気象で2022年を振り返る

2022年12月30日
全体に公開

4月23日 知床観光船事故(千種の分析記事はこちら

北海道・知床半島の沖合で観光船「カズ ワン」が沈没。20人が死亡、いまだ6人が行方不明。海保は6人の捜索を続け、運航会社の社長について業務上過失致死の疑いで捜査を進めています。(NHKニュースより)

6月1日~ 線状降水帯の予測始まる

気象庁のとりまとめによれば、適中率は約23%、見逃し率は72%であり、運用開始前に想定したのとほぼ同程度。。。

うーん、わかっていたことだけれど、改めて数字で見ると、低い的中率ですね。

気象庁 令和5年度気象庁関係予算決定概要より

ここまで低いなら予測する意味あるの?という批判もあるかもしれません。

ただ、この予測を発表しなければ、他の大雨事例と同様の伝え方がされ、「何となく大雨が降りそうだな」くらいに、ボンヤリとしか伝わらないわけです。

それなら、危険なものと皆さんが捉えている”線状降水帯”という言葉を使ってリスクを伝え、命を救いたい、というのが気象庁や気象関係者の想いです。

全く情報がないよりは、科学的な根拠に基づいた情報がある方が、リスクマネジメント上は良いですよね。予測情報がなければ、最悪不意打ちになる可能性もあるわけですから。

なお、気象庁は来年、以下などを行い、より予測精度を高めていくそうです。

・ LFM(水平解像度2km)の予報時間を現在の10時間から18時間に延長
・線状降水帯の予測30分前を目標に、直前に予測・発表
気象庁 12月27日発表「線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究の成果について 」、気象庁令和5年度気象庁関係予算決定概要 より抜粋

 

6月27日 関東甲信で、“幻の”梅雨明け発表

6月下旬には関東甲信で、過去最も早い梅雨明けの発表がありましたが、今では幻のものになっています。

   んっ?幻?

梅雨明けは、この先1週間くらい晴れが続く予想である時に発表されますが、実際に予想通り晴れるかはわからないため、後から修正されることがあります

今年9月1日に発表された確定版の梅雨明けは、以下のようになっており、関東甲信も、例年通りの7月23日に修正されています。

気象庁 2022年「夏(6~8月)の天候」より一部加工

6~8月 東京都心で猛暑日が観測史上最多(千種の分析記事はこちら

8月上旬 ねぶた期間中に大雨 東北や北陸など

8月 パキスタンで記録的豪雨(千種の分析記事はこちら

9月 台風14号で特別警報発表、台風15号で静岡県など被害

12月18~19日 北陸・東北南部で局地的な大雪(JPCZ)

福島県金山、新潟県守門などに、「顕著な大雪に関する気象情報」発表。
山形県肘折では、21年ぶりに12月中旬に2mに到達。
柏崎市では国道8号で22km超の立往生が発生。

12月22日~24日 日本海側だけでなく太平洋側でも大雪

熊本県水俣市の国道で、積雪+路面凍結により、2㎞にわたって約50台の車が一時立ち往生。
高知で積雪14cm、観測史上最多。
名古屋で積雪10cm、2014年以来8年ぶりの大雪。

 

 

 

気象は、全てにおいて「並」なのが良いとされます。

極端なものは、災害につながりやすいからです。

来年も「並」と「平穏」が続くことを願います。

良いお年をお迎えくださいませ。

 

※2023年の仕事始めは1/2の昼13:15~のラジオ番組です。
2023年の天気予報や、気象予報士を悩ませる新しいお天気についてお伝えします!

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