統領に次ぐ権力者である、という国も多いです。エジプトやパキスタン、バングラデシュもそうです。 エルドアン大統領としては、軍を統御する、というのが最優先事項です。  クー・デタで倒されてしまっては元も子もありません。  大統領選でも議会選でも負けてしまった野党は、軍と組んでクー・デタに成功する以外に、権力を獲得する手段がありません。  軍を統御するには、緩めてはならず、干しすぎてはならず、うまく取り込むことが必要です。  統御に最も必要なのは、情報機関です。軍人や野党の動静や弱みを把握していれば、クー・デタを阻止するのに有効です。 外交も、トルコの外交は従来からそうでしたが、これまで以上に、情報機関と一体化していくことになります。  儀礼とか社交、ルーティンの仕事だけであれば、職業外交官の方ができます。経済を重視する外交なら、経済省庁と一体化するのがいいでしょう(韓国のように)。  特に近隣諸国を中心に、利害関係の大きな駆け引きをして、時に軍事力も用いるのであれば、情報機関が外交の主役になります。
【熟考】「テック資本主義」の世界を、私たちはどう生きるか?
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「後期資本主義」というのは主にドイツで唱えられた概念で、英語圏ではあまり知られていません(英語圏では「新自由主義」(ネオリベラリズム)の方が圧倒的によく使われます)。 「後期資本主義」は、ロシア革命でソ連ができた後も、なお発展を続ける資本主義を理解するために、マルクス主義の観点から出てきました。  革命が起きたのに、資本主義は消滅しない、という状況にあって、資本主義を批判していく概念が必要とされたのです。  「後期資本主義」批判の主な提唱者には、ナチスのゾンバルト、マルクス主義トロツキー派のマンデル、フランクフルト学派のハーバーマスらがいます。  ゾンバルトはユダヤ人が資本主義によってゲルマン人を巧みに管理していることを攻撃し、マンデルは資本主義が巧妙に発達して生きのびているが打倒しなければならないと唱え、ハーバーマスは後期資本主義では自由な市民社会と公共圏が衰退してしまうことを批判しました。  いずれも、後期資本主義は人間を巧みに管理する(自由はあるように見える、物質は豊かである、しかし可能な選択肢は限られている)、ということを問題視しています。  後期資本主義を批判する人々は、革命後の世界や自由な市民社会というものに期待しすぎていて、それが欧米に現れないことにがっかりしていました(低俗なポピュラーカルチャーと愚かな大衆ばかり増えた、という批判でもありました)。  実のところ、人間の価値が無条件に無制限に発生するような社会は、近代以前にも無かったし、ナチスもソ連もそんな世界をつくれるような代物ではありませんでした。 政治は価値をつくりだす技術ですが、限度があります。一部のインテリは、ナショナリズムや共産主義、ナチスに期待しすぎていました。  政治は分配の技術であり、経済的な価値だけではなく文化的な価値もつくりだせるし分配もできますが、無限に価値が湧いて出るわけではありません。  無限を約束できるのは宗教だけです。 自分の価値を政治に保障してもらう、というのは、全く見当違いではありませんが、一定量以上はお門違いです。  そもそも価値が無ければ生きていてはいけない訳ではなく、自分に価値がないといけないかのように錯誤させてしまった責任の一端は資本主義にあるでしょう。  しかし、資本主義に「抵抗」しても価値は生まれないので、そこにこだわるのをやめた方がいいでしょう。
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「地方で育児ができなくなる」 専門家が少子化に警鐘 負のループも
朝日新聞デジタル
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
地方の衰退を決定づけるのは、インフラの消滅です。  経済の衰退(雇用がない)、というのが根本的な原因ではあります。  しかし、仕事がなくても資産がある、年金がある、ということで生活できる人はいます。  それも、ATMがない、郵便局も農協もない、スーパーもコンビニもない、アマゾンも楽天も届かない、となるともう無理です。  電気も水道もガスも来ない、道路も補修されない、となるともっと無理です。  多くの地域で、人が住めなくなる決定打は、ガソリンスタンドの消滅ではないかと思いますが。 もちろん、保育園や学校は、郵便局やガソリンスタンドよりも先に消えます。 日本は、すでに多くの地域でインフラを維持できなくなっています。  計画的に居住地域を縮小していく撤退戦がもっと前に始まっていなければいけないのですが(それか数百万人の移民を入植させるか)、計画すら立てられていません。  早ければ早いほど、計画的であればあるほど、長い目で見れば、質の高いインフラをより多く維持できます。  シルバー民主主義というやつですが、有権者が居住地からの撤退を望まないのですから、政治が撤退戦のために動かないのは、民主主義としては正しいことです。
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【テスト付】自分の「イデオロギー」を知っていますか?
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
価値というのは創造(想像)されるものです。  紙幣がただの紙から、人間のあいだの信用によって1万円札になるように。  人間の価値も創造(想像)されるものです。ただ、人間の場合、人間のあいだだけでは価値は創造できず、神との関係によってしか結局は価値を持てないと私は思いますが。 政治は価値をつくりだす技術です。  紙幣に、法律に、教育に、民族に、国家に、価値を持たせることができる技術です。  人間に、自分に価値があるという想像(創造)すら可能にさせます。 政治は人間を集団にすること(結集)によって、価値を持たせる技術です。これは、間違ってはいません。  「世界で1つだけの花」だから価値がある、というなら、政治は要りません。いかにも政治とかしなくてもよさそうな歌です。  しかし、ナンバーワンにはならなくていいとしても、ナンバー29(現在の日本の1人当たりGDP)くらいならともかく、ナンバー150くらいの国であることは、実際にはみじめなことです。  自分が自分であることだけで価値がある、と思える人間は、そうはいません。ほぼ確実に他と比較してしまいます。 政治は人を集団にして動かすことで価値を創造(想像)することができる、その時にイデオロギーを使う、それはそうです。  ただし、政治というのは、人間の価値を想像させる数ある手段の1つに過ぎません。  宗教もあれば芸術もあります。  この記事の筆者が、あえて「君の無価値さ」を強調する点、「狂気」を勧める点は、意図的な誘導が見られます。  吉田松陰とかヒトラーとか毛沢東とか、政治において「狂気」を強く勧めた人というのは歴史上少なからずいます。  しかし、全ての政治家が「狂気」を人々に求めたかというと、そんなことはありません。  むしろ、そんなものにとりつかれなくても、人々に価値を想像(創造)させることができるのが、政治という技術です。
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【大問題】なぜ最近、若者による「強盗」が多発しているのか?
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
組織犯罪の増減は、 ① 得られる金の大きさ ② 組織犯罪を犯すことのリスク という2つの要因で推移します。 ① 得られる金の大きさ、というのは相対的なもので、例えば1日100円で生活している人間には100万円は30年分の生活費という大金で、人を殺してでも得るべき金額、と見えるかもしれません。  つまり、貧困が広がると組織犯罪は増えます。 ② リスクの大きさ、は、いくつかの副次的要因から成り A. 警察に捕まるリスクと裁判で有罪になった時の刑の重さ、 それに加えて、 B.犯罪組織に属することによる負担(ノルマや規則など) C.表社会で正業に就く機会を失うことによる損失 などがあります。  A.警察や裁判が機能しない(ワイロなどで買収できたりする)、B.上納金なども厳しくなく上役の面倒見もいい、C.どうせ正社員になって月給をもらうことなど無理、といった副次的要因が重なると、②リスクの大きさ、は、犯罪を抑止できるほど大きなものではなくなります。 日本では、1970年代~2010年代くらいは、①得られる金の大きさ、も、さほどではなく、②リスクの大きさ、は非常に大きいものでした。そのため、組織犯罪は世界のほとんどの国と比べて少なかったです。  もちろん、組織犯罪は無かったわけではなく、暴力団に集約されていました。賭博はパチンコ、競馬、競艇などに集約されていました。 暴力団というのは、~組~代目、というような代表が看板のかかった事務所にいて、警察がアポイントメントを取ればいつでも会うことができました。  これは明らかに警察が組織犯罪を集約して統御するための方法で、暴力団に属して組織犯罪を行った場合の②リスクの大きさ、も、警察と調整されていました。  そして、暴力団以外が組織犯罪を行った場合の②リスクの大きさ、は、非常に大きく設定され、暴力団以外の組織犯罪が発生しにくくなっていました。  現在は、この方法は使われていません。 現在の日本では、①得られる金の大きさ、に引き付けられる貧困層は相対的に増え、②C.表社会で正社員になる機会は減っています。  組織犯罪に関わる人間が全て貧困層という訳ではなく、リスクを犯す手駒に使われうる層が増えた、ということです。  ①得られる金が100億円なら、そういう層を組織犯罪に使う、という層もいます(「ルフィ」一味だと「侵入窃盗」)。
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大学教員のハラスメント 公表基準など初の実態調査 文科省
NHKニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「内々で処理する」というのは、大学に限らず、小学校、中学校、高校、あるいは企業などでも広く見られることです。  「内々で処理」することこそ、ハラスメントを蔓延させ、繰り返させます。  統一された基準に沿って、処分を公表する(同時に被害者の損失を可能な限り減らす)、「内々で処理する」のをやめて、一律に同基準で処分することが、ハラスメントを減らします。  研修会などやっても効果はありません。 一律に処分するというのは、「そんなことをすれば組織の和が乱れる」「組織の対外的イメージが損失をこうむる」「被害者もウワサになって居づらくなる」などと言う人たちがいます。  だから「内々に処理する」べきだ、というわけですが、それではハラスメントが減らないし、組織を長期的に腐らせていくだけです。  ハラスメントが蔓延する組織のままでは、被害者が増え続け、やがて組織も衰退します。 処分して公開すれば、被害者もウワサになって居づらくなる、ということはあるでしょう。  その場合は、賠償金を支払い、他の組織に移れるように手を尽くすなどして償うべきでしょう。  賠償金支払いが頻発して組織に耐えがたい金額となれば、組織もハラスメント阻止に本格的に取り組むでしょう。
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中国、融資10兆円焦げ付き 20~22年の新興国向け
日本経済新聞
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「一帯一路」の現在です。  中国は、欧米や日本が手を出してこなかった、アジア、アフリカの国々に大規模な融資をして歓迎されてきました。 「融資10兆円焦げ付き」と表題にありますが、中国の財政に関する数字の発表の常で、実際はもっとはるかに大きいでしょう。  そもそも、中国政府のODA以外に、中央銀行である中国人民銀行、それに中国銀行や中国工商銀行、中国建設銀行といった金融機関も、国外への融資を続けてきました。 中国政府公式の数字だと、 2022年6月末の中国の 対外金融資産は9兆1563億ドル、 対外資産負債は7兆746億ドル 対外純資産は2兆816億ドル https://japanese.cri.cn/2022/10/06/ARTIdJAOYZRhSBn7yZVoVZfD221006.shtml と、これだけでも大変な金額ですが、実際はこんなものではないでしょうし、これらのどれだけが不良債権化するのかは、債務国の今後の経済にかかっています。 主な債務国としては(カッコ内は中国に対する債務)、 パキスタン 773億ドル アンゴラ 363億ドル エチオピア 79億ドル ケニア 74億ドル スリランカ 68億ドル (そして、ベネズエラが、おそらく750億ドルくらい) などがありますが、いずれもデフォルトしたかデフォルト寸前で、返済能力はないでしょう。 https://www.nationthailand.com/world/asia-pacific/40020001
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トランプ氏、出生地主義の米国籍付与廃止を公約 不法移民の子に
Reuters
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
米国の国籍が出生地主義、という原則は変えないものの、大きな制限をする、という主張ですね。 (出生地主義をやめて日本のような血統主義に変えてしまうとしたら、米国の根幹を否定することになりかねません) 「子どもが米市民権を得るためには親のどちらかが米市民権か永住権を持つことを要件として定める計画」ということであれば、単に不法移民の子どもが米国籍を得られない、というだけではなく、留学や就労で米国に居住している外国人の両親から生まれた子どもも米国籍を得られないことになります。 多くの外国人が、子どもが米国籍を持てるようにしようと、米国に出産に来ます。  宇多田ヒカル氏が日本と米国の二重国籍であるのは、母親の藤圭子氏が、ニューヨークで出産したからです。  米国政府としては、そういう目的で米国に出産に来る外国人はできるだけ阻止しようとしています。  トランプ氏の主張を支持する米国人は、少なくはないでしょう。 しかし、一方で、現在の米国人の多くが、そういうふうにして米国籍を取得した外国人の子どもの子孫であり、やはり米国の根幹に十分関わる問題です。  憲法修正を必要とするかもしれませんが、トランプ氏は大統領令でやると言っていますから、また司法判断の問題になるでしょう。
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