びっくりニュースにダマされるな、中国報道の読み方
こんなニュースがありました。
「地道に働くべき」と批判も路上でライトをつけ、座り込む大勢の人たち。よく見ると、全員スマートフォンに向かって語り掛けています。
今、中国では、路上でのライブ配信がブームになり、話題となっています。この配信者の多くは、苦労をせずに一獲千金の夢を見る若者たち。
スマホに向かって大声で話し掛けたり歌ったりするため、自宅での配信は近所迷惑になるといいます。 そこで、路上でライブ配信を行い、ファンに生活費をせがむのだということです
中国大手SNS「ウェイボ」のインフルエンサー、暁磊さんが「なんで道端で配信してるの?」と動画をアップしたところ、中国メディアに取りあげられ、日本でも紹介され、そしてヤフートピックスに掲載されて数百万人が見る騒ぎに……となった次第。
生配信にもいろいろパターンがあるわけですが、こちらは歌を歌ったり、話相手になったりする代わりに、バーチャルギフトをもらって収入にするというパターンのようです。お金をくれる人ははるか遠くにいるとはいえ、道端に座り込み、投げ銭をせがんでいる姿は確かに物乞いを連想させるものかもしれません。
「個室にも住めない、貧しい若者がまっとうに働きもせずお金をせがんでいる」……というふうに読み取った中国のネットユーザーが多く、その理解がそのままヤフートピックスになったという連鎖なのですが、実は中国の人も、日本のメディアも、そしてヤフートピックスを読んだ人も、思いっきり誤解しているというか、間違えている部分が。
実はこの若者たち、会社に雇われているのです。広西チワン族自治区桂林市の街角で生配信している若者たちがめちゃ増えてる、当局から説教されたというニュースが3月、4月にも出ていました。
直播一条街“排排坐”,女网红们深夜在天桥下唱歌,已经形成规模
この記事によると、街角からの配信がバズった例があり、以後大挙して街頭配信に取り組んでいるとのこと。で、配信者たちは企業に雇われていて、配信者の間をマネージャーというかその企業の職員もうろちょろしていたそうです。なるほど、どおりで皆さん、リングライトなどの装備が似通っているわけです。
寒空の下からの配信……というのが客を集める要素になるのか、投げ銭あげようという気持ちを高めるのかまではわかりませんが、会社がこの戦術を使って配信者を大量投入しようと考えるほどには効果的なようです。
中国のネットユーザーもすっかり勘違いしてた人が多いので、日本のメディアが勘違いしても仕方がないような気がするのですが、中国についての相場観がないと、ニュースの翻訳紹介にはかなりの落とし穴があります。ご注意を。
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