日本人の腎細胞がん、7割に未知の発がん要因 国立がん研など発表
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「『未知であることが分かった』という内容なら、学術的意義は存在しないないはず」と一瞬思いましたが、この研究は非常にしっかりした体制で行われており、極めて高い評価を受けているものでした。
出所は以下の通りです。
Senkin, S., Moody, S., Díaz-Gay, M. et al. Geographic variation of mutagenic exposures in kidney cancer genomes. Nature (2024).
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07368-2
「未知であることが分かった」のではありません。「他地域では特徴的な変異パターンが日本では少なく、日本に特徴的な変異パターンが多くみられた」という内容でした。
研究内容としては、日本の国立がん研究センターは、英国サンガー研究所とWHO国際がん研究機関との国際共同研究により、腎がんで最も発生頻度が高い「淡明細胞型腎細胞がん」に対し、日本36症例、イギリス115症例、チェコ259症例、セルビア69症例、リトアニア16症例、ルーマニア64症例、ポーランド13症例、ロシア216症例、カナダ73症例、ブラジル96症例、タイ5症例の腎細胞がんの全ゲノム解析を行い、日本では72%の症例でSBS12という遺伝子変異が検出されたところ、他国では2%程度の症例に留まっていたとのことです。ただし、このSBS12変異の発生原因が明確ではないため、中間部分が略されて、「日本の腎がんの発生原因が未知であることが分かった」と記事では書かれているものです。記事は、重要部分を略しすぎており、概要すら正確に伝わっていないように感じます。
「日本人の7割に未知の発がん要因を発見」(国立がん研究センター 2024年5月14日)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.htmlこちらのプレスリリースが詳しいです。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html
対象11カ国は日本、イギリス、チェコ、セルビア、リトアニア、ルーマニア、ポーランド、ロシア、カナダ、ブラジル、タイとの事なので地理的に近い韓国や中国との比較、今回明らかにならなった下戸遺伝子との関連、日本国内での地理的変動も気になります。