AI 雑感:これからの企業経営にはドキュメント文化が重要かもしれない

2023年3月25日
全体に公開

寝ても覚めても ChatGPT や LLM の話題で持ちきりな昨今ですが、なんとなく最近感じていることを書いていきます。

※ なお、この内容は自分の音声入力を Whisper で書き起こし、その内容を元に GPT-4 でまとめたものに、少々修正を加えて書いています。30 分程度でサラッと書いているものなので、内容には多少不正確なものが含まれるかもしれません。

GitHub Copilot X

昨日、GitHub が Copilot X を発表しました。GitHub は、少し前に GitHub Copilot というプロダクトを発表しており、これは簡単に言えば AI が既存のプログラミングを補助してくれるものでした。もちろん最近ではプログラミングだけでなく、例えばエンジニアがいつも使っている黒い画面(ターミナルと言います)も、AI による補助を受けられるようになっています。しかし Copilot X はさらに広範に、単なるプログラミングの補助ではなく 開発プロセスそのものを転換する可能性 を見せつつあります。

ところで、この中で紹介されているものの一つが Copilot for Docs です。これは簡単に言えば、ソースコードや開発に関連するドキュメントをコンテキストとして、AI と対話的にやりとりできるアプリケーション です。これはすごい衝撃です。つまり、もうドキュメントをイチから読まなくても、やりたいことを伝えれば、コンテキストを解釈して勝手に AI が教えてくれる世界がやってきたのです。

ドキュメント文化

これをもう少し俯瞰して捉えると、「情報へのアクセシビリティ」を担保するための新しいアプローチが生まれた とも言えます。

多くの会社にはポータルサイトや Wiki が存在し、さまざまな形で言語化が試みられているでしょう。しかし残念ながら、意図したように情報を伝えることができていない会社が多いのではないでしょうか。せっかく言語化した情報も届いてほしい人には届かず、仮に届いたとしても正確に理解してもらえる可能性は限りなく低い —— それほど仕事におけるコミュニケーションは難しく、大規模な組織において、コンテキストを伝えるのは容易ではありません。Wiki を作っても曖昧で不正確な情報が氾濫し、議事録を書いても(暗黙知が省略されていて)内容を理解できない人も多いでしょう。情報へのアクセシビリティを担保するには、暗黙知を言語化し、組織に流通する情報量を増やし、何よりもそれらを適切に届けるために、綺麗に整理・更新し続ける必要 があったのです。大規模な会社で、これが如何に困難なことか!

しかし、AI がこれらの情報を解釈して対話的に話せるようになったらどうでしょうか。新しく会社に入った人が、他事業部の情報を問い合わせる。別事業部のプロダクトの議論と、その進捗を知る。そんなことをするには、これまではその情報を知る同僚に問い合わせたり、(仮に情報が網羅的に共有されていたとしても)社内のドキュメントを隈なく探すしかありませんでした。でも、もし社内のあらゆる情報をコンテキストとして利用できる AI が生まれたら、企業経営のあり方は大きく変わり、これまで以上に情報の透明性が担保された自律的な組織が生まれるかもしれません。

※ 機密情報の扱いは重要な論点ですが、ここでは解決される前提で書いています

AI セントリックな組織文化

しかしながら、「今のままの」組織文化で AI の恩恵を受けられる会社は少ないでしょう。例えば、あなたの会社はあらゆる情報を言語化しているでしょうか? そういった会社は珍しいでしょう。暗黙知を徹底的に共有し、スピードを重視する会社もあるでしょうし、そもそもドキュメント文化が存在しない部署だってあるでしょう。ドキュメント文化があっても記載されている情報が経年劣化したり、内容が整理されていないことも多いでしょう。あるいは、社員の言語化能力は十分な水準に達しているでしょうか?

LLM が今後さらに発展すると仮定すると、その能力をレバレッジする企業になるためには、高度なドキュメント文化が必要になるはずです。例えば先進的なテックカンパニー —— GitLabStripe は、非常に高度なドキュメント文化を構築していることが知られています。このような企業文化を構築できている会社が、LLM によってますますその組織力をレバレッジできることになるでしょう。

そのためには、社員の言語化能力を高めるための取り組み(例:評価項目に含める)を進めたり、社内におけるドキュメンテーションの標準化を推進する必要があるかもしれません。例えばドキュメントには更新日やタグなどのメタデータを付与したり、ある程度のフォーマットで整理できている方が望ましいでしょう。散乱するフロー情報は、ADR のようなアプローチで記録すると良いのかもしれません。

このように LLM が発展することを前提としたとき、それを活用できる企業と活用できない企業の間に大きな差が生まれるでしょう。このための論点はドキュメント文化に限りません。今まさに大きな転換点を迎えつつある現状を理解し、未来を見据えて AI セントリックな組織文化を構築していくことは、今後の企業経営において重要な論点になるのではと思います。

最近すこし感じていることを書いてみました。需要があれば続きます 👋

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