【リスク認識】台風8号は予想より激しい雨だった?予想ほど激しくなかった?【天気・コロナ・地球温暖化】

2022年8月14日
全体に公開

台風8号という「リスク」は、社会にどのように伝わったのだろうか。

 

天気予報という科学によって予測される気象リスクをメディアが伝え、一般の方はそれに基づいてリスクを避ける行動をする。

こういった「リスク」をめぐるコミュニケーションを、リスクコミュニケーションと言います。

リスクコミュニケーション (Risk Communication) とは

社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダーである関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ることをいう。合意形成のひとつ。
リスクコミュニケーションが必要とされる場面とは、主に災害や環境問題、原子力施設に対する住民理解の醸成などといった一定のリスクが伴い、なおかつ関係者間での意識共有が必要とされる問題につき、安全対策に対する認識や協力関係の共有を図ることが必要とされる場合である。
Wikipedia「リスク・コミュニケーション」より引用

天気予報も1つの科学的手法ですから、天気予報を伝達し、一般の方々に防災行動をとってもらうことは、立派な1つのリスクコミュニケーション。

なお、厳密に言えば「コミュニケーション」とは双方向の対話に基づき、自らも態度変容の準備をしたうえで行うことを指し、対して一方的に知識を伝達し、相手の態度や行動の変容を期待することは「プロモーション」なので(Tanaka et.al., 2022)

現在テレビなどマスメディアを通じて行われているのは「防災プロモーション」と言った方が正確かもしれません。

いずれにせよメディアを通じた防災プロモーションは、比較的成功しているリスクコミュニケーションだと言っていいと思います。(もちろん、リスク評価が受け取り手によって過大であったり過小であったりと、問題は多々あるのですが)

 

 

日本は地震が多く台風や梅雨前線による大雨も起こりやすいことから、自然災害大国と言われます。それゆえ、自然災害リスクの国民的認知が進み、リスクに対する適切な行動が喚起されているように思います。「念のため警戒を呼び掛けて、用心して対策をして、結果何も起こらなければ、それで良かったと捉えるべき」と考える人が多いのも頷けます。

 

新型コロナや地球温暖化をめぐるリスクコミュニケーション

一方で新型コロナや地球温暖化については、人間への影響やリスク認知に個人差がある点で、気象防災とは異なる困難さがあるように感じます。

コロナについてのリスクコミュニケーションをめぐる論文から引用

数度にわたる感染の「波」を経験し、科学知も、社会的な対応知、生活知も蓄積されてきた中で、私達の社会は「リスクをどのように受容し、手なずけるか」という方針を共創する段階に入っている。こうした状況では、科学は採るべき選択肢を一意に規定しない。「感染対策か経済か」のような二項対立の問題形式は避けねばならず、「感染対策と社会活動のどのようなバランスを目指していくのか」について、医療・医学や経済の専門家、政策決定者、企業関係者のみならず、市民を含む様々な利害関係者の中での対話を通じ、合意できる落としどころ(コンセンサス)を探っていくしかない。これこそが「コミュニケーション」であり、SNSなどでの対話も大きな意義を持つ。これに参加するあらゆる利害関係者は、自らの主張を譲歩し、別の価値を肯定することも覚悟しなければならない。
Tanaka et al. (2022)「COVID-19をめぐるメディア・コミュニケーションとその課題」医療と社会, 32(1) ,71-81

これって、地球温暖化についてでも、全く同じことが言えるんじゃないかな、と思っています。

「地球温暖化対策か経済か」という二項対立は避けなければならない、と言われ続けてきて約30年(1990年頃から2020年頃まで)、ようやくこの二項対立を社会は超え始めたかな、と感じています。

 

 

まとまりませんが、今日はこのへんで。

8月1日から早起きで、またすっかり超朝型生活に戻った人

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