中里 基

おとり広告は残念でしたが、一時期のファンド転売案件が水留さんの元でIPOを果たし、ペルミラは完全exitを果たし、更に同じ水留さんの元で再成長を果たすというのは相当に素晴らしい成果だと思います。再生と再成長は通常スキルセットが全く異なります。 私自身も以前企業再生支援機構にいた時、水留さんと同じチームにいました。飄々としながらも熱いべらんめえ口調で、自分がフルコミットしていた企業再生にエールをもらってやり切ったことは今でも支えになってもいます。

レイ・ダリオといえばPRINCIPLESの人で、原理原則から演繹的に考える姿勢は勉強になるし、何を語ってもぶれない。終始一貫していると感じます。 ここでも書かれている「人と人の付き合いの重要性」とか「需要と供給のシンプルな原則」などはレイ・ダリオの思想の背骨であるPRINCIPLES（書籍）にも通底しています。このPRINCIPLESは自分自身とても影響を受けましたし、人生の原則・仕事の原則など金言が多いです。

いろいろな角度から書かれていてとても勉強になりました。網羅的かつ深い内容。 ちょっとだけ気になったのは、「2.ストックオプションの仕組み」の解説で ストックオプションは「株価が下落しても損失を負うことはありません。」という部分。 理論的にはまさにそうだと思いますが、肌感覚としては創業初期のリスクをとった社員に対する現金報酬の代替として機能できなかったというころで、体感としては損失に映る場合もある気もしました。 インセンティブが結果としてゼロの場合を、純アップサイドの権利付与としてそもそも損失という概念から離れてみるかか、総報酬の一部と捉えて損失と感じるか、（あるいはリスクの不確定性として割り切るか）は、人のインセンティブ観にも通じ、人材マネジメントにも通じると思いました。

一事が万事すごく難しい判断ですよね。ロシアへのサイバー攻撃もそうですが、このApple製品からの遮断などは市民生活そのものに影響が出て来ることを意味するし、swift停止もこの先のルーブル下落に繋がる。 Apple製品遮断による若者の反戦機運というより人々が使えなくなるマイナスの方が大きい気もするし、結果そこで反戦機運が出たとしても、そこは支持率低下やデモを通して市民に対するプーチンへの代理戦争を煽っているようにも見えてしまいます。 経済制裁というのはそもそもそういうものなわけですが、目を凝らすと複雑な思いです。