日本民主主義の俯瞰的な見方を学ぶ『新版 日本政治ガイドブック 民主主義入門』

2023年5月12日
全体に公開

先日書いた、バイデン氏再出馬に関連したトピックス記事

で紹介した論文で、図のもとになっていた書籍を読んでいます。とても勉強になるので、入門書としてめちゃくちゃおススメなのですが、ごく一部、内容を紹介します。

『新版 日本政治ガイドブック 民主主義入門』村上弘(2018)

公立の図書館で借りました。

歴史的にみて、民主主義には4つの構成要素・理念がある

① 多数者による支配(小選挙区制)
② 多元主義・自由主義(表現の自由、マスコミの批判能力)
③ 参加型民主主義(市民運動、NPO、署名活動)
④ 熟議民主主義(討論型世論調査、主権者教育、人々の議論習慣)
『新版 日本政治ガイドブック 民主主義入門』P143などから

社会主義やファシズムの独裁が人々を苦しめたことへの歴史的反省から、①に②を加えた定義が、こんにちの民主主義の通説となっている。(P147)

本書では、②の多元主義、自由主義を民主主義に組み込む根拠、また、それが行き過ぎた際のデメリットについても考察されている。

日本にあてはめた考察

②の多元主義・自由主義については

言論の自由はほぼあるが、保守政党が優位で、また女性、公務員、専門家、小政党が議会で代表されにくい。強い者や周囲に同調する人が、自律的に他社や自分の自由・権利を考える人より多い。(中略)日本史は、市民が先制を倒す「革命」を知らない。しかし第二次世界大戦の惨禍といわば引き換えに先進国水準の憲法が導入され、経済成長などで社会経済が近代化すると、欧米と似た自由で多元的な民主主義が発達してきた。上に述べた重大な弱点があることも認識し、右傾化(権威主義)や自由の抑圧を防ぐために、市民や政治家、マスコミが何ができるかを考えたい。つまり、②は重要なテーマなのだが、欧米では深刻ではないためか研究が少なく、欧米の理論枠組みを用いる日本の実証研究でも扱いが弱いようだ。
『新版 日本政治ガイドブック 民主主義入門』村上弘(2018、新版第1版)p152

としている。

最近は特に「ダイバーシティ」を推進する流れに日本もなっているので、それらの議論をながめるうえでも、こういった俯瞰的な視点は役に立つと感じている。

なお、当書籍では、小泉氏の政治スタイルと並んで、維新の橋本氏の政治をポピュリズム事例として取り上げています。(P161~)21世紀日本での保守の優位の原因を10挙げていますが、そのうち、維新などの間接的な協力(右派ポピュリズムとして非自民の票を吸収した)という1つの要因も挙げています。

ちなみに、本書の目次はここから見られます!

ちなみに千種がなぜこのようなことに現在興味を持っているのか?については、こちらのトピックスをご覧ください。

ちなみに、出馬するの?とたまに聞かれますが、そのつもりは全く・断じてありませんのでご安心くださいw

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