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ロシア石油大手、インド向け販売拡大で合意
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ロシアは、2022年の終わりには、それまでEUと英国に輸出していた分を、他の国に輸出しなければならなくなっていました。
中国への輸出も増えましたが、中国は従来から最大の輸出先であり、増やせる量には限りがあります。
それまでロシアからはほとんど輸出していなかったインドが、最も大きな新たな取引先となりました。
他に、ロシアからの原油の輸入を増やしたのは、トルコや北アフリカ諸国です。
大口の新しい取引先を開拓する、というのは、単に当事者間の合意だけではなく、輸送業者や保管業者の手配、保険の手配、決済の方法など、取り決めなければならないことがたくさんあります。
ましてや、原油という量的にも金額的にも最大級の商品であれば、大変な作業になります。
ロシアからインドへの原油輸出急拡大は、まだ始まったばかりで、安定してはおらず、ロシアとしては、この取引を持続的なものにするために、できる限りの配慮をする必要があります。
対インド石油輸出22倍に ロシア、中国向けは8%増
https://newspicks.com/news/8276540?ref=user_1125005
台湾 蔡英文総統ニューヨークに到着 中国側は訪問をけん制
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
同日には、国民党の馬英九元総統が、中国の南京を訪問して、孫文陵や南京大虐殺紀念館を訪れていますが、何といっても現在は無役であり、中国政府の要人との会談もなく、鳩山由紀夫元首相がロシアを訪問するのと同じ程度のインパクトしかありません。
かつて北京オリンピックの前に聖火リレーが長野県を走った時に、沿道ではチベット問題を訴えようとする人々と、それを圧倒しようとする中国政府支持派がにらみ合ってけが人や逮捕者が出ましたが、こういう時は必ず中国大使館からの指示で中国人留学生らが動員されます。
今回も、ホテル前で中国国歌を歌ったりしながら、蔡英文総統を「漢奸」呼ばわりしている中国人らは、動員されている留学生などでしょう。パスポートの更新などがかかっているため、好むと好まざるとにかかわらず、動員されざるをえません。
https://twitter.com/pierrewang2/status/1641301712475676672

【超図解】歴史を学べば「少子化」が分かる
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
子どもが増えるのは、子どもが増えた方が得になる場合だけです。
この場合、「得」というのは、つまるところ自分にとっての得なのですが、それは所属している共同体の人間関係で決まります。
たとえば、人口100人の村で、生涯そこから出ることなく農業だけしながら生きていく人生だとしましょう。
その村では、人力だけが農業生産を増やす手段で、冬ごとに1割が餓死する社会だったとします。
若い者は、つがいになれ、子を産め、と、両親だけではなく村中から圧力をかけられるでしょう。
農業生産が増えなければ、年寄りは姥捨て山へ口減らしにやられるかもしれず、あらゆる手段で子どもを増やそうとするでしょう。
こういう社会では人口が増えていきます。ただし、技術が未発達なうちは生産力の伸びも限られ、乳児死亡率も高く、人口はどれほど増えません。
人類は、そういう前近代的共同体から解放されて、都市化し、製造業、やがてサービス業を中心に生きていくようになりました。
「マルサスの罠」では食料の供給が追いつかず、人口の伸びは止まるはずでしたが、農業の技術革新によって、食料供給の方が速く伸びていきました。品種改良と化学肥料、機械化などです。
産業が変化し、人間の共同体のあり方が大きく変わり、子どもが増えなくても十分生きていける社会になりました。
一部の国では、です。
世界中が先進国化して、食料も必要量の2倍あって、子どもが増えなくても個人的には誰も困らない社会になっているなら、もう人口は増えないはずです。
そうはなっていません。たとえばアフガニスタンでも、イエメンでも、発展はせずに人口が増え続けています。
人口ボーナスによる経済成長というのは、絶対そうなる、というものではありません。
中国とインドは、同じだけ人口が増えても、経済成長の度合いは違います。
人口が増えるだけで経済が発展するなら、パキスタンもナイジェリアもすでに経済大国です。
人口ボーナスを生かせない国、というのはあります。
そういう国はアフリカに多く、経済成長しないまま人口が増え、少ない富を奪い合って内戦になっています。
出生率の世界トップ3(6.0以上)、ニジェール、ソマリア、チャドは、まさにそういう国です。労働力も戦闘員も多いほど得な社会です。
50年もすれば、人類の半分はアフリカ出身者になっています。
米当局、FTX創業者を贈賄罪で追起訴 中国当局者へ4000万ドル
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
4000万ドルのワイロ、というのも相当なものですが、さらに追加で数千万ドル贈った、とのことです。
中国当局に凍結されたグループ会社の暗号資産10億ドル以上の凍結を解除してもらうため、とのことですが、バンクマンフリード氏がFTXからこのグループ会社(Alameda Research)に40億ドルもの資金を密かに移していたことからして、不可解なことです。
中国では、FTXが経営破綻した直前の2022年11月初め、中国人民銀行副総裁だった范一飛氏が、「重大な規律違反の疑い」で逮捕されています。
https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3198560/chinese-central-bank-top-brass-fan-yifei-held-investigation-anti-corruption-watchdog
マスク氏ら、AI開発の一時停止訴え 「社会にリスク」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「マスク氏ら」というのが、他に誰が入っているかというと、スティーブ・ウォズニアック氏が入っていますね。
おおむね、AI関係の経営者や研究者が多いです。といっても、「AI関係」というのは、今や自動運転、画像認識、ロボティクス、製薬、他にも多岐に渡ります。
この声明で懸念されているのは汎用AI、いわゆるAGIの成立で、AIの成長が昨年から予想以上に速いので、いったん、6か月間、AIの学習を停止させよう、という呼びかけです。
「米国で停止してもその間に中国がAIの開発を進めるだけではないか」という反論も出ています。
https://futureoflife.org/open-letter/pause-giant-ai-experiments/
伊政府、細胞培養食品を禁止へ
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
培養肉生産は、既存の畜産業者と真っ向から市場をめぐって争うことになります。
大豆生産者とも争うことになります。
EU諸国はだいたいそうですが、農業、畜産業を多大な補助金で保護しています。
イタリアは、ポーランドやドイツには及びませんが、食肉輸出国です。また、大豆生産がEUの中では大きいです。
イタリアの場合も、農業票を意識した動きというべきです。
イタリアの農業票は、反ワクチン・反遺伝子操作・有機食品優先を掲げる野党の5つ星運動に取られかねません。
イロモノ扱いの内はまだいいですが、本当に畜産業や大豆生産者の収益を減らすようになってくれば、強力な反対運動が各地で起きるでしょう。
ミャンマー「スーチー党」解散 軍事政権が排除
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「スーチー党」とこの記事でいているのは、スーチー氏が代表を務めてきた国民民主連盟ですが、前回2020年の総選挙では、単独過半数でした(440議席中255議席)。
しかし、国軍は自分たちがつくった政党は30議席しか取れなかったため、選挙の無効を宣言、クー・デタで権力を握りました。
国民民主連盟の議員は、スーチー氏のように逮捕されるか、「国民統一政府」を名乗り、各地に潜伏して国軍との戦闘を指揮しています。
すでに内戦は2年間続いていますが、国軍は、政党の再登録を3月28日まで行わなければ、選挙に参加する資格はない、と主張しました。
主だった政党は、いくつかを除き、政党の再登録を申請しませんでした。
国民民主連盟は、国軍によって「テロ組織」と指定され、議員はもちろん、一般党員でも見つかり次第、逮捕されるか、その場で射殺されています(獄中で殺された党員も多いです)。
当然ですが、国民民主連盟は、国軍に対して政党の再登録は申請していません。
次の総選挙がいつ行われるかは未定ですが、今やっても国軍がつくった政党以外は、ほとんど議席は取れない、という結果が出るでしょう。
日米、EV電池向け重要鉱物の確保で協定 日本車にも税優遇
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
この写真の人物は、キャサリン・タイ米国通商代表ですね。アジア系です。
現在、世界のリチウムイオン電池の8割は、中国で生産されています。
コバルトに関しては、世界の70%はコンゴ民主共和国で生産されていますが、そちらは中国が押さえています。生産量2位はロシアです。
リチウムはオーストラリアやチリで採れるので、そちらは日米でも何とかできます。チリは、生産量の半分は中国へ輸出していますが。
グラファイトの生産国は、中国6割、インド1割、といったところです。
今月、インド(カシミール)で、コンゴ民主共和国を超える埋蔵量のリチウムの鉱床が見つかったので、インドはリチウムイオン電池生産のサプライチェーンの要の1つとなっていきます。
インド、トルコ、南アフリカといった、必ずしも日米の同盟国とは言い切れない資源国から安定した供給を確保することが、中国にリチウムイン電池の生産を完全独占されないようにするためには必要になります。
中国「一帯一路」、22カ国に2400億ドル救済支援 世銀などが調査
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
つまり、中国は30兆円以上の回収困難な対外不良債権を抱えている、ということです。
22か国2400億ドル、という数字が正確かどうかはともかく。もっと多いのでしょうが。
こうなったのは、プロジェクトの実現可能性や採算性、回収見込みをろくに査定しないまま対外国投資を続けたからです。
途上国への投資など、査定がむずかしいに決まっているのですが、中国は外貨準備が3兆ドルを超えて世界最大となっており、貯め込んだ米国債を有効活用して野放図な投資を続けてきました。欧米や日本が手を出してこなかったようなむずかしい国ばかりに、です。
これが途上国の発展に資するところはあったでしょうが、中国が損切のために債権を回収しようとすれば、これらの途上国の経済は壊滅的なショックを受けます。
中国自体への影響は、本当に対外不良債権が30兆円くらいで済むのであれば、中国国内の不動産などにかかわる不良債権の方がはるかに大きな問題です。
黒人伝統の髪形は校則違反? 隔離された卒業生「返事もできず」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
米国なら、少なくとも学校がアフリカ系アメリカ人団体のデモに包囲されて、校長以下この学校の教職員が解任される事態ですが、日本はまだ端緒についたばかりです。
「ここは日本だ、米国とは違う」が通用しなくなるのがこれからの時代です。
米国でも、黒人の権利は150年以上かけて勝ち取られてきましたが、日本でも、これから何十年もかけて、外国にルーツを持つ人々の権利が勝ち取られていきます。
日本人はほとんどが勘違いしていますが、移民というのは拒否できるものではありません。拒否しても入ってくるのです。
金と軍事力、警察力に余裕があるうちは、ある程度選別はできますが、30年も経って日本の人口が8000万人を切ってインフラも行政もズタズタになる頃になると、世界の最貧国から、どんどん入って来るでしょう。水と平野があるというだけで、入ってくる理由としては十分です。
移民は、必ず定住して権利と権益を勝ち取ろうとします。
本当は、余裕のある内に体制を整えて可能な限りのソフトランディングをめざすべきなのですが、こんなムラ社会しぐさをしている場合ではありません。

【提言】日本の少子化は「6.1兆円」で解決に向かう
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエルで合計特殊出生率が3を超えているのは、移民国家で宗教国家だからですね。
児童手当増額と無関係に人口は従来から増え続けています。
児童手当とか学費無料で出生率が大幅に増えた先進国はありません。6.1兆円では出生率は0.5も増えません。
増えるとしたら、宗教を含む社会の圧力か、移民です。
イスラエルは、ユダヤ人とアラブ人(パレスティナ人)の国家ですが、主導権を握っているのはユダヤ人で、人口面でアラブ人に負けないようにあらゆる手を尽くしてきました。
具体的には、世界各地から「ユダヤ人」に該当する人々を誘致してきました。つまり、移民です。
イスラエルはもともとがヨーロッパから移住してきたユダヤ人たちがアラブ人が住んでいたところにつくった移民国家ですが、さらにユダヤ人数の優位を確保するために、ヨーロッパ、ロシア、ウクライナ、南北アメリカ、中東、アフリカからまで非常な優遇を提示して、住居も用意して(もともとアラブ人が住んでいたところにつくった「入植地」)、移民を誘致してきました。
「ユダヤ人」といっても、母語はバラバラで、彼らに衣食住と仕事を用意して、ヘブライ語を教え込むことで、「ユダヤ人」の数的優位を確保してきました。
1947年のイスラエル建国戦争(第1次中東戦争)の頃には、イスラエルに住むユダヤ人は63万人で、アラブ人は132万人でした。
現在は、ユダヤ人は710万人ですが、アラブ人も増えて255万人です。ただし、それと別に、パレスティナ自治区に492万人のアラブ人がいます。
1947年から2022年までに、ユダヤ人は63万人→710万人に増えたのですから、それは少子高齢化とは程遠い国です。
イスラエルこそ、世界で最も積極的に移民を誘致して少子化問題を解決している国です。
ただし、誘致したユダヤ人(特にロシア、ウクライナから)の多くがユダヤ教正統派だったことから、ユダヤ人の出生率は彼らによって高くなっています。
ユダヤ宗教政党が政権の中枢に入るようになり、本来は世俗的だったイスラエルはユダヤ人の宗教国家に変貌しつつあります。
そのため、現在ユダヤ人の間には分断があり、世俗派はゼネラル・ストライキで政権を倒そうとしています。
いずれにしろ、イスラエルのユダヤ人は、今後もあらゆる手段でユダヤ人人口を増やそうとするでしょう。
初のイスラム系首相就任へ スコットランド自治政府
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
現在の英国首相はインド系ヒンドゥー教徒ですが、スコットランド自治政府首相は、パキスタン系ムスリムとなりました。
スコットランド独立運動を推進してきたスコットランド国民党党首選挙の結果ですが、同党は、スコットランド民族主義から、多様な背景を持つ人々によるスコットランド独立、へと移行してきて、その方針が反映されたことになります。
米国、英国、カナダのように、先進国が先進国であり続けるためには、できるだけ優秀な移民を誘致して、人口を維持していく必要があります。
移民なしで出生率が増えるということは起きないし、豊かなまま人口は縮小していく、というような都合のいいことはできません。
できるだけ優秀な移民を誘致する、というのは、首相でも都知事でもCEOでも、優秀であればどんどん移民に任せる、ということです。
とにかく安い賃金で働いてくれる外国人ばかりを能力も図らずに増やす、というのは、将来的には一番まずくなるやり方です。
イスラエル、司法改革巡る決定を来月に延期 抗議拡大で
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「内戦を回避するため」というのは、それほど大げさではなく、内戦に近い状態は覚悟した方がいいくらいの状況でした。
きのうから、イスラエル史上初のゼネラル・ストライキが始まっています。
民間企業に限らず、公共機関もストライキに入っています。
空港、地下鉄、学校、大学、病院、等々も、ストライキに入っています。ただし、病院などは必要に応じて患者を受け入れています。
停止しているというより、自主管理で全国的に調整して運営しており、イスラエルの労働者の優秀さを示すものです。
膨大なデータ処理をしながらリアルタイムで調整しなければならず、こんな現代的なゼネストができるのはイスラエルくらいでしょう。
しかし、ネタニヤフ首相は、おとなしく辞任する様子は見せていません。
ユダヤ宗教政党を政権基盤とするネタニヤフ首相は、宗教政党「ユダヤの力」党首である治安大臣に、独自の民兵組織を発足させるよう指示しました。
この治安大臣は、「カハ」というユダヤ教過激主義としかいいようがない結社出身の人で、イスラエルからのアラブ人の消滅を提唱しています。
ネタニヤフ首相と複数の宗教政党は、選挙で多数派を取っているくらいですから、人数はいます。
今は、世俗派のユダヤ人たちは空前のゼネストを組織しましたが、ユダヤ教正統派のユダヤ人たちが本当に武装して反撃に出るのなら、ユダヤ人同士の衝突になるところでした。
とりあえず、ネタニヤフ首相は「司法改革」を中止(もしくは延期)、世俗派はゼネスト終了、ということで、ひとまず収まりそうです。
三井住友、ベトナム大手銀行に2000億円出資 アジア強化
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
SMBCは、「マルチフランチャイズ戦略」により、これまでインド、ベトナム、フィリピン、インドネシアの金融機関に出資してきました。
https://www.smfg.co.jp/beyond/articles/014/
かつて、日本の銀行の海外進出というのは、日系企業が主な顧客でしたが、そういうのではなく、現地の企業や個人を顧客として獲得していく経営、という方針です。
他の業界と同じように、日本の市場は縮小していくので、企業としては、銀行といえども外国に市場を求めなければ、縮小以外の道がなくなります。
これは、旧東京銀行であってもなかなか簡単なことではありません。
たとえば、シンガポールは世界各地から大口の顧客が集まっていますが、そこにSMBCが割って入っていって、競争して、日本人以外にも顧客を獲得していけるかというと、見込みは薄いでしょう。
SMBCに進出の余地があり、現地の企業と個人がこれから収入が増えていくことが確実そうな国、となると、限られてきます。
現地の相当な大手と提携するのは必須として(インドネシアのBTPNとか、今回のベトナムのVP Bank)、現地企業を融資先として評価して、見極めていける、というのは、相当な蓄積が必要です。
日本企業は、物はつくれますが、現地で物を売るのは、多くの場合下手です。NTTなども大々的に失敗したし、日系デパートなどというのもことごとく撤退したし、楽天のアジア進出も失敗です。
日本の金融機関でも、外国に根を張って成功した例というのはありません。
イスラエルのネタニヤフ首相、国防相解任 司法「改革」案で対立
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ネタニヤフ首相は、6度にわたり首相に任命されており、イスラエルの歴史で最も長期間、首相を務めた人物です。
同時に、6度も任命されているのは、2度目(12年間)を除けば、短命で内閣が辞職に追い込まれているからです。
近年のイスラエルでいずれの内閣も短命で終わっているのは、単独過半数を取る政党が無く、少数政党が乱立し、それらの合従連衡が頻繁に起こって内閣が議会の過半数の支持を失う、ということがよく起こるからです。
前回の総選挙では、ネタニヤフ氏が複数の宗教政党の支持を得て、過半数を確保しました。
ユダヤ教宗教政党の台頭は、イスラエルでユダヤ教正統派の人口が増加していることによりますが、それに反対する世俗的なイスラエル人との間で分断が深まっています。
現在のネタニヤフ政権で起きている問題は、直接的には、背任と汚職の容疑です。
具体的には、ネタニヤフ首相が新聞社や通信社の幹部と会食して、政権に批判的な記事を載せないように要請した、というものです(日本だとめずらしくもなく行われているようなことですが)。
イスラエルの法律では、首相は裁判で有罪になっても最高裁判決が出るまでは、辞職する必要はありません。
ネタニヤフ首相は、議会の多数決で最高裁判所の判決を無効にできる法改正を行おうとしています。
三権分立のバランスを崩すことになりますが、この「司法改革」に対して、反ネタニヤフ・反宗教政党のイスラエル人が大規模な抗議行動を続けていて、イスラエル軍が市街に出てくるまでになっています。
国防相の解任は、直接的には、国防相がこの「司法改革」に反対したためです。
ネタニヤフ首相は、与党内の反対もあり、「司法改革」をこのまま議会の採決にかけるのはむずかしくなっています。
反対派はゼネストの決行を予告しており、ゼネストが本格すれば、ネタニヤフ首相が辞任を強いられることも考えられます。
「批判的な記事を消せと命令された」 ネタニヤフ首相の汚職裁判で初証言 イスラエル
https://www.bbc.com/japanese/56645566
汚職で有罪でも国会で「無効」? イスラエル政権の司法改革に猛反発
https://www.asahi.com/articles/ASR1L7SYRR1KUHBI01T.html
イタリア当局、移民救助船を押収 バンクシーが資金提供
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
2015年にヨーロッパ難民危機などといわれて、この年は、中東、アフリカから、100万人以上がヨーロッパに入ってきました。
その後も、ヨーロッパへの人の流入は続いています。
2022年は、16万人がヨーロッパへ向けて、地中海に漕ぎ出し、(確認されているだけで)2000人が溺死しました。
今年は、最初の3か月でもう3万人は超えていますが、とにかく、毎年十数万人はヨーロッパへ入ってきます。
EU諸国が招いているわけではありません。移民というのは、先進国の側が止められるものではありません。止めたくても人口が減っていく先進国には、必ず移民が入ってきます。
これでも、EU諸国は、移民を止めようとして、トルコ政府やリビアの軍閥に支援金を出して、地中海に漕ぎ出すのを止めようとしています。
多くの移民志望者が、リビアで殺されたり、捕えられて奴隷として売られたりしていますが、EU諸国は承知の上です。
地中海で毎年数千人が溺死するのも10年以上続いていることで、今後も増えるでしょう。
それはひどいから助けよう、という有志のNGOがヨーロッパにいて、船を出して溺死しそうな人々を救出する作業をしています。
しかし、死者が出ることになっても、できるだけヨーロッパへの移民の流入を止める、というのがEU諸国のコンセンサスなので、そういうNGOの活動は政府に止められています。
https://data.unhcr.org/en/situations/mediterranean

【徹底図解】少子化ニッポンに、未来はあるのか
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
近年、首都圏でも女子大の学生定員割れが増えていて、閉校するところも増えています。女子短大はなおさらです。
その昔、昭和時代には、女子大、女子短大などの家政科卒業生は、職場結婚要員、として企業に就職できました。
企業としても、新入男性社員のための数年後の専業主婦要員として、寿退社を前提とした雇用が広く行われていました。上司は仲人であり、男性社員に会社に忠誠心を持ってもらって定年まで働きとおしてもらうための仕組みでもありました。
現在は、職場結婚要員としての採用というのはほぼ見られなくなりました。女子大、女子短大も、ほとんどは消えていきます。
そういう点では、戦後日本の結婚と出産は、終身雇用と結びついていたといえます。
それでは、今、古の昭和時代に回帰して、「会社は家族」になれば日本の人口は増えるのかというと、そうはならないでしょう。それに、そんな回帰は経済的にも社会的にも不可能でしょう。
日本のような終身雇用ではなくても、少子化は先進国では急速に進行しています。特に韓国や台湾、中国など、東アジアで顕著です。
例外なのは、毎年100万人の移民が国籍を得る米国くらいです。他の先進国は、移民の受け入れ度合いによって、少子化の度合いが違います。
日本も、毎年50万人の外国人に日本国籍を付与すれば、人口は増えるでしょう。まずコンセンサスを形成できないとは思いますが。
米国以外の先進国全てで人口が減っているのは、単純に、子どもが必要なくなったからです。
子どもは、日本経済には必要かもしれませんが、親族共同体にも、地域コミュニティにも、個人にも、必要ありません。子どもがいなくても個人は生きていける、という意味です。
そして、親族とか地域とか、そんなものが個人の結婚や出産に口を出さなくなったのが、先進国といわれる国々です。
親族とか地域が、個人に対して結婚や出産を強要する国では人口は増えています。
全ての個人が自由に生きられる社会では人口は増えません。
日本でも、職場結婚して妻子がいなければ昇進はまず無理、という昭和時代の途中までは、人口が増えていました。
これからは、人口が増える中東やアフリカの一部の国から、先進国への移動が増えることで(長期的には阻止は無理です)、混乱の世紀を経て、世界の均衡がとれていく時代です。

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