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朝ごはん同盟

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25本の記事

弱さやダークな面を含め、人間をもっと理解したいというのが取材の原動力です。これはという興奮や偏愛、シェアさせてください。

NewsPicks編集部記者

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憂いを帯びた目

全体に公開・2023/04/07

新年度、入学、入社、転職──。 4月は「心機一転頑張ろう」「こうやってスタートダッシュを切ろう」といった前向きなメッセージが増える時期ですね。ここトピックスでも「新たな扉の前に立つチャレンジャーたちへ」というお題で、トピックスオーナーの方々がリレー形式で投稿する企画が走っています。昨日は荒木博行さんが「Vol.60 新たな扉の前に立つチャレンジャーへ／『はじめてのスピノザ』」という記事を書いてくれました。入社当時の自分を振り返ってみれば、「自分が何かしなければ」「自分が役に立たなくては」と、自分が主役の目線でしか物事を捉えられていなかったわけです。荒木さんが新人時代の葛藤について語ってくれている温かな投稿、よかったらぜひ読んでみてください。

菌にときめく

全体に公開・2023/03/09

楽しみにとっておいた冷蔵庫の苺にカビが生えてしまったりすると、凹みますよね。ですが最近、私はカビにときめいています。先日、「発酵は最強のテクノロジーである」という特集を行いました。日本酒、味噌、醤油など、日本人の生活にとって身近な発酵食品。実はこうしたプロダクトにおいて、たった1種類のカビが重要な役割を果たしているのを、ご存じですか。その名も麹菌。最近は定食屋のメニューに「塩麹からあげ」があったりと、名前は聞いたことがあるよという方も多いかもしれません。麹菌って、カビなんです。味噌も醤油も、みりんも甘酒も、この麹菌くんなしでは出来ません。発酵には様々な微生物が携わっていますが、中でも麹菌が特別なのは、たくさんの「酵素」を出すということ。

代わりなんて、いくらでもいる

全体に公開・2022/12/26

自分よりも優れた人が現れて、自分は「用済み」になってしまう。そういう不安を抱いたことは、ありますか。先日、「弱さ考」というトピックスのオーナーであり、NewsPicksパブリッシング編集長の井上慎平さんとお話をしました。そこで、私が最も気になったのがこのテーマです。自分の「上位互換」が現れて、代替されるのが怖い。そんな私に対して、井上さんは「自分を能力やスキルの集合体として捉えているから、そう思うんじゃないかな」と話してくれました。例えば記者なら、アポを取る力、インタビューをする力、リード文を書く力…といった具合に、自分を要素分解して捉えていくと、それぞれ自分より優れた力を持っている人は必ずいる。

心温まる本です

全体に公開・2022/10/21

最近書店に行くと、「心温まる」「泣ける」「癒される」という謳い文句の本が、心なしか増えているような気がします。かくいう私も、「心穏やかに読める、優しい感じの本が読みたいなあ」と思っては、そういう本を思わず手に取ります。先日、そこで気になった一冊の小説を買いました。そういう本は、寝る前にお風呂に入りながらぼーっと読むのが好きなのですが、この小説がどうにも、心がざわついて仕方がないのです。柔らかい文体や、おいしそうなお菓子の描写は自分好みのはずなのに、なぜこんなにモヤモヤするんだろう。ここ何日かその本を読みながら考えていたのですが、おそらく居心地が悪いのだと思い当たりました。ほらこの部分、感動するでしょう。いいこと言ってるでしょう。作者の方の副音声が、登場人物のセリフや描写から聞こえてくるようで、むずがゆい。

ガイドブックへの苦手意識

全体に公開・2022/10/03

尾道の紙片という本屋さんで、「旅と料理」という本を買いました。料理家の細川亜衣さんが、中国、台湾、韓国、モロッコなど旅先で出会った味について綴ったエッセイとレシピが収められています。読んでいると、自分も細川さんとともに新しい土地を訪れ、地元の人の家で料理をふるまってもらっているような気分になります。私にとっていいレシピとは、素材が変化してゆく様、匂い立つ香りや弾ける音、料理する人の手の動きや、見るべきところを、丁寧に言葉にして綴ったものだ。同時に、料理を作る人に、自由や余白を与えてくれるものであって欲しいと思っている。どの料理も使う材料はシンプルで、真似ができそう。でもまずは自分もその土地に足を運んで、口にしてみたい。そんな気持ちになる一冊です。

お金を集める、という才能

全体に公開・2022/09/21

彼は、資金を集めてくるのが天才的にうまいんだ──。コロナウイルスのワクチンで一躍有名になった「モデルナ」という会社をご存じでしょうか。 2020年春、私は須田記者や森川記者と一緒に、ワクチンの取材をしていました。その時に印象に残ったのが、この言葉です。モデルナの共同創業者が、CEOステファン・バンセル氏についてこう形容していました。「ステファンは、科学者というよりビジネスマン。アイデアを普通の人にも分かりやすく説明するのが、すごく上手い」こういう評判を聞いたこともあります。 2020年当時の私は、ワクチンの仕組みや、mRNAのすごさについて勉強するにつれ、長年研究を行ってきた科学者に対して尊敬の念を強めていきました。

高いところから

全体に公開・2022/08/31

東京タワーやスカイツリー、高層ビルからの眺め。高いところに登って下を眺めるという行為に、これまであまり惹かれてきませんでした。でも、丘の多いサンフランシスコで、坂を登った時に見える景色が好きで、霧の出る朝も、肌寒い日も、日が昇るのと同時にせっせと登っていました。高いところからの景色が好きだったわけではないのに、なぜここまで惹かれるんだろう。何日か続ける中で、「風」なんだと気づきました。高層ビルの展望台は、基本的に窓が閉まっています。だから、どんなに高いところにいても実感が沸かず、眼下の景色は静止画のように映ってしまう。遠くの方に高速を走る車の粒を確認しない限り、これは生きている街の風景だと、どうにも感じられないのです。

吸って、はいて

全体に公開・2022/08/01

取材のために、サンフランシスコに来ています。ここ2週間ほど、様々な起業家や研究者の人と話していて、すごく心がわくわくしています。一日に何個も取材が続いたあと、体が疲れても心が前向きになれるのは、彼らの姿勢に「希望」を感じるからかもしれません。自分たちの研究や技術で、世の中をいい方向に変えられるんじゃないか。彼らの目を見ていると、そういう高まりを直に感じます。ここしばらく、私が感じていた「自分に何ができるだろう」という問いの裏には、「自分がやっていることに、もしかしたら意味がないのではないか」という思いがよぎっていたのだと思います。でも、希望って伝染しますね。自分と年が近い人たちが「こういう課題を解決しようとしていて、こんな研究をやっている」「こんな思いで、こういう事業をやっている」と話すのを聞いていると、そのエネルギーがこちらにもやってきて、自分もうずうずします。

成長しなくちゃ、だめですか

全体に公開・2022/07/13

前に進んでいないと、不安になります。前よりも成長している実感がなかったり、自分だけが同じ場所に停滞しているような気持ちになったりすると、焦ります。逆に、何か新しい経験やスキルを身につけると、少し安心する。そんなふうに感じるときはありませんか。でも、そもそも私はなぜ、前に進まなきゃと思っているのだろう。そこに何か大義名分があるというよりも、自分を安心させるために「成長」を追っているんじゃないだろうか。鷲田清一さんの『だれのための仕事』という本を読んでいて、ふとそんなことを思いました。ビジネスでも、成長は「善」とされます。売り上げを伸ばす。利益を増やす。会員数を増やす。決算説明では、前年同期比で伸びたかどうかが注目されます。

分かりやすい

全体に公開・2022/06/29

「分かりやすい」って、本当に良いことなんだろうか。最近ふと、そんなことを考えています。分かりやすいことは、1つの大事な価値です。 NPのインフォグラフィックスやニュース解説を作るときは、「最近よく耳にするけど、あれどういうことなんだっけ？」という疑問に対し、出来るだけ分かりやすく答えたいという思いです。でも、先週とあるポッドキャストで、「分かりやすく説明することって、本当にいいことなの？」という疑問が投げかけられていて、私は立ち止まってしまいました。何かが起きた時、人は分かりやすい説明を欲します。でも、現実はひとつの原因で片付けられないことが多い。例をひとつ挙げます。「ヤバい経済学」という本の中で、90年代にアメリカの犯罪率が大きく下がった原因のひとつとして、中絶の合法化が挙げられていました。

全体に公開・2022/06/18

仕事を終えた直後、頭がオーバーヒートしているような感覚になって、ごはんを食べていてもそのことを考えてしまったり、なかなかすぐに眠りにつけないことはありますか。よく働いた日、早く寝たほうがいいことは分かっていても、なんだかちょっと楽しいことをしないと気がすまなくって、ついドラマを見てしまったり、スマホを延々スクロールしてしまったりすることはありますか。今週ポッドキャストを聞いていて、「7種類の休息」という考え方に出会いました。人には「寝る」といった身体的な休息だけではなく、色々な休みが必要だよ、というものです。なんだかしっくり来るアイデアだったので、紹介させてください。 7つの休息 ①体を休めるphysical rest (passive/active)

BTSと、トロイの木馬

全体に公開・2022/06/11

6月10日を、密かに楽しみにしていました。今や世界的人気を誇るK-POPグループ、BTSが新曲をリリースすると発表していたからです。 4月に「韓国コンテンツの秘密」という特集を手掛けました。私自身、韓国のアーティストやクリエイターたちが生み出すコンテンツに、深い敬意を抱いています。 BTSの曲で一番有名なのは、「Dynamite」かもしれません。2020年の大ヒットで、韓国アーティストとして初めて米ビルボードHOT100で1位をとりました。これは、「アメリカ市場に刺さる、英語歌詞のポップスを作る」という明確な意図のもとで、エンジニアされた曲です。 K-POPというより、これはど真ん中の『ポップス』だ

全体に公開・2022/06/04

RENTという、とても好きなミュージカルがあります。主人公は、ニューヨークで家賃も払えずギリギリの生活を送る若者たち。曲がとにかくかっこよくて、私はサウンドトラックを通じてこの作品を知り、魅了されました。このミュージカルの作詞作曲脚本を手がけたのは、当時35歳のジョナサン・ラーソンです。彼自身も、暖房のないロフトを友人たちとシェアして暮らしながら、週末はムーンダンス・ダイナーでウエイターとして働き、平日はミュージカルの執筆や作曲をするという生活を10年続けていました。友達は「ハッピーバースデー」と歌ってくれるけど諦めて泣きたい気分だもう次の誕生日かよ1990年で30歳になる They're singing, "Happy Birthday"You just wanna lay down and cryNot just another birthdayIt's 30/90Why can't you stay 29Hell, you still feel like you're 22Turn thirty, 1990

鉛筆サリサリ

全体に公開・2022/05/28

「火山のふもとで」という小説を、大事に読んでいます。設計事務所のひと夏を描いた物語なのですが、そこに流れる空気がとにかく気持ちよくて、こんなところで働いてみたい、という気持ちになります。鉛筆を削る音で一日がはじまるのは、北青山でも夏の家でも同じだった。はじめてみると、たしかにこれは朝いちばんの作業にふさわしい気がしてくる。コーヒーを淹れる香りのように、鉛筆を削る匂いで、まだどこかぼんやりとしている頭の芯が目覚めてゆく。カリカリカリ、サリサリサリという音で、耳の神経にもスイッチが入る。物語は、「国立現代図書館」の設計コンペに参加することになった事務所の人々を中心に進んでいきます。でも、寝る間を惜しんで一心不乱に働く様子が描かれるわけではありません。

全体に公開・2022/05/20

誰かに言われると傷つく言葉って、ありますよね。何か痛いところをついているから、心が揺れるんだと思います。なまじ器用であるために、あちこちに手を出し、どれも中途半端になって大成しないこと器用貧乏という言葉は、ちょっとだけ褒めているようで、ぎくっとさせる怖さがあります。エラトステネスというギリシャの学者さんは、「色んなものに興味を持ちすぎて、どの分野でも『一流』になれなかった」という理由で、ベータというあだ名がついたそうです。数学、地理学、天文学や詩など多分野で活躍し、地球の大きさを初めて測定したとされる人物ですらそんなふうに言われるなんて、なかなか厳しい世の中です。紀元前からそういう批判があるならば、「器用貧乏」は結構根深い問題なのかもしれません。

絶望スパゲティ

全体に公開・2022/05/13

いわしと香味野菜の風味豊かなペペロンチーノはイタリアで「絶望している時でもおいしく食べられる」といわれるパスタスーパーでレジ待ちをしていたら、パスタソースのパッケージが目に入ってきて、心を掴まれました。私は、絶望して食べ物が喉を通らない、ということがあまりない人間です。落ち込んでも、元気がなくても、お腹は減る。そのため、「悲しすぎて食事も喉を通らず、やせてしまった」という記憶は一切ないのですが、心が折れかけている時に救われた味は、よく覚えています。＞＞＞ちょうど3年くらい前のこと、ある経営者にどうしてもひと目会ってお話が聞きたく、朝5時過ぎから外に立って待機していたことがありました。その方は朝が早いことで有名で、朝駆けの記者にも話をしてくださると伺ったことがあったので、一縷の望みをかけて待っていました。

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