ソニーの伊庭保･元CFOがソニーの取締役会、現役経営陣に送った書簡
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先日Picksで話題に上がったソニー元CFOによる『提言』の原文。読んで思ったことは、「技術に知見のある」というのはどういう人財で、何をすることを望んでいるのかが分からなかった。フェアに言えば、盛田氏やSteve Jobsは技術者ではない。また、久夛良木氏はPS3で大失敗をしているし、2000年以降ソニーの取締役もしている。
結果論として、技術に知見があった、未来とイノベーションが合致したということは言えるかもしれないが、要素として挙げられないのが現実ではないかと思う。だから経営や製品開発、イノベーションは難しい。ただ、経営が厳しい際に、抽象論・精神論だけで「光り輝くエレクトロニクス事業」などと言っても、現場の助けには全くならない。逆に要素挙げられたり、それに合致しそうな候補がいるなら、完全な具体論にすべき（こういった人がなるべき、こういった製品を出すべき、お蔵入りとなったもので失敗だったものなど）。そうすれば、「コトにむかって」議論できる。
https://newspicks.com/news/992222先日話題になり、僕もピックした、元ソニーCFOの伊庭氏による提言書の原文すべて。内容は予想していたとおり、「今回は、ソニー・グループの中・長期的企業価値を向上するため、光り輝くエレクトロニクス事業を再生することに絞って議論をします」と明記されているように、エレキ復活の要望だけが目的のもの。なぜ、エレキ復活がソニーグループの中長期的企業価値向上に繋がるのか、論理的な説明は無い。
僕の個人的意見とはまったく相容れないので論評するつもりもないが、気になることが二点。まず、文章がしっかりと練られておらず、言葉遣いや用語の統一性も低く、まともな推敲をしていない様子。こんなダラダラと長いだけの質の低い文章をそのまま送ることに周りから忠告すら入らない状況にこの伊庭氏はいるということ。そしてもうひとつは、現CEOの平井氏含め、すべてのソニー関係者に敬称をまったくつけていないこと。これがソニーOBには普通のことなのか分からないが、読んでいて気分が悪くなった。先達や現役に対して敬意のかけらも見えない文章を書いて、それを公にする人の気が知れない。
誰しも自分の意見を自由に言う権利はあるし、この伊庭氏が一OBそして一株主として、ソニーに対して意見を表明することはなんら問題もないが、自分事として考えれば、こんな質の低い文章を恥ずかしげもなく公開書簡として古巣に送りつけるOBには絶対なりたくないと思った。面白い内容は、最後にあります:
「あるいは、2013年にThird Point が提案したエンターティメント事業の一部上場も再検討してもよいのではないか。
財務的に苦しくとも、エレクトロニクス事業のサステナビリティのため、また、企業価値向上のための投資であれば、資金調達に知恵を絞るのが、CFOの役割です。
本年度の株主総会が近づきました。エレクトロニクス事業の再生という文脈でこの一年間の変化を見ると、この4月に執行役として技術系人材の起用が進んだことです。評価すべきことと思いますが、まだまだやるべきことが残っています。光り輝くエレクトロニクス事業を再生する道は遠いかもしれません。でも、次の一年もあきらめずに、エレクトロニクス事業の再生のため改革を促すことを続けていくことにします。
なお、6月1日からコーポレートガバナンス・コードが上場会社に適用になります。不透明であったところが明らかになることや経営機構の改革の梃になることが期待できそうです。 中期計画の未達の総括（補充原則4-1②）、経営トップの報酬（原則３－１）、経営幹部・取締役の指名・選任（原則3-1，4-3）、経営トップ再任に相当な反対票が投じられた場合の対応（補充原則1-1④）、後継者計画（補充原則4-1③）、取締役会評価（原則4-11、補充原則4-11③）、株主との建設的な対話（原則5-1）などに会社がどう対応するか、注目しています。」
