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英上院、移民移送法案を可決 難民申請者をルワンダへ
Reuters
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
現在の世界では、少なくとも先進国は、難民条約に基づいて難民申請者に対応しています。  不法入国、不法滞在であろうと、入国してきて難民申請をした外国人については、難民認定するかどうか審査しなければならず、その間は国外追放はできません。  もし難民認定されれば、その国が生活の保障も含め、難民を保護することになり、実質的に永住できます。  難民認定されなくても、申請を繰り返したり、失踪して行方をくらませれば、実質その先進国に住み続けられる場合が多いです。 スナク政権によるルワンダ移送案は、(フランスから渡ってきた場合などは)難民申請する外国人をルワンダに移送してから審査する、という案であり、難民条約およびヨーロッパ人権協定に違反している可能性が高いです。  そのため、2023年には英国の最高裁も違憲判決を出しました。 移送するにあたっては、英国政府はルワンダ政府に難民申請者の預かり料を支払います。  その料金も含めて、移送には1人あたりの5年分の費用としておよそ3000万円がかかると見積もられています。  現在英国にいる難民申請者の内、およそ5万人がルワンダ送りの対象となりえます。5万人送るとすると、1兆5000億円かかります。  とはいえ、現在英国には難民認定者および難民申請者が36万5000人いて、英国政府は彼らの保護費用として毎年8000億円を支出しています。  英国の国家予算は、年間140兆円程度です。 https://www.bbc.com/news/explainers-61782866
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NATOの核兵器配備受け入れ「用意ある」 ポーランド大統領
AFP
世界の軍事費、最高額を更新 中東情勢、ウクライナ侵攻が影響
共同通信
次期衆院選で「政権交代してほしい」62% 毎日新聞世論調査
毎日新聞
【核心】イスラエルの戦争が終わらない「本当の理由」
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
近代国家では、1人の政治家の意思で戦争を起こすという陰謀論のようなことはできません。  日本は、1937年の盧溝橋事件からだと8年間、1931年の満州事変からだと14年間、1945年に降伏するまで戦争を続けました。  あれは、東条英機とか近衛文麿とか昭和天皇という1人の人間の意思で続けられたものではありません。  日本という国の機構と力関係、そして国際関係の問題です。陸軍・海軍という巨大組織の力関係も、財閥、メディアも関係していました。日本経済のあり方やその中での植民地の位置、米国や中国をはじめとする諸外国との貿易も大いに関係していました。  1人の政治家が始めたいから、続けたいから戦争が起きて続くというのは、極端に単純な議論で、陰謀論の類です。 イスラエルという国の議会をどのような政党が構成しているか、そのうち連立政権にいるのはどの政党か、これらは基本的要因で、1000万人のイスラエル国民の世論の反映です。  イスラエル経済を存立させている産業、貿易、資源の確保なども、大いに関係しています。  そして、イスラエルという国が置かれている国際関係、これは中東全域を理解する必要があり、もちろん、米国やEUも関係しています。  それらを全て総合して理解するべきことです。  政治の複雑さや経済や安全保障を学ぼうとしないで、単純に理解しようとすると、「ディープ・ステイトが」とか「安倍首相が」といった単純な説明に飛びつくようになってしまいます。 中東は20世紀初めの植民地の時代を経て、脆弱な国家がいくつも成立し、やがて20世紀後半にはエジプト、イスラエル、トルコと、イランあたりが頭1つ抜けた強国になっていきました。  その後、1980年代にはイランの現在まで続く西進が始まり、サウディアラビアとUAEの台頭が起きました。  21世紀に入り、イラク戦争とシリア内戦、イエメン内戦で、結果的にイランの西進が進みました。  この間、そもそも中東で戦争はほとんど絶えたことがありません。  「戦国時代はなぜ100年も続いたのか?」とか「日本はなぜ中国で14年間も戦争したのか?」とか「イスラエルは1948年の建国以来なぜ戦争をしているのか?」という問いへの答えはどうしても複雑になります。  しいて短く答えるなら、「安定した秩序が確立されるまでそれだけかかったから」ということになります。
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高賃金求め海外へ出稼ぎ、「ワーホリ」人気が示す若手人材の日本離れ
Bloomberg.com
過去5年で「ヒンズー国家」化進展=モディ政権2期目、少数派は危機感―インド
時事通信社
データで考える。2050年に向けた世界と日本の「食料問題」
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
世界で、コメの生産量が多い国は、 1位 中国 2位 インド 3位 バングラデシュ 世界で、小麦の生産量が多い国は、 1位 中国 2位 インド 3位 ロシア 世界の2大食料生産国(消費国でもある)中国とインドが、穀物を自給できるか、というのが世界の穀物供給を大きく左右しますが、2国とも国内需要の伸びに比べると、生産量は伸び悩んでいます。 中国は、今や世界最大のコメおよび小麦の輸入国となっています。  小麦の最大の輸入元であるウクライナからの輸入が滞れば、中国は他の国からの輸入を確保せざるをえません。  中国が金を積めば市場価格が上がり、買い負けて自国の必要分を輸入できない国が出てきます。 インドは、穀物の輸出国でしたが、2022年に続き、2023年も穀物の輸出を制限しており、もはや他国に輸出する余裕がありません。  インドの食料生産の伸び悩みは水不足によるところが大きいです。 食料価格の高騰と品不足は、まずアフリカと、水不足で食料生産が減少した中東の国々(たとえばイラク)を直撃します。  それは、いくつかの国のデフォルト、クー・デタ、内戦を引き起こしますが、アフリカと中東の問題にとどまるものではなく、難民の流出というかたちも含めて、ヨーロッパや東アジアに波及していきます。 食料インフレどうなる インドに注目 https://jp.wsj.com/articles/for-food-price-inflation-clues-watch-india-1348bc07
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【緊急解説】イスラエル、イランに報復。これから何が起こるのか
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
中東戦争とは、第1次の1948年から第4次1973年まで、エジプトをはじめとするアラブ諸国とイスラエルが戦うものでした。  現在のイスラエルがいう「長い戦争」は、パレスティナが争点になっている点では、4次に渡る中東戦争と同じです。  しかし、今回は、アラブ諸国は1つもイスラエルに対して宣戦していません。  イランが一方の主役であることが、過去の4次に渡る中東戦争と違う点です。 4月13日にイランがイスラエルに対して300以上のミサイルとドローンを放った際、イスラエル軍や米英仏軍とともに、サウディアラビア軍とヨルダン軍も撃墜に参加し、イスラエル防衛に参加しました。  今回は、アラブ諸国は、口頭ではイスラエルを非難しているとはいえ、行動においてはむしろイスラエルの味方です。戦況がどうなろうと、アラブ諸国がイスラエルに宣戦することはほぼ考えられません。  イランは、民族的にはペルシア人、宗派としてはシーア派が多数派で、イラン・イラク戦争で1980年代にアラブ諸国と戦ったように、アラブ諸国との関係は良好ではありません。イラクとシリア、イエメンの政府は、同じシーア派が多いこともあり、イランの影響下に置かれていますが。 この「長い戦争」は、ガザ地区での戦闘と同時並行で、中東各地で戦闘が起きていきます。  イランに対して釘を刺したイスラエルは、次はガザ地区の最南端、ラファ市での掃討作戦を開始します。4月19日のイラン本土への攻撃は、米国との調整の結果であり、交換条件として、ラファ市での掃討作戦開始を米国が(非公然に)承認し支援することになっています。  その後は、最大の戦線はレバノンのヒズブッラーとの戦闘に移っていくでしょう。 イランは、正面からイスラエルとやりあう覚悟も準備もなく、傘下の勢力を使った非正規の攻撃をイスラエルに対して続けていくでしょう。  レバノンのヒズブッラーやイエメンのフーシー派は従来通り活用されますが、イランが狙っているのは、ヨルダン川西岸地区とヨルダン国内のアラブ人の間に傘下の勢力を増やし、イスラエルへの非正規な攻撃を増やしていくことです。  イスラエル軍は、イラン陣営からの攻撃を根絶するため、そちらにも兵力を割くことを強いられるかもしれません。
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イランへの攻撃は十分だったのか-沈黙守るイスラエル、国内では議論
Bloomberg
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
イスラエルの攻撃は、米国との調整の上で、(非公然の)了解を得て、行われました。  その結果、限定的な攻撃となり、政権内部でもユダヤ民族主義者のような閣僚たちからは、もっと徹底した攻撃を行うべきだった、という批判も出ています。  しかし、イスラエルとしてはこれからも「長い戦争」を続けていくうえで、米国からの承認と補給は何よりも重要です。  それから、サウディアラビアなどの、いくつかの友好的なアラブ諸国への配慮もありました。 イランは、体制の面子と自国民の手前、「小型のドローン」が飛んできたが撃ち落とした、と事態を矮小化しようとしています。  ドローンではなく、巡航ミサイルです。  4月19日未明、イスラエル空軍機が、シリア経由で(その際、シリア南部のレーダーを破壊)イラク上空に入り、イランのイスファハンに向けてミサイルを発射しました。  目標はイスファハンにある核施設ではなく、空軍基地内のレーダーでした。  レーダーに当たったかどうかは不明ですが、空軍基地内には着弾しています。 どのみち、イスラエルは単独でイランの現体制を転覆させることはできません。  イランの現体制を倒せば根本的な安全保障になるかもしれませんが、それは、米国とアラブ諸国も含めた連合国で行うべき今後の課題です。  当面は、ガザ地区でのハマース殲滅、次いでレバノンのヒズブッラーとの対決を進めつつ、米国とアラブ諸国との同盟関係を構築していく、ということが必要になるでしょう。
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744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
民間組織「人口戦略会議」の報告書、というとどこがやっているのかかわりにくいですが、日本商工会議所がやっている事業ですね。  日本商工会議所は、経団連や経済同友会に比べると、各地の商工会の代表の集まり、という性格が強いといえるでしょう。 2014年に提言「ストップ少子化・地方元気戦略」を発表して話題になった日本創成会議は、経済産業省のシンクタンク、生産性本部の事業です。 多少立場が違う別組織からの提言ですが、2014年の「ストップ少子化・地方元気戦略」のようにはいわなくなっていて、「2100年に8000万人で人口が定常化することを目標とすべき」という主張です。  これはかなり楽観的な数字で、「そのためには、2040年ごろまでに(合計特殊出生率を)1.6、2050年ごろまでに1.8に到達することが望まれる」ともあります。  合計特殊を上げる手段として、「子育て支援」以外は特に示されていません。  また、人口が減り、自治体も減る、という予測ですが(これは数字の上では確実にそうなりますが)、それへの対処も、「生産性の低い企業、産業、地域の構造改革」しか主張されていません。  高齢化が進んで人口が減っている社会ほど、自主的な「構造改革」は難しくなるのですよね。 なお、日本の自治体の数は、「平成の大合併」で、  1999年 3232 →2010年 1727 と減っています。  ここからさらに744減るとして、どう畳んでいくのか、インフラなどをどう放棄、集約していくのかも、「提言」されていません。 提言書「人口ビジョン2100」を取りまとめ、公表(人口戦略会議) https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2024/0110133237.html
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