つながり日記:棚卸しと目標設定でつながる

2022年12月31日
全体に公開

年末、某社の全社合宿に同行し、タニモクのファシリテーションをやってきましたよ。結果として、「組織がつながる」ことに貢献できたと感じたので、やったことをまとめておきますよ。

なぜ参加したのか

今回は、英治出版さんの全社合宿に参加。日比谷が英治出版の運営する会員制コミュニティスペース「EIJI PRESS Base」のメンバーでもあることに加え、最近「越境する組織」に関する読書会&ワークショップを開催していたり、後述しますが合宿のメインコンテンツの一つでもあるタニモク(他人に目標を立ててもらうワークショップ)のアンバサダーを務めていることからお声がけいただいたと理解しております。

何を狙ったか:「連帯意識の再確認」と「つながりの強化」

多くの会社がそうだったのかもしれませんが、今年はwithコロナに突入したとは言え、ハイブリッドワークもしくはリモートワーク中心で働く方が多く、社員全員が一堂に会する機会が少なかった会社も多いのでは。

一方、このコラム等でも時折書いてますが、「共通のissueに向き合い、そのプロセスを共に過ごす」のは連帯感情勢のKFですが、その際「「顔を合わせ」「雑談を通じて、issue以外の共通点を見出し」「個と個としてもつながる」ことが連帯感を強め、組織力を高めるわけです。が、ハイブリッドワークやリモートワークでこれらの機会を得にくい中、「連帯感」をどう醸成していくのか苦労したという話をよく聞きます。

ので、今回の合宿は、会社としての実施目的はあったのですが、個人的には前述の背景を踏まえ、「連帯意識の再確認」「組織内個人同士のつながりの強化」をテーマに臨んでみました。

何をやったか

どんなワークをやったのかざっくりまとめておきます。これらは合宿運営企画のみなさんが作ったコンセプトやたたき台をもとに、日比谷もブレストに加わって整えたものです。午前に「1年振り返り」を午後に「タニモク」を開催しました。

何をやったか①:1年振り返り

やったことはシンプル。流れはざっとこんな感じです。

・1年間で、会社&個人で起きたことを振り返ります。
・対象はなんでもOK。「会社で起こったこと(出版した本、開催イベント、入退社)」「個人的な出来事」を洗い出し、ファクトだけでなく「個人的に印象に残ったこと&その時の感情」も挙げていきます。
・挙げた内容に対して、1ヶ月ずつ全員で振り返っていきます。

以下に詳細を紹介。

1、月次年表「●月の出来事」を用意

・一月ごとに「会社で起こったできごと」をスライドにまとめる。一月一枚。
・カレンダーや社内グループウェアでのやりとりをもとにpickup
・今回はこの作業を企画メンバーが担当したけど、参加者で分担してもよい
写真があると、当時の様子を思い出せて良い。

2、個々で振り返る

・「●月の出来事」スライドを印刷し、みんなが見えるところに掲示。
・個々人で、各月ごとに「会社で起こったこと」「個人的な出来事」「印象&感情」を振り返り、ポストイットに書き出していく。
・スライドを眺めつつ、手帳やスマホ、SNSの投稿を振り返ると、「個人的な出来事」とか「当時どう捉えていたか」を振り返りやすい。
・今回は無記名だけど、記名でもよい。
・ポストイットを「●月の出来事」に貼り付けていく。
ずらっと並べた様子。壁があるなら、貼り付けて眺められるようにしてもよい。

3、みんなで振り返る

・スライドを取り囲んで、車座になる。
・一月ごとに振り返り。
 ・司会が「その月に起こった出来事」を読み上げつつ、
 ・「気になるポストイット」をピックアップ。
 ・記載した人にその内容や意図を説明してもらう。
 ・それに対して、みんなが追加質問やツッコミ、被せて意見追加など。(この辺はもう少しルール化してもよさそう)
 ・説明した人は、「自分が気になるポストイット」をピックアップ。
 ・3〜4件くらいピックアップしたら、次の月に!
・今回は企画担当が総合司会をしたけど、参加メンバーで月ごとに司会を分担してもよい。
・時間の都合で割愛したが、最後に「私にとってこの一年は●●でした」を発表してチェックアウトしてもよいね。

まとめ

・「●月の出来事」スライドがあることで、「記憶や印象頼り」になることを防げる。これがないと、つい「最近の出来事」に対する振り返りになっちゃう。
・互いに発表しあうことで、自分だけでは思い出せなかった出来事を思い出せる。
・これが自分のバイアスや印象の偏りに気づくきっかけとなる。
・し、選定する出来事やその解釈に個性が表れ、発表を通じて「発表者の個性」に気付くことができる

何をやったか②:タニモク

そして、午後にはタニモクを開催。タニモクの進め方については公式サイトにまとまっておりまして、今回はほぼその手順に沿って進めました。

今回は同じ会社のメンバー同士での開催だったので、多少アレンジはしております。
進め方の詳細説明は公式サイトに譲ることにして、ざっくり概要だけ紹介しておくと、、

1、コンセプトの説明
 ・なぜタニモクをやるのか
 ・タニモクの意義、効能の解説
2、自分の状況の説明シートの作成
 ・30分ほどかけて「自分の状況説明シート」を書く個人ワーク。
3、タニモク本番
 ・4人1組に別れる。
 ・「状況説明」「質疑応答」「発表者の目標を考える」「発表者にプレゼン」を4周。
 ・ペースは総合司会(私)が調整し、質疑応答などを挟みながら進行。
4、チェックアウト
 ・今回は割愛したが、「私は来年●●します!」宣言をしてもよい

といった流れです。

コンセプトや意義のご説明。投影の高さの都合で、謎の姿勢でお話している様子。
チームに分かれて開催。白熱しております。最初は堅かったが、すぐに打ち解けてくる。
個々のスタイルでまとめた「状況説明」をもとに進行。このまとめ方にも個性が出ますね。

まとめ

・最初は「状況説明」の書き方に戸惑う方もいましたが、ワークショップ慣れしているみなさんばかりで、すぐにコツを掴んでくれました。
(慣れてない方向けにやるときは、例を見せたり、丁寧に寄り添って誘導するなどの必要があります)
・結果的には盛り上がりまして、あっという間に2時間が過ぎました。

ワークの中でも触れたんですが、個人的にはタニモクで目標が決まらなくてもいいと思っておりまして。「棚卸しの機会ができる」「自分の価値観とバイアスに気づく」「他人のアイデアの大切さに気づく」「他者の新たな側面を知る」ことが意義だと思っております。特に今回のように同じ組織に所属する人同士で開催する場合は、最後の「他者の新たな側面を知る」効果は大きいと考えております。

まとめ:組織内の合同棚卸しとタニモクが生み出すもの

今年は本コラムで何度も「組織を越境してつながる」方法を扱っていましたが、その考え方は、「異なる組織に所属する個人同士」をつなげるだけでなく、「同じ組織に所属するが、立場がことなる個人同士」をつなげるためにも有用です。

対象書籍では「役割や立場を超えて、個人として知り合い、互いの価値観を共有する」ことが大事でした。今回実施した「組織で一年を振り返りながら、タニモクする」はこれらの要素を満たしています。

「一年の振り返り」では、個人的な出来事、どう捉えたか&生じた感情 も対象にしている点が肝ですかねぇ。これによって、個人の視点や価値観を開示する練習をすることで、タニモクの「自分の状況説明」をしやすくなったように見受けます。

また、「会社の出来事」を振り返り共通体験を確認しあうことで、心理的安全性が高まり、午後のタニモクを臨むため壮大なアイスブレイクにもなった印象です。

ふりかえり

これ、実は「仲間とやる1年振り返り」とも似てるんですが、組織で開催するのはまた違った効果があって有用ですねぇ。自分の関わっている組織で、年始や年度末などに開催してみようと思った次第です。

ともあれ、、丸一日かけてワークを詰め込み、最後は2時間ぶっ通しのタニモクだったので、みなさんぐったり。終了後の懇親会で飲むビールは最高で、こちらもかなり盛り上がりました。おつかれさまでした!

ワーク終了後の懇親会。鎌倉で美味い刺身をいただきました。ありがたや。

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