女性活躍って、必要ですか?企業にメリットありますか?
定年退職された60代の男性と話す機会があり、筆者が「フェムテックと呼ばれる女性の健康をテクノロジーの力で解決する分野を広める活動をしている。昨今の女性活躍推進もあり、市場が伸びている」と活動内容を紹介した。
そこで言われたのが「今の50代の男性管理職は、自分たちの役職も奪われる可能性もあるし、ぶっちゃけ女性活躍してほしくない人もいる」という言葉だった。
(念のため断っておくが、筆者が話した60代男性は、決して女性活躍してほしくないというわけではなく、あくまで一般論としての話しである)
筆者も多くの企業とフェムテックについて議論する中、「50代の男性管理職の理解がない」という話しを多く耳にする。
そこで今回は、女性活躍推進による企業のメリットのTipsをお伝えしたい。
1.日本は労働力不足だが、「教育されている健康な女性」を活用できていない
日本は、世界経済フォーラムが発表する「The Global Gender Gap Report 2024」で、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が146カ国中118位とG7最下位である。
個別の指標をみると、「教育」「健康」は世界トップクラスだが、「政治」「経済」の順位が低い。つまり、日本は労働力不足を嘆いているが、「教育されている健康な女性」を活用できていない。
さらに、国会議員や閣僚・管理職に女性が少ない、賃金の男女格差が大きいのが現状である。
特に、就業者に占める女性比率は諸外国とほぼ同レベルとなっているが、役員および管理的職業従事者の女性比率が著しく低い。
そこで次の項では、女性が役員・管理職になる企業側のメリットを、数字とグラフで説明する。
2.業績とジェンダーの多様性
男女の多様性のある組織やチームのほうが、パフォーマンスが高いという調査結果がある。
マッキンゼー&カンパニーの調査結果(10カ国300社)によると、役員に男女の多様性のある上位4分の1の企業は、役員に女性がいない企業よりも高い収益が得られる。
・ROE:企業の収益性を測る指標。株主のお金が、企業の利益をどれだけ生み出したのか?
・EBITマージン:利息と税金の影響を除いた、本業の収益力を測る指標。
女性役員ゼロの組織より、女性役員比率が多い上位4分の1の企業の方が数値が高いことが、一目瞭然である。
3.多様性のある組織の方が、人材の流出防止につながる
下のグラフは、「現在の勤務先に5年以上継続する予定」と回答した従業員の割合である。
多様性がない組織で働いている方と、多様性があると感じている組織で働いている方を比較すると、5年以上長期で働くと回答している社員の割合に差がある。
多様性のある組織の方が人材の流出防止につながる。人材不足の昨今として、メリットは大きい。
4.まとめ:経営層には「業績向上との関連性」が必ず必要
政府の動きやデータはもちろんだが、企業でフェムテックや女性活躍を推進するにあたり、経営層には「人口構造の変化」や「業績向上との関連性」が重要な意思決定の鍵となる。
6月27日には、厚生労働省が企業に対し、管理職に占める女性の比率を公表するよう義務付ける方向で検討している報道があった。対象企業の規模は従業員301人以上、または101人以上とする案があり、調整中である。
企業の管理職登用の透明性が高まる中、女性管理職比率を高める動きが加速している。
ジェンダー・ギャップ指数がG7最下位。女性版骨太の方針でも「2030年までに社会のあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合を30%にする」と宣言している中、数字とグラフで業績向上との関連性を、経営層に説明できるようなスキルが、女性活躍やフェムテックを推進する企業担当者には求められている。
5.【お知らせ】フェムテック起業家インタビュー動画公開
Femtech Community Japanでは、フェムテック起業家にインタビューをし、創業の想いや事業概要についてお聞きしています。
第3回目は、助産師の力でウェルビーイングな世界を目指す株式会社じょさんしGLOBAL Inc.の杉浦さんです。ぜひ観ていただけるとうれしいです。
記事(前編)⇨ https://note.com/femtechjapan/n/n101ae1c89ab2
記事(後編)⇨ https://note.com/femtechjapan/n/nd0f807a7ae1b
6.【登壇】NewsPicksトピックスオーナー会
2024年6月25日(火)、NewsPicksトピックスオーナー会に登壇しました。
7月からNewsPicksトピックスオーナーとなる方たちに向けて、記事の書き方やコツを紹介しました。1年間、NewsPicksトピックスオーナーを続けられたのは、読者のみなさまのおかげです。本当にありがとうございます!
記事を書いてきた悩みやコツをnoteにまとめていますので、読んでいただけるとうれしいです。
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・トップ画像:GettyImagesをもとに筆者が加筆
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