小学校教員が「新しい学校」を創った理由

2024年3月15日
全体に公開

はじめまして。五木田洋平です。私立小学校で10年教鞭をとった後、ヒロック初等部というオルタナティブスクールを仲間と立ち上げました。

ワイルド&アカデミックな環境で、子どもが主役となって「育ち」や「学び」を主体的に勝ちとる、“福利(=well-being)を広げていく学校”です。

目一杯、毎日、外で遊んで、

自分たちで学び合う。

NewsPicksはビジネスに明るい人たちに読まれているメディアだと思います。教員が寄稿するというのはかなり異色のキャスティングではないでしょうか。

ただ、仕事に燃え、価値のある仕事をする人たちにももう一面の顔があると思います。それは、子を育てる親であったり、部下を持って何かを教える立場の人が教えると言う教え、育つことに関わりのある人だということです。

そんな人たちにオルタナティブな教育の現場からの発信が何か参考になれば嬉しいです。

今回はなぜ、小学校教員を辞めて、ヒロック初等部を作ったのか、僕の気持ちを書いていこうと思います。

あるエピソードを紹介します。

4ヶ月前、ヒロックの子どもたちがBBQをしに行こう!という企画を立てました。その際、火おこしができる施設に借りられるものを確認することになりました。

するとある男の子が「おれ、電話してみたい!」と言ったんです。その男の子は初めて会った時、目を合わせることができず、自己紹介もうまくいきませんでした。周りの子にも「やりたい!」といった子がいましたが、今回はこの子が譲ってもらいました。

携帯電話を握りしめる手から緊張が伝わってきます。電話が繋がり、しばしの沈黙。まわりの子たちは心の中で「頑張れ〜」と祈っていることがひしひしと伝わります。

男の子の強張った口が開きました。

「今度火起こしの場所を借りるヒロック初等部の〇〇です。聞きたいことがあって電話をしました。」「火起こしの場では鉄板とか、洗うものは借りられますか?」

いくつかのやりとりを経て、電話が切られました。

終わった瞬間「おれ!電話できた!!」と喜びがはじけました。固唾を飲んで見守っていた他の子たちと大喜び。

「大人と対等に話せる自分たち」をつくりあげた自信に満ちていました。

やりたいと思っていたことができるようになる感動。できなかったことをできたと感じられる喜び。それを力一杯表現していた瞬間を見届けたエピソードは、枚挙に暇がありません。

先程の電話の男の子は原稿を書いているまさに今日、「よへいさん(ヒロックの中での愛称)おれ、6の段できるようになったよ!!」ハイタッチを求めてきました。

15年前から教員を始めた時からこの瞬間をつくりだしたいと思い、教員をやってきました。活動の場が私立小学校からオルタナティブスクールに変わってもこの瞬間の美しさは変わりません。

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そもそも学びは楽しいし、深いなぁと思うことが多いのです。さっきの男の子のはじける笑顔は達成感を得たときの笑顔でしょうし、それを分かち合いたいという笑顔です。

できるようになるという事だけでなく、新しい世界を知ること、歴史や偉人のこと、自然の原理、数や哲学の深遠な世界にロマンを感じることも学びの面白さでしょう。

もし学校という場が、そういうロマンや楽しさに満ちておらず、偏差値競争のようなものに「むりやり」巻き込まれる場であれば、その場は知的な楽しさをなくしてしまっています。

「楽しく深い学びを。子どもにも大人にも。」

学校の教員を辞めヒロック初等部を立ち上げると決めた時に浮かんだ言葉です。その頃の気持ちを改めて噛み締め、この連載のタイトルにしました。

子どもから教わった学びの楽しさ、達成感の尊さをこの連載を通じて伝えていけられたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

ヒロック初等部代々木校近くの渋谷はるのおがわプレーパークにて

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