花粉症という公害

2023年3月6日
全体に公開

皆さんこんにちは。

とうとう花粉症の季節がやってきました。花粉症は、実は症状としては風邪と非常に近いらしく(メカニズムとしてはアレルギー反応なのですが)、何人かの医師に聞いてみたところ、花粉症の薬はほとんど風邪薬と同じだそうです。

環境省の調査によれば、スギ花粉だけで3人に1人が該当するそうです。インフルエンザ感染数が、人口の10%程度と言われてるので、これはとてつもない割合ですね。私が幼かった頃は、花粉症は「都会病」の一種だと思っていましたが、地域に関係なく国民病となりつつあります。

花粉症の有病率は1998年が19.6%、2008年が29.8%、2019年には42.5%で10年ごとにほぼ10%増加しています。

インフルエンザウイルスは、コロナウイルス同様、毎年のように変異しているので対策が難しいですが、花粉症は植林政策に起因するところが大きく、政府や民間が国民全体に害を及ぼしているという意味では公害の一種として考えて良いのではないかと思います。いつしか花粉症の根本治療がなされ、過去のものになった時、平成から令和の長期を象徴する公害として教科書に記述される日が来るかもしれません。

ちなみに花粉症は英語では、"hay fever"といいます。ただ、この干し草アレルギーは国民病というほどのものではありません。  

なぜ花粉症が公害として取り上げられてないのか?

花粉症が大きな社会問題とならないのは(厳密には社会問題になっているのですが、社会運動にはなっていません)、人間の認知バイアスが大きく影響を与えています。

人間は目に見える被害は過大に評価しがちですが、目に見えない被害は逆に過小に評価します。

例として原発と火力発電を考えます。東日本大震災前は、原発はむしろクリーンエネルギーのイメージが強く、一方で火力発電は、煙突から黙々と黒煙を出す公害のイメージで受け止められていました。その意味では原発のリスクは低く見積られ、火力発電の害は大きく評価されていた、と言えなくもありません。(他にも要因があるので、あえて単純化すれば、という話ではありますが。)

しかし、東日本大震災のセンセーショナルなイメージと実際の被害もあり、つまり、被害が具体的に視覚化されたため、逆に原発は感情的な否定論も多く見られるようになりました。一方で、現代の火力発電は目に見える形での煙を出さないので、むしろクリーンなイメージの方が強くなっていると思います。

しかし、実際には火力発電も、あるいは太陽光発電などの「クリーン」エネルギーも直接的・間接的に死者を出しています。 欧州環境庁は「汚染物質の最大の排出源は依然として石炭火力発電所」と報告していますし、WHOによれば、「高レベルの大気汚染にさらされると、気道感染、心臓病、肺がんなど様々な健康被害をもたらす」としています。オランダでは、例えば風力発電が、鳥などの殺傷にいたり、生態系を大きく崩しているという議論もなされています。

人を殺傷するのは何も直接的な事故だけではありません。原子力発電はローコストで発電できると言われていますが、この原発を止め、資源高に直面すると、石油や石炭に頼った発電は電力高騰に結びつきします。この電力高騰による経済損失により、間接的には死者も出る可能性もあります。日本では、毎年3000人程度が経済・生活困難を理由に自殺していると言われています。しかし、爆発事故でも起これば話は別ですが、目に見えない形での死者なので、大きく取り上げられることはないと思います。

少なくとも経済損失の観点で言えば、花粉症は他の公害にも引けを取らない問題であるように思います。ちょうど受験シーズンということもあり、花粉症に煩わされる受験生もいるでしょうし、業務において生産性が下がることは間違いないと思います。多くの方が集中力が途切れますし、また鼻孔が閉じることによって眠気を感じる方も少なくありません。味覚にも影響を与えます。通院や、薬にかける費用も大きいと思います。

花粉症対策にかける。コストよりも経済損失の方が、大きいか?

このように考えると、例えば、生産性を重視する企業も抜本的に花粉症対策をしてよいような気がしますが、今のところこのような動きは(例外はあるでしょうが)ほとんどありません。

もちろん、花粉症の特効薬が見つかっていないため対策できない、ということもありますが、生産効率の低下は企業にとってみれば可視化しにくいためだと思います。花粉症が、目にみえる形で、短期的に大きなインパクトを与えるような問題とならない限り、民間企業が手を打つことは考えづらいような気がします。

一方でマクロで見た場合、花粉症は目に見えた利益もうんでいます。少なくとも医療や製薬メーカーにとっては収益源となっていると思います。このような、ある種のナッシュ均衡のような構造において、花粉症に対して政府も本腰を入れるようなことは、考えにくいかもしれません。

とりあえずの対処療法しかない

このように考えると、残念ながら、花粉症への抜本的な措置が取られる(例えば伐採など)可能性は極めて低いと思います。

したがって、個人としては取りあえずの対処療法を模索した方が得策かもしれません。鼻炎の市販薬を飲んだり、漢方(薬風邪と同じで葛根湯が効果があるらしい)を飲んだりするなど対処方法はいくつかあります。「ハーブティーが花粉に花粉症に効く」といったレベルの民間療法も含めれば、色々な対応策がありそうです。

周りの何人かは、ステロイド剤を勧めてくれましたが、医師の中でも見解が分かれるようで私は手を出せていません。もう少し周りのサンプル数が増えてきたら検討しようかと思っています。

私にとって、今のところ一番効く気がするのは、とある鍼治療です。20年くらい前に、大前研一が推薦していたので行ってみましたが、一番効いているように思います。実際、私が勧めた方にも効果あったようで、ほとんどの方がリピートしています。

しかし面白いもので、かなり強く、毎年色々な方にお勧めしているのですが、実際に試してもらえるのは 30人から40人に1人かな、といった印象です。どんなに心から勧めたとしても、1~2%の人しか動かせないという、私の影響力は、営業などで過信しないためにも非常に役立っています笑。

ちなみに私が花粉症と同じく公害だと思っているものは、視力です。特に小学生の視力低下の傾向は顕著で、現代病である側面だけでなく、政策レベルでの対応もかなり遅れていると思います。このことについてはまた別途検証して、取り上げたいと思います。

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