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ネット・IT6社の売上比較。年商No.1はアップル、成長率トップは?

2015/6/3
企業・業界分析プラットフォームの「SPEEDA」では、アナリストが業界レポートを提供している。SPEEDA総研では、マーケットに大きな影響を与えるトレンドやニュースをアナリストがピックアップし、定量・定性的な視点で詳説する。今回は、アップルやグーグル、フェイスブックなど、米国のネット・IT大手企業の動きに注目。これら大手6社の業績を「SPEEDA」を活用して比較する。

年末商戦の影響が大きいアップルとアマゾン

米ネット・IT大手企業の中でも、本稿ではIBM、アップル、アマゾン・ドット・コム、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトの6社をピックアップ。まずは各社の四半期売上の推移をみてみる。
 図_米ネットIT企業の四半期売上高推移 (2)

アップルが、抜きん出た存在であることがひと目でわかる。合わせて、四半期ベースで売上の変動幅が大きい企業が数社存在することもわかる。特に大きいのはアマゾンとアップルの2社で、両社ともに10~12月の第4四半期に大きく売上を伸ばしている。

これは、コンシューマプロダクツに強い企業特有の環境、クリスマス商戦が影響している。アップルに限って言えば、全商品の中で最大ボリュームを誇るiPhoneの新製品を、9〜10月にリリースしており(2011年に発売した4S以降)、クリスマス商戦とiPhone新機種の発売時期が一致していることも背景にある。

このように、四半期ベースで業績変動が大きい企業の決算数値を読み解くときは、「前四半期」ではなく「前年同期」の数字と比較するといい。季節性を除いた成長率を的確に把握することができる。

過去も今も、けん引役はiPhone

全体像をさらに把握するために、4四半期の売上を合算したトレンドをみてみる。2014年12月末であれば、2014年1~12月の売上を合計した数値で、2015年3月末であれば2014年4月~2015年3月の売上を合計したものとなる。
 図_米ネットIT企業の年換算売上高推移 (2)

 図_アップル製品販売台数

アップルが他の5社と比較して2倍以上の売上で、他社を大きく引き離している。特に、iPhone 3GSを発売した2009年以降に一気に加速した2010年には、アップルのメイン製品の座は、iPodからiPhoneへ移った。

また、2014年になってからは、中国大手通信キャリアのチャイナモバイルがiPhoneの取り扱いを始めたことや、iPhone 6/6 Plusが世界的にヒットしたことで売上のけん引役を果たしている。この傾向は、アップルが発表している製品別販売台数実績をみると明らかだ。

1000億ドルで競り合うトップ3社

アップル以外の各社の売上をみてみる。アップルに抜かれるまで一貫してトップを堅持してきたのはIBMだった。急成長はないものの、事業と選択と集中を進めて、ジワジワと売上を伸ばしていたIBMだったが、2012年以降は下落傾向。1000億ドルを下回る水準に落ち込み、アップルに追い抜かれた。現在は、マイクロソフトや成長が著しいアマゾンと2位群を形成する。

一方、グーグルは2010年まではアマゾンと同水準で成長していたが、それ以降はアマゾンの成長率より低く、現在の年商は700億ドル弱。マイクロソフトと比較しても、2013年までは差が縮まってきたが、ここ1年はその差が埋まっていない。

フェイスブックは、2015年3月の時点で135億ドルと100億ドル超えを果たしたが、他社に比べてまだ相当小ぶり。ただし、直近1年の成長率をみると、フェイスブックは前期比51.5%とダントツで高い。アップルは20.5%、アマゾンは17.7%、マイクロソフトは13.7%、グーグルは10.7%、IBMのマイナス8.5%と比較すると、その成長スピードが速いことが一目瞭然だ。

【One Point Message】

・年商No.1は2000億ドル超のアップル。iPhoneがけん引
・アップル以前の王者はIBM。選択と集中進めるも直近はマイナス成長
・IBM、アマゾン、マイクロソフトが1000億ドルレベルで2番手争い
・成長率はフェイスブックがダントツで前期比50%超

【次回予告】

「純利益をみる」

今回は米国ネット・IT大手企業の売上についてみた。次回は純利益に照準を当てて、分析する。6社の中で、純利益の順位はどうなっているのか──。今回の売上トレンド結果を踏まえ、利益の順位予想もして次回もご覧いただきたい。