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【保存版】「ポスト資本主義」を読み解くための20冊
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「ポスト資本主義」を提示する具体的な書物が、あまり無いのですよね。  マルクスのやったことは『経済学批判』なので、マルクスを理解するうえでは、マルクスの批判の対象であったアダム・スミスやリカードを理解することが必要になります。  主な争点は、「商品の価値を生むのは何か?」ということで、マルクスは、「労働」と主張しました(労働価値説)。資本家というのは、労働の価値に値する賃金を払わずに商品を売却することで、支払った賃金以上の利益(剰余価値)を得るという搾取を行う人々であるから、そのような搾取が起きない仕組みを提唱しました。それが生産手段の公有化であり、そのための革命でした。  20世紀になると、商品の価値を生むのは、「労働」ではなく、商品自体がもつ「効用」であるという主張(限界効用説)が主流になっていきました。この変化の影響は非常に大きいので、ヒックスなどの著書も必要でしょう。  労働価値説にこだわる限り、商品の価格は労働量に基づいて決定されねばならず、剰余価値が発生しないようにするためには資本を蓄積する経営者が存在してはなりません。結局、国家が管理する計画経済にならざるをえないのですが、レーニンがソ連でつくった体制は、「国家資本主義」あるいは「国家独占資本主義」と呼ばれたりしました。今の中国も「国家資本主義」と呼ばれることはあります。  マルクス主義系統の出す案が国家資本主義以上のものが現われず、コンピュータやAIによる精緻化は唱えられますが、レーニンの頃から、画期的な具体案は出ていません。具体的な経済制度の案を出さないマルクス主義者の多くは、マイノリティとか、文化とか、環境問題の話ばかりするようになりました。  なお、「ポスト資本主義」という言葉は、マルクス主義以外でも1980年代くらいからあって、たとえばドラッカーなんかが、「従業員資本主義」がポスト資本主義であると言っていました。現代では、知識が生産において重要であり、各従業員が知識を持っているから従来のような資本家だけが収益を蓄積するわけではない、というような話でしたが、資本主義が終わる、というほどの話ではなかったと思います。
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パウエル元米国務長官が死去 イラク戦争開戦へ国連演説
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
パウエル氏の最も印象に残っていることは、2003年に急遽、米国がイラク戦争を始めることを決定した際、ジョージ・W・ブッシュ大統領に対して、 「本気ですか?米国は占領者として長期に渡って大変な責任と負担を負うことになります。」 と、食い下がって反対したことです。  父の敵とばかりにサッダーム・フサイン大統領を倒したいブッシュ大統領と、すぐに中東民主化ができると楽観的な他のホワイトハウスの中心人物たちと違って、パウエル氏は現実的な材料を示して1人反対していました。フサイン政権を倒せば済むという話ではなく、実際、米軍は18年に渡って駐留を続けています。  しかし、イラク侵攻が決定してからは、元軍人らしく、国務長官として、できる限り同盟国の協力を得るために奔走しました。  パウエル氏は、ブッシュ政権の中では浮いていました。そのため、2期目のブッシュ政権では、再任されませんでした。  パウエル氏は、ベトナム戦争、湾岸戦争で軍歴があり、軍人としての役割の多くも、同盟国との調整でした。戦争に向かうブッシュ政権の内部で、反対姿勢を示した貴重な存在でありました。ただ、職を投げ出して大々的に世論に訴えたりする、というような反対のやり方はしませんでした。そのあたりは、政治家向きでもなく、マイノリティとしての立場を常に意識する常識人でもありました。
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「このままでは日本のアニメが世界で負ける」は的外れ? 海外で広がる“日本風“アニメ
Yahoo!ニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「世界で負ける」も何も、日本のアニメ制作業界の市場規模は世界全部合わせて2500億円です。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000328.000043465.html  米国は、ウォルト・ディズニー・カンパニーだけで、世界で毎年7兆円の売上があります。ディズニーはアニメだけつくっているわけではありませんが、日本だと興行収入が10億円超えればヒット映画といわれるのに、『ニモ』とか『トイ・ストーリー』だと、世界で1000億円を超えます。  日本のアニメ産業が、世界1だったことなど、いまだかつてありません。  なお、現在、中国は日本のアニメ産業にとって最大のお得意様です。縮小する一方の日本の国内アニメ市場ですが、中国市場のおかげで、存続しているようなものです。  現在は、日本のアニメ制作業界は、日本のテレビ局と広告代理店による製作委員会の呪縛から解放されつつあり、国際的な買い手が増えたことで、人材交流も盛んになりました。たとえば、『映像研に手を出すな』のオープニングですが、外国人が主要なアニメーターになることも増えました。  ディズニーがまさにそうですが、世界中から人材が集まって来て、世界中の市場を席巻するようになってこそ世界1なので、日本のアニメ制作会社が生き残れるとしたら、国内市場の閉鎖性と縁を切ってグローバルな市場に乗り出せてこそでしょう。
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【ウスビ・サコ】コロナ禍で消えた「偶然の価値」を取り戻せ
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「偶然の価値」というのは、自分が考えたことのなかったことや、出会おうとも思っていなかったものに出会う、ということでしょう。  現代では情報収集がずいぶん簡単になりましたが、基本的に、収集する情報は、自分が知りたい情報です。全く未知のことについては、情報収取を始めようと思うこともありません。  現代日本人は、面識のない人に話しかけるということはあまりしないし、それこそ宗教の勧誘かキャッチセールスかと警戒されます。しかし、日本の歴史を通して、通りかかった僧侶の辻説法や旅芸人一座に衝撃を受けて、人生が変わった、という人々もいたでしょう。今では、僧侶であれ右翼であれ左翼であれ、辻説法する人は減ったし、選挙立候補者の演説だとあまり衝撃はないでしょう。  コモンズ、というスペースは、日本の大学でもずいぶん設置するところが増えましたが、コロナ禍では、どの大学も閉鎖しているでしょう。  大学というのは、かつては入学時の洗礼というもので、寮の先輩や演劇サークル、訳の分からないことを話す教授などに衝撃を受ける場でもありました。  今はそういうことは整理されてずいぶん低調になりました。そういう期待を持った新入生が宗教の勧誘やスーパーフリーのような団体の標的になった、ということもあります。  コモンズ、というのは、いきなり未知の人と遭遇するということではなくても、同じ授業や同じゼミの人だけど、あまり話したことが無い人と、共同作業したり、じっくり話す場、といった位置づけでしょう。  個人的には、大学内などだいたい同質の人間が集まるのだから、今の時代は、外国に行ったり、世界中の同好の士とつながって、これまで会ったことのない人間と会う機会などいくらでもつくれるだろうとは思います。  それでも、日常的に接する同じ学生から得られることもあるでしょうから、学生同士の交流を促すのは、たぶん有益なことであり、そういう期待を持つ学生も多いのでしょう。
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【論考】米国撤退後のアフガニスタン、未来はあるのか
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
米軍駐留中のアフガニスタンでは、国家予算の8割以上が外国からの援助に依存していました。米国が手を引いたことで、国家予算が無くなるだけではなく、近代的な経済が成り立つ条件はほとんど失われます。貨幣が価値を失い、貨幣経済が維持できるかどうかも疑わしいです。  貿易も大幅に減少し、電気やガソリンも無くなり、流通も生産も確実に縮小します。2001年から倍増して4千万人になった人口が、全員食べていくのは、物理的に不可能です。アフガニスタンは、世界で最も悲惨な国とはいえませんが、半年後には最も悲惨な国の1つになっている可能性は十分にあります。  2021年8月から2か月で、すでに50万人以上が国内避難民になっています。餓死者はすでに出ていて、問題はこれからの冬で餓死者と凍死者がどこまで増えるか、です。  国内にいても死を待つだけであれば、国外に逃れざるをえません。国外へ脱出できるだけの財産がある人間はすでに脱出しています。 8月下旬、カブール国際空港に殺到した国外脱出希望者の混乱が世界中のメディアで報道されましたが、あれは飛行機で脱出できるごく一部の恵まれた人たちです。あそこで起きたイスラーム国の自爆のようなことも、今は各地で頻発しています。ターリバーンとイスラーム国の死闘は、本格化しだしたばかりです。  広く難民についていえることですが、欧米までたどり着けるのは、最も金と体力がある人たちです。次に余裕がある人たちは、陸路で隣国を目指します。最も弱い人たち、高齢者や障害者、母子家庭などは、移動できずに最も早く死にます。  アフガニスタン人の難民化が本格するのはこれからです。陸路でパキスタンやイランに向かいますが、入ってこられても困るので、防壁を造り、軍が警備して国境を越えられないようにしています。しかし、密入国業者がいて、金があれば国境は越えられます。本当に死ぬしかないなら、国境沿いで暴動を起こしてでも国境を越えてくるでしょう。  米国やヨーロッパ諸国が、餓死や凍死を減らすことができるような巨大なプロジェクトに本気で取り組む可能性は低いですが、仮に取り組んでも間に合わないでしょう。物資を空輸しても、ガソリンが無いから輸送ができないので、地方には行き渡りません。  近隣諸国にとって、アフガニスタン人の難民化は、次の戦乱を確実に準備することになるので、死活的に切実です。
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【解説】真鍋博士の研究は、温暖化の予測にどう貢献したのか
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
自然科学は、あらゆる現象を数量化して、数学の対象にすることでモデルや法則を見出すことができます。  20世紀の自然科学の発展を可能にしたのは、コンピュータによる計算能力の画期的な増大でした。コンピュータは、それ自体はエレガントな解法を編み出す訳ではありませんが、とにかく力業で、数値を入れかえて繰り返し大量の計算をこなすことでは、圧倒的な早さです。ブラックホールの生成も、材料の耐久性も、膨大なパターンの計算をあっという間にこなします。  米国がマンハッタン計画で原子爆弾の開発にいち早く成功した一因が、コンピュータ開発において世界にさきがけていたからです。爆発もミサイルの弾道も膨大なパターンの計算をいかに早くこなすかで、開発速度が左右されます。地球から発射したロケットが月まで到達するための計算などもそうです。  米国の原爆、ミサイル、その他諸々のコンピュータを活用した研究の中心にいたのがユダヤ人の亡命科学者フォン・ノイマンでした。フォン・ノイマンは、国防省やCIA、IBMと組んで、膨大な予算を使って新たな研究分野を切り開いていきましたが、その拠点としたのがプリンストン大学でした。  フォン・ノイマンは、多岐にわたる研究にコンピュータを活用させる斡旋をしましたが、その試みの一つが、気象の研究にコンピュータの計算を活用し、数理モデルをつくっていくことでした。  真鍋氏が米国で研究を始めた1958年、フォン・ノイマンは原爆開発中の被爆が原因ですでに死亡していましたが、IBMコンピュータを活用した研究環境はすでに整備されていました。これは、当時の日本ではできない研究でした。真鍋氏は、気象研究の数理モデルを追究する論文を発表していたため、米国でのキャリアが開けました。  世界的に圧倒的に優位であった米国の研究環境を生かして、真鍋氏の主な研究成果は1960年代に発表され続け、気象研究における数理モデル確立のさきがけとなりました。
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ASEAN、ミャンマー軍政を首脳会議から除外へ=関係筋
Reuters
バイデン大統領、ローマ教皇と会談へ 人工中絶容認が影
産経ニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
バイデン大統領は、去年から米国のカトリック教会の一部で、ミサの際の聖体拝領を拒否されています。聖体拝領(communion)を受けられない状態というのは、いわゆる破門(excommunication)ということになります。  カトリックの教会法典では、中絶を行った者は自動的に破門されることが定められています。  この件を問題にしているのは、教皇やバチカンの中枢よりも、米国のカトリック司教協議会です。各国のカトリック教会の意思決定は、だいたいはその国の司教協議会で決まります。  米国の司教協議会で、バイデン大統領への聖体拝領を拒否することを圧倒的多数で可決しています。  教皇自身は、バイデン大統領への聖体拝領拒否には明らかに否定的です。  カトリックの歴史では、中世以来、教皇と対立すると破門されることが多いですが、教義上は破門になると死後地獄行きになるので、社会的効果は大きかったです。破門になったのは、英国王ジョン欠地王、フランス王フィリップ4世、神聖ローマ帝国皇帝ハインリヒ4世、マルティン・ルターなど、錚々たる面々も含まれていて、ヨーロッパの歴史の重要なシーンで繰り返されてきました。 バイデン米大統領の聖体拝領拒否の可能性も 米司教協議会が議案承認 https://www.christiantoday.co.jp/articles/29657/20210628/us-bishops-communion-biden.htm
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京大が霊長類研究所を事実上「解体」へ 世界的な拠点、研究資金不正の舞台
京都新聞
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
霊長類研究所は、渋沢栄一の孫の渋沢敬三が、1967年、親しかった京大の今西錦司のために、名古屋鉄道からの資金を斡旋して設立させたものです。  愛知県犬山市にあるモンキーセンターも、同様の経緯で、名古屋鉄道の資金で今西錦司らの研究の場として創設されました。2014年には公益財団法人になりました。  霊長類研究所は、今西錦司の人脈と資金のあて、当時の日本で「日本独自の進化論」がもてはやされた、時代の背景によってできたものです。  日本のメディアの記事で、学術についての記事では、「世界的な拠点」とか「世界的権威」「第一人者」というような枕詞が適当につけられることが多いですが、だいたいはそんなことはありません。本当に世界的なトップ水準の研究者であれば、米国を拠点にしている場合の方が多いです。  今西錦司が、現代の生物学や進化論で、世界的に最重要な研究者と見られるということはないし、「日本独自の進化論」といえるような内容もありませんでした。従来からドイツなどにあった学説です。今は進化の研究は遺伝子研究がベースなので、そういうものが無かった時代の科学的根拠を欠いた主張でした。  なお、この記事で「研究資金不正の舞台」と書かれているのは、何かというと、サル用のケージ5億円相当を、本来競争入札で調達するのがルールなのに、実質的には1つの業者と話がついていて、相見積もりもその業者が他の業者と調整して提出した、というものです。  こんな程度のことは、日本中で行われています。ただ、その業者から、発注費の一部を還元させて他の研究経費に使用していた、ということも含めて、ルール違反ではあります。  要は、霊長類研究所はもうお荷物で、世界的に高い水準をする研究機関では無いのに、多額の研究費用がかかるから整理された、というのが実際のところでしょう。
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【ウスビ・サコ】コロナ禍での、学生の切実な声にどう向き合うか
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
学生とつきあっていく、という系の大学教員はいて、昔の方が多かったです。大学は数千~数万の学生がいて、その中には、精神的な理由で大学に来なくなったり、中退する学生が必ず何%かいます。学生とつきあっていく系の大学教員がいると、そういう学生が中退しないで卒業までこぎつける可能性が上がります。  もっとも、キリがないともいえるし、個々の学生につきあい続けるとか、ましてやサークル顧問などやっていると、世界最先端水準の研究など手がけるのは無理です。  要は、大学の先生まで金八先生みたいなことをやるのがいいのか、ともいえます。  日本の大学はゼミ制度という独特の仕組みがあり、教員が個々の学生とつきあう度合いは、かなり高いといえます。しかし、今は日本の大学も、大学生は自分の問題は自分で解決できるようにしてもらう(そういう学生の方が就職でも評価は高い)、というようにしているところはあります。大学全体としてのサービスとかサポートの制度は充実させていく方向のところが多いですが。  比較的規模の小さい大学だと、学生とつきあっていく系の教員がいてくれた方が、いろいろと個々の学生の問題を何とかできる場合が多いです。
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【ウスビ・サコ】もっと他人に頼ろう。いつかお返しできればいい
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
農業や牧畜で生きている社会ならば、共同体が無ければ生活を維持できません。生産活動は共同体でなければできないし、結婚も出産も育児も、個人の選択ではなく、全ては共同体を維持していくのに最適なようにする以外の選択肢はありません。  本当に大事なのは村単位の共同体を維持することで、国家への帰属意識や忠誠心などありません。国家規模の軍隊や警察など、つくろうとしても何かあればすぐに自分の出身地へ帰ってしまい、あっという間に跡形もなくなります。2か月前にアフガニスタンで起きたことです。あの人たちは国家が無ければ生きていけないとは思っていないし、政府など出稼ぎ先くらいにしか思っていません。  自分たちの共同体を守るため、であれば、本当に命がけで戦うし、共同体を解体させようとする外部の勢力は絶対に許せない敵で、隙を見て襲撃するか、勝てないとなったら、集団で難民になってでも共同体を維持します。  そういう何万という各地にある共同体を、何度も起こる反乱を制圧して解体していくのが近代化というものです。全国で同じ教育を義務づけ、できるだけ高等教育を受けられるようにして、若者は事務仕事ができるようにして都会に出て行くようにする、そして伝統的な共同体を解体できます。人々は、先祖代々の共同体のことなど、気にしなくてもよくなります。  これは、先進国は全てやってきたことで、やらないと1人当たりGDPが1万5千ドルを超えることはできないでしょう。そして、一度共同体を解体して先進国になれば、もう後戻りはできないことです。
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